私の推しは悪役令嬢。(わたおし。・わた推し)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『私の推しは悪役令嬢。』とは、2018年1月から2021年2月まで小説家になろうなどの小説投稿サイトで連載された、いのり。による異世界転生かつ悪役令嬢ものの作品である。 乙女ゲーム『Revolution』の世界に、ヒロインのレイ=テイラーとして転生した社畜OL・大橋零が、ゲームの推しキャラである悪役令嬢・クレア=フランソワを射止めるために奮闘するのが内容。 2023年からTOKYO MXほかで放送されたアニメも公開されている。魅力は、キャラクターの成長や恋愛要素、軽快な展開が楽しめることである。

『私の推しは悪役令嬢。』の概要

『私の推しは悪役令嬢。』とは、いのり。による日本の百合ライトノベルであり、異世界転生かつ悪役令嬢ものの作品である。乙女ゲーム『Revolution』の世界に、ヒロインのレイ=テイラーとして転生した社畜OL・大橋零が、ゲームの推しキャラである悪役令嬢・クレア=フランソワを射止めるために奮闘するのが内容。この作品は、キャラクターの成長や恋愛要素、軽快な展開が楽しめることが魅力的である。2023年からTOKYO MXほかで放送されたアニメも公開されている。アニメ版は全12話で、2023年10月から12月にかけて放送された。キーワードは「百合」「異世界」「なろう系」「ラブコメディ」。略称は「わたおし。」、「わたおし」、「わた推し」などと表記ゆれが存在する。
また、青乃下による漫画版もあり、『コミック百合姫』(一迅社刊)にて2020年8月号(2020年6月)より連載され、2021年12月にレーベル百合姫コミックスの下に単行本が出版された。さらに、公式スピンオフ漫画『私の推しは悪役令嬢。メイドキッチン』も同誌2023年8月号(2023年6月)より同年11月号まで連載されている。
同作者によるスピンオフ作品『平民のくせに生意気な!』は2021年5月より小説家になろう・カクヨム・Pixiv・PixivFANBOXにて連載が開始されており、GL文庫によって書籍化され、2022年2月に第1巻が発売された。

『私の推しは悪役令嬢。』のあらすじ・ストーリー

気がつけば好きなキャラクターのいるゲームの世界に異世界転生

現実世界で中小企業に勤める大橋零(おおはしれい)は、いつものようにブラックな残業を終えて、王立学院を舞台に3人の王子様との恋を楽しむ恋愛シミュレーションゲーム『Revolution』に没頭していた。すると意識が飛び、気がつくと別の場所にいる。目の前にゲーム内の悪役令嬢、クレア=フランソワがこちらに高圧的な態度で「平民風情が同じ机を並べるなんて」と発言をしていた。周りを見渡すと、ますますゲームの光景となっている。大橋がクレアに「私の名前をご存知ですか?」と聞いてみたところ、「レイ=テイラーに決まっているではありませんか」と返してきた。なんと、自分がつけた主人公の名前ではないか。とすると、ここはゲームの世界で、異世界転生したのだ。さっそくレイはクレアに「好きです」と告白をする。クレアが「あなたのことなんか大嫌いですわ」と突き放せば、レイは「それで構いません。もっとそうしてください」と嬉しがる。しまいにはレイは「一緒に楽しい学園生活を目一杯楽しみましょう」と言い出す始末だ。
レイが廊下をクラスメイトのミシャ=ユールと一緒に歩いている時に、クレアが後ろから押してレイを転ばせても、「取り巻きの者がいるにも関わらずご自分の手で汚される!」となんでも良く受け取り解釈する。レイは相部屋でミシャに、「クレア様は名門中の名門。その気になればあなたなんてどうにでもできる。関わるべきでない」と諭されても、「私はクレア様が大好きだから」と意に返さない。一線を越えない嫌がらせも愛しいという。水をかける、死んだ人に供える花を席に置かれる等のいじめにも愛と感じて屈しない。
ある日、レイとミシャが学園内を歩いていると、前からクレアと取り巻きのロレッタ=クグレットとピピ=バルリエたちがやってきた。すかさずレイがクレアに挨拶すると、とうとうこれまでのことが溜まりに溜まっていたクレアは怒り出して、「この学園から出て行きなさい」と喧嘩し出す。そこへ、本来ならば攻略対象の3人の王子であるロッド=バウアーとセイン=バウアーとユー=バウアーが現れる。
レイは3人に全く興味はなかったが、クレアがセインのことが好きだったのを知っているため「好きなことを言ってしまわないのですか」と勧めたところ、恥ずかしがったクレアはセインのことを「全く好きではありません!」と言ってしまう。謝りましょうとレイはクレアに言うが彼女はまたまた怒りだし、「あなたをとことんいじめ抜いてやりますわ!覚悟なさい!」と言い放った。

クレア様のメイドとして奉仕

クレアのメイドの募集にレイが応募してきた。最終面接で、クレアの父親で財務大臣であるドル=フランソワも登場し、レイが平民のくせに貴族のドルに口を聞いたことでドルが冷たくあしらおうとする。だがレイが「50万ゴールド」「アーヴァイン=マニュエル」「3月3日」という単語を口にしたことで、ドルの態度が一変する。実はドルが密かに行っていた、国内に潜むレジスタンスたちへの金銭支援の内訳を端的に喋ったからだ。レイとドルが密談し、結果ドルがクレアに「手懐けてみせよ」とレイをメイドにするよう言ってきて、クレアの専属メイドになることができた。先輩メイドのレーネ=オルソーが大体をこなすのだが、レイは兼任して学園生活での補佐を行う家庭教師の役割も担う。といってもクレアが優秀なので特にやることはなかったが、側にいつもいれて、愛でられるので一石二鳥なのであった。
クレアとレイ、レーネとミシャが学園の一室でお茶会をしている時に、ミシャがレイに「あなたは同性愛者なの?」と聞いてきた。レイは「そうなんだろうと思う」と答える。続けて「好きになれば性別は関係ないというけれど、少なくとも男性を好きにはならないよ」と意味深なことを言う。レーネが「ならクレア様のことは諦めているの?なぜセイン様とくっつけようとするの?」とレイに聞いてきた。前にやったセインとクレアをくっつけようとしたイカサマの王様ゲームなどの事をいっているのだ。レイは「報われなくてもいいと思う。セイン様が好きなクレア様を応援したい。私は近くにいられれば幸せだし」と言い切る。
そこへ「レイが女のくせにクレア様に言い寄って」と通りかかった女生徒たちが悪口を言った。すかさずクレアがその女生徒たちに紅茶をわざとかける。4人の話を聞いていて、レイのまっすぐな態度に曲がったことが嫌いなクレアはどうもモヤモヤしていて、ちょうどうさを晴らす女生徒たちが通りかかったからだ。「子供なのよ」とレーネはミシャに言う。

平民運動と陰謀

「平民運動」が学園内外で活発化してきた。貴族と平民に格差があるとして、平等にするようにしようとする運動だ。運動は激しさを増し、平民たちが学園の門まで押しかけてデモをしてきた。学園で平民の一生徒であるマットがユーに市民運動の話を聞いてもらおうとしたが、ユーの仲間のディードが平民が出しゃばるなと諍いになり、ディードが魔法でマットを全身やけどさせたのが原因だった。
夜、謎の者の仕業により門の衛兵たちが気絶させられ、平民たちの手によって門が破られる。学園内では、レイがゲームでの知識を利用して先回りし、金庫にしまってある魔物を呼び寄せる鈴を壊しておいた。鈴を使おうとしていたのはレーネの兄のランバートなのであった。レイは「あなたがディードの魔法の杖に細工をしましたね。魔法の道具の整備を一手に引き受けているから容易いことです」と話し、「裏で平民運動を扇動し、学園を魔物に襲わせる計画なのでしょう」と事の真相を指摘する。しかしランバートは国の魔法石を扱う大きな商会で、なぜこんな旨味のない事をしでかしたのか。それは、妹であり禁断の恋の相手でもあるレーネが人質にとられていたからなのであった。レイはやめるように言うが、そこにわざわざ巻き込まないようレイが魔法で眠らせていたクレアを人質にとったレーネが現れ、「もう引き返すことはできない」と凄む。クレアも可愛がっているため、ポケットに入っていたレイの使い魔である従魔のスライム・レレアがレーネの短剣を落とし、クレアが起きてオルソー兄妹に投降を促す。そこへレイも知らない謎の男・敵国ナー帝国の者が現れ鈴を不思議な力で直し、ランバートに使わせキマイラを解放させる。被害を大きくするとオルソー兄妹はどんな処罰を受けるかわからないので、レイとクレアの2人でキマイラを倒すことになった。2人は連携し、レイが逃げまくって時間を稼ぎ、クレアが詠唱を溜めて強力な魔法「マジックレイ」でキマイラを打ち倒した。オルソー兄妹は捕縛され、デモは解散、平民運動も下火になっていった。
レイとクレアは王に呼ばれ、褒美としてやはり事態の大きさから死罪になるはずのオルソー家の助命嘆願を申し出る。減刑するには事が大きすぎると断られそうになるが、セインが現れ跪いて許しを請い、クレアも「今回の騒動は平民をちゃんと扱っていないために起きた騒動。平民であるオルソー家を助命することで平民への示しにもなるかと」と申し出る。王はオルソー家を国外追放処分とし、レーネとは別れることとなった。

レイの恋の行方

マナリアと決闘するレイ

クレアのレーネを失った傷心を埋めるかのように、クレアの古くからの付き合いで「お姉様」と慕っているマナリア=スースが学園に転入してきた。
マナリアはクレアと仲睦まじく、レイはクレアにあまり構ってもらえなくなる。ある夜レイは学園内でマナリアに出くわし、マナリアがレイを挑発していることと、なぜ自分でクレアを幸せにしないのか問いただしてきた。
それらのことがきっかけで別の日、マナリアとレイは結界を張った中での魔法を使った決闘をすることになり、レイは圧倒的差で負けてしまう。心が折れたレイはメイドも辞め、クレアから距離を置く。それを見かねたマナリアはレイに「このままでいいのか」と詰め寄る。マナリアはそれならクレアを慰み者にすると宣言してくる。レイはそんなことはさせないと、天秤に供物を捧げ想いの重さを量る「アモルの祭式」の儀式で再び勝負を挑む。
儀式の日、マナリアは儀式に供えるものとしては最高級のフロースの花を持ってくる。遅れてレイが持ってきたのは見た目はただの木の枝。しかし天秤に乗せてみると、枝が急成長し巨木となり、秤はレイの方へ傾いた。実は木の枝は「連理の枝」といい、レアな出現率を持つ隠しアイテムだったのだ。レイはクレアに「パートナーとなってくれますか」と告白し、いい雰囲気になっていたところへ、マナリアが本当はレイに気があったことを明かす。レイに言いよるマナリア。そこへクレアは「レイは私のものですわ!」と口走り、そのあとすぐさま否定してお馴染みの嫌がるクレアにレイが一方的にいちゃつく関係が復活する。
こうしていつもの日常が戻ってきたのだった。

『私の推しは悪役令嬢。』の登場人物・キャラクター

主人公

レイ=テイラー

CV:芹澤優
大橋零は、乙女ゲームをこよなく愛するOLで、ある日ゲームの世界にその主人公・レイ=テイラーとして転生する。ショートカットの髪が特徴。彼女は魔法に対する才能が高く、地と水の二つの属性を操る「デュアルキャスター」として、平民枠でバウアー王立学院の首席特待生に選ばれる。彼女にとって最も大切なのは、後にパートナーとなるクレアとその二人の娘たちだが、それ以外の人や物事にはほとんど関心を示さない。特に、クレアの周りにいるピピやロレッタなどの取り巻きには冷たい態度を取るのだ。
レイはクレアに深い愛情を抱いており、クレアからのいじめを愛情表現として受け止めるなど、独特の感性を持っている。表面上はクレアの幸せを願い、彼女とセインをくっつけようとするが、内心ではクレアへの想いを抑え込む。
この世界についてはゲームを何度もプレイし、同人誌を作成するために設定資料を熟読した結果非常に詳しい知識を持っており、開発スタッフ以上に詳しいと自負している。前世では、好きな人に同性愛者であることを告白した後、いじめの対象となり孤立してしまった経験がある。転生後、自分を「同性愛者」と明かす。前世での社畜生活の中で、乙女ゲームは彼女にとって唯一の慰めであり、クレアの存在は彼女にとって救いであった。

主要人物

クレア=フランソワ

CV:奈波果林
『Revolution』という乙女ゲームの中で悪役令嬢として登場し、物語の主人公と競合するキャラクター。彼女は財務卿の娘であり、社会的地位は国王や宰相に次ぐほど高い。レイを学園から追放しようと様々な嫌がらせを行うが、レイの好意的な反応により計画は失敗に終わる。レイが彼女の専属メイドとして働くことになった際、父親の助言を受けて彼女の態度は次第に柔らかくなり、最終的には二人は結ばれた。
クレアは4歳で母を亡くしており、普段は美しいストレートの長髪を縦ロールにしている。彼女は負けず嫌いでプライドが高く、不器用な性格をしている。レイに対するいじめも身体的または金銭的な害を与えないよう注意を払い、自分で直接行うなど、プライドが高いが故に意外と優しい一面も持つ。
クレアは自分の所有物に対して強い独占欲を持ち、自分が批判することは許しても他人による批判や傷つける行為は許さない。レイを自分のメイドとして受け入れたことで、彼女を所有物とみなし、レイが困難に直面するとその理由を明かさずに助けるのだ。

ミシャ=ユール

CV:愛美
王立学院で学ぶ一般家庭出身の学生で、レイと同室。彼女の見た目の特徴は、その薄紫色の長い髪である。かつては貴族の家系に属していたミシャは、家が没落した現在でも、高貴な振る舞いや貴族社会の内情に通じている。彼女は第三王子ユーとは幼い頃からの友人で、長い間親しい間柄を保つ。クレアに対しては好意を抱いておらず、クレアへのレイの過度な関心を懸念している。さらにレレアのことを最初に察知し、面倒を避けたいと思いつつも、レレアの教育に手を貸す。

Fuku10104
Fuku10104
@Fuku10104

目次 - Contents