異国迷路のクロワーゼ(Ikoku Meiro no Croisée)のネタバレ解説まとめ

「異国迷路のクロワーゼ」とは、武田日向の漫画、及び2010年にサテライトで製作されたアニメーション作品。物語の舞台は19世紀のパリ。日本人の少女「湯音」は、アーケード商店街「ロアの歩廊(ギャルリ・ド・ロア)」の中にある「ロアの看板店(アンセーニュ・ド・ロア)」で働き、店主クロードと文化の違いを感じながらも絆を深めていく物語。19世紀のフランスの世界観や、湯音の着物などの装飾品が細かく描かれている。

概要

「異国迷路のクロワーゼ」とは、作者「武田日向」による漫画。
2010年にサテライト製作でアニメ化。
シリーズ構成・脚本は佐藤順一が勤めた。
佐藤順一の作品では、異国の雰囲気を大事にした作品「ARIA」と雰囲気が近いものとなった。
美術設定には本場フランス人でパリに縁あるデザイナー「ロマン・トマ」が参加した。

原作漫画は「ドラゴンエイジPure」で連載されていたが、雑誌が廃刊になると「月刊ドラゴンエイジ」へ移動。
その後武田先生が病気のため休載となり、2017年に武田先生が死去。
訃報は、武田先生が挿絵を担当していた小説「GOSICK -ゴシック-」の作者「桜庭一樹」のブログと雑誌で発表された。
ツイッターでは一時武田先生の訃報にショックを受けたファン達からの追悼ツイートが溢れた。
発売されている原作は二巻までで、キャラクター達がどうなった(どうなっていく予定であった)のかは、不明のまま未完の完結となった。

本作品は、ジャポニズム(ヨーロッパで見られた日本文化の流行)が流行った19世紀パリが舞台。
アニメ&原作共に背景・装飾品等の小物・洋服などが細部まで描きこまれており、当時の世界観に浸ることができる。
また奉公のためにパリへ来た日本人の主人公「湯音」と、湯音を迎える側になった青年「クロード」との間には文化の違いと言う大きな壁がある。
そんな日常の中にある良い意味でも悪い意味でも違う価値観や思想の差、それに伴った繊細な心の描写が本作の魅力の1つである。
そして美しい背景や小物でフランスや日本の歴史や文化を感じられる作品である。

あらすじ・ストーリー

舞台は19世紀。
主人公の少女「湯音」は家の決まりで奉公に出る事になっており、日本へ来ていたフランス人の「オスカー」と共にパリへ行く。
連れて行かれたのは、パリのアーケード商店街「ロアの歩廊(ギャルリ・ド・ロア)」の中にある、オスカーの孫「クロード」が経営する鉄工芸店「ロアの看板店(アンセーニュ・ド・ロア)」であった。
クロードは日本から少女が来るとは全く聞いておらず、湯音の登場に驚いた。
湯音は煌びやかな和装を着こなす小柄な少女で、クロードに会うとすぐに地面に座って深々と頭を下げ土下座ポーズをした。
オスカーはこのポーズは日本人がする挨拶と謝罪両方が出来る便利なポーズと語るが、そのような文化の無いフランス人のクロードはいきなり小さな少女が奴隷のようなポーズをした事に面食らった。
湯音はフランス語は殆ど分からないようで、何を言っても「はい、クロード様」と言いニッコリと笑った。
クロードは、言葉も分からないのに頷く湯音をなんとなく信用ならないと思っていた。
湯音はクロードの家(兼お店)で一緒に暮らす事になり、クロード1人では行き届かなかった掃除をこなす。
クロードの店は鉄工芸店で、看板やシャンデリアを作ったり修理するのが仕事であった。
繊細な物が多い店内で湯音の着物は危なっかしいと思っていた矢先、修理が完了した品に湯音の振袖が引っかかり、作品を壊してしまう。
湯音は土下座で謝るが、クロードには謝ったら良いという物では無いと言われた。
作品は再度修理し無事に納品できたが、湯音は自分の着物をクロードに渡してお金に換えて欲しいと頼む。
クロードはそれが湯音の誠意だと受け取り、着物を質に出す。
そしてクロードは言葉が分からない湯音のために、幼児用の絵本を買って来てプレゼントした。
湯音はそのプレゼントをとても喜んだ。
しかし、着物は湯音の持っている一番高い着物で、湯音の母の形見でもあるとクロードはオスカーから聞く。
クロードは湯音にそこまでして欲しかったわけではなく、着物を取り返しに行こうとする。
すると、フランス語が喋れないと思われていた湯音は、片言ながら会話が成立するレベルのフランス語を使い、クロードに反論する。
湯音は、一度渡した物を返せと言うのはクロードの信用を傷つける事になる、自分はクロードと商店街の家族になりたいと、クロードに初めて意見した。
クロードは日本文化の事は分からないが湯音には誠意を感じ、着物はそのうち自分が買い戻すと約束し、それまでに湯音にとって信用に値する人物なのかどうか見極めて欲しいと言う。
そして、湯音のほうにももう二度と勝手に大事な物を手放すなと約束させた。
その後、クロードはフランス語が話せるのならもう絵本は必要が無いだろ湯音と言うと、湯音は頑なに返さず、大事な物は手放さないと反論した。

フランスと日本には大きな文化の差があり、湯音はクロードを、クロードは湯音をなかなか理解できず戸惑う。
しかしお互いに理解しようと歩み寄る姿勢を見せ、堅物のクロードは湯音を家族として受け入れ始め、湯音にゆっくりでいいからパリに馴染むように言う。
湯音も不器用なクロードの優しさを理解していく。
湯音はチーズが苦手であったがちゃんと美味しいと思えるようになって、クロードたちが美味しいと思える料理が作りたいという。
それに心を動かされてクロードもすき焼きを食べてみるが、あまり美味しいとは思えなかった。
しかしまたもう一度作って欲しいと湯音に言い、湯音はそれを喜んだ。
そこに日本文化が大好きなブルジョワジーのアリスが現れる。
アリスは商店街に日本の少女が居ると噂で聞いていて、湯音に会える日を今か今かと楽しみにしていたのである。
クロードはアリスの家(ブランシュ家)の事が嫌いで、湯音にアリスとは仲良くしないように言うが、湯音は話して見なければ分からないとアリスと共にブランシュ家に行った。
クロードは拗ねて自分の目の届かない所へ行ってどうなっても知らないと言う。
湯音はザ・ブルジョワと言わんばかりのアリスの暮らしっぷりを見て憧れる。
そして湯音が売った母の形見の着物がアリスの部屋にあるのを見つける。
着物を買ったのはアリスの姉のカミーユで、アリスの誕生日にプレゼントしたのである。
湯音はそろそろ帰りたいと申し出るが、アリスはなかなか返してくれない。
帰りたがる湯音に、アリスは湯音の着物をタダであげる代わりに自分の元に居るように湯音に持ちかける。
着物はとんでもない高額で、クロードでは何年働いても買い戻せるはずが無いが、湯音がアリスの元へ行けばクロードはお金を集めなくて良くなるのである。
しかし湯音は意見を曲げず、今日中にクロードの元へ返して欲しいと1時間土下座で粘り、アリスは根負けする。
工房ではクロードが湯音の帰りを待ちつつ、もしかしたらアリスの元に居る方が幸せで、もう帰ってこないかもしれないとも思っていた。
だが湯音はアリスに送り届けられ、クロードの元へちゃんと帰ってきた。
湯音が頑なに帰りたがったのは、クロードにすき焼きを作ってあげる約束をしていたからであった。
アリスは着物との交換条件は自信があった事を湯音に言うと、湯音はアリスにクロードとの約束は自分が勝手に無かった事にしたらダメなものなのだと、クロードに聞こえないように耳打ちした。
アリスはクロードが湯音を1人占めしている(ように見える)のが気に入らないが、湯音の義理堅さを見て、沢山プレゼントをすれば自分にも義理を感じてくれると斜め上の事に思いを巡らせながらい帰って行った。

その後、湯音とクロードは文化の差で何度かぶつかりその度にお互いを理解し合い、湯音に会いに商店街へ遊びに来るアリスに振り回されながらも、日常を過ごしていく。
湯音の願いはクロードと商店街の家族になることであり、湯音の存在は次第に商店街で当たり前の物となって行く。

登場人物・キャラクター

湯音(ゆね)

CV:東山奈央

本作の主人公。
家の決まりで奉公に出なくてはならなく、日本へ来たオスカーと共にパリへやってきた。
大人しく慎ましい性格ではあるが、明るくて人懐っこく、人とコミュニケーションを取るのが好き。
パリと日本での文化の違いに戸惑いながらも、クロードを初めとした人々との絆を深めていく。
年齢の近い同性のアリスとは仲が良い。
アリスと初めて顔を合わせた際、クロードにアリスと仲良くするなと言われるものの、どんな人なのかは話してみなきゃ分からないと自らブランシュ家に行った。
アリスに家にクロードの元へ帰させないようにされるが、クロードの元に帰りたいと一時間土下座で粘り、アリスは湯音の強情さに負けて湯音を家まで送った。
さらに湯音の売った着物がアリスの手元にあり、タダで返してあげる変わりにブランシュ家に住むように言われもしたが、クロードとの約束を自分が勝手に無い物にしてはいけないとアリスに言った。
クロードに対しては、日本流の気の使い方なのか最初はフランス語が分からないフリをして、何を言われても「はい、クロード様」と頷いていた。
その時にクロードから貰った幼児向けの絵本をとても大事にしている。
湯音の着物の振袖が引っかかり作品を壊してしまった時には、自分の大事な着物を売ったり、その後地味な着物だけを着るようになった。
黙って何かを我慢するなど、日本人特有の気の回し方をして、それがクロードを困らせる事もしばしば。
当時の日本では食べないチーズが苦手で、醤油をつけて食べている。
しかしクロードの美味しいと思うものを自分も美味しいと感じたい、そうじゃなければクロードに喜ばれる料理が作れないと、チーズ等の食べ慣れない物を克服しようとしている。
苦い珈琲も苦手で、甘いカフェオレにして飲んでいる。
苦手な物を食べても大げさには顔に出ないが、美味しいものを食べると顕著に顔に出る。
日本には父と姉がいて、母は既に死去している。

クロード・クローデル

CV:近藤隆

ロアの看板店(アンセーニュ・ド・ロア)の三代目店主。
父親(二代目)はクロードが小さい頃事故で亡くなっている。
祖父の代からロアの歩廊(ギャルリ・ド・ロア)内で使われている看板や装飾品を店で作っていた。
年々寂れて行くロアの歩廊を立て直そうと奮起している。
湯音が自分の元へ来る事は全く知らず、突然現れた文化の違う異国の少女に戸惑う。
人当たりはきつく頑固で、感情で怒鳴ったり、偏見や差別なども持っている。
しかし、間違いを指摘され自分でも納得すると訂正したり、他人から学んでいく素直さも持ち合わせている。
情は深く、一度心を許すと優しい。
また、湯音は1人だけやたら自由なオスカーに対して懸念を持っていたが、クロードはオスカーが自由であることを良しとしている。
カミーユとは幼い頃に交流があり、その頃は好意を持っていた。
しかしカミーユに遊び相手宣言されてプライドを傷つけられ、それ以降はカミーユのこともブランシュ家のことも良く思わなくなった。
厳しい父親とは確執があり、さらに死に際を見てしまったこともあり、父に対しては畏怖・愛情・尊敬など複雑な感情を抱いている。
湯音に対しては最初は厳しかったが、次第に湯音や日本の文化を理解して行き、クロードなりに湯音の事を大事にしようとしている。
だが、湯音を深く知れば知るほどいつか来るであろう別れを怖がり、湯音自身の事に立ち入る事を躊躇ってもいる。
たまに湯音に感情的に怒鳴ってしまったり、言葉や理解が足りずに傷つけしまうこともあるが、他のキャラとの対応の差を比べると湯音にはかなり優しい。

オスカー・クローデル

CV:田中秀幸

クロードの祖父。ロアの看板店を築いた人物。
現在は職人としての一線を離れている。
放浪癖があり、その時の気分で突然旅に出て行ってしまうことがある。
湯音はクロードは一生懸命働いているのにオスカーは怠けていると心配していたが、クロードのほうはオスカーが自由に生き笑っている事に救いを感じている(クロードの思いを聞いた湯音は、自分が心の小さい人間だったと訂正した)。
異文化に興味があり、日本の風習などにも詳しい。
湯音にとってはクロードの気持ちや行動の意味などの解説訳で、クロードにとっては湯音の行動や日本文化の解説役にもなっている。

ジャン・クローデル

クロードの父親。
ロアの看板店の2代目店主。
小柄な体であるが、厳格で職人気質の厳しい性格。
百貨店の建設・設計に関わっていたが、クロードが小さい頃に建設中の落下事故で亡くなった。
現場にはクロードもいて、父親が落ちる所を見てしまう。
そのことがクロードが百貨店を嫌う原因のひとつにもなっている。

アリス・ブランシュ

CV:悠木碧

ブルジョワなブランシュ家の娘。
日本に並々ならぬ興味を持ち、着物や日本人形など日本のものを集めている。
日本には浮世絵に描かれたような女性がいるのだと思いを巡らせ、ロアの歩廊に日本人の少女がいると聞いて大興奮し、湯音を自宅に招いた。
クロードのメイドだと思って湯音を買収しようとしたり、クロードの家に帰さない様にするなど強引な手段をとろうとするが、湯音の強情さに負ける。
その後は湯音と友人関係を結ぶ。
誕生日に湯音の着物をカミーユから貰い、ブランシュ家が持つロアの歩廊の所有権も父から貰う。
性格が好奇心旺盛で明るく、喜怒哀楽が顔に表れる。
クロードは湯音がブランシュ家の人間と仲良くする事を良く思っておらず、アリスにとってクロードは湯音との間を邪魔する存在で、犬猿の仲。
ブルジョワであるにも関わらず、気さくで明るく、非お金持ちにも差別を持たずに接する。

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@keeper

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