TENET テネット

TENET テネット

『TENET テネット』とはイギリスで公開されたスパイ映画で、時間を逆行する物語。文字通り逆再生で時間が進んでいく。リアルに作り上げていくべく、スタッフや俳優に伝える能力も過去に時系列トリックを駆使した作品を作ってきたノーラン監督ならではの作品。
主人公はCIAの名もなき男。ウクライナのオペラハウスで発生したテロ事件に突入する。任務を終えた後そこで"TENET"というワードを耳にする。テネットというのは謎の組織の名前で主人公は組織の目的を知るために女性科学者のところへ向かうことになる。

TENET テネットのレビュー・評価・感想

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TENET テネット
6

ありえない演出方法!

2020年にアクション/SF映画として公開。

ウクライナ・キーウのオペラハウスにてテロ事件が発生した。特殊部隊に偽装して突入したCIA工作員の男は、ロシア人たちに捕らえらてしまうが、やがて今回のテロと対処任務そのものがテストだったことが明かされる。そして彼に課された使命は、時間移動が可能になった未来の世界から来た敵と闘い、第三次世界大戦の勃発を防ぐことだった。ミッションのキーワードは「TENET」。その言葉の使い方が、未来に大きく影響する。そして相棒を得たその男は、かつてない時間軸を舞台とした闘いに身を投じる。があらすじです。

公開当初から「このシーンは、どうやって撮影したら、こうなるんだ!」「2回目や複数回観ると、感想が違う」など話題になっていました。私は、まだ1度しか観ていないので、「演出方法がスゴかった」としかいえません。また、観てみたいと思っています。監督は、「インセプション」や「バットマンシリーズ ビギンズ」などで知られるクリストファー・ノーランです。ありえない演出方法もありますが、本編所要時間も2時間30前後と少し長いとも思いますが、きちんとつくられているともいえます。ご興味のある方は、1度ご覧になってみてはいかがでしょうか?

TENET テネット
10

時間の概念を覆される難解ストーリー。誰もが知的好奇心を刺激される大作!

時間や空間、時系列などをテーマにした作品の天才、クリストファー・ノーラン監督の超大作。本作品も「時間」を主軸に作られているが、歴代の中でも特に難解なものに仕上がっている。作品のキーワードとも言える「順行」「逆行」という言葉。まずこれを理解することが難しい。頭ではわかるが、感覚が追いつかない。今まであったような再生、逆再生とはまた違う概念だ。なので頭が混乱する。だがそんな視聴者を置いてけぼりにするように、映画自体はスピーディーに進んでいく。理解が追いつかないまま、次から次に疑問が蓄積していく。すごいのはそれでも作品にぐいぐい引き込まれていくところだ。ストーリーがノーラン監督の中で完璧に仕上がっているので、ブレることなく話が終盤に向かい、一本に繋がっていく。疑問が解消された時の感動も一入だ。ただ注意してもらいたいのは、大抵の場合は初見で全てを理解するのは無理だということ。少なくとも2回以上視聴することによって、理解度が増し、より楽しめる。これだけ聞くと多少見るのが面倒に感じるかもしれないが、アクションをはじめ、CGを極力使用したがらない監督のこだわりによる映像の全てが魅力的で飽きさせない。気が付けばあっという間にラストまで駆け抜けている。更に字幕で見ると、あえて世界各国の訛りが残ったままの英語が聞けるので、英語学習に興味のある方にもお勧めだ。そんなちょっとしたところも監督らしさが感じられて楽しい。ノーラン監督作品好きは勿論、誰もが知的好奇心をくすぐられる作品なので、少しでも興味があるなら是非この世界観に飛び込んでほしい。

TENET テネット
10

本当に最高!

白熱のアクションと目を見張るようなトリックが両立されています! 突然始まるストーリーに観客はわけのわからないまま連れていかれ、徐々に理解していくことになります。主人公は頑なに自分の名前を告げず、現れる人も理由を明かさずに助けてくれるなどとにかく謎が多いです。最後に明かされる怒涛の種明かし、エンドロールの最中は存分に余韻に浸りました。
本作の一番の魅力は逆再生です。入った人の時間の流れを逆行させる装置がでてくるのですが、これがアクションにもミステリーにも活用されている! 今までにないアクションを楽しむことができます! 殴ったのに垂直に立ち上がってくる敵、風の流れとは逆に吹っ飛んでいく敵、逆走してくる車とのカーアクション、どれも目が離せません。ミステリーについても、意味ありげに通って行った救急車は実は逆行している主人公が乗っていることがのちに明かされるなど、「時間」を余さずに使った重厚なストーリーは必見です。
もちろん、登場人物たちも魅力的です。名前のわからない主人公は冷徹な仕事人間であるのかと思えばヒロインを命がけで守る強さを持ち合わせています。そのヒロインも珍しい長身と、そこだけに注目させない演技力で映画に没入させてくれます。
今までにないまったく新しい映画です。ぜひ見てください!

TENET テネット
9

脳の未体験ゾーンを体感出来る、それがこの映画だ。

内容は理解出来てるのにとにかく頭がバグる。
脳の使ってない領域を使ったためが頭が痺れる。
いや、内容を理解しようとする必要もないのかもしれない。
無意識で見てても終わりが来るし、始まりがある。それだけでも十分楽しめる作品ではある。
でも、はやりこの作品をより楽しむ為には脳をフル回転させる必要があるのだ。

こんなにも多数の伏線があり、時間軸の同居された作品なんて今までにあっただろうか。まず目に付く不思議な映像は間違いなくなにかの伏線であろう。
その謎を探るには時間を遡らないとわからない訳だが、時間を遡らせる事は時間を経過させることだ。
それだけだと何かしらの作品でこれまでもあったのかも知れない。
この作品の私が考えるメインは「時間軸の同居」なのだ。
タイムラインの別方向が同時に存在して良い訳がない。でも存在出来てる。
脳が追いついて行かない。
脳がバグり始める。
ストーリーが難しい訳では決して無い。むしろストーリー自体は単純なのかも知れない。
ストーリー構成がそう単純なものとして視聴者を許してくれないのだ。

『メメント』や『インターステラー』で時間のトリックを上手いこと使うクリストファー・ノーラン監督はここに来てまた凄い作品を作り出したようだ。

TENET テネット
10

TENET クリストファー・ノーラン監督作品

2020年コロナ禍で経営難となっている「映画館を救う」というキーワードの下公開された、クリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET』のレビューです。
本作は時間をテーマにした作品であり、いわゆるタイムスリップ作品と思われるかもしれませんしれません。しかし、今まで公開されてきたタイムスリップ作品とは、ある部分が全く違います!!!全く違う部分とは、これまでのタイムスリップ作品は、ある時間にいる人物Aが、別の時間のところに何かをきっかけにAが移動することで、展開されてきました。
しかし、本作はある時間にいるAが別の時間に移動するのではなく、そのある時間から巻き戻されることで展開されるのです。
ちょっとわかりにくいですよね。。。わかりやすくいうと、ビデオの巻き戻しです!人物Aだけが、あることをきっかけに巻き戻されていくのです!だから、今まであったタイムスリップ作品とは全く違う、作品展開となっています!!(今までのタイムスリップ作品を否定しているわけではありません。ただ、全く違うということです。)
それと、ノーラン作品でよく言われる難解さゆえに見る勇気が出ないという方もいると思いますが、この作品は比較的分かりやすい作品だと思います。
(ここから一部ネタバレあります)
理由としましては、巻き戻しチームと普通に再生チームに分かれて戦闘するシーンがあるのですが、そのシーンでは色によって差別化が図られていたり、言葉で視聴者に伝えられるシーンがあります。なので、見終わった後に「結局この映画はなんだったんだろう」とはならないと思います!
最後に、ノーラン監督は上映後に多くを語らないことで有名ですが、今作も色々と伏線などを考えさせられるシーンが多々あります。しかし、ノーラン監督は今のところこれについて言及をしていないので、視聴者の受け取り方に任されています。これは賛否両論あると思いますが、映画の展開を自分で決められるのはとても面白いと思いますし、見終わった後でも楽しめるのがこの作品の良いところであると思います!!
どうせタイムスリップ作品だとか難しすぎて見る勇気がないと思っている方こそ、是非見てもらいたい作品ですので、まだ見てない方も、もう見た方も視聴してみてはいかがでしょうか!!

TENET テネット
10

クリストファー・ノーラン監督の新作

クリストファー・ノーラン監督作品。

CIAエージェントの男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、あるミッションに任命される。それは、未来から送られてきた「逆行する銃弾」の出どころを突き止めるというものだった。協力者ニール(ロバート・パティンソン)と共に調査を進めていく内に、二人は第三次世界大戦に繋がる巨大な陰謀を知ることとなる。

クリストファー・ノーラン監督の「ダンケルク」以来、三年ぶりの新作となる本作は、監督の作品史上最も難解な作りになっています。「エントロピー」や「アルゴリズム」など、物理学用語が重要なキーワードとなっており、一度観ただけで全容を理解するのは難しく、二度三度の鑑賞のたびに新たな発見があるのが本作の魅力です。
摩訶不思議な映像世界もおもしろい。ノーラン監督は大のCG嫌いで常にアナログな撮影にこだわることで知られています。本作の「時間の逆光」場面もアクション監督との綿密な打ち合わせの下、CG無しで撮影されています。そのため、CGではできない臨場感のあるスリリングな描写が見どころです。
また、主人公を演じたジョン・デヴィッド・ワシントンは、名優デンゼル・ワシントンの息子でアメフト選手として活躍した後、2015年から俳優活動をスタートさせた異色の経歴の持主で今後の活躍が期待されています。

TENET テネット
7

「時間」と「映画」

『TENET』の監督クリストファー・ノーランは、商業デビュー作『メメント』の頃から一貫して「時間」という主題を描いてきました。『メメント』では時間が10分ごとに遡り、『インターステラー』では惑星ごとに時間の流れ方が異なり、『ダンケルク』では異なる時間軸の物語を引き延ばした時間軸の中で同時並行的に描いてみせました。そして今作『TENET』では「時間の逆行」をテーマに、「前進する時間」と「逆行する時間」を同時に存在させるという前代未聞の演出をしてみせました。ジャン・コクトー『オルフェ』、タルコフスキーの諸作品でも描かれてきた「時間の逆再生」は、通常一度再生されたら巻き戻らないことが前提とされている「映画」という表現形態にとって、非常に本質的なテーマだといえると思います。また、ノーランはこれまでのフィルモグラフィーの中で、クライマックスで度々二つの舞台をカットバックを使って同時に語りエモーションを高めるという演出を使ってきました。今作でもこの手法が効果的に使われています。ここで重要なのは、このカットバックで示される二つの舞台の時間軸が微妙にズレており、ここでもまた「時間」という主題が表れていることです。この手法はグリフィスが『国民の創生』の中で使っており、非常に映画的な手法であると言えます。ノーランの「時間」の主題の追求の最新版である『TENET』、要チェックです!