ブラック・ジャック / Black Jack

ブラック・ジャック / Black Jack

『ブラック・ジャック』とは、手塚治虫による日本の漫画作品で、医師を主人公とした医療ドラマの漫画である。1973年に『週刊少年チャンピオン』に連載が開始された。
主人公であるブラック・ジャックは、非合法の手術を行う天才的な外科医であり、高額な報酬を要求する。物語は、彼が病気や怪我で苦しむ患者たちの元に現れ、難病や難治の症例を成功させる姿勢や、その過去と向き合う様子を描いている。
本作品は医療をテーマにした漫画でありながら、人間ドラマや道徳的な問題、倫理的なジレンマを探求する要素も多く含まれている。ブラック・ジャックはしばしば法の枠を超えた医療を行うため、彼の行動や思考はとても複雑である。そのため、医療や倫理に興味を持つ読者にとって、非常に魅力的な作品となっている。
また、手塚治虫のキャラクターデザインやストーリーテリングの独自性が際立っており、多くの読者に愛されている。また、アニメ化や実写映画化など、さまざまなメディアで展開された。

ブラック・ジャック / Black Jackのレビュー・評価・感想

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ブラック・ジャック / Black Jack
10

生命と正義、そして愛情。全てを考えさせられる人生の教科書・漫画『ブラック・ジャック』

皆様は漫画『ブラック・ジャック』をご存じですか。「作品名は聞いたことがあるけど、読んだことはない」、そういった方が多い印象です。
しかし、そんな方にこそぜひ読んでいただきたい名作なんです。今回は本作を知った後、ワクワクして漫画を読めるように、ネタバレなしでレビューをさせていただきます。

まずは作品概要とあらすじから。
漫画『ブラック・ジャック』は、1973年に漫画家・手塚治虫氏が発表した医療系漫画です。天才的な技術を誇る一方、医師免許を持たず、治療には法外な大金を要求する外科医のブラック・ジャックの活躍を中心に描かれています。

次に作品のおすすめポイントですが、個性豊かで魅力的なキャラクター、毎回深く考えさせられるストーリー、時には涙を誘う名言の数々など、おすすめしたい理由がたくさん。どれをとっても不朽の名作と呼ぶにふさわしい漫画です。
そのなかでも特におすすめしたいポイントは、ストーリー性の高さです。読み切り連載形式のため、1話完結型なのですが、その1話に登場する人物たちの抱く強い感情や掲げる正義があり、どの話も自然と心が引き込まれていくんです。
「生命とはなにか」「正義とはなにか」が描かれているこの漫画。感動必至のヒューマンドラマを読みたい方におすすめです。単行本は通販サイトなどでも購入可能ですし、電子書籍でも楽しむことができます。

ブラック・ジャック / Black Jack
10

奇跡の腕を持つ天才外科医ブラックジャック、無免許だがその腕は今日もどこかで奇跡を生んでいる。

医者の漫画としての走りだと思う。
手塚治虫は医学博士の免許も持っているので人間の内臓や体の描写もリアルで臨場感がある。
医者は命を扱っている仕事なのでそこには数えきれない人間ドラマがある。
天才外科医がゆえに医学の限界、神が与えた理不尽な運命、オペするだけが私の人生と言い切るブラックジャックは数々の名言を生む。
「医者は体の傷は治せてもねじれた心の傷までは治せん!」
手術が終わり満天の星空をひと筋の流れ星が落ちてゆくのを見て、
「流れ星となって1つ1つ消えていくように見えても星の数は一向に減らない、病気っていうのはこんなもんなのかもしれないねえ」
テロリストの爆破で停電になり手探りでオペをして患者を救い他の病室で5人の重症患者が亡くなったのを聞き、逮捕されたテロリストに
「大したやつだな、簡単に5人も殺すなんて、こっちは一人助けるだけで精一杯なんだ」
そう言って去っていくブラックジャック。
一つ一つが私の心にジンと心に残る名セリフとなっている。
消えるはずだった患者の命を救い新しい人生生活へと導くこんなすごい職業があるだろうか。
救えなかった命、医者が治療するしないに関わらず、天へ召されるものは召され助かるものは助かるそれが神様の思し召しだとしたら医者は何のためにあるんだ、自分が治療していた伝染病にかかり自分の命と引き換えに血清を残して死んでゆくドクターの亡骸を抱えブラックジャックは怒鳴る、医術は万能ではなくおごるべからず、恩師の遺言を胸にかみしめる彼に深い共感を持った。
ブラックジャックのあとに衣料を扱った漫画が次々出てテレビドラマ化もされているがこのブラックジャックの世界だけは映像では表現しきれないものがあると思っている。
医療はビジネスにしてはならない特別な分野だと思っている。

ブラック・ジャック / Black Jack
10

元祖医療漫画の傑作

手塚治虫作品は数多くありますが、その中でもお勧めなのは「ブラック・ジャック」です。連載は週刊少年チャンピオンで同時期には「がきデカ」や「マカロニほうれん荘」「ドカベン」など有名作品が掲載されていました。本作は医師免許を持っていた作者の医学知識もあり漫画ながらリアリティを重視した描写が魅力でもある。今でこそ専門職に特化した漫画作品は多数発表されているものの当時としては非常に珍しい作品であったと思う。ストーリーも一話完結であり、またその内容はヒューマニズム的な話が比較的多かったが、中には異星人を手術したり、知性を持ったコンピュータを手術(修理)したりとSF的な話も多かった。先に述べた「がきデカ」「マカロニほうれん荘」などのギャグ漫画、「ドカベン」の様なスポ根漫画などの王道からは一線を画してはいたものの、地味ながらも根強い人気を誇っていた。後に実写映画化やTVアニメ化などされ、また「ブラック・ジャック」を題材にした他の漫画家による作品も発表されており、現在も本作の人気は衰えてはいないと思っている。また本作の魅力は作者の他の作品の登場人物がゲストアクターとして出演している所も他の漫画と違った楽しみ方ができた作品であった。是非一度は読んで見て欲しい作品です。

ブラック・ジャック / Black Jack
10

どこから読んでも面白い!

これぞ手塚治虫の不朽の名作。
彼の代表作を挙げたらキリがないが、多くの人に読まれ、愛され続けている手塚作品の一つだ。
一話完結の構成で、それぞれのエピソードに命の尊さを訴えるドラマがある。まさにどこから読んでも面白い。
読んだことのある人であれば、心の中にいつでも思い出せるストーリーがひとつはある、そんな作品だ。
主人公のブラックジャックこと、間黒男は無免許外科医。
天才的なメス捌きで、金さえ積めばどんな病気でも治してしまう。
誰にも治せない難病・奇病、表の医者には扱えないワケありの患者など、様々な登場人物がブラックジャックを訪れるが、病気だけでなく人間の中にある欲深さや愚かさとも向き合っていく。
また手術シーンなどは、医学の道を歩んだ手塚治虫だからこそのリアルな描写が目に焼き付いて離れない。脳みそのシワ、毛細血管の一本までもが緻密に描かれている。無脳症という奇病の赤ん坊の描写は、子供の頃に見てトラウマになった人も少なくないのではないだろうか。
どんな病気でも治してしまう、神様のような存在。
死という恐怖から救ってくれるブラックジャックのような存在を、心のどこかで我々は待ち望んでいるのかもしれない。
秋田文庫では全17巻。老若男女問わず楽しめる作品だ。

ブラック・ジャック / Black Jack
10

年代世代を超えて愛され続ける作品

無免許だが天才的な外科技術を持っている医師ブラック・ジャックが主人公の作品。
どの病院でも匙を投げられたような難病の人々を無免許医ブラック・ジャックが助けていく中で様々なドラマが繰り広げられていく。超天才外科医である彼のもとには様々な人が最後の砦として駆けつけるが、時には宇宙人も直してしまう。この作品にはこういうユニークなところもあり、そこがとても面白い。

いつも冷静沈着非常にクールな主人公だが、高慢な金持ちには法外な治療費を請求した一方で、貧乏な親子には無償で治療を施すといった人間味あふれる主人公。
そんな彼には秘密があり、なぜ無免許なのか?なぜ顔に大きな傷跡があるのか?読み進めていくうちに徐々に明らかになっていく。結局最後まで分からないことが多かったがこういった伏線には非常に引き込まれた。

ずいぶん昔の作品であるが今読み直しても新鮮で、一話一話映画を見ているような感覚に襲われる。命とは何なのか?生きるとはどういうことか?悪とは?正義とは?いろいろ考えさせられる作品である。

作者は言わずと知れた手塚治虫である。彼は実際に医学部を卒業しているということもあり、題材には非常に専門的な内容が含まれていることがある。その内容に矛盾やおかしなところが少々あり、批判的な意見もあるらしいがそこはマンガと思って読み進めていって欲しい。
私の知人にもブラック・ジャックにあこがれて医師を目指すようになった人も多数おり、医師の倫理観の形成に大いに貢献している。自分の子供に医師を目指してもらいたいご両親、今現在医師を目指している学生にぜひ読んでもらいたい作品。

ブラック・ジャック / Black Jack
10

深く考えさせられます

医学博士でもある漫画家「手塚治虫」さんが描いた作品です。医療についての考え方、人間の欲望・価値観などを深く考えさせられるお話です。主人公のブラック・ジャックは、大変優秀な外科医ですが、無免許医。もう助からないと思われる患者たちを素晴らしい腕で手術し、次々と助けていきます。しかし、法外な値段をとっており、一見、悪者に見えます。しかし、作品を読み進めていくと、彼が大変愛情深く、正義感に溢れていることがわかります。命はお金には換算できませんが、もし換算するなら、いくらになるのでしょう。人間、動物、小さな生き物たち、命の重さって違うのでしょうか。私たちが作った社会は、いかに人間本位で動物たちに冷たく、また、一部の人間に都合よく、理不尽に出来ていることでしょう。しかし、そうは思ってもなかなかそれを批判し、正しい行いを貫き通すことができる人間はいません。お金や権力のある者には抗わない人ばかりです。自然を愛し、地球を愛し、人を愛する手塚治虫さんの想いが要所要所に表れています。ブラック・ジャックは人間として、カッコいい!少し読み始めると、もう止まらなくなること間違いなしです。子どもにも、大人にも、年齢問わずおすすめしたい作品です。

ブラック・ジャック / Black Jack
10

子どもと一緒に楽しむ、命について考えさせられる物語

手塚治虫の誰もが知っている有名な作品です。最初は漫画でしたが、アニメでも放送されました。
ポップな絵や個性的なキャラクターが多いのですが、話のベースは医療なので重い話が多いです。しかし、一般のアニメ枠30分でほぼ完結していますので、内容は重いですがあまり構えず見る事ができます。キャラクターも可愛らしいですし、手術シーンもグロテスクに描かれていないので、小さなお子様と一緒に見る事ができ、命の大切さや生き方、お金、人の想いについて考えさせられるとても深い作品です。長年愛されている理由はそこにあるのだと思います。
ブラックジャックは医師免許を持たないもぐりの医者ですが、神の腕を持つ天才外科医で、法外な高額手術料をとるという設定です。窮屈な現代社会で生活している私たちにとって、アウトローな設定と天才的な実力を持ち、クールなのに実は命について真剣に考え、絶対に諦めないブラックジャックという人物に惹かれる人は多いのではないでしょうか。周囲に流され周りの目ばかり気にして、自分の不甲斐なさを感じる時があります。そんなときにブラックジャックを見ると、もっと自分に自信をもって、何事も経験し実力をつけることに集中しようと思えます。

ブラック・ジャック / Black Jack
9

医療マンガとして最高峰

手塚治虫の絵というのは、かわいらしいと言った方がいいような丸みを帯びた画風なのですが、ブラックジャックに関しては、見れば見るほどなぜかかっこいいです。絵に加えて内容も1話完結で読みやすく、最後に読者に生命について考えさせるような終わり方をすることもあります。またピノコがかわいらしいです。ブラックジャックを本当に愛しているのが読んでいて微笑ましく、漫画の中の女性キャラのうちで一番好きなように思います。ピノコが題材の回は本当に面白く読めて、中でも『人生という名のSL』では、大人になったピノコが出てきて、ちゃんとブラックジャックの奥さんとなっています。それ以外に関しても、とても楽しく読めます。
気に入っている話は幾つもありますが、名医だというのに患者の体の中にメスを忘れてしまう話や、法外な価格で手術を請け負うのにも関わらず、手術料を1円も受け取らないという場合もあります。猫などの動物を手術することもあります。アニメではラルゴという犬がずっと飼われて出てきますが、漫画では最後に命を落としてしまうという回もありました。その最後のコマが物悲しい。アニメと比べると暗い雰囲気はありますが、それもまた独特でいいように思います。

ブラック・ジャック / Black Jack
10

ブラック・ジャックのすばらしさについて

作品としてはかなり古いものであるが、当時の社会的背景のもとで、天才外科医であるブラック・ジャックの活躍が描かれている。彼は天才的な技術と引き換えに、高額な手術代金を要求するのだが、その法外な料金の裏に、「命の重さ」についてどのようなものかを考えさせるようになっている。
また、彼が手術に失敗することも描かれていて、主人公ながら万能ではない、というところに一種の親近感を抱けたりもする。生き方としては非常にアウトローで、とても褒められたことではないが、作中の奇跡的な手術シーンを見ると、人は肩書やステータスですべてが決まるわけではないのだと、生き方についても考えさせられる。
彼を取り巻くキャラクターたちも、愛らしかったり、憎らしかったり、どうしようもない悪人だったり。そんな個性的な面々と、クールなのに時に人情に篤かったり、情熱的だったり、皮肉屋だったりする主人公との掛け合いがとても楽しいのである。医学を目指す人もそうでない人も、一度はこのカッコいい天才外科医の生きざまを見ておくことをおススメする。漫画なので突拍子もない、架空のもの(病気)もたくさん登場するが、いかにスマートに自分の腕を振るい解決していくかが見ものだし、命とはいったい何なのかを考えるきっかけとなれる漫画だ。