憂国のモリアーティ(憂モリ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『憂国のモリアーティ』とはコナン・ドイル作の小説『シャーロックホームズシリーズ』を原案とし、構成を竹内良輔、作画を三好輝が担当するミステリー漫画である。2016年に月間漫画雑誌『ジャンプSQ.』で連載開始され、アニメ・小説・ミュージカル・舞台と多様なメディアミックスを行っている。
原案の小説では敵役として登場するジェームズ・モリアーティを主人公に据え、彼とその仲間たちによる腐敗した国を相手取った壮大な計画と名探偵ホームズとの緻密な頭脳戦が描かれていく。

モリアーティ家で事故に見立てた火事を発生させた直後、アルバートが回想した孤児院で出会った時のウィリアムの発言。
他の孤児たちに「悪い貴族はやっつけろ」と説いていたウィリアムを見て、感銘を受けたアルバート。貴族に抗うということは国に抗うことだと考えるアルバートからの「この国と闘えるのか」という問いにそのつもりだと答えたウィリアムは「悪魔が消え去れば人の心は澄み渡り呪いは解ける この国はきっと美しい」と理想を語った。
この頃からウィリアムは大英帝国を相手に戦う覚悟を秘めており、これを聞いたアルバートがモリアーティ家に養子として招いたことで全てが始まった。

ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ「これは全て僕が企てた事なんです 犯罪相談役のこのウィリアム・ジェームズ・モリアーティがね」

初期の頃、裁きを下すべき相手に放っていたウィリアムの決め台詞。
罠に嵌まった相手に種明かしをし、「これは全て僕が企てた事なんです 犯罪相談役のこのウィリアム・ジェームズ・モリアーティがね」と自らの関与を告白してから相手に制裁を与えた。
"犯罪卿"として、裁きを下すべき相手以外にもその存在が知れ渡るようになってからは、組織として行動することが多くなったこともあり名乗りの機会は減っている。

ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ「Catch me if you can,Mr.Holmes.(私を捕まえられるなら捕まえてご覧なさい、ミスター・ホームズ)」

列車の中でシャーロック相手に不敵な笑みを返すウィリアム。

ウィリアムとシャーロックが偶然同じ列車に乗り合わせた際、犯罪卿の正体がウィリアムだとはったりを仕掛けてきたシャーロックに対して言った言葉。
冗談だと笑うシャーロック相手に「Catch me if you can,Mr.Holmes.(私を捕まえられるなら捕まえてご覧なさい、ミスター・ホームズ)」と敢えて冗談に乗り、「…とでも申し上げればあなたの気は済みますか?探偵さん」と続けて謎を求める彼の好奇心を煽った。
その後、犯罪卿として邂逅した際も同じ意味合いの言葉をシャーロックに向けて放っている。

シャーロック・ホームズ「これがきっと"友情"ってやつなんだな」

221Bの屋根の上で昼食をとることを名目に、ジョン(右)に気持ちを打ち明けるシャーロック(左)。

ずっと一人だったシャーロックがジョンとの楽しい日々と友愛の気持ちを自覚した時の発言。
ジョンが結婚すると聞き、ルームシェアが終わるのではと危惧して寂しくなったり、幸せになって欲しいがために婚約相手のメアリーを試すような真似をしてしまったことを自覚するシャーロック。これをジョンに打ち明けている時に「これがきっと"友情"ってやつなんだな」と自分自身で確認するように呟いた。
この気持ちを受け取ったジョンは喜びで涙を流しながら、結婚しても相棒を辞めるつもりはないことや一緒に事件を解決する楽しさを伝え、より一層お互いの仲を深めた。

シャーロック・ホームズ「ここからは本気(マジ)の勝負だぞリアム!必ずお前の全てを解き明かし俺の望む形で捕まえてやる!!」

ミルヴァートンを倒した後、お互いに宣戦布告するウィリアム(左)とシャーロック(右)。

ミルヴァートンを倒し、ウィリアムが犯罪卿だと明白になった際にウィリアムに向けてシャーロックが放った言葉。
自分の望まない形でウィリアムの正体が明らかになったことから、その場で捕らえることはせず「ここからは本気(マジ)の勝負だぞリアム!必ずお前の全てを解き明かし俺の望む形で捕まえてやる!!」と、あくまで自分の納得する形での勝利を宣言する。それに対してウィリアムは依然と同じく「捕まえられるものなら捕まえてみなさい」と返答した。
このやりとりがあった事件の直後、ウィリアムが犯罪卿の正体だと世間に公表されることになり、シャーロックの言葉通り「本気の勝負」が始まる。

ジョン・H・ワトソン「お前が人殺しになったことを!!お前が俺の為に一人で犠牲になった事を!!!俺が"良かった"って喜ぶと本気で思っているのか!!?」

逮捕されたシャーロック(左)のいる取調室に乗り込み、叱責するジョン(右)。

ミルヴァートンを殺害し、逮捕されたシャーロックに向って放ったジョンの言葉。
殺人という大罪を犯したことを気にせず、ジョンが無事結婚できることに喜ぶシャーロックを「お前が人殺しになったことを!!お前が俺の為に一人で犠牲になった事を!!!俺が"良かった"って喜ぶと本気で思っているのか!!?」と涙を堪えながら叱責した。犯罪を犯してしまったことへの怒りはもちろん、相棒として固い友情を結んだ仲であるシャーロックが自分だけを犠牲にしたことが許せないジョンの心からの叫びでもある。

シャーロック・ホームズ「一方通行の友情なんて成り立たないんだ…!!」

エリザベス女王との面会前にジョン(右)に謝罪と共に自分の気持ちを打ち明けたシャーロック(左)。

ミルヴァートンを殺害した後、ジョンに涙ながらに叱責され「自分にできることは一体何なのか、一人でよく考えろ」と言われたシャーロックのジョンに対する回答。
ジョンのおかげで友情を知ったシャーロックは、再びジョンによって「一方通行の友情なんて成り立たないんだ…!!」と気づかされた。自分を顧みずにジョンが幸せになることだけを考え、ミルヴァートンを自らの手で殺めてしまったことを反省し、これからは自分を大事にすると誓う。

ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ「僕はもう死にたいんだよ……」

死なずに済むように説得を試みるフレッドに本音を打ち明けるウィリアム。

最後の事件の最中、フレッドに対して語ったウィリアムの言葉。
モリアーティプランでウィリアムが死ぬことに納得がいかないフレッドは、死なずに済む方法も思い付くはずだと説得を試みる。しかしウィリアムのことを正義の執行者だと言い張るフレッドに対して、ウィリアム自身は「自分のやってきた行いを一度たりとも"正義"だなんて思った事は無い」と語り、「僕はもう死にたいんだよ……」と本音を漏らした。人が人を裁く権利はなく、どんな悪人であろうと殺すことは許されない行為だと自覚しているウィリアムは、自分自身を許せず自分の死をもって計画を完了させることを望んだ。

シャーロック・ホームズ「この世で取り返しの付かない事なんて一つもねぇんだよ!!」

モリアーティプランの仕上げとして自ら死を遂げるために現れたウィリアムとタワーブリッジの上で対峙するシャーロック。

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