のだめカンタービレ(Nodame Cantabile)のネタバレ解説まとめ

「のだめカンタービレ」とは、二ノ宮知子による日本の漫画作品。講談社「Kiss」にて連載された。クラシック音楽をテーマにしている作品で、第28回講談社漫画賞少女部門賞を受賞。ドラマ、アニメ、映画、小説、ゲーム、CD、韓国でもドラマ化されるなど、多種多様にメディア化されている。
世間にクラシック音楽ブームを起こした。千秋とのだめが音楽を通じて出会った人々との交流で成長していく様を描いている作品。

『のだめカンタービレ』概要

「のだめカンタービレ」は、二ノ宮知子による漫画作品。講談社「kiss」において2001年14号から連載が開始された。2004年、第28回講談社マンガ賞少女部門受賞。単行本は全25巻。(本編は23巻で完結。24巻、25巻は番外編)累計発行部数は3300万部を超えた。
2006年10月、フジテレビにて上野樹里、玉木宏主演でドラマ化され、2008年1月4日・5日の2夜連続で続編のスペシャルドラマも放送された。2009年12月と2010年4月に、ドラマ版の続き、完結編としての映画が前・後編の2作連続で公開された。
また、フジテレビのノイタミナ枠で、第1期2007年1月から全23話、第2期「巴里編」が2008年10月から全11話、第3期「フィナーレ」が2010年1月から全11話でそれぞれ放送された。
韓国のテレビ局であるKBS 2TVがドラマ化し、2014年から全16話で放送された。
タイトルの「カンタービレ」とは、イタリア語を由来とする演奏記号。カプリチオーソ(気ままに気まぐれに)、カンタービレ(歌うように)とは、千秋真一が初めて野田恵の演奏を聴いた時に抱いた感想。

桃ケ丘音大で指揮者を目指すオレ様・千秋真一と落ちこぼれ変態ピアニストのだめ(野田恵)が、音楽を通じて出会った個性的な人々との交流を経て、音楽家として成長していく様を描いた愛と青春の学園クラシック・コメディー。

『のだめカンタービレ』のあらすじ・ストーリー

出会い~桃ケ丘音楽大学

桃ケ丘音楽大学に通う指揮者を目指す千秋真一は、幼い頃に乗った飛行機が胴体着陸した時に負った恐怖により飛行機恐怖症に陥っていた。大学の同輩などが次々と海外に留学していく中、千秋は海外に行くことができない。学業も音楽の実力も大学一でありながら、音楽の本場・ヨーロッパに行けない事に焦りと将来への不安を感じ、苛立ちに苛まれていた。指揮者志望でありながら、指揮の勉強の為にはピアノも必要とピアノ科に所属する千秋は、担当教師の江藤耕造の教育方針に反発し、激しい口論の末に破門を宣告されてしまった。元カノの多賀谷彩子に愚痴をこぼすが、海外にも行けず落ち目の千秋などには関わりたくないと、冷たくあしらわれてしまった。酔っ払って自宅マンションまでは辿り着いたものの玄関の前で千秋は潰れてしまった。
聞こえてきた美しいピアノの音色に起こされ、酔っ払った千秋が目覚めると、ゴミが散乱し、悪臭がする汚い部屋で美しいピアノを奏でる女性がいた。その女性の名は野田恵(通称のだめ)といい、千秋の部屋の隣に住んでいる女性だった。のだめは千秋と同じ桃ケ丘音大ピアノ科に所属する2年生だった。なるべく接触したくないと思う千秋だったが、のだめの部屋から漂ってくる悪臭に堪りかね、のだめの部屋に強引に押し入り汚部屋の掃除をし、世話を焼いてしまう。将来への苛立ちから無愛想な言動を見せる千秋だが、元来の性格は優しく世話好き。のだめの奏でるハチャメチャなピアノに天賦の才を見つけ、彼女を成長させようと何かと関わっていくことになる。

のだめが奏でるピアノはとても美しいのだが、譜読みが苦手らしく楽譜通りに演奏することができない。音があちこちに飛んだり跳ねたり、音を足したりアレンジを加えてしまう。江藤から破門され担当教師がのだめと同じ谷岡肇に変わった千秋は、谷岡からのだめと連弾をするように課題を出されてしまった。楽譜通りに弾かないのだめとの連弾は難しく、早くこの課題を終わらせたい千秋はのだめにスパルタでレッスンを始めた。譜読みが苦手なのだめのために一度お手本を弾き、耳で覚えるようにさせたり、厳しいながらものだめにあったレッスン方法で曲を仕上げていく。連弾の本番当日、千秋は、緊張で萎縮するのだめに、自由に弾いていいと声をかけ、のだめの自由な演奏に完璧に合わせ切り、素晴らしい演奏を披露した。谷岡は思わずブラボーと拍手し、千秋と一緒に素晴らしい演奏ができたのだめは千秋に恋をし、以降付きまとうようになっていった。

ある日、のだめはヴァイオリン専攻の峰龍太郎と知り合い、峰の試験の伴奏を引き受けたのだが、当日、高熱を出して倒れてしまった。倒れたのだめを見つけ介抱した千秋は、伴奏ができないのだめの代わりに峰の伴奏をすることになった。峰は優秀な千秋のことを「努力もしないでも報われる奴」と思っており、反感を持っていたのだが、実は千秋が3歳の頃から朝から晩まで練習している努力家だと知り、見方が変わった。峰は、のだめと同じく個性的な演奏をする人間だが、「今日はテクニックとかそんなに気にするな!でもオレ様の音はちゃんと聞いとけよ、あとはテキトーに好きに弾いていいから」と千秋に声をかけられ試験に臨み、好きに弾いいても完璧に合わせてくれる千秋の技術、音楽に心酔し、千秋を慕うようになった。

のだめが嫌がらせを受けるようになった。千秋と一緒にいることが多くなり、その事が相手をイラつかせているらしい。嫌がらせをしている相手とは、打楽器専攻の奥山真澄(男性)で、入学当時、田舎から出てきたばかりで不安いっぱいだった時に千秋に優しく声をかけられ、それから千秋をずっと慕っていたのだ。しかし真澄は男性なので、陰からひっそり千秋を見守っているだけだった。美人で実力も高く、家が資産家という高スペックな千秋の元カノ・多賀谷彩子ならば、千秋の隣にいても仕方がないと諦められても、のだめのような汚部屋に住むちんちくりんが千秋の隣に並ぶのは我慢がならないと嫌がらせをしてきたのだ。峰とのだめに捕まった真澄は、のだめに勝負を持ちかけた。峰の提案で、クリスマスに千秋とデートの約束をした方が勝ち、という勝負をのだめと真澄はすることになった。真澄は千秋を自身が所属する大学のオーケストラ(Aオケ)の練習に誘い、自分の演奏を聴いてもらって告白しようとするのだが、気持ちが先走り指揮を無視した演奏をして指揮者からクビを言い渡されてしまった。見ていた千秋は「演奏は最高なのにあほだ」という印象を持ち、告白できなかった真澄は玉砕。のだめは千秋がいい気分で作曲中に話しかけ、適当に打った相槌で約束を取り付けたと思っていたのだが、翌日、千秋にそんな約束していない、と約束を反故にされ玉砕。2人の勝負は引き分けに終わった。オケまでクビにされ演奏できる場が無くなってしまったと泣く真澄を慰めるため、のだめは千秋が作曲した曲をアンサンブルでやらないかと峰と真澄に持ちかけた。
学内で、3人が練習しているのを見た千秋は、3人では人手が足りず、曲が上手く演奏できないと嘆いているのを聴いて、自分もアンサンブルに参加すると表明した。このことがきっかけで千秋は真澄にさらに慕われるようになった。

フランツ・フォン・シュトレーゼマンというウィーン、ベルリン、ロンドンなど世界中のオケを指揮してきたドイツの巨匠が大学の教師としてやってきた。シュトレーゼマンは、自分で選んだ学生でオーケストラを結成し、指導しようとしていた。指揮者を目指す千秋はシュトレーゼマンに頼み込んで弟子となり、シュトレーゼマンが作ったオケ(Sオケ)の副指揮者をすることになった。オケのメンバーは上手い学生ではなく個性が強い者ばかり。まとめ上げるのは非常に難しい。定期公演でAオケの前座として演奏することが決まったSオケメンバーは練習に気合を入れ、コンサートマスター(オケの首席第1ヴィオリン奏者、楽員全員の指導的立場。時には指揮者の代わりを務める。略称、コンマス)を務める峰が先導してが演奏中にポーズを決めるというパフォーマンスを始め千秋を激怒させる。シュトレーゼマン行きつけのクラブで千秋が女好きのシュトレーゼマンよりモテモテになったため、それに腹を立てたシュトレーゼマンは、自分は定期公演でAオケを指揮し、Sオケを打倒すると宣言してSオケを脱退してしまった。Sオケの正指揮者になった千秋は、個性豊かなメンバーを取り纏めるべく奮闘するのだが、独善的で厳しすぎる練習にメンバーはついていけず、バラバラになってしまう。オケの指導に行き詰まり悩む千秋の食事の世話をしながらのだめは自分の好きなアニメ「プリごろ太」の映画を千秋に見せた。そこに登場する自分勝手なカズオに自分を重ねた千秋は、自分の欠点が分かり、Sオケメンバーに歩み寄ることができた。定期公演でSオケはパフォーマンス付きの演奏ではあったが素晴らしい演奏を披露し、千秋は指揮者デビューを果たすことになった。

シュトレーゼマンから長野で開催するニナ・ルッツ音楽祭に参加するように言われたのだめと峰は、周りのレベルの高さに圧倒されていた。のだめはピアニストのニナの指導を受けたのだが、練習不足のため全く弾く事ができない。峰も予習をしてこなかったため、オケで合わせることができない。一緒に参加している真澄はしっかりと練習し予習も完璧で望んでいる。シュトレーゼマンの弟子として参加している千秋は、雑用に追われながらもシュトレーゼマンが指揮する曲の勉強をやりこんでいた。前日の深酒が祟り、二日酔いになってしまったシュトレーゼマンの代わりに練習の代役をすることになった千秋。全国で選ばれた学生が集うオケで指揮できることを喜び、見事な指揮を見せ、音楽関係者に鮮烈な印象を与え、驚かせた。
初日にニナから退場を命じられたのだめは、早く帰りたいと泣き言を言うが、千秋から叱咤され、音楽祭最終日、誰もいなくなった音楽室で1人課題曲を演奏した。それぞれに意義のある音楽祭になった。

10月、大学祭が行われる。千秋はシュトレーゼマンからピアノ曲の難曲、ラフマニノフのピアノ協奏曲を演奏するように言われていた。指揮はシュトレーゼマン、Aオケが演奏する。ニナ・ルッツ音楽祭で音楽関係者の注目を集めた千秋と巨匠シュトレーゼマンとの共演ということで大学外からの注目も集まっていた。千秋はそこで繊細で叙情的な美しいラフマニノフを披露し、観客を沸かせた。その音楽は音楽雑誌にも取り上げられるほどだった。千秋に多大な影響を残し、シュトレーゼマンは大学祭を最後に大学を去った。
千秋の演奏を聴いたのだめは、千秋のように弾きたいと、いてもたってもいられず、ただピアノを弾かなくてはという衝動の赴くまま、昼夜を問わず練習に明け暮れた。寝る間も惜しんで練習するのだめの前に現れたシュトレーゼマンは、千秋のように協奏曲をやりたいというのだめに、今のままではできない、音楽と正面から向き合えと助言をして去ってしまった。
数日間練習に没頭したのだめは千秋のもとを訪れ千秋のように協奏曲をやりたいと訴えるが、千秋からは無理だと言われてしまった。のだめは楽譜を見ない、勝手に弾く、作曲する、どうやってオケが合わせられるというのかと言う千秋に、千秋のピアノが耳に残ってるから弾ける、弾きたい、とのだめは訴え続ける。そこまで言うのなら聴かせてみろと千秋は言い、大学の練習室に行くことになった。のだめがピアノ、千秋はピアノでオケの部分を担当する。のだめは原曲とは違うアレンジを加えつつも素晴らしい超絶技巧を見せる。千秋はのだめの独善的な演奏に何とか合わせ、2人のコンチェルトは素晴らしい音楽となった。練習室の外で2人の演奏を聞いていた学生や教師は今まで埋もれていたのだめの実力知ることになった。

卒業を目前に控えた千秋は苛立っていた。ニナ・ルッツ音楽祭や大学祭で音楽関係者からの注目を集めた千秋は、当然海外に留学するものだと思われていた。しかし千秋は飛行機や船に恐怖症があり、海外に行くことができないため、大学院に進学することになっていた。音楽雑誌編集者の河野けえ子や音楽評論家・佐久間学から何故留学しないのか、日本で何がしたいのかと問われたが、千秋は返答することができない。帰宅した千秋が将来についてのだめに聞いてみると、実家に戻って幼稚園の先生になるという。あれだけの実力がありながら、コンクールにも出ない、演奏者にもならない、上を目指そうとしないのだめに苛立ちを隠せずあたってしまう千秋だが、自分も同じように河野や佐久間に心配されていたのだと気づいた。

ニナ・ルッツ音楽祭で知り合った三木清良が千秋を訪ねてきて、音楽祭のオケのメンバーを中心にオケを作らないかと持ちかけられた。音楽祭で出会った才能ある人々とまたオケができると千秋は喜び直ぐにその話に乗ることにした。4月になり、千秋のオケは桃ケ丘音大を中心に活動することになり、メンバーが集まり始めた。
のだめは担当教師が谷岡から江藤に変わっていた。江藤は千秋と協奏曲の連弾をしたのだめの実力を知り、のだめを一流のピアニストに育てるため強引に担当を変わったのだ。しかし、江藤の指導はハリセンを振り回し怒鳴る熱血指導だった。幼い頃、そのような指導を受け、怪我をしてしまった過去を持つのだめは、その指導に嫌悪感を抱き、逆ギレして江藤から逃げ出し、それ以降江藤のレッスンを休むようになってしまった。
千秋は江藤にのだめ懐柔策を授け、のだめと江藤は無事和解。のだめが3年間谷岡と作ってきた「もじゃもじゃ組曲」を完成させたら、江藤の言うレッスンを受けるという条件をのだめは飲んだ。
千秋が新しく作ったオケ「RSオーケストラ」の第一回公演が決まった。メンバーは練習に励むのだが、今ひとつ噛み合わない。今年1年は日本を拠点にしてコンクールに参加するが、来年からは海外に行こうとしているメンバーが多く、公演よりもコンクールに気を取られている。峰や千秋のように海外に行かず、ずっと日本で頑張ろうとしているメンバーとは温度差が出来てしまっていた。
千秋はコンクールが終わるまでは各自練習するようにといい渡し、自分は公演の曲の勉強に没頭した。のだめは勉強にのめり込む千秋を心配し、食事の世話など甲斐甲斐しく世話を焼く。オケのメンバーである黒木泰則は、オケにちょくちょく顔を出していたのだめに想いを寄せていたのだが、千秋に献身的に尽くすのだめの姿を見て失恋した。
失恋で傷心中のオーボエ・黒木はコンクールで惨敗、ヴァイオリン・三木は首を寝違えていたため実力を出しきれず2位、チェロの菊池は1位。コンクールの結果は各自悲喜こもごもだった。黒木や三木はコンクールの悔しさをRSオーケストラの公演で晴らすことを決意し、練習が休みの間、曲の勉強に明け暮れた千秋は、以前よりも厳しい練習を再開し、公演に向けて修練を積んだ。

RSオーケストラの第1回公演、千秋とメンバーたちは素晴らしい音楽を奏で、オーボエの黒木、コンマス三木は存分に実力を発揮し、RSオケの公演は大成功、聴衆を感動させた。
公演を聞いて、涙が出るほど感動したのだめは、千秋を日本ではなく、音楽の本場である海外に行かせなければいけないと考え、千秋の母に接触して千秋が飛行機恐怖になった訳を知った。千秋の母や親族も音楽の才能に溢れる千秋を海外に行かせるため、催眠療法やら加持祈祷、霊媒師にまで治療を頼んだことがあったのだが、全て失敗に終わっていた。
以前、シュトレーゼマンから貰った懐中時計で面白半分に千秋に催眠術をかけたことがあるのだめは、あの懐中時計でなら催眠療法ができるのではないかと考えるようになった。独学で催眠術を学び、公演が終わって一息ついている千秋にのだめは催眠術をかけ始めた。千秋の母から聞いた12歳の時の飛行機事故を丁寧になぞっていくのだめ。千秋のトラウマの原因は、胴体着陸の衝撃で飛行機が揺れた時に、隣に座っていた音楽好きのおじいさんが落とした心臓病の薬を拾ってあげられなかったことに起因していた。自分が薬を拾っていれば、おじいさんが心臓病で亡くなる事はなかったと後悔して、それが恐怖に繋がっていたのだ。のだめはおじいさんが亡くなった事は千秋のせいではない、どうにもできない事だったのだと言い聞かせ、千秋のトラウマを取り除いた。

のだめの催眠術により、飛行機に乗れるようになった千秋は手始めに北海道に行くことにした。従兄弟の三善俊彦にすがりつきながらも飛行機に乗る事ができた千秋は、自分は海外に行けるのだと将来への希望が持てるようになった。北海道から戻った千秋は、隣ののだめが留守だということに気づいた。行く先を探してみると、のだめの担当教師・江藤の家で泊まり込みの練習をしていた。江藤の妻・かおりによるとマラドーナピアノコンクールに出場するためだという。のだめのピアノは素晴らしいのだが、楽譜通りに弾けないことはコンクールでは致命的、それを直さなければコンクール入賞は難しい。飛行機恐怖症が治った千秋は絶対に海外に行ってしまう、と恐れたのだめは置いていかれたくないと、このコンクールで優勝し、留学資金を稼ごうと画策していた。動機は不純でものだめの実力を知る江藤はコンクールで結果を出させてやりたいと懸命に練習させ、のだめも厳しいレッスンにもめげずについていった。

9月、マラドーナピアノコンクール、一次予選が始まった。のだめの奏でるピアノは多彩な音を繰り出し、審査員から高評価を受け他の演奏者を圧倒し予選を通過した。二次予選、難しいバッハに手こずりつつ、以前演奏したことがあるショパンのエチュード、リストの超絶技巧曲「鬼火」でコンクールに臨んだのだめ。ショパンのエチュードはかつての嫌な思い出が蘇り気持ちのこもらない適当な演奏をし、鬼火では嫌そうな顔で演奏した。審査員たちは一次の素晴らしい演奏から一転、心ここにあらずな演奏をしたのだめに困惑しつつ強烈な印象を受け、次も聞きたいという審査員長・オクレールの一言でギリギリ二次予選を通過した。
三次予選、直前に貰った千秋からのメールに心が浮かれ、その気分のままに演奏したドビュッシーの「喜びの島」が高評価を受け、三次予選を通過した。しかし、審査員長オクレールはのだめが曲を表現したのではなく、気分の赴くまま演奏していると見抜いていた。

一方の千秋は留学に向けて準備しながらRSオーケストラの行く末について悩んでいた。千秋の他にも来年には海外に行こうとしている者も数多くいる。たまたま日本にいる間、仲間と楽しくオーケストラで楽しめればいいと始めたRSオーケストラだったが、公演が音楽評論家からも高く評価され、音楽雑誌にも取り上げられている。日本にいる若手音楽家たちからも注目を浴び、入団できないかという問い合わせも多くなってきた。創立メンバーたちは、このオケを中途半端に放り出して海外に行ってもいいのかと悩み始めていた。そんな中、国際コンクール3位入賞の経歴を持つ高橋という男がコンマスになりたいと入団を希望してきた。オケの裏方も担当していた峰は三木の後釜として高橋の入団を決め、海外に行くことを躊躇っていた三木に、高橋に負けないよう海外のコンクールで良い成績をとって凱旋しろとエールを送った。日本でこのオケを長く続けていくと峰は宣言し、RSオケはこれからも進化していくから安心して海外に行けと留学組の背中を押した。

マラドーナピアノコンクール本選まで日がないというのに、これまでの疲れが溜まり、のだめは高熱を出して倒れてしまった。課題は3曲あるが、どうしても1曲練習時間が足りず、間に合わない。担当教師の江藤は、コンクールでは2曲披露して席を立つようにと指示を出すが、それではコンクールを棄権したことになってしまう。どうしても諦めたくないのだめは最後まで譜読みをして足掻く。コンクール本選が始まりのだめの順番がやってきた。のだめの演奏は人気があり、皆が期待している中、2曲目まで素晴らしい演奏を披露した。3曲目、まだ途中までしか練習できていない曲だが、のだめは席を立たずそのまま弾き始めた。途中までは完璧だったが、のだめは頭が真っ白になり、途中で曲を忘れてしまった。咄嗟に作曲しつつなんとか最後まで弾ききったものの、どんなに素晴らしい演奏であってもコンクールで曲を変えて演奏することは許されない。失意ののだめは演奏が終わるとすぐに会場を出ていってしまった。のだめの演奏は評価されず、優勝はおろか、入賞すらできなかった。しかしその演奏は、審査員たちに強烈な印象を与えていた。
会場から立ち去るのだめを呼び止め、千秋は一緒にヨーロッパに行かないかと誘った。しかし、懸命に頑張っても結局何も手にできなかったのだめは自暴自棄になっており、素直に千秋の言葉に頷くことができなかった。留学のためではない、遊ぶ金欲しさにコンクールに出たのだと千秋に嘘をつき、そのまま実家の福岡にのだめは帰ってしまった。

1月、千秋がRSオケで指揮をする最後の公演があった。海外留学組はそれぞれ自分の後釜に後を託し、千秋も松田幸久という若手指揮者にRSオケの指導を任せることになった。千秋は日本でやるべきことはすべて成し遂げ、留学に向けて最終準備に取り掛かり始めた。
しかし、年が明けてものだめが福岡から帰ってくる気配はない。のだめのピアノがどんどん成長していくさまを温かく見守り、協力してきた千秋だったが、のだめがこのまま埋もれてしまうことがどうしても我慢できず、福岡の実家まで迎えに行くことにした。

のだめは実家でピアノの練習もせず、毎日ゲームばかりの毎日を送っていた。ある日、近所でピアノの音を聞き少しだけ弾いてみる気になったのだめは、コンクールで演奏したシューベルトを演奏し、祖母から拍手をもらった。それから少しずつ気分が持ち直し、今までずっと無視し続けていた携帯を開いてみた。するとそこには江藤からたくさんのメールが来ていた。その中の「プリごろ太ニュース」というものを読んでみると、江藤からの連絡だった。コンクールの審査員長を務めていたピアニストのシャルル・オクレール先生から、パリのコンセルバトワールに留学しないかと誘いがあったことなどが書かれていた。のだめは留学の決心をし、長く連絡を絶っていた千秋に電話をかけ、いつか千秋と共演できるように自分も頑張ると決意を伝えた。いずれのだめと千秋のゴールデンペアで演奏したいと夢を語るのだめを福岡まで迎えに来ていた千秋は背後から抱きしめた。
そして2人はパリに行くことになった。

巴里編

コンセルバトワールの試験だけで手一杯だったのだめはフランス語が全くできないままパリに来てしまった。英語やドイツ語、フランス語にも堪能な千秋を頼ろうとするのだが、千秋は2週間後に迫った指揮者コンクールの準備で忙しくのだめの相手ができない。のだめは同じアパルトマンに住むフランクからフランス版「プリごろ太」のアニメを見せてもらい、聴覚が鋭いのだめはそれを何度もくり返し見ることでフランス語を習得することができた。

指揮者コンクールにて、千秋は強敵ジャン・ドナデュウや日本人の片平元などと競いながら持ち前の努力と才能で次々と難しい課題をこなし、予選を勝ち進んでいった。しかし、優勝候補でライバルのジャンの演奏を聴き、焦った千秋はオケに無理な注文を繰り返し、あげくに振り間違うという失態を犯した。予選通過も危ぶまれる中、なんとかギリギリで通過、本選に進んだ。またもや自分本位の指揮をしていたことを反省した千秋。のだめに支えられながら短い時間を最大限に活用し、最後まで手を抜かず曲の勉強に打ち込んだ。そして本選で作品の本来の姿、精神性を明確に表現しようとする強い意志と知性を見せたことで高評価を受け、ジャンを打ち破りコンクールで優勝を果たした。
優勝者特典としてパリデビューの権利を得て、桃ケ丘音大での師・シュトレーゼマンと同じ事務所に所属する。千秋は早速シュトレーゼマンの演奏旅行についていくことになり、家には帰らずそのまま行ってしまった。

パリに残されたのだめは、コンセルバトワールの慣れない授業、レベルの高い学生たちにすっかり自信を失くしていた。担当教師のオクレール先生にいい所を見せようと気持ちのこもらない超絶技巧曲ばかり演奏するのだめに「全然ダメ」「べーべちゃん(赤ちゃん)」と言われてしまいどん底まで落ち込んだ。
さらに、演奏旅行中の千秋がシュトレーゼマンの代役で若手ピアニストの孫ルイとピアノ協奏曲で共演をしたことで、いつまでも追いつけない千秋との差に焦り、ルイが演奏した超絶技巧曲ばかりを執拗に練習するようになっていった。
千秋がパリデビュー公演のためパリに戻ると、練習のためにあまり食事も睡眠も取らずやつれ、しかも千秋によそよそしいのだめがいた。何があったと問いただす千秋にのだめは自分のダメさをぶちまけた。オクレール先生の前で弾いた曲を弾いてみろと千秋に言われたのだめは、ガツガツとすごい勢いで超絶技巧曲を弾きまくる。ただ曲を弾くだけ、技術を見せつけるためだけに弾いているのだめの演奏を聴き、千秋はのだめの演奏を制止しようと声をかけるのだが、夢中になっているのだめに声は届かない。千秋はのだめを落ち着かせようと弾いているのだめにキスをした。演奏を無理やり止められたのだめは、自分の演奏はそんなに聴くに耐えないのかと怒り、千秋を突き飛ばし、拒絶した。
千秋にものだめが感じている焦りや高い壁は理解できる。しかし、楽譜を目の前にしたらどんなに厚く高い壁を感じても一つ一つ自分で乗り越えていくしかない。千秋は自身の公演の勉強に打ち込み始めた。千秋が少しずつ地道に勉強をしている姿を見たのだめも、腐らず自分の力で少しずつ壁を乗り越える努力を始めた。

上手くいってなかったオクレール先生とのレッスンで、のだめは自分が作曲した曲を先生に頼み込んで弾いてもらった。自分の作曲の意図や背景、どの場面であるか語るのだめにオクレール先生は、他の作曲家たちものだめのように曲に込められた思いがあり、楽譜で語っているのだと教えた。のだめは楽譜の重要性に気づき、演奏も変わっていった。

千秋のパリデビュー公演は大成功に終わった。拒絶されて以来疎遠になっていたのだめも駆けつけ千秋を祝福する。一度は千秋を拒絶したものの、やはり千秋が生み出す音楽に惹かれてしまうのだめ。千秋もまたのだめが奏でるピアノに、そしてのだめ自身に惹かれていることに気づいた。公演終了後一番に楽屋に来てサインをねだるのだめに「先輩このまえキス…しましたよね?よく記憶に残ってないんでもう一回お願いしマス」と言われ、千秋はのだめを抱きしめた。2人の想いが通じ合った。

RSオケのオーボエ・黒木もコンセルバトワールに留学していた。しかし、生真面目は黒木は時間においても言動においてもルーズで自分本位なフランス人に憤りを感じ、さらに派手な女子学生からは「暗い」などと揶揄され、慣れないパリに孤独を感じていた。そんな中、のだめが同じ学校にいることに気づき、交流を持つようになる。そしてのだめの明るさ無邪気さ、フランス人に負けない自己顕示欲などを見ているうちに、影響を受けて少しずつパリに馴染んていった。

千秋にパリの歴史あるルー・マルレオーケストラから来季の常任指揮者にならないかという話が来た。シュトレーゼマンや三木清良の師匠のカイ・ドゥーンが若い頃所属していたオケで、シュトレーゼマンは「マルレに育てられた」と公言している楽団だった。自分の楽団が持てることに喜んだ千秋は早速チケットを手に入れその演奏を聴きに行った。
しかし練習不足なのかその演奏はひどいものだった。この楽団を自分が指揮するのかと思うと、泣きたくなる千秋だった。

そんな中、千秋が共演した孫ルイがコンセルバトワールに留学してきた。ルイは演奏活動を休止し、今まで練習ばかりで味わえなかった青春を取り戻そうとしていた。まだパリには慣れていないと言い、家探しから買い物から千秋に付き合えと馴れ馴れしい。その行動を拒まない千秋にも憤りを感じるのだめ。のだめは自分よりも若くテクニックも素晴らしいルイにコンプレックスを感じていて、千秋と親しい様子にも内心穏やかでない。ルイは千秋と一緒に出かける約束をして帰っていった。

ルイとの約束の日、千秋はコンクールで世話になったウィルトールオケのロランから連絡をもらっていた。マルレオケでエキストラを探しているので一緒に行こうと誘われたのだ。ルイとの約束はあるが、来季から自分が指揮する楽団の内情を知りたいとの思いが強く、千秋は変装してマルレに潜入することにした。マルレには、自分の気に入らない指揮者には従わず妨害ばかりするコンマスや練習不足の団員、団員不足でエキストラに頼る楽団構成、練習場所の確保にも苦戦している様子がわかる。極めつけは、3日後に公演を控えているのにその公演を担当する指揮者がマルレオケに嫌気がさして母国に帰ってしまったということ。
公演を中止にするわけにも行かず、団員たちはパリにいてすぐ呼べて依頼料が安いという理由で次期常任の千秋に代役を頼むことになった。その話が決まるまでの一切を見ていた千秋は絶望を感じていた。

短い練習時間と非協力的なコンマスの妨害にあいながらも千秋は練習に励み、音楽を作り出していく。公演当日、事務のテオの不備でチェンバロ奏者が足りないことが発覚した。千秋は急遽のだめに代役を頼み、のだめは千秋との初共演に浮かれながら会場に入った。するとそこにはかつてマルレでお世話になったと話すルイがいて、楽団員は共演したことのある千秋がルイにチェンバロを頼んだと盛り上がっていた。千秋は違うと言いかけるがのだめに制され、結局チェンバロはルイが担当することになった。初めはなんとか上手くいっていた公演も練習不足と演奏者不足の無理な演奏が祟り、徐々に崩れてきて、指揮の千秋はどうすることもできず演奏はめちゃくちゃなものになってしまった。団員みんなが俯き沈む中、笑われてもこのオケを立て直していこうと真っ直ぐに前を見つめる千秋の姿勢に、反感を持っていたコンマスも少しずつ千秋を認めるようになった。
公演の失敗を慰めようと、ルイはこれから打ち上げをしようと千秋とのだめを誘うが、のだめは2人でやってくださいと断った。有名なルイとの差に焦ったのだめは自分は練習するのだ、遊んでる暇なんか無い、と千秋と揉め始めてしまった。そこにルイの母がやってきて遊んでばかりのルイを叱りつけ、話を聞かずに無理やり連れ去っていった。呆気にとられるのだめに千秋は、ルイの過去を話し始めた。
ルイは小さい頃から英才教育を受け、ピアノ漬けの毎日を送っていた。業界では有名になりコンサートなども数多くするようになっていたのだが、最近行ったコンサートで酷評を受けていた。もう一度練習をやり直し、失くした青春を取り戻そうとルイは演奏活動を休止し、留学を決めた。自分たちが目指している音楽の世界の厳しさをのだめは知った。

のだめはオクレールからリサイタルの話を持ちかけられた。毎年夏に行われる教会のリサイタルに、オクレールは弟子を一人出演させており、今年はのだめが選ばれたのだ。主催者のブノワは無類のモーツァルト好きでモーツァルトに対しての造詣も深い。変な演奏をしてはいけないとプレッシャーを感じながらものだめは美しいピアノを披露し、観客を魅了しリサイタルは大成功に終わった。

千秋は、マルレオケの実力アップのために新団員募集のオーディションを開催した。黒木も参加し主席オーボエ奏者の席を勝ち取った。
厳しい練習をする千秋に団員たちの不満は募るが、出来上がっていく音楽は素晴らしい。生活のため、練習を怠っていた団員たちも新団員たちに負けまいと練習するようになり、個々のレベルも上がってきた。第1回公演、前年までとは見違える素晴らしい演奏を披露したマルレオケは、評論家たちからも高評価を受け公演は大成功に終わった。

真価を問われる第2回公演、千秋はバッハの協奏曲で見事な弾き振り(ピアノを弾きながら指揮をすること)を披露したが、客席に家族を捨て家を出ていった父の姿を見つけ、動揺してしまい次の曲では大失敗。オケにフォローされ評論家からは酷評を受けてしまった。
千秋とのだめはお互いが音楽に没頭するあまり、すれ違いになってきていた。第3回公演のために、集中して勉強に励みたい千秋。しかし、千秋とのだめが住むアパルトマンは、千秋の母・三善征子が代表を務める財団が所有している音大生のための寮のようなもの。どの部屋からも練習の音が響いてきて、うるさくて千秋の集中が途切れてしまう。
千秋は他人の音が響き渡るアパルトマンでは勉強ができないと家を出ることにした。

高齢の指揮者が亡くなった事にショックを受け寝込んでしまったシュトレーゼマンを見舞いにウィーンへ行った千秋とのだめ。ウィーンに留学中でRSオケのコンマスを務めていた三木清良とも再会し、三木が今度パリのコンクールに出場することを聞いた。
パリでのコンクールには同じアパルトマンに住むターニャやユンロンもピアノ部門で出場している。三木は本選出場を決め、ターニャとユンロンは奮闘したものの本戦に出場はならなかった。コンクールを見守っていたのだめは「いつか先輩と共演したい」と思わせる運命の曲に出会った。早速千秋に話しはしゃぎ回るのだめだが、千秋の顔色は冴えない。実はその曲は既に復活を決めたルイとの共演で演奏することが決まっていた曲だった。はしゃぐのだめに何も言えず千秋は苦悩する。のだめは人づてに千秋とルイが共演し、のだめが気に入った曲を演奏することを聞いてしまい大ショックを受けた。みんながコンクールに出場する姿を見て、のだめも出たいとオクレール先生に訴えてみるが却下され、さらに千秋とルイの共演を知り、いつまで頑張ればいいのかと気持ちがささくれ立ってしまう。コンクールに出さない訳があるのだろうと、とにかくオクレール先生が出した膨大な量の課題をと終わらせようと、千秋ものだめに協力し、2人は練習に打ち込んでいった。

のだめの指導をするため、のだめよりも先に課題の曲を勉強している千秋に焦りと苛立ちを感じるようになったのだめは、これからは自分で勉強するから千秋はルイとの共演に向けての練習をしろと言い渡した。千秋は公演のための練習に打ち込むようになり、ルイとの打ち合わせにも熱が入る。
千秋とルイが演奏するラヴェルは、自分のやりたいことではないはずだ、と思って公演を見に行ったのだめは、彼らの演奏が自分がやりたいと思い描いていた演奏、いやそれ以上の物だった事にショックを受けた。しかも、ルイが密かにオクレール先生の指導を受けていたことも知り、さらにショックを受けた。

公演終了後、のだめは千秋の家で千秋の世話を甲斐甲斐しく行い、翌朝、仕事に行くという千秋にいきなりプロポーズをした。急な言葉に驚きつつ、のだめが何かから逃げたがっているように思えた千秋はその言葉を軽くかわす。

ルイとの共演で大成功を収めた千秋に会うためシュトレーゼマンがパリを訪れたのだが、そこにいたのは千秋にプロポーズを流され失意に沈んだのだめだった。
のだめはシュトレーゼマンに、自分でなくても自分のやりたい音楽はできてしまう、そう思ったらやる気が無くなったという胸の内を話した。のだめの演奏を聴いたシュトレーゼマンは「正面から向き合うとどんなふうに楽しいのか…知りたくない?」と誘い、のだめをロンドンに連れ出した。
シュトレーゼマンは自分の公演にのだめとのピアノ協奏曲をねじ込み、のだめにプロデビューをさせた。のだめの協奏曲は異色と言われながらも絶賛され、テレビ、新聞、ネットでも話題になるほどの注目を集めた。次の公演はいつかと期待が高まる中、これ以上の演奏はもうできないとのだめは逃げ出してしまった。
長く学校を休んでいるのだめを心配していたオクレールはシュトレーゼマンと偶然出会い、のだめを勝手にデビューさせたことを辛辣な言葉で批判した。のだめは音楽家として活動するためには精神が幼く、長く厳しい音楽の道を歩み続ける覚悟が出来ていない。しかし、オクレールが出した膨大な量の課題をこなしながら、少しずつ喜びや楽しさを多くの作曲家や曲の中に見出すようになってきていた。もう少しで覚悟ができ、本当のピアニストになれるはずだったのに、と嘆くオクレールは、シュトレーゼマンにもう何もするなと苦言をいい、のだめが戻るのを待つだけだといってシュトレーゼマンの前を去っていった。

失踪したのだめはパリに戻ろうとしていたのだが、数々のアクシデントに見舞われ、散々迷子になった挙句ようやくパリのアパルトマンに帰り着いた。しかし、のだめの音楽に対する意識は今までとは変わってしまっており、ピアニストではなく、かつての夢のように幼稚園の先生として楽しくピアノを弾けばいいと思うようになっていた。千秋ものだめの楽しそうな姿を見て、無理に音楽家にさせるより、好きな道に進ませた方がいいのではと考えるようになっていた。
しかし、のだめのピアノを聴いてしまったら、どうしてものだめを舞台に立たせたいという気持ちが湧き上がり千秋は抑えることができない。のだめに一緒に協奏曲をやろうと提案するが、シュトレーゼマンとやった以上の演奏が千秋とできるわけがないとのだめは拒否する。しかし千秋は諦めず、2人が初めて一緒に連弾したモーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ」を弾こうと提案した。初めは嫌がっていたのだめだが千秋に挑発され弾き始めた。
あれ以上の演奏はできない、新しい発見や喜びなど生まれるはずがないと思っていたのに、千秋との連弾はのだめに新たな喜びと感動をもたらした。
「先輩の背中…飛びつきたくてドキドキ、これってフォーリンラブですか?」初めての連弾の後、千秋に恋をしたのだめが言ったセリフをもう一度いい、のだめは千秋に飛びついた。かつてはそれを躱した千秋だったが今度はしっかりとのだめを受け止めた。

のだめはオクレールの元に戻り、一から練習をやり直し、音楽に向き合っていこうと決意を固めた。
そして夏、またブノワ家のリサイタルを依頼された。
「楽しんで演奏するので、頑張って聞いてくだサイ」
のだめは音楽家としての道を歩き始めた。

オペラ編

桃ケ丘音大卒の声楽家・菅沼沙也がオペラ劇団を作り、公演をすることになった。演奏をRSオーケストラが担当し、オペラを勉強したい千秋は日本でその公演の指揮をすることになった。海外に留学していた元RSオケのメンバーの黒木や三木、菊地も帰国し、演奏に参加する。
のだめは日本公演のため、千秋と一緒に日本にやってきた。

予算が少ない市民オペラといえど、熱気はすごい。太り過ぎで他の劇団では役が貰えない菅沼が主役を演じ、峰が演出を担当、真澄が衣装を担当する。仕事が忙しい千秋は海外と日本を行き来しながら練習に励む。
日本にいる片平元に不在の間の練習を見てもらいながら、少しずつオペラは出来上がっていく。しかし、練習が進むにつれ気分が盛り上がってきた出演者たちとオケを合わせられない千秋はオペラの難しさを痛感していた。

本番当日、練習で合わせきれなかった失敗の数々が脳裏をよぎり焦る千秋だったが、峰が頼んだのだめのグロッケンシュピールの音に千秋の気持ちも落ち着きを取り戻し、キャストの歌とオケを完璧に合わせ、舞台は大成功に終わった。

この公演の後、再演の話で決裂した白い薔薇歌劇団は解散し、主宰の菅沼はプロ歌劇団に所属することになり、峰は公演でお世話になった舞台監督の下で働き舞台演出を一から勉強することになった。

この公演で自分の実力不足を思い知った千秋は、イタリアのヴィエラの所に行って勉強するとのだめに話した。のだめは、大学時代からずっと夢だった千秋と共演でき、オケの一員として演奏に参加できたことが嬉しいので、千秋と離れても大丈夫、と話した。千秋はそんなのだめに「約束くらいしていくよ」といってのだめの左手の薬指に指輪をはめた。

『のだめカンタービレ』の登場人物・キャラクター

野田 恵(のだ めぐみ)

CV:川澄綾子

愛称、のだめ。1981年9月10日生まれ。福岡県大川市出身。B型。身長162cm。ブラのサイズはD70。桃ケ丘音楽大学ピアノ科2年。
明るく人懐こい性格。しかし、生活態度はだらしなく、部屋はいつもゴミでいっぱい、風呂は1日おきシャンプーは5日おき。「ぎゃぼー」「うっきゅっきゅ」などの奇声を発し、千秋からは変態と言われる。料理の腕も壊滅的だが、おにぎりと鍋は失敗したことがない、と言っている。千秋の部屋に黒焦げの魚を持っていったことがあり、こんなのは料理ではない、と千秋に料理を振舞われてから度々千秋の家に行き、食事を作ってもらっている。
漫画やアニメが大好きで、特に「プリごろ太」はセリフをすべて覚えており、留学した時、フランス語版プリごろ太のアニメを何度も繰り返し聞くことによりフランス語を習得した。
耳が良く、一度聴いた音楽はすぐにピアノで演奏できてしまうため、譜読みを苦手としている。
幼少時、厳しいレッスンをするピアノ教室で先生から受けた傷がトラウマで、上から目線での物言いや暴力的な指導には激しい拒否反応を示す。将来は幼稚園の先生になることが夢だったが、千秋と出会い、彼に追いつきたいという思いから次第に音楽に正面から向き合うようになってきた。
千秋が留学するにあたり自分も留学したいと考え、資金稼ぎに出場したマラドーナピアノコンクールで本選まで残ったものの、練習が間に合わず最後の曲の途中を忘れてしまうというアクシデントが起こり入賞は果たせなかった。しかし、その演奏が審査員のオクレール先生の目に留まり、フランスのコンセルバトワールに留学することになった。

初めはコンセルバトワールのレベルの高さに圧倒されていたのだめだったが、オクレールの指導により教会でのリサイタル、サロンコンサートなど、音楽活動もするようになっていった。
千秋と孫ルイが共演した協奏曲に衝撃を受けて、一時は音楽をやる気力が失せてしまったが、そこをシュトレーゼマンに拾われてロンドン響とシュトレーゼマンと協奏曲を披露した。熱狂的に騒がれ、あれ以上の演奏はできないと失踪し、パリに戻ってきたのだめは音楽家としてではなく幼稚園の先生のように楽しく弾ければいいという思いに変わってしまっていた。
しかし、千秋との連弾で音楽の楽しさ、喜びを取り戻し、ピアニストとして生きていく覚悟を固めた。

千秋 真一(ちあき しんいち)

CV:関智一(幼少年時代:沢城みゆき)

指揮者を目指すエリート。桃ケ丘音楽大学ピアノ科3年。1981年2月17日生まれ。身長181cm。血液型O型。世界的有名なピアニスト・千秋雅之と資産家の令嬢・三善征子の一人息子。
パリで生まれ、幼少期は欧州で過ごす。両親の離婚により日本へ帰国時、飛行機事故に遭いそれがトラウマとなって飛行機恐怖症になった。幼い頃溺れた経験もあるため、船にも恐怖症がある。フランス語、ドイツ語、英語を話すことができる。容姿端麗、頭脳明晰、完璧主義で家事も得意。自分にも他人にも厳しいが面倒見が良い一面もあり、余りにも汚いのだめの部屋をそのままにしておくことができず大掃除をしてやり、毎日食事を集りに来るのだめに食事の世話までしてやっている。
幼い頃出会ったヴィエラの影響で指揮者を目指すようになった。海外留学を夢見ているが、飛行機や船の恐怖症があり、さらに、家族が千秋を眠らせて海外に連れて行こうとしても必ず毎回何らかのトラブルが起きて、日本脱出は失敗に終わっていた。催眠療法や加持祈祷、お祓いを受けても全く何の効果も見られなかった。指揮者になるためにはピアノの勉強が重要としてピアノ科に所属。それ以前はずっとヴァイオリンの練習を続けていた。

のだめと出会って、たくさんの人と交流するようになり大学ではシュトレーゼマンの弟子となり、Sオケの指揮者になり、解散後はRSオーケストラを三木清良らと共に創設。その後、のだめの催眠術で飛行機恐怖症から脱却し、パリに留学。のだめと同じアパルトマンに住むことになった。
パリでは指揮者コンクールに出場し優勝。パリで指揮者デビューを果たし、のだめと恋人関係になった。のだめからは連絡がなく、いつも千秋から連絡を取っていた。待つだけの身が虚しく思え、一度恋人関係を解消しようとするが、のだめから激しい飛び蹴りやマフラーで首を締められるなどの抵抗に遭い、もう一度やり直そうと決意した。
ルー・マルレオーケストラの常任指揮者に就任。シュトレーゼマンと同じ事務所に所属し、シュトレーゼマンの師事を受けながらイタリアのヴィエラにも師事。オペラなどの勉強もしている。

フランツ・フォン・シュトレーゼマン

CV:小川真司

世界的有名なドイツ人指揮者。千秋の師匠。6月3日生まれ。血液型O型。身長180cm。
桃ケ丘音楽大学理事長の桃平美奈子に頼まれて、指揮科の講師に就任。鋭い音楽性を持ち、落ちこぼれと呼ばれる人間の才能や資質を見抜くなど、音楽に関しては超一流。
私生活は、合コンやキャバクラが大好きなエロじじい。道に迷ったふりをしてのだめに近づき食事に誘ったところ、のだめに千秋の部屋に連れていかれた。千秋の料理を気に入るが千秋がセバスチャーノ・ヴイエラの弟子であることが分かると急に態度を変え、のだめを連れて部屋を出ようとした。結局千秋に阻止されのだめを連れ出すことはできず、それを恨みに思ったシュトレーゼマンは、千秋の指揮科への転科を認めなかった。人としては尊敬できなくても、音楽は尊敬できるシュトレーゼマンの弟子になりたいと千秋は申し出て、ピアノは大事なので転科は認めないけれど、弟子にはするとして、千秋と師弟関係を築き始めた。
来日した際、のだめに名を聞かれ、「ミルヒ・ホルスタイン」と偽名を名乗ったことから、のだめにはずっと「ミルヒー」と呼ばれている。

下手くそと変わり者ばかりを集めたSオケを作り、指導に当たる。クラブ「ワンモアキッス」で千秋がホステスたちにモテモテだったことに怒り、Sオケを脱退。途中から千秋に指揮を任せることになった。大学祭ではラフマニノフのピアノ協奏曲で師弟共演を果たし、それを最後に桃ケ丘音大を去った。千秋の実力を高め、幼少時の厳しい指導で音楽と正面から向き合えなかったのだめを見守り、彼女が真剣に音楽に取り組むように導いた。

千秋とのだめがパリ留学後は、千秋とともに演奏旅行に周り、若手ピアニスト・孫ルイとの共演では体調を崩したため、弟子の千秋に代役を任せた。千秋がマルレオケの常任指揮者に就任後は、公演の内容などにアドバイスしている。
ルイと千秋の協奏曲でショックを受け、千秋がのだめのプロポーズを流し、失意ののだめをシュトレーゼマンは自身との共演に誘った。
年のせいで聴力が少々衰えてきているため、演奏家としての寿命はあまりないかも知れない、そのため、自分がまだ現役でいられるうちに長く見守ってきたのだめのデビューという晴れ姿が見たかったとしているが、のだめとの共演で音楽への新たな喜びを得て、かえって若返った。
若い頃はマルレオケの常任指揮者をしていた。

セバスチャーノ・ヴィエラ

CV:江原正士

1月23日生まれ。血液型B型。身長187cm。世界的に有名なイタリア人指揮者。千秋を12歳の頃から弟子にしている。おもちゃが大好きで少年のような心の持ち主。千秋が家庭の事情で日本に帰国することになった時、「ずっと音楽でつながっている、それを忘れないでがんばれ!」と千秋に声をかけた。飛行機恐怖症に陥り海外に行けずに腐っていた千秋は、ヴィエラの言葉を支えに頑張ってきた。
シュトレーゼマンのライバルであったサルヴァトーレ・リッピの弟子で、シュトレーゼマンとは犬猿の仲。店でたった一つしか残っていないおもちゃを取り合ったり、あるパーティーで自分の妻がシュトレーゼマンに言い寄られたことが原因。
千秋が指揮者コンクールで争ったジャン・ドナデュウを弟子にしている。

松田 幸久(まつだ ゆきひさ)

CV:東地宏樹

千秋がパリに留学するため、RSオーケストラの指揮者として招聘した。パリのルセール管の常任指揮者を6年務め、日本のMフィルを指揮するために帰国していた。上昇志向が強く、ギラギラした野心を持っている。容姿、才能、家柄など全てにおいて恵まれている千秋を快く思っておらず、辛辣な言葉を浴びせたりしていじめている。
本音と建前を上手く使い分けている大人。

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