後宮の烏

後宮の烏のレビュー・評価・感想

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後宮の烏
7

アニメ『後宮の烏』を見てのレビュー

この作品をひと言で表すと、「説明するのが難しく、でも確かに存在する愛の形」だと思います。

この作品は架空の中国後宮を舞台の中心としていて、主人公は後宮で唯一夜伽の無い妃、寿雪(じゅせつ)です。
寿雪は烏妃(うひ)という位で、後宮で特殊な能力を使い、占い師のようなことをしています。
先代の烏妃から「必要以上に人と関わらないように」と言われていましたが、心根が優しく好奇心の強い性格ゆえに、様々な事件に巻き込まれていきます。そして、自分の能力や出自についての謎に迫っていくのです。

この作品の見所は、登場人物たちが抱く「様々な愛の形」です。恋愛感情はもちろんのこと、友愛、兄妹愛、家族愛など、様々な愛が作品に散りばめられています。愛ゆえに葛藤する人間の姿を、美しく表現しているところがこの作品の魅力です。

加えて、寿雪が巻き込まれる事件の謎解き要素も、この作品の魅力の一つです。
特に寿雪は死者と繋がる能力を持っているため、死者の感情面からも事件解決のアプローチをしていくところが、他の作品の謎解きとは一味違っていて楽しめます。
アニメのクオリティも高く、作画も美麗です。またオープニング、エンディング曲共に素敵ですので、是非一度ご覧ください。

後宮の烏
8

この世に悔いを残し去っていった霊を成仏へと導く

王宮に居ながら夜伽をしないウヒ。冷たそうで温かい女性、陛下と会う度に心を開いてはいるが自分を失う事がない。毎回話が違い、面白いです。週に1回の更新なんですが待ち遠しいです。それに絵がきれい。陛下や次女も綺麗に描いています。この世に悔いを残した妖の切なさにも心打たれる、そんな物語も斬新です。現実的な話ではないのですが、現代の社会にも起こりえる陰湿な虐めや、好きな人と結ばれずに悲しい思いでこの世を去った人が例となって登場し、成仏して天に召される時には幸せを感じられる内容になっています。
これからのウヒと陛下の進展も気になる所です、ウヒが本当に人を愛して良いのか、愛して自分の運命が変わるのか、成仏へと導く力が失せないのかその辺が気になります。最初に見たときには台湾や中国のアニメかなと思いましたが、作者が白川さんという方で日本のアニメでした。ウヒや陛下、周りの人たちとの掛け合いも見ていて面白いし、可愛いキャラクターもいます。陛下の手土産のお菓子も今までに食べた事もない物も多く、食べてみたくなる様な場面もチラホラありますよ。週に1回の更新なので次回の放送まで待ちきれないと思うこともありますが、更新された放送を見る事が1番の楽しみになってきました。何話まであるのか分かりませんが、楽しみを与えてくれた「後宮の烏」はお勧めです。