87CLOCKERS(エイティセブン・クロッカーズ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『87CLOCKERS』とは、とは二ノ宮知子による日本の漫画作品。集英社「ジャンプ改」の創刊号2011年6月から2014年11月号まで掲載された。「ジャンプ改」休刊後は「週刊ヤングジャンプ」にて連載された。
音大生・奏は、一目惚れした美女・ハナと接点を持つため、パソコン界のF1競技、オーバークロックの世界に飛び込んだ。その世界の個性豊かな人々との出会いで成長する物語。

『87CLOCKERS』の概要

『87CLOCKERS』とは代表作『のだめカンタービレ』で知られる二ノ宮知子による日本の漫画作品。集英社「ジャンプ改」2011年6月の創刊号から2014年11月号まで掲載された。その後、2015年4・5合併号から「週刊ヤングジャンプ」に掲載誌を移し、2016年31号まで連載された。単行本は全9巻。
2012年4月発売の第1巻は、日本・韓国・台湾・香港で同日発売された。

音大生の奏は将来への希望もなく、恋愛にも縁がなく、日々ただ流されるままに生きていた。そんな彼が一目惚れした美女・ハナは「パソコン界のF1」と呼ばれるオーバークロックという競技に熱中していた。オーバークロックとはパソコンを普通より速く動かすことであり、ハナがサポートしているミケは、オーバークロックで誰よりも速いタイムを出すことが出来るワールドレコード保持者だった。
ハナと接点を持ちたい奏はミケとハナに勧められ、オーバークロックの世界に飛び込んだ。

オーバークロックで世界と競い合うミケとそれをサポートするハナ、ミケからハナを奪いたい奏のPCと恋愛と成長の物語。

『87CLOCKERS』のあらすじ・ストーリー

オーバークロックとの出会い

音大生の一ノ瀬奏(いちのせ かなで)は、コンクールに出ればいい結果が出せると言われる程の腕を持つヴァイオリン奏者だ。しかし競争が苦手で3年間コンクールから逃げ回り、闘争心溢れる同級生とも上手く馴染むことができずにいた。また、将来については母のピアノ教室の跡を継ぐことになった。
ある雪の日大学からの帰宅途中、奏はとあるアパートの前で裸足で佇む美女に目を奪われた。別の日の帰宅途中に、涙を流しながらまた美女が立っていたため、思い切って彼女に話しかけた。
するといきなりアパートのドアが開き「液体窒素もって来い!」と叫んだ男と共に、彼女は部屋へ入ってしまった。奏は男にDVを受けているのではないかと思い、彼女を救おうと決意した。
翌日アパートに行くと、窓からゲームをしている2人の姿が見えた。覗きが見つかり、部屋に入れてもらうと、そこにはむき出しになった基盤や液体窒素があった。美女は中村ハナ(なかむらハナ)といい、オーバークロックを知っているか奏に聞く。要するに、パソコンのCPUやメモリを定格のクロックを超える高いクロック周波数で動かすこと、つまりパソコンを普通より速く動かすことだと説明した。男の方はミケといい、自分でチューニングしたマシーンで世界中の人とレースをしていた。ミケに勧められ、ミケから安価に機材を購入して奏はオーバークロックの世界に入っていった。
足りない部品をハナと一緒に秋葉原に買いにいった奏は、ミケとハナが付き合っているわけではなく、ただのオーバークロック仲間なのだと知った。奏はハナと接点を持つために、ハナに教わりながらオーバークロックで代表的冷却方法である空冷のPCを作り上げ、スーパーPIというソフトでオーバークロックを始める。
オーバークロックの世界を知ろうと検索してみると、ミケがオーバークロック界では有名人で世界記録保持者であることがわかった。海外で行われるオーバークロックのイベントなどで知られる超有名人だったのだ。
ミケとハナはいつもアパートで液体窒素などを使ってCPUを冷やし、オーバークロックを行なっていた。液体窒素やCPUや基盤など、オーバークロックにはお金がかかる。ミケは牧場でバイトをして資金を稼ぎ、ハナはパイナップル工場で働いたり内職をしてミケを支えていた。
ある日、ハナの手があかぎれで腫れ上がっていた。ミケはそんなハナに素手でドライアイスを扱わせ、しかも失敗をハナのせいにしてハナを家から追い出した。それを見た奏は、ハナに今すぐミケと別れた方がいいと説得する。だがハナは、ミケが一番を取るには自分がいないとダメだといって聞く耳を持たない。しかし、奏が一番になったらミケと別れて奏と組むと約束した。
奏はネットで調べたCPUを買おうと秋葉原に来ていた。在庫が1つしかないCPUを巡って、女子大生のジュリアとトラブルになり、ジュリアに譲ることにした。ジュリアがオーバークロッカーであることを知り、オーバークロックのレッスンを受けることになった。

ジュリアとの出会い

奏はジュリアに連れられて、オーバークロックカフェに行った。奏は、ミケと同じく液体窒素を使った冷却方法をしたいと思っていた。しかし、素人同然の奏にはまだ早いとジュリアは言い、空冷というファンを使った冷却方法を勧めた。
そしてジュリアに強引に誘われ、オーバークロックを駆使して戦うゲームバトル大会に出場することになった奏は、ジュリアの家に泊まり込みで猛特訓を受けて大会に臨んだ。
一方のミケとハナは資金難に苦しんでいた。CPUやマザーボード、グラフィックカードやメモリなど、一回買えばいいというものではない。性能を上げるためには、良いパーツに買い換えていかなければならない。日本ではオーバークロックはマイナー競技で知名度は低いが、海外では有力なオーバークロッカーは企業と契約している。その企業のパーツの宣伝をしつつ、テレビやCMにでたりしている億万長者もいるらしい。世界でトップであるミケは企業からの誘いも多いが「日本人である自分が、日本でやらなければ意味がない」という持論を持っていた。
ある日、ミケはイタリアの億万長者のライバルに記録を抜かれてしまった。新しいパーツを買うための豊富な資金が欲しいと思い、以前ハナが話していた賞金20万円の大会に出場することにした。
大会当日、会場には水冷のマシンが並ぶ中、ジュリアと奏はジュリア自作の空冷のマシンを使用して参加していた。空冷よりも水冷の方が効率よくマシンを冷却することができるため、より簡単にオーバーヒートを防ぐ水冷マシンを使う人の方が多くなっているようだ。
大会にエントリーしたのは6チーム。そこには、変装したミケとハナの姿もあった。オーバークロック界で世界的に有名なミケは、賞金欲しさに畑違いの大会に顔を晒して出場することに恥ずかしさを感じて、変装して出場した。
この大会は、ゲーム担当とオーバークロック担当の2人一組で戦う。各担当は1ステージごとに入れ替わる。ゲーム担当は敵を殲滅してステージをクリアする速さを競い、オーバークロック担当は、オーバークロックコントローラーを使い終始高いFPS値(フレームパーセカンド、一秒間に表示できる画像の枚数のこと)を維持し、その平均値の高さを競う。ゲームでプレイヤーが死んだり、PCがフリーズしたら失格になるルールだった。ゲームは4ステージあり、それぞれのミッションをクリアすると次のステージに行ける。
ミッション4で、ゲームに弱いミケはタイムオーバーで失格になった。ハナはゲームを真面目に練習せずに大会に出場したミケに腹を立て、そのまま会場から立ち去ってしまった。ジュリアと奏チームも善戦するが、奏がオーバークロックで失敗し、失格になった。結果、奏とジュリアは2位、ミケとハナは3位に終わった。
後日ミケとハナの賞品を持ってミケの家を訪ねた奏は、ミケがブラジルのライバルに記録を抜かれた場面に遭遇した。

ミケの力

ミケは、ブラジルのレオナルドに抜かれた記録を更新しようと挑戦を始めた。レオナルドたちは、拾ったパーツでオーバークロックをしている貧乏な人たちだった。最近、資金難を負けの理由にしていたミケを、ハナは痛烈に批判した。ミケはたまたまそこにいた奏に手伝いをさせ、記録奪還のために「スーパーPI」というソフトを立ち上げた。ミケは記録を更新したが、すぐに抜き返されてしまった。ミケはレオナルドたちが、OSを軽くするためにチューニングしていることを知った。自分が最強と過信して、OSの作り込みなどをサボっていたことをハナに指摘されたことを思い出した。ミケは自分もOSをチューニングして勝つために、奏に協力してもらいデータを取り始めた。そしてOSをチューニングしたミケは、世界記録更新の瞬間を生放送して、その強さを全世界に見せつけた。

ミケの凄さを目の当たりにした奏は、ミケを目指して極冷と呼ばれる液体窒素を使ったオーバークロックを始めることにした。すると奏の自宅にジュリアが訪ねてきて、もう一度チームを組もうと誘われた。ジュリアは薬科大学の学生で、これから大学が忙しくなるからしばらくオーバークロックはしないと宣言していたが、大会で負けたことが悔しくてリベンジしたくなった。奏はジュリアに押し切られ、ゲームとオーバークロックの大会、アキバ杯に出ることになった。
ミケはその大会の解説ゲストとして呼ばれていた。この大会は、奏たちが2位になった大会の上位大会で、1位が辞退したため、繰り上げて奏たちが出場することになっていた。下位大会の優勝者が集まるこの大会はなかなかの実力者揃いだった。しかし、特訓を積んだジュリアと奏チームも奮戦し、好発進した。最終的にジュリアと奏チームが強豪を破り、見事優勝を勝ち取った。

ハナの事情

突然、ミケのアパートの前にハナの父と叔母が現れた。ハナには婚約者の火切俊充(ひきりとしみつ)がおり、海外から帰国するから田舎に戻って来いというのだ。一方ミケの部屋では、牧場主の丸田(まるた)が訪れており、その場にいた奏に極冷を教えるから牧場のバイトをしないかと持ちかけた。奏は、丸田の牧場でバイトをしながら極冷を教えてもらうことになった。
ハナは丸田が部屋から出てきたのを見ると、自分も牧場に行くと父の手を振り払い、丸田を強引に引っ張って逃亡した。奏も牧場に急ぎ、ハナと一緒にバイトをしながら生活することになった。
俊充はハナの地元の大企業の息子で、ハナの親戚はグループの関係企業に勤めているため頭が上がらない。ハナが小学生の時から俊充はハナに好意を持っていた。ハナはどんなにきつい言葉を浴びせても、ずっと好意を向けてくる俊充を嫌っていた。
丸田の牧場では、ハナと過ごせて奏は幸せに浸っていた。ハナは、自分がいなくて困ってないかとミケに連絡を取るが、ミケの返事はつれないものだった。本当は、ハナがいないことに不自由さを感じていても、ハナと婚約者の事情に巻き込まれたくないミケはハナを突き放した。
約束通り丸田は、空き時間に極冷によるオーバークロックを奏に教えてくれた。奏がミケの所で手伝ったオーバークロックは、2Dと呼ばれるもので「スーパーPI」というソフトを走らせて、マシンの計算速度を計るものだった。丸田が教えるのは3Dで「ベンチマーク」という立体的な映像を描く力も含めたマシンパワーを競うソフトを動かして、マシンの性能を図るものだ。この3Dの大会に丸田は娘と出場するつもりだったが、娘に断られたため奏と出場することになった。ハナは奏の練習に付き合って指導をしてくれた。練習に励む奏とハナに、ミケが記録更新の生配信をするという情報が入った。
ミケは、ハナがいなくても自分は1人でできるとハナに見せつけるために「スーパーPI」で生配信を始めた。やり始めようとしたその時、なぜかジュリアがミケのもとを訪れ、慌てたミケは記録更新に失敗した。自分のせいだと生配信で謝るジュリアに、不機嫌ながらもジュリアが可愛いから許すと、照れた顔をミケが見せたところで生配信は終わった。

長いことずっと一緒にミケと過ごして来たハナは、ミケがジュリアに見せた顔を見てショックを受けた。そのハナを見た奏は、本当はミケのことが好きなハナの気持ちに気付いてしまった。
上海で行われる3Dオーバークロックの日本予選が始まった。予選に参加するのは8組。予選期間3日の間は何度でも挑戦してもよく、最終的に最高スコアを出した1位のチームだけが上海の大会に進める。牧場の仕事と並行してオーバークロックを行うのは、体力的にも時間的にもなかなか厳しい。一度中断すると、マシンは一度バラして乾燥させなければいけない。仕事の時間はずらせず、何度も中断して心身ともに疲弊した。
そんな中、牧場に俊充がハナを訪ねてやってきた。ハナは俊充を見かけると、そのまま逃亡してしまった。俊充は、ハナがオーバークロックのトッププレイヤーだと知り、オーバークロックに興味を持ち始めた。
好成績が出ず時間もないため、大会は諦めるしかないと思った時、丸田の子供たちが協力を申し出てくれた。おかげで時間ギリギリまで大会に集中することができ、丸田と奏は最高得点を出し、予選1位となった。上海の大会に出場できることになったが、丸田は牧場の仕事があって家を空けることができない。丸田は奏に他のパートナーを紹介し、上海の大会に出場させることにした。
一方、牧場から逃走したハナはミケのところへ行くが、ハナの居場所を俊充に教えてしまった。ハナはどこにも行き場がなく、あてもなく彷徨っていた。すると、奏の妹・葵に出会い、葵の好意でしばらく一ノ瀬家に滞在することになった。

上海大会

奏は上海に向かう飛行機の中で、その大会のゲスト審査員を務めるミケと会った。パートナーとなった庄野(しょうの)はオーバークロック界で有名な人で、多くの人からの尊敬を集めているようだ。しかし、3Dができないと言って手伝わず、奏の隣で椅子に座ったまま動かない。奏の勝ちたい気持ちを汲み取った庄野は起き上がり、奏のサポートに入り徐々に追い上げてきた。アクシデントがありながらも、時間ギリギリのところでワールドレコードをたたき出し、日本チームが優勝を勝ち取った。
翌日のデモンストレーションで、メーカー所属のeeK(エーク)がミケが持つ2Dのワールドレコードに挑み、これもあっさりと更新してしまった。
日本に帰ってきた奏は、優勝したことでハナが喜び、認めてくれるだろうと期待していた。だが、ハナの意識は、ミケの記録が破られたことだけに集中していた。そんな時、俊充からハナや奏にミケのアパートに集合という連絡が入った。

サポート役解任

3Dの上海大会も見に行った俊充は、オーバクロックの魅力に取りつかれ、ミケのサポートとして参戦する。ハナは、素人にミケの手伝いなどはできないと言うが、俊充は十分に考えていた。実家の火切グループのPCを取り扱っているBTO会社(顧客の発注に応じてPCなどの部品の組み合わせを選択し生産する会社)の経営権を取り、ミケの資金と部品のサポートをすることにしたのだ。これによりミケはメーカーに所属しなくても、それと同じような環境でオーバークロックに集中できるようになるのだ。
ミケはハナに、俊充と組むと宣言した。ハナを追いかけようとする奏を引き止めたミケは、奏に俊充から貰った機材の中から好きな物を持っていけと言い、奏を「潰す」と宣戦布告をした。ずっと憧れだったミケに勝負を挑まれ、奏は嬉しくてたまらない。さらに、ミケがハナを完全に切ったことも嬉しい。ミケに必要とされなくなったハナは、奏がミケに勝てるようにオーバークロックを教え込む。
ミケは食事からパーツの用意まで俊充の世話になり、至れり尽せりの状態だった。だが豊富なパーツに油断してメンテナンスを怠り、大事なマザーボードをカビさせた。今までずっと、ハナに任せていたため、いい加減になっていた。ミケに構いすぎる俊充に家に来るなと言い渡し、ミケは1人でオーバークロックに打ち込んでいた。だが、自分を全力で支えてくれていたハナの面影が眼前にちらつき、苛立っていた。ミケは、将来を選びたい放題のハナは、自分の側でオーバークロックをしていてはいけないと突き離したのだ。

俊充はeeKにミケとの一騎打ちを申込み、承諾を得ていた。ミケは乗り気ではなかったが、俊充に押し切られ、そのイベントに出ることになった。
一方ハナを呼び戻そうと、父親が奏の家を訪れていた。実家に帰りたくないハナはとっさに妊娠していると嘘をついた。それを聞いた奏の母はハナを引き止めようと、相手は自分の息子の奏だと嘘の上塗りをして、ハナの父親の怒りは奏に向かった。ハナは実家に戻るといったが、奏はそれを引き止めハナに告白し、2人は付き合うことになった。
俊充はハナと奏が付き合うことになったと知り、ハナが奏を選んだことに失望していた。それは、ミケの手伝いをしていて、ハナのミケへの溢れんばかりの思いに気づいたからだ。俊充はハナに、ミケとeeKの試合が行われるラスベガスのイベントの招待状と飛行機代、旅行券を渡し「アメリカに来て」と言った。
ミケとeeKが戦うラスベガスのイベントが始まり、その様子は全世界に生配信された。ハナはラスベガスには行かず、日本で奏と一緒に試合を観戦していた。試合が始まり、ミケは善戦するもののeeKに追いつけない。そんな緊迫した試合を見ていた最中、奏の家にハナの父親が訪ねてきた。妊娠の責任を取って結婚しろと婚姻届を持ってきたのだが、ハナは話を聞くふりをしてミケの試合をこっそり見ていた。ミケが会心のタイムを出し、ワールドレコードを出したことをハナは喜び、中継を見ていることがバレてしまった。父はハナがミケに入れあげている事を知っており、どんなにオーバークロック界で有名でも、ミケのような変な男に預けたくないと思っていた。そのため、妊娠が嘘だと知りつつ、強引に奏と結婚させようとしていたのだ。
ミケに記録を塗り替えられてしまったeeKは、プロとしてどうしても負けるわけにはいかず、数値を見ただけでは誰にもバレない不正行為を行なった。eeKはミケの記録を打ち破り、その瞬間に時間が終了して、1日目はeeKの勝利で終わった。

eeKの不正を見破ったハナは、テーブルを叩きながら怒りを吐き出していた。それを見た奏は、今からラスベガスに行って、ミケの試合を見て来いとハナを家から追い出した。
2日目、ミケはeeKが前日に出した記録に届かない。伝説と呼ばれるミケでも、ワークスマシンには勝てないのかと、会場はミケの時代は終わったと思い始めていた。
そんな時、会場にハナの声が響いた。ハナの言葉に初心を思い出したミケは、4台のマシンを組み上げてそれを操り始めた。誰もが無謀と思う中、見事ワールドレコードを出して2日目を制し、eeKに勝利した。
PCで中継を見ていた奏は、ハナが無事にラスベガスに到着し、ミケの勝利を喜んでいる姿を見た。奏はハナが作って、残していったOSを使い、2Dのオーバークロックをやってみた。すると驚いたことに、先ほどミケが出したワールドレコードを塗り替える記録が出た。奏はすぐさま「87」の名で記録を登録した。ミケはそれを出したのが奏だと見破った。そして今までハナが作りこんできた、ハナの記録なのだと奏は言っていると解説した。ミケはワールドレコード保持者になったハナに「ライバルとは手を組まない」と言い、自分はアメリカに残るから日本に帰れといった。
その後、奏は音楽のためにイタリアに留学することを決めた。オーバークロックを真剣にやったことで、自分の中にも闘争心があったことに気づいた。また、どんなに時間がなくても毎日バイオリンの練習だけは欠かさずやっていて、バイオリンの無い生活はできないと本気で取り組むことにした。
ハナは日本に戻り、ミケのアパートを訪れていた。ミケに「わたしをここに置いて下さい」と頭を下げると、ミケから「オーバークラッカーはいらねぇ、オレはもう誰とも組まねぇ!でも…家政婦なら置いてもいい」と言われ、ミケと一緒に暮らすことになった。

『87CLOCKERS』の登場人物・キャラクター

一ノ瀬 奏(いちのせ かなで)

英考音大3年生。ヴァイオリン専攻。
入学当初は、教授たちからの期待も高く、コンクールに出場すれば入賞すると言われていたが、人との競争が苦手でコンクールから逃げつづているうちに、教授からも友人からも声をかけられなくなった。
雪の日に、裸足でアパートの前に立っていたハナに一目惚れした。ハナとアパートの住人・ミケがオーバークロックという競技をしていることを知り、ハナと接点を持つために、オーバークロックを始めた。ミケのハナに対する傍若無人な態度からハナがDVを受けているのではないかと疑った奏は、ミケからハナを奪おうとオーバークロックの世界で一位を取ったらミケと別れ、自分と組んで欲しいとハナに言い、約束した。
CPUを購入する時、同じ物を取り合ったことで知り合ったジュリアにFPSゲームを教わり、時にミケの2D「スーパーPI」でワールドレコード更新を手伝ったり、ミケのところで知り合った牧場主・丸田から極冷マシンの3D「ベンチマーク」を教わったりと、人脈を広げながら世界大会に出場するまでになった。
父は海外勤務。母はピアノ教室経営。妹・葵がいる。

中村 ハナ(なかむら はな)

K大学の3年生。
ミケのアパートの前にいたやせ細った猫に餌をやっていたら、空腹で倒れる寸前のミケに出会い、食事を作ってあげたことがきっかけで、ミケのオーバークロックの手伝いをすることになった。
オーバークロックの資金を稼ぐために、パイナップル工場で働き、その他内職にも勤しむ。稼いだお金はほとんどオーバークロックにつぎ込んでいるため、いつも貧乏である。ミケのために捨てられる寸前の食材をもらってきて調理したり、秋葉原のパーツ店で値切り交渉を行ったり、ミケのマシンのデータ取りから競技のサポート、機材のメンテナンスまでして、ミケに尽くしている。
時々ドジをして、ミケから玄関前に立たされるなど、ひどい仕打ちをされることがある。

ミケ

JackBartlettP8
JackBartlettP8
@JackBartlettP8

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