クジラの子らは砂上に歌う(クジ砂、Children of the Whales)のネタバレ解説まとめ

「クジラの子らは砂上に歌う」とは、「梅田阿比」による漫画作品。2017年にJ.C.STAFF製作でアニメ化。砂の海に浮かぶ巨大な船「泥クジラ」には、超能力「情念動(サイミア)」を操る「印」と、操れない「無印」がいた。印である主人公「チャクロ」は泥クジラの歴史を綴る記録掛りをしていた。チャクロはある日、砂の海を漂流してきた島で謎の少女「リコス」に出会う。

ヌースに感情を食べられた帝国軍人。
サイミアの力を持ち、淡々と敵を殺す。
リコスも感情を食べられたアパトイアであったが、ヌースから離れると感情を取り戻して行った。

『クジラの子らは砂上に歌う』の見所・名シーン・名場面

世界観

本作は完全ファンタジーの世界観で、超能力などのSF要素もある。
オリジナルの生き物や風習など細かい所まで凝っており、アニメでは映像が美しく、そしてキャラクターは可愛く描かれている。
第3話まではほのぼのとした雰囲気があるが、3話の虐殺で話は一転し、キャラクターが次々に死んでいく。
次第に明らかになっていく泥クジラの秘密や、童話のような雰囲気のあるネリの歌唱シーンなど、儚さと残酷さを兼ね備えた世界観そのものが本作の見所の一つ。

指を組んで感情を抑える

スオウの手の甲の傷から、スオウがどれだけ悲しみを耐えてきたか伺える。

泥クジラの人々は涙など辛い衝動を抑える時に、手を強く組んで耐えるという風習がある。
死者を弔う時には皆手を組んで耐えているが、結局耐え切れず泣いてしまう人もいる。
無印であるスオウは妹のサミなどの短命の印の運命を嘆き、血が滲むほど強く手を組んで悲しみに耐えている。

チャクロとサミ

チャクロにとって日常を象徴するのがサミであり、そのサミの死は日常の崩壊を意味した。

チャクロとサミは幼馴染で、小さい頃からいつも一緒に居た。
小さい頃は軽かったサミをおんぶした事があり、リコスの登場に嫉妬したサミはチャクロに抱っこをねだった。
既に子供では無いサミのその言葉にチャクロは驚いて赤くなり、照れからもう重くて抱っこ出来ないと断り、サミは重くないと怒る。
そんな可愛らしいやりとりであったが、後日サミはチャクロを庇って死んでしまう。
横たわるサミをチャクロが抱っこし、サミの願いを敵えたが、サミからの返事は無い。
サミはチャクロの事が好きであり、その好意は一目見れば分かる程顕著にサミの顔や行動に現れていた。
チャクロの方もサミが好きであったが、それを表に出したのはサミが死んでしまった後であった。
しかしネリがチャクロに見せた投影の中で、サミはチャクロに想いをつげ、また自暴自棄になっていたチャクロにまだ役割があると諭した。

無印のスオウ

短命の印よりも長生きをする無印は、61歳になると長老会に入る事になる。
無印から選ばれる首長は政治権利はないが、住人達から好かれる象徴として振るわなければならない。
次期首長候補だったスオウは、タイシャの死によって首長となる。
スオウは印の人たちの短命を嘆き、印の短命を改善させようと研究をしている。
スオウがどれだけ印達の事を思っているかは、感情を抑えるために手を組んだ時に付いた爪跡の傷からも見て取れる。
人柄と整った顔から泥クジラの民から人気があるスオウであるが、ただ愛されているだけの象徴に留まらず、保守的な長老会に異議を唱える。
スオウの立ち回りから、泥クジラの民たち特に印はサイミアを使って帝国の襲撃から身を守るために戦う決意をしたり、スオウの口から短命の理由を知る事になる。
何も出来ない無印はお荷物で、印こそが泥クジラの舵を取るべきだと言う意見も出るが、泥クジラの民の殆どがスオウを指示した。
しかしスオウ自信は自分の言った言葉から、子供までサイミアで人を殺す事になってしまったことで心を痛めたり、短命の理由を印に教える事の覚悟と責任を背負う事になった。
長老会が殆ど機能しなくなってからは、実質スオウが泥クジラのリーダーとなっていく。

印が短命だった理由

マソオも段々と衰弱し、短命の運命から逃れられなかった。

ヌース・スキロスなど、一般的なヌースは人の感情を食べて養分とするが、ヌース・ファレナがいる泥クジラの人々は人々はずっと感情を持っていた。
それはファレナだけが特別で、ヌースが食べて養分にしているのは印たちの命であった。
ファレナの印が短命だったのはこのためであった。
リコスはこの事に初めから気づいていたが、ずっと言えずにいた。
しかしロハリトが泥クジラについて調べるため、リコスはロハリトに事情を話し、泥クジラの民に真実を教えないように言う。
そしてリコスとロハリトから話を聞いたスオウは、この事実を公表することを決めた。
長老会は印が短命だからこそ、自分の運命に対して腐らずに生きて欲しいからと真実を隠し、それを「印のための無印の誓い」としていた。
実際スオウから話を聞いた印たちは動揺し、体内モグラでオウニたちと対立気味であった双子のシコンとシコクは、ここぞとばかりに無印と印の間に亀裂を入れようとする。
2人の投げた石がスオウに当たり、スオウは怪我をするが抵抗はせず、またオウニは2人の演説を阻止した。
そんな姿から、泥クジラの民達は戸惑いはあれど今まで通りスオウを信じる方向で固まった。

オウニとニビ

オウニの両親は不明で、小さい頃オウニはいつも一人であった。
そんなオウニにニビがちょっかいをかけたことで、2人はサイミアを使った喧嘩になり、2人とも体内送りになった。
その事がきっかけとなり、ニビはオウニを自分達の仲間に引き入れ、オウニに「お前を外に連れ出してやる」と言う。
この言葉がオウニの外へ憧れを持つきっかけとなる。
体内モグラは元々はニビがリーダーであったが、段々と実質オウニがリーダーとなっていく。
その後も2人の友情は続いており、ニビはスキロス防衛戦ではオウニが特別突撃隊にいると知り、無理やり自分も参加した。
ニビもサイミアの使い方に長けており、オウニとニビのコンビはスキロスのアパトイアたちを圧倒する強さであった。
しかしニビがオウニを庇って槍を受け、それが致命傷となり絶命。
取り乱したオウニはサイミアを暴走させ、ヌース・スキロスを破壊した。
能力を使い切って気絶したオウニの夢であったのか、オウニの前にニビと死んで行った体内モグラのメンバーが現れる。
普段表情が動かないオウニであるが、ニビとの別れで涙し、その人間らしい部分が垣間見えた。
そしてその姿からニビも、オウニが泣いた所を初めて見たと照れくさそうに言った。
ニビの遺体は回収できなかったが、後日マソオの葬儀の際に泣き喚く民達を見て、オウニもまたニビを想う。
シュアンはオウニと自分が感情がなく戦いにしか興味が無い似たもの同志だと思っていたが、オウニはそれを否定した。
しかしシュアンもまた自分が悲しんでいた事に気づいていないだけで、自分の妻の死に涙していたのであった。

第三勢力のスィデラシア連合王国

女性部下は全裸のスオウに驚くが、スオウが美形であったため満更でもなかった。

スキロス戦が終わり、スキロス戦で死んでいった者達の弔いが終わり、とりあえず一段落した泥クジラの民達は皆で水浴びをする。
そんな最中、泥クジラに漂流したのはスィデラシア連合王国のロハリトと、その部下達であった。
スオウは客人に無礼があってはならないと意気込みロハリトの前に出るが、水浴びをしていたためすっぽんぽんであった事はすっかり忘れ、全裸で出て行ってしまう。
ロハリトはすっぽんぽんで出てきたスオウを見て、泥クジラの民達は裸で生活している文化レベルの低い人々だと思いこむ。
しかし民の殆どがサイミアが使える事を知り、泥クジラの事情を知る事になる。
泥クジラにとっては帝国と異なる第三勢力であったスィデラシア連合王国は泥クジラを敵としない場合もあるため、スオウはここぞとばかりにロハリトを向かい入れた。
ロハリトは泥クジラに対して敵意はなく、何かと上から目線の傲慢さはあるものの、泥クジラを悪く思って居ないようであった。
スオウはロハリトから海図を見せてもらい、自分達が何処にいるのか初めて知る。
丁度オリヴィニスから貰ったコカロが泥クジラを操縦できる事がわかり、泥クジラはアモンロギアを目指す事になった。

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