押し掛け麦わら大船団物語（ONE PIECE扉絵連載）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ONE PIECE』（ワンピース）の概要

『ONE PIECE』（ワンピース）とは、海賊を題材にした少年漫画。作者は日本の漫画家・尾田栄一郎である。1997年に集英社の『週刊少年ジャンプ』で連載が始まり、2022年には連載25周年に突入。『週刊少年ジャンプ』の長い歴史の中でもトップクラスの長寿連載作品だ。主人公の少年モンキー・D・ルフィは、「ひとつなぎの大秘宝（ワンピース）」を見つけて海賊王になるのが夢。物語は、そんなルフィや個性豊かな仲間達の大冒険を描いている。旅の中で登場するキャラクター達と時に戦い、時に助け合い、ルフィの周りにはいつの間にか味方が増えていくのだった。

『ONE PIECE』では、各話の扉絵を利用した短期集中型の連載「扉絵連載（表紙絵連載）」が本編と並行して掲載されることがある。内容は、本編での活躍を終えた登場人物達のその後の生活や冒険を描いたりしている。本筋のストーリーが進む裏側で起こっていること扉絵連載で描くことで、そのキャラクターが再登場した際に、読者が「このキャラ誰だっけ？」、「どうしてこのキャラここにいるの？」などの疑問を抱くことなく受け入れることができる。

「押し掛け麦わら大船団物語」とは

「押し掛け麦わら大船団物語」とは、少年漫画『ONE PIECE』（ワンピース）の各話の扉絵を利用して描かれる、短期集中の連載「扉絵連載」の第二十三弾。全46話で構成されており、単行本86巻から91巻に収録されている。この内容は一部がTVアニメ化されており、885話で見ることが可能。
主要人物は、麦わら大船団のメンバー。麦わら大船団は、偉大なる航路（グランドライン）のドレスローザで起こった元王下七武海のドンキホーテ・ドフラミンゴとの戦いで、ルフィや麦わらの一味に惹かれた海賊や戦士達が、ルフィの傘下に無理やり入ることで設立された。大親分ルフィの非公認組織である。

ドレスローザでの戦いの後、麦わら大船団の傘下の海賊達はそれぞれの旅に出た。そしてそれぞれの生活や冒険を繰り広げるのだった。

「押し掛け麦わら大船団物語」のあらすじ・ストーリー

1番船：美しき海賊団（うつくしきかいぞくだん）

麦わら大船団の1番船は、キャベンディッシュ率いる美しき海賊団。ドレスローザ王国から仲間になったスレイマンに、キャベンディッシュは身の上話をした。

キャベンディッシュは、ブルジョワ王国という国の王子として生まれた。容姿に恵まれ、幼い頃から周囲の女性を虜にしており、大層可愛がられてきた。その容姿は成長してますます磨きがかかり、キャベンディッシュの人気が凄まじいため、国中の年頃の娘が誰一人結婚しないという事態が発生した。これに頭を悩ませた国王は、キャベンディッシュに「人気ありすぎの罪」として国外追放を言い渡す。キャベンディッシュは、74人の部下と5億ベリーを持たされて国外追放となった。しかしそんなキャベンディッシュを追って、海に出た女性達も多く、美しき海賊団の後ろには常にキャベンディッシュのファンの乗る船が随行しているのだ。

そんなキャベンディッシュの長ったらしい身の上話を聞き、スレイマンは呆れ果てていた。

2番船：バルトクラブ

麦わら大船団の2番船は、バルトロメオ率いるバルトクラブ。ルフィの大ファンであるバルトロメオ達は、ルフィ達を幻の島”ゾウ”に送り届けた後、海賊行為を続けていた。

とある町にやってきたバルトロメオは、まず町で一番の悪を締め上げる。そして悪や町人達にルフィのグッズを格安販売していた。その途中、町の中に掲げられた、四皇・赤髪のシャンクスの海賊旗を見つける。この町は赤髪海賊団の縄張りだったのだ。バルトロメオは、四皇なんて関係ないと赤髪海賊団の海賊旗を燃やす。町の人々はその光景を唖然として見ているだけだった。

3番船：八宝水軍（はっぽうすいぐん）

麦わら大船団の3番船は、首領（ドン）・サイ率いる八宝水軍。ドレスローザを出た八宝水軍は、故郷である西の海（ウエストブルー）の花ノ国に帰郷した。

サイが花ノ国に帰ると、すぐに婚約者のウホリシアが訪ねてきた。要件は結婚式の日取りをいつにするかというもの。しかしサイは、ドレスローザの戦いで、元ドンキホーテファミリーのベビー5を妻に娶っていた。サイは、ウホリシアに事情を説明する。ウホリシアは当然大激怒した。ウホリシアの父である二宝水軍棟梁チチリシアもサイの祖父でドン・チンジャオに怒った。もともとウホリシアとサイを結婚は、二宝水軍と八宝水軍を合併して十宝水軍にするための政略結婚だったのだ。ウホリシアは落とし前としてサイをボコボコにして家に帰る。そして既に25人いる夫達に尽くしてもらうことで怒りを収めた。

その後、サイとベビー5の結婚式が盛大に行われ、二人は正式に夫婦となるのだった。

4番船：イデオ海賊団（XXXジム格闘連合）

麦わら大船団の4番船は、イデオ率いるXXXジム格闘連合。もともと海賊じゃなかったイデオ達は、同じく麦わら大船団に入ったオオロンブスから船を1隻もらってドレスローザを出港した。

航海中、イデオ達は2隻の海賊が争っている場面に遭遇する。それを見て、とりあえず喧嘩両成敗と双方の海賊をボコボコにした。囚えた2つの海賊は、手長族と足長族がそれぞれ率いる海賊だった。イデオ達は近くの島に停泊し、2隻の海賊船の壊れていない部品を集めて、1隻の船を作る。そしてその島に手長族と足長族を置き去りにした。

新しく造った船には、海賊旗が掲げられた。イデオ達はXXXジム格闘連合をイデオ海賊団という名前に変え、海賊としての活動を始めるのだった。

5番船：トンタッタ海賊団

麦わら大船団の5番船は、レオが率いるトンタッタ海賊団。ドレスローザの近海にあるグリーンビットに住んでいた小人族のトンタッタ族トンタ兵団のメンバーがそのまま海賊へと転身した。

トンタッタ海賊団は、ルフィ達がドレスローザを出港した後もドレスローザに残り、国の復興へ助力する。そのお礼として海賊船・ウソランド号をプレゼントしてもらった。ウソランド号は小さな船だが、小人族であるトンタッタ海賊団の総勢200名が乗れる十分な大きさだった。レオ達は嬉しくてウソランド号に乗ってはしゃぐ。

そんなある日、レオ達にドレスローザの国王リク・ドルド三世から、世界会議（レヴェリー）に行く際の護衛を依頼されるのだった。

6番船：新巨兵海賊団

麦わら大船団の6番船は、巨人族ハイルディンが率いる新巨兵海賊団。

ハイルディンはもともと仲間達と共にバギーが運営するバギーズ・デリバリーに傭兵として所属していた。しかしドレスローザでルフィ達と出会い、ハイルディンは傭兵を辞め、新巨兵海賊団を立ち上げることを決心する。バギーズ・デリバリーに戻ったハイルディンは、仲間達と共に一方的に辞表を提出して海へ出るのだった。

7番船：ヨンタマリア大船団

麦わら大船団の7番船は、オオロンブス率いるヨンタマリア大船団だ。

ドレスローザを出港したヨンタマリア大船団は、帰属するスタンディング王国へと帰還。開拓冒険家として仕事をしていたオオロンブスは、国王に辞表を出したが、受け入れられなかった。オオロンブスは翌日、朝起きてパジャマを畳み、船内の清掃をチェックするなど普通に過ごす。そして、ヨンタマリア大船団を形成する56隻の船を泥棒してスタンディング王国を出港した。国王は大激怒し、兵士達に大砲を撃たせるが、オオロンブス達の船はそんな攻撃にめげず無事に海へ出る。

その後、オオロンブスは海賊として華々しくデビューするために、海賊行為計画表を作成。予定通りとある島へ襲撃を開始した。しかし思いの外、その島が貧乏だったため、略奪するどころか、逆に食べものなどを分けて感謝されてしまい、海賊としてのデビューは失敗に終わるのだった。

番外編：染め物の町

「押し掛け麦わら大船団物語」の番外編として描かれたのは、元ドンキホーテファミリーのベラミーを主役にした物語。

ベラミーはドンキホーテ・ドフラミンゴに憧れていたが、ドフラミンゴのほうはベラミーのことを捨て駒程度にしか思っていなかった。ドレスローザでの戦いでそのことを痛感したベラミーは、ルフィに助けられ生きながらえる。ベラミーはドレスローザでルフィに再会する前に、一度ジャヤという島でルフィに敗北していた。その時から少しずつルフィに惹かれている自覚があった。ドレスローザの戦い以降、ベラミーはルフィに傘下には入らなかったが、ルフィの、持ち主の居場所がわかる不思議な紙・ビブルカードを持って別れた。

ベラミーは破れない布があるという染め物の町に一人やってきた。そして染め物職人のセリザワに弟子入りし、染め物の修行に励む。その修業の傍ら、製図板に向かい、麦わら帽子をかぶったドクロマークのデッサンをしていた。

「押し掛け麦わら大船団物語」の登場人物・キャラクター

美しき海賊団

キャベンディッシュ