ワイルドアームズ ザ フィフスヴァンガード(WA5)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ワイルドアームズ ザ フィフスヴァンガード』とはメディア・ビジョンエンタテインメントが開発したPlayStation 2用のロールプレイングゲーム(RPG)で、略称は『WA5』。かつて高度な文明が存在した世界「ファルガイア」。物語は古代兵器「ゴーレム」を発掘するゴーレムハンターを目指す少年ディーンが、謎の女性アヴリルとの邂逅を果たすところから始まる。本作はシリーズ10周年という節目の年に登場する記念碑的な作品であると同時に、新たな地平を切り開いた作品となっている。

CV:下野紘
本作の主人公。16歳。ファルガイアの片田舎、カポプロンコの里出身の少年。幼い頃に偶然ゴーレムのネジを発見して以来、自らの手でゴーレムを掘り起こすこと、ゴーレムの発掘を生業とするゴーレムハンターになることを夢見て、愛用のショベルとつるはしで遺跡を掘り返し、ゴーレムのパーツを探す日々を送っていた。新たなゴーレムパーツ発見を機に、ゴーレムハンターとなって世界を回るために、里を旅立つ決意をする。神々の砦で出会ったアヴリルの失った記憶の手掛かりとなる「ジョニー・アップルシード」を探すため、アヴリルと幼馴染のレベッカとの3人で旅をすることになる。何事にも諦めず目標に向かって突き進む真っ直ぐな心を持ち、「諦めない限り、ヒトはなんでもできるッ!」を信条としている。明るく正義感が強く、人懐っこさや色恋沙汰を解せない幼さも持ち合わせている。また、困っている者を放っておけず、他人が流した涙に弱いなど情にも厚い。ゴーレムハンターのトップであるナイトバーンに憧れを抱いており、彼のブロマイドを肌身離さず持ち歩いている。旅を続ける中、ベルーニ族による人間支配に疑問を抱くようになり、ベルーニと人間を隔てる壁を壊す覚悟を決めるようになる。後にその目標を果たし、人間とベルーニの両種族を率いる「ジョニー・アップルシード」となった。

レベッカ・ストライサンド

CV:水樹奈々
カポプロンコの里で暮らす少女。16歳。ディーンの幼馴染で里では同年代の子供がディーンしかいなかったため、姉弟のように仲良く育った。普段からディーンの世話を焼いており、彼に恋心を抱いているが、素直になれないことやディーンの鈍感さもあり進展は無い。幼い頃に見たサーカスで披露された曲撃ちに感銘を受け、サーカスで曲撃ちのスターになることを夢見て日々ARMを使って曲撃ちの練習に励んでいる。カポプロンコの里を旅立ちたいと思いつつ勇気を持てずにいたが、ディーンがアヴリルと旅立つと決めた際、ひとりで里に残ることを恐れ、ディーンのそばにいようと旅立つ決意を固める。普段は冷静で、熱く突っ走りがちなディーンを諫めることが多いが、実際は強気で正義感が強く、他人想いな優しさを持つため、ディーンに似た熱い一面がある。その反面、脆く悩みやすい部分もあり、旅の途中ディーンへの想いを素直に伝えられない己に自己嫌悪し、アヴリルと親密になっていくディーンに置いて行かれていくように感じて弱気になり、ひとりで里に戻ろうとしたこともある。アヴリルに対して嫉妬を抱くようになっていたが、後に彼女との絆を深め親友になっていく。趣味でポエムをノートに記しており、旅を始めてからは旅先での出来事を日記として書くようにしている。

アヴリル・ヴァン・フルール

CV:伊藤静
アースガルズの左手に護られ、空から神々の砦に落下してきた女性。自分の名前と「ジョニー・アップルシード」という言葉以外の記憶を失っている。年齢は外見から20歳前後であると推測される。落下時に、後にディーンのARMとなるツインフェンリルを大事そうに抱えていた。初めて出会ったディーンに深い信頼を寄せており、自分でも分からないまま懐かしさと切なさを抱いている。普段は子犬のようにディーン達の後をついて回っているが、何気ない一言により人の心理を見透かすことが多々あり、時折ディーンを導くような発言をすることがある。ディーンに強く惹かれており、旅を続ける中、ディーンもアヴリルに惹かれるようになっていく。
その正体は、12000年前に「ジョニー・アップルシード」として強硬派を率いて、目的のためには手段を選ばない冷酷さと冷静な判断力で恐れられた「氷の女王(リリティア)」である。失われた記憶は強大な力と共に自らの手で封印したものであり、終盤、心の奥に潜んでいたリリティアであった頃の人格との対話を経て、全ての記憶を取り戻す。その後はディーン達とともにヴォルスングを止めるために戦うことになる。全ての戦いが終わった後、暴走するTFシステムを止めるために塔の最上階へ向かいシステムを停止させたが、その際に12000年前のTFシステム稼働実験の際に発生した次元の乱気流に巻き込まれた氷の女王と干渉し、意識だけが入れ替わってしまう。さらに入れ替わった影響により一時的に再び記憶喪失となり、ディーン達のもとへ戻ってきたアヴリルは、冷酷な指導者としての記憶を失った氷の女王であり、ディーン達と旅をしたアヴリルは12000年前の世界に戻った後、ディーンのためにツインフェンリルを造り、オリジナルミーディアムを開発するなど、ファルガイアを救うため、ひいては12000年後の戦いに勝利を収めるための様々な準備を行っている。そのため、アヴリルはディーンを愛しながらも、深刻なタイムパラドックスを引き起こさないためにその想いを告げず、12000年前と現在を行き来し続けており、物語の裏でディーン達を支援し、ファルガイアを救う旅を導く存在となっている。アヴリル・ヴァン・フルールという名前は「アヴリル(4月)」、「ヴァン(風)」、「フルール(花)」を意味する。

グレッグ・ラッセルバーグ

CV:志村知幸
ゴーレムクラッシャー・グレッグの異名を持つ一匹狼の渡り鳥(冒険者)。34歳。ゴーレムを探し出しては爆破し、時にはゴーレムが発掘できそうな遺跡ごと破壊することから、ゴーレムハンターギルドによって指名手配されている。元々は酒造郷ゴウノン出身の酒造士だったが、ベルーニ族四天王の1人、カルティケヤによって妻メリーと息子テッドを惨殺され、復讐を果たすため渡り鳥となった。仇であるカルティケヤの左腕にゴーレムの左腕が移植されていたため、それがか細い糸だと知りつつも、ゴーレムを破壊し続けていればベルーニ族に目を付けられ、やがてカルティケヤに繋がると信じてゴーレムクラッシャーとしての活動を行っていた。復讐に囚われ、復讐を遂げることこそ生き甲斐だと感じていたため、本来持つ優しさを捨て、人との関わりを避けて冷徹に振舞っている。当初はゴーレムが好きなディーンと対立していたが、彼の純粋で真っ直ぐな姿に感化され、同時にディーンに息子テッドの姿を重ね、ディーン達のパーティを見守る兄貴分として共に旅をするようになり、復讐という呪縛から徐々に解放されていくようになる。

キャロル・アンダーソン

CV:谷井あすか
ベルーニ族四天王の1人、エルヴィスの助手。12歳。控えめな性格で、幼いながらも様々なジャンルについて学んできたため、大人顔負けの深く幅広い知識を持つ。一方で何もない場所で転ぶなどのドジな一面を併せ持つ。両親から虐待を受けていた過去を持ち、それに耐え切れなくなったキャロルはあてもなく家を飛び出し、ファルガイアの荒野を彷徨っていたところを偶然通りかかったエルヴィスに拾われる。以来、彼から並々ならぬ愛情を受け、娘同然に育てられた。キャロルもまたエルヴィスに感謝や尊敬、愛情を抱く一方で、親代わりのエルヴィスに見捨てられることを恐れ、必死に勉強をしていった。研究に没頭して迷子になったエルヴィスを探して、自分が迷子になってしまっていたところにディーン達と出会い、後に共に旅をするようになる。辛い過去のトラウマから対人恐怖症となっており、ディーン達と出会うまでは、エルヴィスに依存し、彼以外の人物と話すことができなかったが、ディーン達との旅を通じて人に依存しない勇気を持つようになり、やがてエルヴィスから親離れを決意し、自立していくようになる。

チャック・プレストン

CV:花輪英司
陽恵の村ハニースデイ出身の見習いゴーレムハンター。19歳。ゴーレムクラッシャーのグレッグを捕まえようと訪れた町ミラパルスで「デ・ソトの鏡」を盗んだ犯人として疑われ、処刑されそうになった時にディーン達に助けられる。かつて両親が変死し、親友が行方不明になったことで、大事に想っている人間は全員自分のせいで不幸になると思い込み、好意を寄せていた幼馴染のルシルから離れ、故郷を後にした。キザで軽薄な言動とカッコつけの動作が目立つが、大部分は人との関係を希薄にするために狙っているもので、本来は明るく軽やかで、人懐っこい性格の持ち主。ディーンに感謝はしているものの、自分が接することでディーンが不幸になることを恐れ、深く関わることを避け続けていた。しかし、ルシルがベルーニ族に身売りさせられた際に、ディーンによって覚悟を促され、今までの自分は失うことを恐れて逃げていただけだと気づく。以降は大事なものを自分の手で護ることを決意し、ディーン達と共に旅をするようになる。後にベルーニ族四天王の1人、ファリドゥーンとの戦いを経て、彼と惹かれ合っていたルシルのために身を引いた。

ベルーニ族強硬派

ファリドゥーン

CV:山野井仁
ベルーニ族強硬派最高幹部、四天王(フォーカード)のひとり。24歳。ヴォルスングとは幼馴染で、両親の命に従い幼少の頃から彼に仕えている。先祖代々優秀な政治家、軍人を輩出し続ける名門RYGS家の一員で、自身も優秀な軍人としてその名を馳せている。かつては穏健派に属していたが、ヴォルスングが強硬派の軍で幹部になっていたため、これに付き従って強硬派へ属すようになり、以降はヴォルスングの忠実な右腕として武を振るっている。融通が利かず生真面目で固い性格をしており、軍人としての誇りを何よりも重視している。己の正義に忠実で信念に揺らぎが無く、不器用ながら優しさも兼ね備えているため、部下からも慕われている。ヴォルスングに忠誠を誓いつつも、主のやり方に疑問を抱いており、密かに葛藤している。チャックの幼馴染であるルシルと恋仲になるが、ヴォルスングへの忠誠心を捨てきることができず、軍人としての誇りを優先して惑星改造計画に加担する。終盤、チャックとの一騎打ちに敗れ、己の心に素直になることを決意。大切なものを守るためにディーン達を支援し、ヴォルスングに反旗を翻す。

ペルセフォネ

CV:甲斐田裕子
ベルーニ族強硬派最高幹部、四天王(フォーカード)のひとり。25歳。情報管理を受け持ち、情報収集や情報工作を一手に担う情報統制発信局のトップでもある。5年前に軍の幹部職に就いていた姉が亡くなったことがきっかけで、その意志をを受け継ぐ形で軍に入隊した。穏健派に属していたが、ヴォルスングに篭絡され強硬派へと意趣替えする。冷静で冷淡な性格だが、時折自分の感情を抑えきれず、激しい言動を取ることがある。ベルーニ族でありながら人間と恋に落ちた姉がUbに冒されて死去したため、姉を拒絶したファルガイアと人間に憎しみに近い感情を抱いているが、姉の恋人だったナイトバーンに想いを寄せている。終盤、レベッカから自分の想いに揺らぎがあることを指摘され、彼女との一騎打ちに敗北。自分の想いに素直になることを誓い、生死不明となったナイトバーンを見つけ出すことを決意した。

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