ワンダンス(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ワンダンス』とは2019年より珈琲が『アフタヌーン』にて連載しているストリートダンスを題材にしたスポーツ漫画である。高校1年生の吃音症を持っている長身の男子・小谷花木が、同級生でダンス好きの女子・湾田光莉との出会いをきっかけにダンスにのめり込んでいき、才能を開花させていく。ダンスバトルを通じた心が熱くなる演出が魅力であり、その演出やキャラクター性が評価され、「次にくるマンガ大賞2019」など多数の漫画賞にノミネートされている。

『ワンダンス』の概要

『ワンダンス』とは2019年より珈琲が『アフタヌーン』にて連載しているスポーツ漫画である。
キャッチフレーズは「小谷花木と湾田光莉。2人が挑むフリースタイルなダンスと恋!」であり、ストリートダンスを題材にした作品。
珈琲は2014年に『good!アフタヌーン』にて『カフェオレと殺人鬼』を掲載し、漫画家としてデビューする。その後2015年に同誌に『のぼる小寺さん』で初連載を飾り、同作は2020年に実写映画化されるほど人気を博した。
その後2019年より『アフタヌーン』にて『ワンダンス』を連載する。「次にくるマンガ大賞2019」、「次にくるマンガ大賞2020」など多数の漫画賞にノミネートされる。
高校1年生の長身の男子・小谷花木 (こたに かぼく)は吃音症を患っており思うようにコミュニケーションが取れない悩みを持っており、周囲に合わせながらひっそりと学校生活を送っていた。そんな生活を送っていたある日、校内で踊っていた同級生の女子・湾田光莉(わんだ ひかり)のダンスを見て魅了されてしまう。その後、合同授業で湾田と話したことをきっかけに、言葉を話さずとも自己表現ができるダンスに興味を持ち始める。そして湾田の誘いもあってダンス部に共に入部した2人は、それぞれダンサーとしての才能を開花させていくのであった。
本作の魅力はダンスバトルを通じた心が熱くなる演出が魅力であり、特にダンスの動きを躍動感あふれる形で描いているコマ割りや動きの表現は必見である。また個性的なキャラクターも多数登場し、それぞれのダンススキルの差別点もはっきりとしているため、ダンスバトルとキャラクターの性格の2つの点で読者に印象を残すものになっている。

『ワンダンス』のあらすじ・ストーリー

湾田との出会いとダンス部へ入部

一凛高校に入学した1年生・小谷花木(こたに かぼく)は長身の恵まれたスタイルと整った顔を持ちつつも、言葉を話す時に詰まってしまう吃音症をコンプレックスに持っていたため、周囲の様子を伺いながら目立たないように学校生活を送っていた。そんなある日、小谷は友達と新入生に向けた部活動紹介に参加する。その部活動紹介の中で一凛高校ダンス部がパフォーマンスを行うのだが、小谷は中学生の時のダンスの授業でうまく踊れなかったトラウマが脳をよぎり、ダンス部のパフォーマンスを見ることができずにいた。
部活動紹介の後、小谷は人気のないところでダンス部のチラシを持って眺めていた同じクラスの同級生・湾田光莉(わんだ ひかり)を見かける。チラシから目を離して突如ダンスを始めた湾田の圧倒的な存在感に小谷は魅せられ、彼女とダンスに興味を持ち始める。
その後合同授業をきっかけに湾田と話した小谷は「ダンスは話さなくても自己表現ができる」という湾田の言葉を聞き、ダンスに挑戦したくなる。そして湾田と小谷は2人で一凛高校ダンス部に入部するのであった。

ダンス部のメンバーとオーディション

一凛高校ダンス部に入部した小谷と湾田は、部長の宮尾恩(みやお おん)を始めとした他のメンバーと練習を開始する。練習を始めた小谷であったが周囲はダンスの経験者が多いこともあり、自身の未熟さが露わになってしまう。周囲との技量の差に心が折れかけてしまった小谷であったが、湾田の踊りを見て勇気をもらい、湾田と2人で特訓を始め周囲に追いつこうと努力をする。湾田との特訓で小谷は音を細かく聞くというセンスを開花し始め、持ち前の身長と曲への深い理解度を武器にし、湾田と同様に存在感のある踊りをし始めるようになる。
そんな練習の日々の中、宮尾は6月に行われるダンスコンテストに向けてオーディションを行うことを部活内で発表する。オーディションの内容は課題曲に対し自由に踊り、ダンス部総勢40名から10名のメンバーを選ぶというものであり、湾田は世界一のダンサーになるために、そして小山は湾田と共に踊るためにオーディションの参加を決める。小山はオーディションで勝ち上がるために湾田の踊りから、さらに自分だからこそ出せるニュアンスを磨き始める。そしてそのオーディションに挑んだ小谷と湾田は、他の部員のレベル高いダンスに圧倒されつつも、曲の理解度とダンスで自己を表現しようというパッションを先輩たちに認めてもらい、無事オーディションに合格する。そして小谷と湾田は宮尾をはじめとする他のメンバーたちと共にコンテストに向けて練習を重ねていくのであった。

伊折とのダンスバトルとダンスコンテスト

ダンスコンテストに向けて練習をする日々を送っていた小谷はある日、校内で偶然にもダンス部の先輩である厳島伊折(いつくしま いおり)と出会う。伊折は抜群のダンステクニックを持っているにも関わらず、幽霊部員状態であったため、この時が2人の初めての出会いとなった。そして伊折から突然ダンスバトルを提案され、その提案に応じた小谷は伊折のダンステクニックに圧倒されながらも持ち前の音楽のセンスを生かし善戦し始める。しかし途中からギャラリーが集まってきたため、気を散らした小谷は動きを悪くしてしまう。その結果、ダンスバトルは伊折が制するのだが、小谷のダンスを見た伊折は、小谷と同様に面白いダンスをすると噂になっていた湾田のことに関心を示すのであった。一方小谷も伊折の圧倒的なダンススキルを目の当たりにして、よりダンスの魅力の神髄を知るのであった。
伊折とのバトルを終えて数日が経ち、ダンスコンテスト当日を迎える。結局、伊折は部員としては大会に不参加だったものの、湾田の様子が気になっていたため観客として会場に足を運んでいた。小谷と湾田は緊張しつつも調整を始めていたが、「ダンスの振り付けがダサい」という他校の挑発的なセリフに闘志を燃やし、一段と気合を入れて本番に臨むのであった。本番では序盤、初の大舞台ということもあり小谷は自分の踊りを見失ってしまうが、湾田の踊りを見て自分の踊りへの集中力を取り戻す。そして中盤以降はダンス部のチームワークの高さや宮尾の振り付け構成の高さに加えて、湾田の存在感や湾田と小谷のペアダンスが見事に観客の心をつかむ。その結果一凛高校ダンス部は優勝し、さらに湾田は個人賞を獲得するのであった。また結果を見た伊折は、再びダンス部に戻ってもいいのではないかと考え始めるのであった。

伊折の部活動復帰と壁谷楽との出会い

ダンスコンテストが終わり、いつも通り部活に向う小谷であったが、練習スペースに着くと宮尾と伊折がダンスバトルをしているところを目撃する。宮尾は「ダンスバトルに勝ったら伊折がダンス部に復帰する」という条件で伊織にダンスバトルを申し込み、伊折はその提案を飲んだ形であった。宮尾は部活では普段見せない、ロボットダンスに体を弾くような動きを加えたダンスジャンル「ホッピン」を軸にダンスを展開する。伊折も得意のダンスジャンルであり、ステップを主体とするダンス「ハウス」で応戦し実力が伯仲する熱いバトルを繰り広げるが周囲のジャッチの結果、宮尾が勝利し伊折はダンス部に復帰することになる。
その後、伊折の誘いで小谷は宮尾とダンスバトルをすることになる。宮尾の抜群の上手さとダンスバトルの熱で小谷はいつも以上のコンディションを発揮し、宮尾と互角の戦いを繰り広げる。結果は僅差で宮尾に負けてしまうのだが、小谷はダンスバトルの面白さに魅了され、もっと自分ができるダンスジャンルはないかと模索し始める。
伊折がダンス部に復帰したことにより、小谷と伊折はよくダンスバトルをするようになり仲を深めていく。仲を深めたこときっかけに伊折はダンスバトルを通じて、小谷に動作のスムーズなつなげ方などダンスのノウハウを教える。そんなある日、伊折の提案で小谷と湾田は地元のダンサーが集まって練習している公園に向かうことになる。そこで3人は攻撃的なブレイクダンスで評判となっている壁谷楽(かべや がく)と出会う。伊折と壁谷はかつて仲の良いダンス仲間であったが、伊折がダンスバトルで見たハウススタイルのプロのダンサーを見て以来、ブレイクダンスからハウスに転向したことをきっかけに仲が険悪になり、疎遠になっていた。壁谷は伊折がアクロバティックなパフォーマンスを主体にするブレイクダンスから、ステップを主体にするハウスに転向したことを未だに許すことができず、その怒りから「ブレイクダンスから逃げた」と伊折らに挑発する。小谷はその誤解を解くために、近日壁谷が出場する高校対抗ダンスバトルに出場すると提案する。高校対抗ダンスバトルはオールジャンルのダンスバトルであり、その大会ならブレイクダンスとハウスの優劣がはっきりするということで壁谷は小谷の提案を受ける。その後、「個人的な因縁に部全体を巻き込むことは出来ない」という宮尾の判断で、ダンス部としてではなく希望者のみ高校対抗ダンスバトルにエントリーする形となり、小谷と湾田、伊折、宮尾の4人がエントリーするのであった。また高校対抗ダンスバトルにはダンスバトルの強豪、昌谷高校ダンス部部長巧字千(たくみ うせん)も参加することになり、伊折は闘志を燃やすのであった。
ダンスバトルに参加した小谷と湾田、伊折、宮尾はそれぞれダンスバトルの予選を突破し、本戦のトーナメントに進出する。トーナメントにて湾田と宮尾は巧、小谷は壁谷に敗北してしまうが、伊折が準決勝で巧に何とか辛勝し、決勝戦での壁谷との戦いを制し優勝を決める。
決勝戦での戦いを通じて、お互いのダンスを認め合った壁谷と伊折は再び仲直りをし、過去の諍いも解決するのであった。

『ワンダンス』の登場人物・キャラクター

主要人物

小谷花木(こたに かぼく)

一凛高校の1年生。手足が非常に長く抜群のプロポーションを持ち、髪型は黒髪のマッシュショートヘア。部活では「カボ」と呼ばれている。
吃音症を患っており、同じ音が意図せず重なってしまう「連発型」と言葉を咄嗟に出てこない「難発型」が複合している。吃音症を自覚するようになってから自己表現が苦手になってしまい、周囲に溶け込みなるべく話さないように立ち回るようになってしまう。
かつて体育の授業の影響で上手く踊れなかったことから、ダンスに苦手意識を持っていたが、湾田のダンスを見てから「言葉を発さずとも自己表現ができる」というダンスの魅力に魅せられ、一凛高校ダンス部に入部する。
ダンススタイルはまだ固まっておらず発展途上の部分も多くあるが、楽曲の意図を汲み取る能力と抜群のプロポーションを生かし即興に強いダンサーとして成長している。

湾田光莉(わんだ ひかり)

一凛高校の1年生。小柄な体格で、銀色のストレートロングヘアを姫カットにした髪型をしている。部活では「ワンダ」と呼ばれている。
素直な性格で、自身の価値観や考えをストレートに相手に伝えることが多い。ただ口下手かつSNSやインターネットにかなり疎いこともあり、周囲から無愛想な子として誤解されることも多くある。
ダンスは独学であるが踊ることが大好きだったこともあり、他の人には出せないニュアンスや存在感を放つダンスを得意とする。
マイケル・ジャクソンのファンで「世界一のダンサー」になることが目標であり、目標に近づくために一凛高校ダンス部に入部する。

一凛高校ダンス部メンバー

宮尾恩(みやお おん)

一凛高校の3年生。容姿端麗で黒色の髪色をしており、キャップをかぶっている。
ダンス歴は10年であり、一凛高校ダンス部では部長を務めている。
性格は明るい性格で人当たりが良くしっかり者で、部内での人望も厚い。
ダンスジャンルはホッピンを得意とするが、ロッキン・ヒップホップ・ワッキンと幅広いダンスジャンルに対応できる。
ダンサーとして強い情熱を持っているが将来は演出家を目指したいと考えており、演出家になるためにもバックダンサーやインストラクターとしての経験も積んでいる。

厳島伊折(いつくしま いおり)

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