The Last of Us Part II（ラスアス2、TLoU2）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『The Last of Us Part II』の概要

『The Last of Us Part II』とは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントより2020年に発売されたゲーム。『The Last of Us』の続編として描かれた作品で、前作の主人公であるエリー・ウィリアムズと、彼女が復讐の対象としている女兵士アビゲイル・アビー・アンダーソンの2人が主人公。
2020年6月19日の発売から僅か3日経過した時点での売り上げは400万本で、最終的には1000万本以上の売り上げを達成。リリースから賛否両論の嵐を巻き起こした本作だが、非常に高い技術で作られた意欲作である為世間的な評価は高い。「Golden Joystick Awards 2020」ではゲーム・オブ・ザ・イヤーに輝いた。
『The Last of Us Part II』は命懸けのアクションと過酷なサバイバル要素がゲーム内の随所に見られる為、プレイヤーにとっては非常にやり込み要素の強い仕様になっている。
前作で発生した謎の感染爆発によって文明の崩壊したアメリカで、エリーやジョエル・ミラーなどの生き残った生存者達は互いに協力しながらコミュニティーを作り上げた。順調に発展する生存者の街で2人は束の間の安らぎを取り戻したかにも見えたが、ある日ジョエルが感染者から逃げる女兵士アビーを助けたことで状況が一変。アビーはジョエルが殺害した人物の娘で、長い間彼に強い憎しみの感情を抱いていたのだ。
捕らえられたジョエルとやっとのことで合流したエリーだが、必死の懇願も空しくジョエルはアビーの復讐を兼ねた凄惨な拷問の末に殺害されてしまう。突然起こった凄まじい出来事はエリーを復讐の鬼に変貌させ、無慈悲な旅が始まる切っ掛けとなった。
エリーに追われる身となったアビーだが彼女も最愛の人を失った苦しみは癒えておらず、エリー同様復讐鬼となる道を選択することになる。お互いに標的を探す旅を続ける中で、取り戻すことの出来ない多くのものを失うことになった2人。旅の最後に再会した時に待ち受けていたのは、復讐を諦めるどうかの選択だった。
主人公2人による復讐の旅を主軸として物語は進行するが、多くの人々と出会い様々な感情が交差するヒューマンドラマとしての側面もある。危険な感染者やならず者達との接触を如何にして避け最後まで生き残るか、戦闘のみならず知恵と決断を迫られる場面が多々あるのも本作の見所の一つだ。
悲壮感に溢れるシーンやグロテスクな表現は人を選ぶが、泣く・笑う・怒るといった人間らしいリアルな表情からは、登場人物達の感情がダイレクトに伝わってくる。セリフがなくても演技が成立してしまう作品の表現力と技術を評価する声は多い。

『The Last of Us Part II』のあらすじ・ストーリー

ジャクソン編 ジョエルとの別れと復讐鬼と化すエリー

今作の舞台となるのは前作から5年経過した2038年のアメリカ。19歳になったエリー・ウィリアムズは父親代わりのジョエル・ミラーと共に、ジャクソンという生存者達の街で生活していた。ジャクソンはジョエルの弟であるトミー・ミラーと彼の妻・マリアが統治しているコミュニティーで、感染者や略奪者達から隔離された比較的安全な場所のことを指す。
ある日友人のディーナとジャクソンの外へ見回りに出たエリーは、友人のジェシーからジョエルとトミーが行方不明であるとの知らせを受ける。早急に捜索を開始した結果、ある建物の地下室に気絶したトミーと酷い拷問を受けた末に瀕死となったジョエルを発見した。救出を試みるエリーだがそこに立ち塞がったのが、前作のクライマックスで登場したファイアフライの残党達だ。ファイアフライは免疫者であるエリーを処置しようと画策したグループ。エリーを助ける為にジョエルが大勢の仲間を殺し壊滅状態にしたことを恨み、女兵士アビゲイル・アビー・アンダーソンを中心とした残党達はジョエルへの復讐を実行した形になる。
ジョエルを救出しようともがくエリーだが、既に彼らに拘束された状態で身動きが取れず、ジョエルが無残に殺害されていく様子をただ黙って見ているしかなかった。衝撃的な事件を経験したエリーは、アビー達ファイアフライの残党達への復讐を誓い、グループの拠点があると思われるシアトルへと向かう。

シアトル編（エリー視点） 残されたトミーの痕跡とディーナの妊娠

長い旅の末にシアトルへと到着したエリー・ウィリアムズとディーナは、先にシアトルに到着したトミー・ミラーと合流するべく廃墟と化したダウンタウンを捜索していた。シアトルは巨大な隔離地域であり、あちこちに感染者封じ込めの為の爆撃の痕が残る荒廃した都市のことを指す。
エリー達はシアトルの奥深くに進むにつれて増えていく、感染者と敵対者達の死体の山を不審に思っていた。どうやらトミーが邪魔者を排除しながら一人一人確実に復讐ターゲットを殺害していったようである。何故なら道中で発見したターゲットの1人の死体は拷問された末に殺害されており、エリーの見立てではその手口がトミーに似ていたからだ。
トミーの手掛かりを得たエリー達は先を急ぐが、予め仕掛けられていた地雷が爆発したことでエリーは敵に拘束され殺害されそうになる。ディーナの決死の援護により危機を脱したエリーは、ジョエル・ミラー殺害の一味がいると思われるテレビ局へと向かった。テレビ局にはトミーの姿はなかったものの、復讐ターゲットの1人がトミーに殺害されていることが判明する。
他にも儀式のように吊るされた死体からは第三者の関与も疑われたが、WLFの襲撃に遭いゆっくり考えている時間はなかった。WLFはワシントン解放戦線のことを指し、シアトルの政府機関に対抗する人々で組織された私兵集団。大量の敵に包囲され命からがら逃げ伸びた先は感染者が徘徊する地下鉄構内だ。WLFの兵士が近くまで追ってきたが、感染者を音で誘導することで殺し合わせ逃亡に成功。
道中で遭遇した新型の感染者シャンブラーも撃破し、地下からの脱出はあと少しだったがエリーのマスクが壊れるトラブルが発生してしまう。マスクが壊れ胞子を吸っても一向に感染しないエリーを見たディーナは、エリーが免疫を持っていたことを初めて知ることになる。驚愕し動揺を隠せないでいるディーナをそのまま放っておくことは出来ず、エリーはディーナを連れ共に地下から脱出した。
再び地上へ来れたエリーだが、ディーナの体調が悪化していることに気付く。どうやら体調悪化の原因は妊娠によるものらしく、エリー達はシアトル内で見付けた感染者の気配のない劇場を拠点とすることにした。

シアトル編（エリー視点）WLFへの単独潜入と黒人女性ノラの殺害

劇場を拠点にしていたエリー・ウィリアムズはWLFの無線を傍受したことで、彼らが潜伏している住宅街ヒルクレストに向かうことにした。
単独潜入を試みたエリーだが、WLF側はトミーから襲撃されることを警戒し強力な迎撃部隊を配備していたようだ。エリーは絶体絶命の窮地に陥るも、途中で合流したジェシーのサポートを受けて無事に劇場へと帰還した。
劇場には日暮れまで滞在していたが、すぐにWLFが制圧していると思われる病院に向かう為劇場を後にすることにする。
道中にあるパイオニアスクエア駅前の密林地帯では、セラファイトの集団に襲撃されるが戦闘の末に撃退。セラファイトとは口笛で合図を送り合う者達のことで、WLFとは対立状態にある宗教集団。
セラファイトを撃破したエリーはWLFの病院に潜入し、復讐ターゲットの一人・黒人女性のノラ・ハリスと対峙。アビゲイル・アビー・アンダーソンの居場所を聞き出そうとするも断固拒否の姿勢を崩さなかった為、エリーはノラをジョエル・ミラーが殺害された時と同じように鉄パイプで撲殺した。

シアトル編（エリー視点）アビーの襲撃とジェシーの死

妊娠が発覚したディーナを劇場に長く置いておくわけにはいかず、一旦ジャクソンに戻ることになる。ディーナはジャクソンへの帰還するには、トミー・ミラーとエリー・ウィリアムズが一緒でなければいけないと言う。エリーとジェシーはトミーの足跡を追うことになる。
トミーがいると思われる水族館に向かう途中、行き方を巡って意見が別れたのでここでジェシーとは別れ、エリーは1人でトミーを探すことにした。
道中ではセラファイトの集団やブローターに遭遇し激しい戦闘に突入するが、なんとか敵の撃破に成功。小型ボートで水族館に辿り着き、水族館ではアビーの仲間であるオーウェン・ムーアとメルに遭遇する。
オーウェンとメルにアビゲイル・アビー・アンダーソンの居場所を聞き出そうとするエリーだが、2人の抵抗に遭い彼らを殺害し劇場へと帰還した。後から合流したディーナ、ジェシー、トミーとジャクソンに戻る計画を立てるが、エリーは水族館で隠れ家を示した地図を落としてしまったことに気付かない。
居場所を知ったアビーに突然劇場が襲撃されたことで、ジェシーは殺害されトミーは人質に取られてしまう。エリーはどうすることも出来ずに窮地に陥った。

シアトル編（アビー視点）アビーの旅立ちとセラファイトとの遭遇

WLFの基地での日常を過ごしていたアビゲイル・アビー・アンダーソンは、ノラ・ハリスからオーウェン・ムーアの裏切りとダニーの殺害を聞く。他にもWLF司令官のアイザックの命令で、近日中にセラファイト島の壊滅作戦が実行されるという情報を得た。セラファイトとはシアトル近海の島に本拠地を置くカルト集団のことで、WLFからは「スカー」と呼ばれている。
アビーは行方の知れないオーウェンを探す為に基地から脱走。水族館にいるという情報を得て向かう道中で遭遇したセラファイトに捕まり、処刑される寸前まで追い込まれてしまう。
窮地に陥ったアビーを助けたのはセラファイトの子供である姉妹達だ。戦闘音を聞き付け襲撃してきた感染者から姉ヤーラと妹レブを守りつつ逃走した。
セラファイトに左腕をハンマーで折られ負傷した姉ヤーラの応急手当をした後、姉妹と別れたアビーは水族館に向かいオーウェンと再会することになる。

シアトル編（アビー視点）強敵・ラットキングとの激戦

命を救ってくれたセラファイトの姉妹の様子を確認したアビゲイル・アビー・アンダーソンは、姉のヤーラが「コンパートメント症候群」を発症していたことを知る。コンパートメント症候群とは打撲・骨折などで損傷した筋肉が腫れ上がり、筋肉と血管神経の圧迫が発生する症状のことを指す。
医療器具がある場所の情報を得たアビーはレブと共にシアトルの病院に向かった。病院付近ではアビーの脱走に気付いたWLF司令官のアイザック・ディクソンに拘束されるも、再会したノラ・ハリスの協力で脱出。医療器具が残されていると思われる病院地下の手術室へと進む。
病院地下深部で目的の物を探すアビーを待ち構えていたのは、強敵・ラットキングだ。複数の感染者が融合して生まれたラットキングは、2体に分離して攻撃出来る為激戦を強いられた。
何とか勝利することが出来たアビーは、入手した手術キットを手にヤーラの元に帰還。懸命の治療の末に彼女の命を救うことに成功した。

シアトル編（アビー視点）大切な者達の死＆エリーとの劇場での死闘

母親に会いに行ったレブを連れ戻す為、アビゲイル・アビー・アンダーソンとヤーラはセラファイトの島へと向かった。途中でトミー・ミラーがエマニュエル・マニー・アルバレスを殺害しているところに遭遇し戦闘に突入するが、ヤーラの奇襲によりトミーを撃退することに成功。
ヤーラと共にボートで島に潜入したアビーはレブと再会するも、レブは母親と争い止むを得ず彼女を殺害していた。島から脱出する際にアビー達が遭遇したのは、アイザック・ディクソン率いるWLFの兵士達だ。
窮地に陥ったアビーだがヤーラが寸前のところでアイザックを射殺したことで命を救われた。代わりにヤーラは死んでしまい喪失感を味わうアビーは、なんとか気を持ち直しレブを連れ水族館へと帰還する。
水族館に足を踏み入れたアビーが見たのは、動かなくなったメルとオーウェン・ムーアだった。2人は復讐に駆られたエリー・ウィリアムズによって殺害されていたのである。
遺体の近くに落ちていたのは、エリーが誤って落としてしまった拠点（劇場）の地図だ。エリーの所業に激怒したアビーは復讐する為に劇場へと向かった。
劇場に到着したアビーはジェシーを殺害しトミー重傷に追い込んだ。エリーとは劇場裏で死闘を演じた末に追い詰めたが、途中でディーナが乱入した。
ディーナを押さえ付けナイフで殺害しようとするアビーを止めたのはレブだ。当初はエリーを含めた全員を殺害しようとしたが、レブの仲介により不本意ではあるがエリー達を見逃すことになった。

サンタバーバラ編（エリー視点）復讐の日々の再来

劇場での死闘から月日は流れ、ディーナにはジェシーとの子供であるJ.J.が生まれていた。エリー・ウィリアムズは2人と幸せな日々を送っていたが、未だにジョエル・ミラーが殺害された日のことが頭から離れない。トラウマと化してエリーの精神を蝕んでいたのだ。
ある日久しぶりにエリーの元を訪ねてきたトミー・ミラーは、アビゲイル・アビー・アンダーソンがサンタバーバラにいると知らせてきた。折角掴んだ幸せを手放したくないエリーは断ったが、復讐に燃えるトミーはエリーを激しく批判。
悩みに悩んだ末にエリーが出した結論は復讐の再開だった。全てにケリを付ける為、エリーは最後の復讐ターゲットがいるサンタバーバラへと向かう。

サンタバーバラ編（アビー視点）突然の襲撃とアビーの危機