銀色のハーモニー（柊あおい）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

1929年生まれのイギリス人女優。ハリウッド黄金時代に活躍した。代表作は『ローマの休日』『麗しのサブリナ』『ティファニーで朝食を』など。作中では海が大好きな女優として登場する。琴子も晴海からオードリーの出演作のビデオを借りて視聴する。

『銀色のハーモニー』の名言・名セリフ／名シーン・名場面

榊晴海「本当に相手の事を思うなら時には残酷なことも言わなけりゃならない。本当の友達ってのはそういうもんじゃないのかな」

琴子が鈴子の好きな矢野に彼女がいると知るが、伝えられずに喧嘩になり、晴海に相談した際にアドバイスされた言葉である。
ピアノのレッスンをしながら晴海に「友達と喧嘩したことある？」と尋ねる琴子。「鈴子ちゃんと喧嘩でもしたのかい？」と返す晴海に、琴子は友達が傷つくとわかっているのに現実を伝えられないと相談する。
すると晴海は「本当に相手の事を思うなら時には残酷なことも言わなけりゃならない。本当の友達ってのはそういうもんじゃないのかな」と言うのだった。
自分と全く考え方の違う意見に、琴子も考えさせられる。琴子の成長を促す名言である。

結城琴子「鈴ちゃんはそのままでじゅうぶんきれいよ。あたしの自慢の友達なんだから」

夏休みに矢野の家に遊びに行く際、琴子が鈴子に言った言葉である。
鈴子は買ったばかりのスカートに、姉に借りたトップスを合わせメイクまでし、張り切っておしゃれをしてきたが、琴子が「…いいけど、化粧はやめた方がいいと思うな。化粧は！」と突っ込む。「心証悪くするわよ、特にその真っ赤な口紅！」と言う琴子に、鈴子は渋々「と…取るわよ」と口紅を落とす。
そんな鈴子を見て琴子は「鈴ちゃんはそのままでじゅうぶんきれいよ。あたしの自慢の友達なんだから」と微笑む。鈴子は表情こそ見えないが「…ありがと」と呟く。
親友に「自慢の友達」と伝えられる琴子の素直さと、2人の友情を表した名言である。

榊晴海「想い出っていうのはね、他人に話すと減ってしまうんだよ」

晴海の部屋に飾ってあった色褪せた女学生の写真について、琴子が尋ねた際に晴海が返した言葉。
琴子の弟の天にも「これ、初恋の人？」と聞かれはぐらかしていた晴海だったが、琴子に尋ねられた際は「兄弟で同じようなことを…」と呆れながらも「琴子ちゃん、想い出っていうのはね、他人に話すと減ってしまうんだよ」と笑顔で嗜めた。
他人に話したくない、心にしまっておきたい想い出は一つや二つはあるものだということを優しく琴子に伝えた晴海の名言である。

海が琴子に「響子は彼女ではない」と伝えるシーン

秋晴れの朝、空を見上げていた琴子に気づき、微笑む海。「空がすごく青くて、吸い込まれるんじゃないかと思った」と話す琴子に「君らしいね」と海は返す。
深夜番組を見ていて寝坊し、部活のミーティングをサボることにした海は「後で仁科がうるさいだろうけど」と呟く。
それを聞いた琴子は「仁科さんてほんとに海くんのこと好きなのね。いいわね、あんなに想ってくれる彼女がいて」と言うと、海は少しムッとしたような顔で「ほんとにそう思ってんの？」と言う。「彼女じゃないよ。君まで本気にしてたのか。あの噂」と言う海に「ほんとに？」と琴子が聞き返すと海は「しつこい」と拗ねたように言う。
響子と付き合っているという噂に、初めて海が本気で否定する。その相手が琴子だというところに、海の琴子への想いが芽生え始めているのが感じ取れるシーンである。

『銀色のハーモニー』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話

物語の原点は『トロイメライの風』という作品

作者の柊あおいが新人漫画賞を受賞した『トロイメライの風』から、ヒロインの相手役が「海くん」という男の子であること、ピアノ曲「トロイメライ」がキーワードになっているということが引き継がれている。
これは柊が「『トロイメライの風』を最初に描いた時には消化しきれなかった部分があったから、いつか描き直したい」とずっと考えていたものである。

連載中に交通事故で休載

作者の柊あおいは、本作品を連載中の1991年末ごろに交通事故に遭い、一時的に休載している。
りぼん誌面には読者に心配をかけないようにする為か「病気による休載のお知らせ」と記載され、「回復され次第再開します」と綴られた。しかし休載したのは1992年1月号から1991年4月号までのたった4ヶ月間で、すぐに復帰。一時は意識不明になる程の状態だが、見事に回復を遂げた。

漫画紹介のTV番組に登場

2017年7月14日から同年9月29日までTBSで放送されていた『いつもそばにはコミックが』というミニ番組で本作品が紹介された。芸能人が影響を受けた漫画作品について語るコンセプトの番組で、9月29日の最終回に安田美沙子が登場し、影響を受けた作品として『銀色のハーモニー』を紹介した。
安田は「自分に初恋を教えてくれた作品」と紹介し、中学時代に好きな先輩に挨拶するのも一生懸命だった頃を思い出し「あの時代は良かったな」と思わせてくれる作品だと語っている。一番心に響いたシーンは、琴子がピアノを練習して、自分もいつか海のように「トロイメライ」を素敵に弾けるようになるんだと心に決めるシーンだとも語っている。