パリピ孔明(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『パリピ孔明』とは、原作・四葉タト、作画・小川亮が2019年よりコミックDAYSで連載していた漫画および、それを原作としたアニメ作品。その後、週刊ヤングマガジンに移籍した。中国で3つの国が覇権争いをしていた三国時代、天才軍師の諸葛亮孔明は病で息を引き取る。だが、なぜか死んだはずの孔明は現代の日本で蘇り、1人の歌を歌う少女と出会う。それをきっかけに、孔明は歌手を目指す少女を軍師のごとく、成功に導いていく。本作は累計部数160万部を突破し、2023年秋にテレビドラマも放送予定である。

『パリピ孔明』の概要

『パリピ孔明』とは、原作・四葉タト、作画・小川亮による漫画およびアニメ作品。2019年12月31日から2021年11月16日まで、コミックDAYSで連載された。その後、週刊ヤングマガジンに移籍し、2021年52号より連載中である。中国三国時代の天才軍師が現代の渋谷に転生し、歌手を目指す少女の夢を軍師のごとく成功に導く物語。ユニークで個性的なキャラクターや、歌手を目指す少女の歌などが見どころとなっている。本作は2020年に、次にくるマンガ大賞2020で特別賞となるU-NEXT賞を受賞。単行本の累計部数は160万部を突破し、2023年秋より、フジテレビ系列でテレビドラマが放送予定である。孔明役は人気俳優の向井理、英子役は女優で歌手活動も行う上白石萌歌の出演が決まっており、大きな話題となっている。

西暦234年、中国で魏・呉・蜀の3つの国が覇権争いをしていた三国時代に、蜀に仕えた諸葛亮孔明(しょかつりょう こうめい)という天才軍師がいた。戦で数々の功績を残してきた孔明だが、戦いの最中に病で倒れ、息を引き取ってしまう。しかし、病死したはずの孔明は、なぜか若返った姿で現代の日本へと転生。そして、ハロウィンで賑わう夜の渋谷に降り立った孔明は、若者たちに絡まれてクラブにたどり着く。そこで、月見英子(つきみ えいこ)という駆け出しのシンガーソングライターの歌声に魅了される。歌手を目指す彼女の歌声に惚れた孔明は、軍師(マネージャー)として全力でサポートすることを決意。その伝説的知略と人間の心理を巧みに利用した策で奇跡のような出来事を次々と起こし、英子をスーパースターへと成長させていくのだった。

『パリピ孔明』のあらすじ・ストーリー

現代の日本に転生する孔明

西暦234年、中国で魏・呉・蜀の3つの国が覇権争いをしていた三国時代に、蜀に仕えた諸葛亮孔明(しょかつりょう こうめい)という天才軍師がいた。縦横に知略を尽くし、人間心理を巧みに利用して他者を操り、魔法のような作戦を考えては次々と敵を倒し、戦場でも政治の場でも多くの功績を残した孔明だが、戦いの最中に病に倒れてしまう。そして、彼は「次の人生は戦のない平和な時代に生まれたい」と願いながら、息を引き取った。ところが、病死したはずの孔明はなぜか若返った姿で現代の日本に転生し、ハロウィンで賑わう夜の渋谷に降り立つ。仮装している人々を見た孔明は、そこが死後の世界であると勘違いする。そして、酔っぱらった若者に絡まれてBBラウンジというクラブに連れて来られた孔明は、そこで月見英子(つきみ えいこ)という駆け出しのシンガーソングライターの歌声に魅了された。

翌日、泥酔して道端で眠ってしまった孔明は英子に保護された後、ようやく自分が約1800年後の日本に転生したことを知る。英子のおかげで音楽に興味を持った孔明は、もっと見聞を広めたいと考える。そして、孔明は軍資金を調達するために英子が働くBBラウンジの仕事を紹介してもらい、そこで働き始めた。そんな中、英子はオーディションに落ち続け、歌手の夢を諦めようとする。だが、英子の歌に魅了され、彼女が類稀な才能の持ち主であることを確信した孔明は「あなたの軍師になります」と宣言。歌手デビューして、たくさんの人に自分の歌を聞いてもらいたいという彼女の夢を、全力でサポートすることを決意した。

孔明の知略で徐々に人気を獲得していく英子

その後、孔明は英子と共に、人気女性シンガーのミア西表(ミア いりおもて)がメインで出演するイベントを視察する。その際、ミアは英子に「自分の出演するイベントに出てほしい」と申し出る。喜ぶ英子だったが、後にミアが彼女を当て馬にするつもりだったことが判明。それでも、英子はチャンスをもらったと考え、孔明に「自分のステージを満員にしてほしい」と要求した。イベント当日、予想通りミアのステージは大盛況で、英子のステージは客が集まらない。だが、孔明の見事な計略により徐々にフロアに客が集まり、英子のステージは大成功を収めた。

孔明は英子のファンをさらに増やすため、彼女を代々木アートフェスへ参加させることを決める。英子のステージは客が集まりづらい場所だったが、孔明は秘策を考えていた。ところがステージ開始前、機材トラブルが発生し、待っていた数名の客も離れてしまった。そんな中、英子の近くのステージで3人組のインディーズバンド・JET・JACKETのライブが始まり、大盛り上がりを見せる。しかし、JET・JACKETのライブがMC(マスター・オブ・セレモニー)に突入したタイミングで機材トラブルが直り、英子のライブがスタートした。その結果、英子のライブに興味を持った客たちは彼女の方へ移動し、ライブは大盛況となった。実は孔明は機材トラブルを偽装し、タイミングを見計らって、英子のステージに客の注目を集めたのだ。英子はアウェーでステージを成功させたことが、大きな自信となった。そして、多くの大型音楽フェスを手掛ける大物プロデューサーの近藤剛(こんどう つよし)が、このステージで英子を高く評価。彼女に日本最大級の大型フェスであるサマーソニアへの参加をオファーする。ただし、期間内にSNSで10万イイネを獲得する企画に参加することが、サマーソニアへの出演権を獲得する条件だった。英子は迷ったが、孔明の「どんな困難な道でも、あなたの夢を応援する」という言葉を信じて、参加を決意した。

10万イイネを獲得するため、ラッパーを仲間にするという孔明だが、彼は英子には詳しいことは何も知らせず遊んでばかりだった。そんな彼に、英子は不満を募らせながらも、歌の練習に励む。だがその後、孔明は10万イイネ企画を成功させるために情報収集していたことが判明。英子に歌に集中してもらうため、何も知らせなかったのだ。孔明を誤解していたことを謝罪した英子は、世界最大級の音楽フェスであるボイセルランドに出たいという大きな夢を語る。それを聞いた孔明は、改めて英子の夢が叶うまで彼女と共に歩むと決意。2人の信頼関係は、さらに深まったのだった。

そんな中、孔明はBBラウンジのオーナー小林に、ラップのイベントを開いてほしいと頼む。実は孔明は、ラップで戦うMC(マイクロフォン・コントローラー)バトル選手権DRBを3年連続制覇した経験のある天才ラッパー・KABE太人(かべ たいじん)を、英子と組ませようと考えていた。しかしKABEはプレッシャーに弱く、ステージ上で急性胃潰瘍を患って倒れた経験があることから、ラップから身を引いていた。そこで、孔明はKABEを説得するため、BBラウンジのMCバトルで自分とラップで勝負してほしいと申し出る。さらに、孔明は「もし自分がバトルで勝ったら、英子と組むことを考えてほしい。もしあなたが勝ったら、願いを1つ叶える」と伝えた。KABEは乗り気ではなかったが、翌日見るだけのつもりで、BBラウンジに姿を現す。そこで英子の歌を聞いたKABEは、ラップを始めた頃の熱い気持ちを思い出し、感極まる。KABEはそのまま帰ろうとするが、孔明に煽られてMCバトルに参加することを決意。白熱するバトルの中でKABEはラップへの情熱が蘇り、孔明に勝利した。そして、KABEはラップへの情熱を取り戻してくれた孔明に感謝し、自分たちの仲間になってほしいという彼の要求を受け入れたのだった。

その後、KABEが入ってから英子のライブが、さらに盛り上がるようになった。だが、孔明は10万イイネを獲得するためには、それだけでは物足りず、綿密な戦略が必要だと考えていた。10万イイネ企画には他のアーティストも参加しているが、そのうち1組しかサマーソニアへの出演権を獲得することはできない。孔明は企画に参加するアーティストの中でも、大手音楽事務所のKEY TIMEに所属する3人組ガールズバンド・AZALEAが、1番のライバルになると考える。そのために「一刻も早く10万イイネを集める投稿をするべきだ」と英子は言うが、孔明は「期限の3日前に投稿をする」と宣言した。それから、英子は10万イイネ企画に向けて新曲を準備をするため、孔明が依頼した実力の高いDJ・スティーブ・キドの元へレコーディングに向かう。だが、英子の歌を聞いたキドは「上手いが自分がない」と酷評し、「自分を見つけてくるまで来なくていい」と彼女を追い返した。

七海と英子の出会い

その後、落胆しながら街を歩いていた英子は歌を歌う1人の少女、七海(ななみ)と出会う。英子は思わず立ち止まって七海の歌を聞いていたが、そこへ警察が現れ、七海に「道路の使用許可書を持ってますか?」と尋ねた。だが、七海は使用許可書を持っていないようだ。そこで、英子は七海と知り合いであると装って、孔明から渡されていた道路の使用許可書を警察に見せる。そして、英子はそのまま七海と一緒に路上ライブを楽しんだ。それをきっかけに、英子は七海と仲良くなり、路上ライブをするようになった。それから、さらに七海との仲を深めていった英子は彼女のように歌を表現する幅を広げたいと意気込み、懸命に練習に励む。そして、自分らしさを手に入れた英子は再びキドの元へと向かうが、またもやダメ出しされてしまった。落ち込む英子を見かねた七海は、気晴らしに彼女をスカイスクエアの展望デッキへと連れていく。そこで七海は英子に、自分が3人組のガールズバンド・AZALEAのボーカルの久遠七海(くおん ななみ)であることを打ち明けた。そして、七海は英子に自らの苦悩を語り始める。

AZALEAは元々七海が高校の同級生2人と結成したバンドで、卒業後に3人でプロを目指して上京した。バンドはなかなか人気が出ず、全く売れなかったが、彼女たちはやりたい音楽を楽しんでやっていた。そんな矢先、大手音楽事務所のKEY TIMEのプロデューサーである唐澤寿彦(からさわ としひこ)が、彼女たちの才能に目をつける。唐澤は人気のない彼女たちを酷評しながらも、「俺の曲を歌えば2年以内にドームツアーをやらせてやる」と宣言する。七海たちは唐澤に反発していたが、バンドが売れないことで生活が苦しくなったため、彼に従うことにした。それから、七海たちは仮面で顔を隠して露出の多い衣装を着たり、楽器を演奏せずに踊ったりと我慢して唐澤の言うことに従い、人気を獲得していった。そのおかげで生活には困らなくなったが、七海はやりたい音楽をやらせてくれず、人気獲得のためなら何でもやらせる唐澤のやり方に不満を抱えていた。だが、今や多くの人が関わっているAZALEAを見捨てることはできず、苦悩していたのだった。そのことを知った英子は、七海の心を救うため、彼女に歌を届ける。七海は涙を流して感謝したものの、「次に会う時は敵同士かも」と言い残して去っていった。

だが、それをきっかけにステップアップした英子は、ついにキドに歌を認めてもらう。そして、英子は自分の作った曲をキドにアレンジしてもらい、レコーディングを開始した。一方、KABEは以前から再戦を求めてきていたカリスマラッパーの赤兎馬カンフー(せきとば カンフー)とのリベンジマッチに挑む。精神的な脆さが欠点だったKABEだが、孔明とのバトルでその欠点を克服し、改めて赤兎馬にラッパーとしての実力を見せつける。すると、赤兎馬が自ら敗北を認めたため、KABEは彼との戦いに勝利した。

10万イイネ企画の行方

そして、英子はついに10万イイネ企画の投稿を始める。一方、AZALEAはイイネを集めるため、「ゲリラライブ中に現れるQRコードを読み取ってイイネすると、抽選で100万円が当たる」という企画を実施。七海たちは金を使ってイイネを集めようとする唐澤のやり方に不満を持っていたが、彼に従うしかなかった。ところが、AZALEAがゲリラライブをするために渋谷に向かっている最中、突然英子たちがAZALEAの曲で先にゲリラライブを始める。そして、QRコードが表示されたことから野次馬はAZALEAの企画だと勘違いし、英子の投稿にイイネを押し始めた。実は孔明はAZALEAの企画に便乗して、イイネ狩りをしようと考えていたのだ。孔明の思惑通り、英子の投稿はあっという間に7万イイネを突破したが、AZALEAのファンが「偽物だ」と声を上げたことでその勢いは止まる。その直後、渋谷に本物のAZALEAが登場し、ゲリラライブがスタート。QRコードが表示されると、AZALEAの投稿に多くのイイネが集まり始めた。すると、孔明は次の策を打ち出し、KABEのラップや英子のファンを使って「AZALEAのQRコードが偽物だ」と呼びかけた。AZALEAを知らない野次馬は混乱し、勢いよく増えていたAZALEAのイイネ数が止まる。だが、AZALEAのファンが英子たちに怒り出し、帰れコールを始めた。英子はたじろいでしまうが、七海が彼らに静かにするよう呼びかけ、そのコールはおさまった。そして、多くの観衆の注目を集める中、英子は自分の曲を歌い始める。すると、英子のイイネ数が再び伸び始め、焦った唐澤は七海に新曲を歌わせようとするが、彼女はそれを拒否。そして、曲を歌い終わった英子は、ついに10万イイネを達成した。そんな英子の歌に強い刺激を受けたAZALEAのメンバーは仮面を外し、素顔で自分たちのやりたかったロック主体の曲を歌った。だが、唐澤はそれでは売れないと彼女たちのスタイルを否定する。しかし、孔明は新生AZALEAとして先ほどのゲリラライブの映像を配信し、10万イイネを集めた。さらに、新生AZALEAの動画を見て心を動かされたファンが集まり、ライブは大盛況となった。

その後、唐澤はAZALEAから身を引くつもりでいたが、七海たちが彼に「このAZALEAでもう一度私たちをプロデュースしてほしい」と頭を下げる。唐澤はその要求を受け入れ、彼女たちの望むスタイルで必ずビックにさせると約束した。そして、孔明と英子は改めて夢に向かって共に歩んでいくことを誓った。それから、英子は見事にサマーソニアのステージを成功させ、単独ライブも決定。その単独ライブを成功させるためには、会場やスポンサー、ライブ制作協力が重要となる。そのため、孔明は超人気会場であるZECT東京をライブ会場として確保し、ネット配信事業大手のARUTE TVなどをスポンサーにしようと考えていた。さらに、ライブ制作協力には大手音楽事務所のKEY TIMEが関わることとなり、唐澤が売り出し中のユニットに前座をさせるという条件で手伝ってくれることになった。そして、英子は単独ライブを成功させるべく、奮闘するのだった。

『パリピ孔明』の登場人物・キャラクター

主要人物

諸葛亮孔明(しょかつりょう こうめい)

CV:置鮎龍太郎
演:向井理

本作の主人公の1人。三国時代、蜀の軍師として数多くの功績を残したが、234年に病に倒れて息を引き取る。だがその後、若い頃の姿でハロウィン真っただ中の現代の日本へ転生。仮装姿の若者たちを見て、そこが死後の世界だと勘違いしていた。しかし、英子が自分を保護してくれた際に、1800年後の世界へ転生したと気付く。それからすぐに現代社会に順応し、英子の歌に魅了されて彼女の軍師(マネージャー)となることを決意。そして、英子の夢を応援するべく、様々な策略で彼女を人気者へと押し上げていった。

月見英子(つきみ えいこ)

CV:本渡楓、96猫(歌唱担当)
演:上白石萌歌

本作の主人公の1人。両親が離婚し、母と祖母によって育てられた。精神的にボロボロだった高校時代、修学旅行で訪れた渋谷で電車に飛び込み自殺しようとしたが、BBラウンジのオーナーである小林に救われた。そして、BBラウンジでゲスト出演していたアメリカの歌手であるマリア・ディーゼルの歌を聞いて心を動かされ、歌手として人を感動させたいという夢を抱く。孔明が魅了されるほどの歌の才能を持ち合わせていたが、自信がなくオーディションを落ち続けていたことから夢を諦めかけていた。だが、孔明に後押しされたことから奮起し、彼の様々な策略で人気と実力を高めて成長していった。彼女が歌を歌う場面では、本職の歌手である96猫が声を担当している。

BBラウンジ

KABE太人(かべ たいじん)

CV:千葉翔也

MCバトル選手権DRMを3年連続制覇し、無敵のフリースタイラーの異名を持つ天才ラッパー。陰キャで気が弱く、つまらない人生を歩んでいたが、自分の思いを言葉にすることができるラップと出会ったことで人生が変わる。だが、MCバトルで勝ち進むにつれてプレッシャーが大きくなり、バトル中に急性胃潰瘍を患って倒れてしまった。それ以来、ラップから身を引き、ライバルである赤兎馬カンフーから復帰を熱望されるも無視していた。しかし、BBラウンジで聴いた英子の歌声と、孔明とのMCバトルでラップへの情熱を取り戻し、ラッパーに復帰。欠点だった精神的な弱さも克服し、赤兎馬カンフーとのリベンジマッチに勝利した。

DJ SATORI(でぃーじぇー さとり)

Chisa039
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@Chisa039

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