異国迷路のクロワーゼ(Ikoku Meiro no Croisée)のネタバレ解説まとめ

「異国迷路のクロワーゼ」とは、武田日向の漫画、及び2010年にサテライトで製作されたアニメーション作品。物語の舞台は19世紀のパリ。日本人の少女「湯音」は、アーケード商店街「ロアの歩廊(ギャルリ・ド・ロア)」の中にある「ロアの看板店(アンセーニュ・ド・ロア)」で働き、店主クロードと文化の違いを感じながらも絆を深めていく物語。19世紀のフランスの世界観や、湯音の着物などの装飾品が細かく描かれている。

クロードの歳は明らかでは無いが、言動から20歳前後。体格の差がかなりある。

湯音は満13歳(数え年で15歳)であるが、クロードには10歳前後の小さな女の子に見えていた。
湯音自体の体つきが小さいのも原因であるが、日本人は童顔で背が小さく、現在でも海外へ行くと大人でも子供だと勘違いされ易い。
オスカーも日本へ行った際は日本人の体や家や家具などの全体的な小ささ驚き、自分が巨人になったように思えたと語った。
クロードは日本の食器(お猪口など)も小さく感じた。
湯音がアリスに連れられてブランシュ家で行われていたお茶会に出向いた際も、会に来ていたマダム達に華奢だと驚かれた。
商店街でも序盤では湯音は奇異な存在で、立っているだけで体型や服装が目立ち視線を浴びている。

食文化

クロード(19世紀のフランス人)の主食はパンやチーズであるが、湯音はチーズが苦手な様子。
日本ではチーズや牛乳と言った乳製品を口にする文化はまだなく、食べなれない湯音にとっては強烈な味だった。
しかし、湯音はチーズに醤油をつければなんとか食べられる様子。
クロードは湯音に苦手なら無理して食べなくても良いというが、湯音はクロードが美味しいと思うものを自分も美味しいと感じたい、そしてクロードが美味しいと思う料理を作りたいと語る。
逆に、日本の醤油や梅干といった物はフランス人のクロードの口には合わないようで、湯音の作ったすき焼きには微妙な顔をした。
しかしクロードも湯音と同じく、苦手ではあるが理解したいと思っている。

お風呂について

日本ではお風呂と言えば毎日入るもので、温まることで健康にも良いイメージがあるが、19世紀のフランスでは逆にお湯に浸かるのは体に悪い物とされている。
またこの頃のフランスでは、日本のように水が手軽に手に入らず貴重品であったため、お風呂に入るという行為自体がお金持ちのやる事なのである。
湯音は夜な夜なこっそりタライに水を入れて体を洗っていたが、クロードに発見され注意される。
クロードは文化の違いを受け入れ、湯音に段々慣れて行けばいいと、なけなしのお金で公衆シャワーへ連れて行った。
一方、アリスは日本文化に精通しており自宅のバスタブでお風呂に入っていて、メイドたちに体に悪いと心配されていた。
メイドたちは日本の公衆浴場をはしたないと言うが、アリスは日本の文化に肯定的であった。
湯音が風邪を引いた際は、クロードとアリスは冷たい水風呂を用意し、熱を冷ますために入るように湯音に薦めた。

接客文化

日本ではお客さんに対して笑顔で接客するのが割と当たり前であるが、19世紀後半のフランスでは違う。
湯音が店に来た人に笑顔で話しかけると、お客さんはあまり良い顔をしない。
知らない人間がいきなり馴れ馴れしく話しかけてきたら怪しい、という文化の違いがある。
また、浮浪児が店に来た際に、湯音は差別無く接するが、クロードにとってはそれは非常識であった。
クロードは教育されていない浮浪児は何をするか分からないから危険と考えるが、湯音は子供は純白で生まれてくるはずだと意見を違えた。
見知らぬ他人ではなく大切な家族である湯音を優先するクロードの価値観と、お客さんには平等に接する湯音の価値観、どちらも間違いでは無いが大きな差がある。
またオスカー曰く、日本は職場の人間達を家族に見立てる文化があり、そこが湯音とクロードで違う様子。
そのためか、湯音がクロードや商店街の人々の家族になりたいと言った時は、クロードは湯音が孤児だと勘違いした。

名シーン・名場面集

細かく描かれた背景や装飾品

本作品は建物や装飾品など、19世紀パリの魅力を描いている。
原作では一コマ一コマ写実的に背景や装飾品が書き込まれ、アニメでもそれに習い緻密な背景が美しく描かれている。
湯音の着ている着物も、柄が手描きで描き込まれていて、毎話違う柄の着物を着ている。
同じくアリスもいつも同じ服という事は無く、フリルの入ったドレスを何パターンも着用している。
物語の内容やキャラクターの容姿だけではなく、こういったところが本作の魅力の1つである。

湯音の大切な着物

湯音がクロードの元へ来てすぐの事。
湯音の着物の裾が引っかかり、クロードが修復依頼されていた(そして完成したばかりの)作品を壊してしまう。
クロードは日本の着物文化を知らないため、着物の裾は邪魔なだけで、それを着ている湯音もここには必要は無いと言う。
湯音は土下座で謝るが、謝れば良いという物では無いといわれてしまう。
その後、湯音は自分の着物をお詫びに質に出すようにクロードに頼む。
クロードはそれが湯音の誠意なのだと思い受け取ったが、実はその着物は湯音の持つ着物の中で一番高い且つ母親の形見であった。
それを知ったクロードは既に売約済みになった着物を引き取りに行こうとするが、一度売ったものを無かった事にするのはクロードの信用に関わるからと湯音に止められる。
クロードは、日本文化(家族や主に自分の持ち物や身を捧げる事が美徳のような意識)は分からないが湯音からは誠意を感じ、いつか着物を買い戻すと湯音に約束し、それまで自分が信用に足る人物か見極めて欲しいと湯音に言った。
そして、湯音にもう二度と勝手に大事な物を手放すなと約束させた。

売約済みになった着物はカミーユがアリスの誕生日プレゼントに買っていて、現在湯音の着物はアリスの元にある。
アリスは着物をタダであげる代わりに湯音に自分の元へ来るように言い、そうすればクロードは大金を溜めなくて済むと持ちかけるが、湯音はクロードとの約束は自分が勝手に無いものにしたらダメだとアリスに言った。

熱を出した湯音を看病するクロード

パリでの文化や価値観の違いに戸惑う湯音。
特に接客は大きく違い、店に来たお客さんに笑顔で話しかけると、お客さんは気まずそうに去っていった。
クロード曰く、店番というのは客が売り物を盗まないように見ていれば言いだけだと語る。
また、店を覗いていた浮浪児の少年に湯音が優しく声を掛けると、その隙を付かれて燭台を盗まれてしまう。
湯音は自分のせいで商品が盗まれてしまったと少年を追いかけていき、迷子になってしまう。
商店街に居る人々にとってまだ日本人の湯音は珍しいもので、悪意を持った人もいるかもしれない。
急に怖くなった湯音はオロオロするが、そこにクロードが湯音を探しに来て、湯音を見つける。
湯音はクロードに謝るが、クロードは盗まれたものよりも湯音自身を心配した。
クロードにとって大事なものは湯音であり、商品では無いのである。
そして危ないから浮浪児にはもう関わるなと言う。
だが、どうしても浮浪児の少年に冷たくすることが出来ない湯音。
そして湯音は、フランスでの生活の疲れが出たのか体調を崩してしまう。
自分の体調が良くないにも関わらず、自分の食事のパンを残してこっそり浮浪児にあげて、もう会えないと伝え、強く生きるようビズをする。
(ビズとは頬にキスをするフランスの挨拶で、親しい間柄でしかしないものである)。
それを見ていたクロードは湯音に食べさせるパンはあっても、知らない奴に食べさせるパンはないと湯音を叱る。
また湯音が親しくも無い他人でしかも盗人である浮浪児にビズをしたのも気に入らなかった。
しかし湯音はどうしても浮浪児を悪く思えなかった。
口論した後湯音は高熱を出して倒れてしまう。
クロードは自分のせいで倒れたのでは無いか、何か日本人特有の持病でも持っているのでは無いかと慌てる。
湯音は寂しさから少しホームシックになり、心のよりどころとしてクロードのあげた絵本を大事に抱えて寝入っていて、それを手放そうとしなかった。
クロードはそんな湯音のために嫌いなブランシュ家に出向いて、アリスからおかゆの作り方が書いてある文献を借りて、湯音におかゆを作ってあげた。
しかしクロードは、湯音が頑なに浮浪児の少年に優しくするのは、パリで居場所を探す湯音自身と重ね合わせているからなのではないかと不安になる。
クロードは湯音におかゆを食べさせ、オスカーは湯音にホットワインを作って看病する。
あまり近くに居ると風邪を移してしまうと心配する湯音に、クロードは(初の)ビズをし、湯音の事を「身内」だと言った。

ちなみに、クロードが店の前に居た浮浪児に湯音が倒れたことを伝えると、少年は自分で花を摘んできて、店の前に置いていった。
湯音は、花を盗まずに摘んで来たのであろうことに嬉しがり、涙した。
湯音にとって現在の居場所となるのはクロードの側であるが、浮浪児の少年がパリで居場所を探している姿に心を痛め、少年を心配していたのである。

着物アリスとドレス湯音

湯音とクロードがブランシュ家に遊びに行った際に、アリスは湯音に自分の着物を披露する。
しかし着物着方が違うと指摘され、湯音に着付けをして貰う。
お礼にアリスは自分のドレスを湯音に着せてあげた。
湯音とアリスが普段の格好と逆になる可愛らしいシーン。

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