電脳コイル(アニメ・小説)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『電脳コイル』とは、マッドハウス製作、磯光雄(原案・監督)のアニメ作品。
近未来という設定でありながら、昭和感漂う寂れた町並みや駄菓子屋などが懐かしい日本が舞台。
大黒市へ引っ越してきた主人公ヤサコと謎の少女イサコを中心に起こる事件・都市伝説・電脳世界の謎を追いながら、笑える日常劇から徐々にシリアスな展開へ続いていく。

「電脳コイル」とは

電脳コイルは2007年にNHKでアニメ化した、磯光雄(原案・監督)の作品、それを原案とした宮村優子の小説。全26話。
2007年文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞など数々の賞を受賞した。

電脳メガネとは?

世界最大の電脳機器製造メーカーメガマス社が作ったメガネの形をしたヘッドマウントディスプレイ。
スマホやパソコンの様な役割をしていて、電話・メール・インターネットなどが出来る。
ヤサコ達子供はメガネを装着した物同士しか見えない攻撃で争いあうなど、裸眼の人間たちからは見えない電脳世界で遊んでいる。
電脳ペットやバグなどはこのメガネをしていないと見る事は出来ない。本作で一番重要なアイテム。

『電脳コイル』のあらすじ・ストーリー

主人公小此木優子(通称ヤサコ)は、大黒市に引っ越してきて早々にイリーガルという謎の生物に出会った。
ヤサコを守ろうと電脳ペットのデンスケが追いかけていってしまい、謎の黒い空間へ迷い込んでしまう。
自称探偵を名乗るフミエの協力を得てデンスケを救出することに成功する。
ヤサコが転校してきた次の日、名前の読み方が同じ「ゆうこ」である天沢勇子(通称イサコ)が転校してきた。
イサコと仲良くしたいヤサコであったがイサコに突っぱねられてしまい、2人は友達では無いが関わり合う事が多いちぐはぐした関係を築く。
イサコは何かを探しあちこちで事件を起こし、ヤサコはこれに巻き込まれていく。

序盤から中盤にかけては、ヤサコ達の日常を中心にオムニバス形式で物語が構成されている。

ヤサコ達電脳コイル探偵局とダイチ率いる大黒黒客の電脳メガネを使った争いをメインに、ハラケンと一緒にカンナの死因を探ったり、着物で夏祭りに行き青春したり、イリーガルの首長竜の消滅の危機を守ったり、イリーガルの金魚を飼って騒動を起こしたり、イリーガルがヒゲ状に感染し登場キャラ達が皆ヒゲモジャになったり。

こういった日常の小さな事件が細かく伏線となり、後半の怒涛の展開へと繋がっていく。

物語の中で不可解な行動ばかりを取るイサコ。
イサコの強さに誰も勝つことが出来ず、ガキ大将のダイチはリーダーを下ろされ力関係が変わっていく。

イサコの目的はキラバグを集めてアッチの世界の扉を開き、意識不明の兄「天沢信彦」を取り戻すことだった。
その行動が過激になっていくに連れて、初めはただの子供達の戯れであった電脳メガネの遊びが、次第に危なっかしい物へとなり、遂には親たちがメガネを取り上げる事態にまでなった。

日常劇から次第にシリアスへと変貌していく

この作品には「騙し要素」があり、最後になってこれまで停止されていた認識と違う事が発覚する。

イサコの兄、信彦は5年前の事故の時にすでに死んでいた。
意識不明になった信彦のための物と思われていた電脳医療空間は、実は兄の死に耐えられないイサコのために作られた装置だった。
それは「電脳医療空間4423」と呼ばれ、電脳空間上で兄、信彦を作り上げ、その中でイサコの心の治療を行っていく装置だった。4423とはイサコの患者ナンバーである。
そしてその「電脳医療空間4423」を作ったのがヤサコの祖父で、当時病院に勤めていたメガじいである。

メガじいはイサコの治療中のハプニングで帰らぬ人となるため、電脳空間のナビゲーターとして特別に改造されていたデンスケはヤサコの手に渡る事となる(電脳メガネをつけたままヤサコが寝ると4423の夢を見る事があるのはデンスケが居るため)。
メガじいの葬式の日、ヤサコはデンスケに付いて行くうちに「電脳医療空間4423」の中に迷い込み、「4423」と名乗るイサコの兄、信彦と出会う。
ヤサコは4423と名乗る信彦に初恋をしキスをするが、それを目撃していたイサコの心は歪んでしまい、ミチコさんとなる存在を生み出してしまう。また、治療の終わりと同時に閉じられるはずだった4423の電脳空間を存続させ、それが後に「あっち」と呼ばれる電脳空間となってしまった。
そしてイサコはミチコさんを生み出せる能力を研究しようとしたメガマス本社に「交通事故で意識が戻らない兄」という偽の記憶を植えつけられてしまう。

兄の死の真相を知ったイサコは電脳コイル現象を起こして電脳体と体が分裂してしまい、意識を失ってしまう。
過去の事を思い出したヤサコは危険を承知で電脳空間へと入っていき、閉じこもってしまったイサコを説得する。

心を通わせたヤサコとイサコ。
イサコは兄に結んでもらったツインテールを解く事で兄の死を受け入れ、生きて行く決意をした。

個性豊かな登場人物・キャラクター達

小此木優子(おこのぎ ゆうこ/ヤサコ)

CV:折笠富美子

本作の主人公。
あだ名の「ヤサコ」は優子→優しい子→ヤサコが由来。
少々気が弱く優柔不断でどんくさい、巻き込まれ体質な女の子。
友達やデンスケのために一生懸命になったり、恐怖や悲しみを乗り越えたり、物語が進むに連れて成長が見られる。
ハラケンに想いを寄せている描写がある。

コイル電脳探偵局 会員番号8番
2014年10月12日生まれ。
ペット:デンスケ

天沢勇子(あまさわ ゆうこ/イサコ)

CV:桑島法子

あだ名の「イサコ」は、勇子→勇ましい子→イサコが由来。
ヤサコが転校してきた次の日に転校してきた女の子。
気が強く男の子だろうと年上だろうと上から目線だが、その反面優しい行動を取ることもある所謂ツンデレ。
電脳メガネの扱いに慣れており、戦ったら一番強い。
何かを探して大黒市まで来たらしく、何かと事件を起こす。

2014年4月4日生まれ。
ペット:モジョ

橋本文恵(はしもと ふみえ/フミエ)

CV:小島幸子

電脳探偵(自称)している、ヤサコの大黒市では始めての友達でクラスメイトでもある女の子。
姉御肌で気が強く頭も良い。電脳メガネの使い方に慣れており、イサコにとっては師匠のようなもの。
大抵いつもダイチにちょっかいを掛けられて喧嘩をしているが、怖い話が嫌いなど女の子らしい一面もある。

コイル電脳探偵局 会員番号7番
しもべ:おやじ

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