子供たちに読ませたい、斉藤隆介作品

主に「自己犠牲」を謳った作品が多い斉藤隆介作品。YouTubeで朗読もされている作品もあります。「そんなのは古い」「トラウマになったんですけど…」なんて言わずに、是非。

『モチモチの木』

比較的初心者向けかと思います。「自己犠牲」といっても小さな勇気を奮い立たせるお話です。「ちょっとしたご褒美」など、随所にみられる斉藤氏の優しい目を感じます。

表紙で敬遠している人も多いようですが。

爺様、表紙だと悪人面に見えますが、読んでみると優しいおじいちゃんですのでご安心を。

『かみなりむすめ』

雷様の一人娘が遊び相手欲しさに勝手に地上に降りて、というお話。軽く「女の嫉妬」「子供の残酷さ」みたいなものを感じさせる部分もありますが、温かくも切ないお話です。

『花さき山』

優しいことをすれば花が咲く、というお話。山姥が出てきますが、怖いキャラではなく語り部です。何気ないことで、ここの花は咲くようです。

『ベロ出しチョンマ』

作中、『ベロ出しチョンマ』は人形として売られているという設定ですが、実在はしていません。個人等で作られたものはありますが。身分制度について、そして家族を思うがための行為が、誰かを悲しませも喜ばせもするんだと考えさせる…そんな一作です。

何故両手を広げているのか?ベロを出しているのか?読んでください。主人公長松、12歳なのに強いです、この子。ただ「トラウマになった」という声、かなりショッキングなシーンもあるのでご注意を。

『三コ』

長いこと生きている大男、「三コ」とオンチャ(家を継げない次男や三男など)たちとの交流をはじめに描き、山や海が怖がって泣く様などをユーモラスに描いたかと思えば…。

個人的には挿絵がトラウマです。

笑って死ぬ。中々できないですよね。それでも誰かのために「あきらめなければ大丈夫」と、励ましの言葉を送って…。

『火の鳥』

「火の鳥が飛ぶと凶作になる」という伝説のある村。母親の形見であるかんざし一つで火の鳥退治に向かう少女の話。アクション映画張りの戦闘シーンは読みごたえがあるかと。

目が「戦う女」の目です。

ここに挙げたのはほんの一部ですが、中には中編もあります。すべてが自己犠牲ものではないし、ユニークな一遍もあるので、読み聞かせしてあげてください。そして、一緒に色々と考えてみてください。ほぼすべての作品の挿絵を、滝平二郎さんが手がけています。この人の絵は実に芸術性が高く、物語に花を添えています。

ソメコとオニなんかはトラウマになる率はほぼゼロかと。

えどまち
えどまち
@edono78

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