ラストゲーム(Last Game)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ラストゲーム』とは、天乃忍による少女漫画。白泉社「LaLa」にて集中連載後、続きが読みたいとの声が多数上がり、続編が連載された。
柳尚人は、顔良し、頭良し、家柄良し、だけど勉強でも運動でもどうしても九条美琴には勝てない。初めての挫折を味わい九条への雪辱を誓った柳は、自分を顧みない九条に勝ってその瞳に自分を映そうと九条を惚れさせる決意をした。2人の10年に渡る勝負が始まった。

聖苑女子学院大学に通う1年生。電車で痴漢に遭っていたところを九条に助けられた。お礼に九条を食事に誘った時、偶然、柳と相馬に出会い、柳に近づきたい桃香はインカレサークルで柳のいる天文サークルに参加し始めた。
以前、あるパーティーで柳を見初めた桃香は、このチャンスを活かそうと女子力を駆使しして柳にアピールをするが、それを察知した柳に警戒されてしまう。それでも貪欲に柳にアピールを続ける。柳が九条を思っていることに気づき、柳と九条では釣り合いが取れない、と柳に意見したが、柳から自分の方が九条を追いかけている、と言われ玉砕。
相馬が九条を思っていることにも気づき、相馬と九条をくっつけようとしてみるが、失敗。ほんの少しの可能性があるならば絶対に諦めないという強い意思を持っている。
かつて、太っており、努力してキレイになったのだが、それがバレることを極端に恐れている。

一向に進まない柳と九条の関係に業を煮やし、余りにも恋愛に疎い九条の意識を恋愛に向けるため、フラれているにも関わらず、「柳さんが好きだから応援してください」と九条を煽った。九条が柳に感じている気持ちは、柳への恋心なのだと気づかせた。

相馬とはお互いにフラレた者同士、以降も何かと交流が続いていく。

宮部(みやべ)

天文サークルに所属している。藤本しおりの彼氏。
藤本が高校時代から付き合っていた彼氏と別れすさんでいた時、飲み会で酔っ払ってくだを巻いていた藤本の話を最後まで付き合ったことがきっかけで、藤本から意識されるようになった。自分が藤本のような元気のいいチャキチャキしている女子から好かれると思っていなかった宮部は、藤本からのアプローチをことごとくスルーしてしまっていた。
あまりに煮え切らない態度の宮部にしびれを切らした藤本が逆ギレ気味に告白し、付き合うことになった。
藤本からは宮くんと呼ばれている。

吉田(よしだ)先輩

天文サークルに所属している。柳や九条の1つ上の先輩。
可愛い女の子が大好き。サークルに女子が入るたびにとても喜ぶ。九条の歓迎会で、やたら九条に酒を飲ませた人物。潰れた九条を介抱しようとするが、突然現れた柳が九条を抱き上げ連れ去ってしまった。

九条 美和(くじょう みわ)

九条美琴の母。看護師をしている。
夫が亡くなってから、娘の世界の中心が母である自分になってしまった事を気にしていたのだが、自分が事故にあった時、娘が柳と一緒に病院にきたことで、娘にも友人がいたのだと安心した。それ以来、柳とよく連絡を取るようになった。

『ラストゲーム』名言・名セリフ/名シーン・名場面

「あなたのお父さんがすごいんであって、あなた自身がすごいわけじゃない」

頭が良くて、顔が良くて、家は資産家で、周囲からちやほやされていた柳尚人は、転校生・九条美琴に勉強でもスポーツでも惨敗してしまった。悔しくて暴言を吐いてみたが、それすらも相手にしてもらえない。「オレは柳リゾートの跡取りなんだぞ、社長の息子なんだ」と叫ぶ柳に答えた九条のセリフ。
「…社長の息子だかなんだか知らないけど、それは、あなたのお父さんがすごいんであって、あなた自身がすごいわけじゃない」
このセリフがきっかけで、親から与えられる物を甘んじて受けてばかりでいいのか、恵まれている自分を後ろめたく感じるようなった。傲慢だった柳の意識を変えた名言。

引用:ラストゲーム 1巻

柳が九条を女の子だと意識し始めたシーン

高校生の頃、放課後、九条は柳に勉強を教えていた。その帰り道、九条の母が事故にあったと連絡が入った。動揺して動けなくなっている九条を連れて柳は病院まで付き添った。たった1人の家族の事故に不安がる九条の手を握り、支えた柳。思っていたより軽いけがで安心した九条が泣き出した姿や、お世話になった柳にお礼を言う時、初めて見せたその笑顔に、柳は「鉄の女」と言われる九条も女の子だったのだと改めて気付かされた。
いつも無表情で無愛想、力も強く男前な九条が初めて見せる様々な表情を目の当たりにした柳は、コイツは女ではない、と思っていた認識を覆された。柳が九条を意識し始めた名シーン。

引用:ラストゲーム 1巻

柳が九条に勝負を持ちかけるシーン

柳と九条が出会って10年が経った。柳はもうずっと以前から九条への思いを自覚していて、素直ではないがアプローチを続けている。それに引き換え九条は柳とは腐れ縁が続いていると思っていた。
大学の友人・藤本に頼まれて柳を紹介してみたが、柳の態度が急変し、全く連絡が来なくなった。今まで柳から連絡が来るのが当たり前で、自分からは藤本に頼まれた1回のみ。自分から連絡をしなければ、こんなにも簡単に柳との繋がりが切れてしまうと分かり、九条は愕然とした。そんな中、藤本と柳が肩を寄せ合い楽しそうに笑い合っている姿を見てしまい、九条は激しく動揺した。さらに母から、今まで母を優先してきたが、これからは自分の幸せについても考えて欲しいと言われ、自分の存在意義が揺らいでしまった。九条は着の身着のまま発作的に家を飛び出した。これまでの自分と柳の付き合い方を見直し、どれだけ柳に救われていたのか、柳がどんなに優しかったのか、このまま会えなくなってもいいのかと自問自答した九条は、柳に自分から会いにいくことにした。

九条の母から九条がいなくなったと連絡を受けた柳は、夜の街を九条を探して走り回っていた。無事、2人は出逢えたが、柳は九条を叱りつける。九条は柳の側に藤本がいないことを不思議に思い問いかけると、純粋にレポートのために会社を案内していただけだと誤解が解けた。藤本と柳が2人一緒にいるところを見てしまい、それがとても嫌で、自分が柳をすごく大事な友人と認識していたようだと九条は話した。柳は、友情じゃない、そこは愛情だと言いかけたのだが、九条がここまで恋愛に鈍くなったのは、柳が10年間も九条を女の子として扱わなかった態度のせいでもあると反省し、九条に勝負を持ちかけた。
「勝負しよーぜ、九条。正真正銘最後の勝負。オレが九条に気持ちを自覚させられたらオレの勝ち。ーオレが勝ったら、左手の薬指に指輪はめてよ、九条。」

10年間想い続けた九条に、自分を好きだと自覚させようと柳がプロポーズまがいの告白をした名シーン。

引用:ラストゲーム 1巻

酔いつぶれた九条を柳が抱き抱えるシーン

藤本に誘われて天文サークルに入ることになった九条。本当は柳も誘ったのだが、一年前に一緒のサークルに入ろうという柳の誘いを断っていたため、自分以外の人間に頼まれればホイホイと誘いに乗るのかと、柳は気分を害して話を聞いてくれなかった。九条の歓迎会をすると言われ、先輩に勧められるままお酒を飲む九条。
一方の柳は所属するテニスサークルの飲み会に参加し、周りからチヤホヤされ、九条のことを忘れて楽しもうと思っていた。その矢先に藤本から連絡が入った。九条の歓迎会に参加しないかという誘いだったが、自分も今飲み会だからと柳は断りかける。藤本は、それじゃしょうがないと言いながら、九条が先輩にお酒を飲まされていて大丈夫かな、と柳の不安を煽り、電話を切ってしまった。九条のことを忘れて楽しもうと思っていたが、いてもたってもいられず、電話から15分後には九条のもとへ駆けつけた。
九条は酒に強く、周りの先輩の方が潰れていたのだが、九条も限界を超えて一気に潰れてしまった。寝てしまった九条に先輩が触れようとした時、柳が九条を抱き上げてその場を連れ出した。

九条につれなくされてもやはり九条が気になってしまう柳。九条が他の人に触られそうになった時に見せた柳の独占欲がたまらなく萌えた名シーン。

引用:ラストゲーム 2巻

「九条はいつもの方がいいんじゃない」

大学の学祭。九条と柳が所属する天文サークルは喫茶店を営むことになった。休憩時間に九条と一緒に大学を回らせる、という条件で執事のような格好で客引きを引き受けた柳は、予想外の繁盛ぶりで休憩時間を取れずにイライラしていた。さらに、藤本にメイクされ可愛らしいメイドさんになった九条が他の男たちからちやほやされるのが面白くない。
九条は、自分としては態度を全く変えていないのに、見た目が変わっただけで周りの態度が変わることに驚きと疲れを感じ始めていた。大学祭が終わり、打ち上げ前のひととき、九条と一緒に過ごせずベランダでやさぐれていた柳を見かねて、藤本はメイド姿の九条に柳と話をしてくるようにベランダに送り込んだ。
九条に「モテモテだったじゃん。」と話しかけた柳は、これ以上余計な男に九条が目をつけられないように、そんなに可愛い格好ではなく、いつもの地味目な格好の方が良い、と言ってしまった。見た目によって態度を変えられる理不尽さに疲れていた九条は、「いつもの自分でいいんだ」と肯定されたような気になり、その言葉を言ってくれた柳のそばが一番ホッとすると柳に打ち明けた。

ただの嫉妬心で言った「九条はいつもの方がいいんじゃない」と言ったセリフだったが、九条の本質、存在を肯定した名セリフになった。

引用:ラストゲーム 2巻

「そんな風に自分を作って好かれても、結局疲れるだけじゃない?そのままの蛍くんでいいと思うけど」

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