魔女の心臓(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『魔女の心臓』とは、『ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。』などの代表作を持つmatobaによる日本のファンタジー漫画作品である。スクウェア・エニックスのウェブコミック配信サイト『ガンガンONLINE』にて、2012年から2016年まで月刊連載し、コミックス全8巻で完結済み。美しく儚い雰囲気の作画と、ゴシックファンタジーなストーリーが作品の魅力。心臓を失くして不老不死となってしまった少女ミカが、魔女として自分の心臓と死を求めて旅をする物語が描かれている。

コミックス6巻の表紙で竜の姿のルミエール(画像左側)と共に佇むミカ(画像右側)。

人間よりも長寿な生き物で、高位の種族なら人間の姿に変化することもできる。しかし、幼い竜はまだ上手く変化できず、人里離れた場所で竜だけのコミュニティを築いて生活している。

『魔女の心臓』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ルミエール「彼女の事かわいそうって思いました?」「それとも……羨ましいって思った?」

第1話「深雪の森」の最後で死んでしまった少女(画像上)を埋葬するミカ(画像下)にルミエールが問いかける。

心臓を失って不死になってしまい、死を求めて長旅をするミカにルミエールが問いかけるシーン。ルミエールは「彼女の事かわいそうって思いました?」「それとも……羨ましいって思った?」と少女を埋葬するミカに問う。物語序盤での印象的な場面であり、この物語全体のテーマを表したセリフでもあるといえる。ミカは「どちらも思わないわ」「与えられた寿命を全うせずに終わるのは不幸だわ」と言いながらも、「でもそれが彼らの運命だったなら、彼らが死んでしまうのも、わたしがまだ生きているのも、同じこと」と語り、涙を流す。望まずに不死になってしまい長年彷徨い続ける少女ミカの葛藤を端的に描いている。

ルミエール「この人は 俺を置いて逝けない」

第12話「満月の弦」より、魔女の力を使ったミカ(画像右上)を見て期待の眼差しを向けるルミエール(画像左下)。

ミカが不死の「境界の魔女」だと知ったルミエールが、「この人は俺を置いて逝けない」とその不死性に希望を見出すシーン。
過去に人間に育てられたことから、人間と共にいたいと思いながらも、その寿命の差のせいで多くの人を看取ってきたことに強い孤独を感じていたルミエール。ミカという自分よりも長く生き続けてくれる存在が現れたことに強く惹かれ、その旅に同行したいと願い出る。
主要なキャラクター同士の出会いの物語を描いた象徴的な場面。

ミカ「しゃんとなさい!!」

第20話「荊棘の鏡(後編)」で鏡の魔物に取り込まれそうになるリツカに喝を入れるミカ。

リツカは鏡から出てきた女性に惑わされ、弟子の自分が不甲斐ないせいで師匠のローリスは死を受け入れられなかったのではないかと思い、心がくじけそうになる。そこにミカが「しゃんとなさい!!」と喝を入れ、「自分の知っている師匠を信じなさい」とリツカを諭した。ここで助けられたことで、後にリツカはミカを先生と呼ぶようになる。

『魔女の心臓』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

単行本巻末の『Witch's Backyard』

コミックス4巻のカバー裏での一コマ。

単行本巻末の『Witch's Backyard』のコーナーでは、各エピソードに登場するキャラクターが、本編をドラマと見立てた撮影のメイキングという設定で描かれている。可愛らしい絵柄とほっこりするようなやりとりが展開されており、本編内の重たい話によって暗い気分になった読者の心も癒してくれる。

SNSでの四コマ漫画

スピンオフ作品のような位置づけで掲載誌の公式SNSから「魔女の心臓ゆるまんが」として時々公開された。本編とは一切無関係のゆるふわな作風が特徴で、現代風パロディやギャグ要素が強め。ゴシックファンタジー作品の本編ストーリーとはギャップのある世界観の中で、主要なキャラクターたちの異なる一面も楽しむことができる。ファン向けの息抜き4コマ漫画として楽しまれた。

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