ペンギン・ハイウェイ

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ペンギン・ハイウェイ
9

かつて「アオヤマ君」であった大人の方へ

本や映画が好きな人なら「何回読んでも/観ても感動する」という作品の一つや二つあるのではないでしょうか。私にとってはこの作品がそうでした。

原作者は「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話大系」「有頂天家族」など、アニメ化作品も多い森見登美彦先生。京都を舞台にした作品を多く書かれているのですが、今作は一味違う、郊外の新興住宅地に住む小学生を主人公としています。
早熟で少し生意気な小学四年生のアオヤマ君を主人公とし、彼の憧れる歯科助手の「お姉さん」、それと彼の友人が関わっていく一夏の冒険譚です。
原作の大ファンであったため、はじめアニメ映画化と聞いたときは、他の作品の原作ファン同様に嬉しい反面、不安がありました。しかし予告編で流れたコーラ缶がペンギンに変化していく映像を観た瞬間、それは期待に変わりました。原作では文字の表現で細かな描写で、読み手は非現実的な事象でもぼんやりと頭の中でイメージを描くことができます。そんなぼんやりとしたイメージが、見事にアニメーションとして表現されていたのです。登場人物のビジュアルや声も、賛否はあるかと思いますが、個人的にはイメージ通りで全く違和感はありませんでした。

なにより、私が最も好きな最後の場面を、見事に映像とモノローグで表してくれていました。冒頭でも述べましたが、原作は何度読んでも最後で泣いてしまいますが、映画でも映画館でこんなに泣いたのは初めてではないかというくらい、感動してしまいました。
アニメーション映画ですが子どもだけでなく、ぜひかつてアオヤマ君であった大人に見てほしいと思う作品です。