サイコろまんちか(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『サイコろまんちか』とは、小出もと貴(こいで もとき)による心理学と高校生の日常を掛け合わせた日本のギャグ漫画。『月刊少年ライバル』で2014年から連載された。
主人公の伊東は幼馴染の阿部に片思いをする女子高校生。心理学に魅せられ、「心理学研究部」を立ち上げようと決意する。部活として認められるには、部員を5人集めなければならない。そこで伊東は心理学を用いて、落ちこぼれから不良まで、様々な生徒と出会い勧誘していく。高校生たちのドタバタ日常と、明日から使える心理学が詰まった物語。

『サイコろまんちか』の概要

『サイコろまんちか』とは、小出もと貴による心理学と高校生たちのドタバタ日常を描いた日本のギャグ漫画。
『月刊少年ライバル』で2014年1月号から2014年7月号まで連載、その後は『マガジン・ラボ』に移り2014年1月から5月まで連載した。最終的には『マンガボックス』に移り、2014年22号から2015年35号まで連載した。全3巻である。
作者の体調不良による長期休載後、再開したが30話で打ち切りとなっている。

主人公・伊東(いとう)は幼馴染の阿部(あべ)に片思いをしている女子高生。心理学にのめり込んでいる伊東は、「心理学研究部」を新設するために部員を5人集めることになる。
心理学をもっと知って、女子にモテたいと感じた阿部が1人目の部員として入部。その後も、伊東から教えてもらった心理学により成績が向上した江崎(えざき)という女子も入部する。さらには心理学を用いて悩みを解決したことから、不良の宇堂 恭一(うどう きょういち)も部員となる。そして宇堂の幼馴染でもある千条 ナルコ(せんじょう ナルコ)も入部した。
5人集まった心理学研究部は部活として認められ、高校生活で起きる様々な悩みやトラブルを心理学で解決していく。

『サイコろまんちか』のあらすじ・ストーリー

「心理学研究部」を立ち上げる伊東

心理学に魅了されたこと、そして友人を増やすために主人公・伊東は「心理学研究部」を立ち上げることにする。そのことを幼馴染で片想いしている阿部に話し、阿部に入部するよう働きかけるも「つまらなさそう」と乗り気ではない。
そこで伊東は「阿部はイケメンだがモテていない。その理由を心理学を使って説明してやろう」と言った。そして阿部にハロー効果(ハローこうか)について説明する。ハロー効果とは、人は見た目や社会的地位のイメージで相手がどういう人間かまで決めつけてしまう心理学の一つである。
例えば、スーツをビシッと決めた清潔感溢れる中年男性と、いかつくてチャラいピアスやタトゥーが入った青年の写真が2枚ある。この写真を見せて「これは先日、駅で起きた殺人事件の加害者と被害者だ。では加害者はどちらか?」と聞くと、多くの人がチャラい青年の方を選ぶ。それは「スーツを着て真面目に働いていそうな中年男性が、人を殺すはずがない」という見た目で判断してしまうハロー効果の心理からである。
そして阿部はイケメンだが勉強も運動も人並み、それ以下の時がある。ハロー効果によって「阿部くんはかっこいいのに勉強も運動も出来ない」という見た目と中身のギャップに落胆し、女子からモテないのだと伊東は説明した。さらに伊東は「心理学を学べば女子にモテる」と誘い文句を盾に阿部を再度勧誘。阿部はモテたい欲求から、心理学研究部に入ることとなった。

心理学研究部は伊東と阿部の2人だけ。正式に部として認められるには、最低でも5人必要である。
そんな中、江崎という女子生徒が心理学研究部に相談へやってくる。江崎は「ゴールデンバインド」、通称「金縛(きんばく)」というバンドにハマっており、勉強をおろそかにしてしまったために成績が低下。そのことが母親にバレて、ついには補習を受ける羽目になってしまった。
そこで「心理学で成績を上げられないか」と伊東の元へ相談しにくる。伊東は「人の瞬間的に覚えられる数は7±2だと言われている」と心理学の一つであるマジカルナンバー7を教える。また単語も関連性を持たせられれば、記憶として定着しやすいことも教えた。
その結果、江崎は補習をクリアすることが出来る。このことにより心理学に興味を持った江崎は、心理学研究部に入部した。

次に部員となったのは宇堂だ。
宇堂は不良で、授業はサボり問題ばかり起こす男子生徒だ。宇堂をなんとかして欲しいと、校長は心理学研究部に相談。校長の頼みを断るわけにはいかないと、伊東は宇堂の元を訪れることにした。そして伊東はサイコドラマという心理療法を使って宇堂の悩みを暴こうとする。
サイコドラマとは、即興でその役を演じることで相手の気持ちを知ろうとするものである。伊東が宇堂の妹、阿部が宇堂の弟を演じ即興で「宇堂家の1日」が始まる。その中で、宇堂が不良になった理由が分かってきた。
宇堂の両親は人格者で裕福、妹と弟も優秀という家庭で育っている。宇堂も小さい頃は神童と呼ばれ成績優秀だったものの、成長するにつれて凡人であると実力が見えてきてしまった。しかし両親は「恭一が成績を落とすなんてどうしたのかしら」と言ったり、妹と弟たちも「テストの点数が悪いなんて、お兄ちゃん体調でも悪いの?」と言ってくる。そんな環境が息苦しくなり、いつの間にか道を踏み外すようになった。
心理学で自分の気持ちが暴かれたことや、自分の悩みの小ささに気づいた宇堂は「頭数が揃うまで入部してやるよ」と心理学研究部に入部した。

その後も、心理学を駆使して相談にきた生徒たちの悩みを解決していく。
好きな子に失言してしまったことを挽回したいと相談してきた男子生徒にはメラビアンの法則を教えた。メラビアンの法則とは、人は言動と態度が矛盾している場合態度の方に注目してしまうという心理学である。
また、人気グループの中で自分の地位を上げたいと相談してきた男子高校生には、理想と現実がかけ離れているからストレスを感じる「自己不一致(じこふいっち)」を起こしていると説明し、自分が掲げている理想と現実が一致するよう働きかけた。

そんな中、伊東にも友人ができることになる。同じクラスの女子生徒・多胡(たご)だ。
多胡は伊東と同じ奇蟲カード(きちゅうカード)を愛する奇蟲デュエリストで、偶然そのことを知った2人は意気投合。そして多胡は伊東に「ダイエットしたいんだけど続かなくて…」という悩みを相談する。そこで伊東は目標を細かく立てることや、内発的動機付け(ないはつてきどうきづけ)について説明しアドバイスをした。
その後、多胡は「隣町のドーナツ屋まで歩いてみる」などと細かく目標を立てて実行。そして買ったドーナツは伊東に渡していた。伊東もお礼として奇蟲カードを多胡に渡していた。
数日後、多胡はみるみる痩せてとんでもない美人になった。すると伊東のことや奇蟲カードのことを馬鹿にするようになり、リア充を満喫していた。しかし、実は多胡はダイエットのためではなく伊東から奇蟲カードをもらえるから運動をしていたのである。それを知った伊東は奇蟲カードを多胡に渡さなくなると、ダイエットの目的を失った多胡はまた太りスクールカーストの下位に戻ることとなった。
この結果、伊東とはクラスメイト以上友人未満のような微妙な関係が続いている

江崎にも高校生活に変化が訪れていた。江崎は腐女子でオタクである。そのことを知っているのは中学からの友人・己斐(こい)だけであった。
そして江崎は「高校生になったらおしゃれな女子になる」という目標を掲げて、高校では腐女子でオタクであることも隠していた。その甲斐あって高校ではおしゃれ女子たちが属するグループに入ることが出来、理想の高校生活を送っていた。
しかしある時、同じクラスの三島(みしま)という女子生徒が己斐のSNSアカウントを発見し、更には「同人即売会であったよね」と話したことから周囲にオタクであることがバレてしまう。おしゃれグループのリーダー的女子が「オタクとか本当に無理」と言って己斐をグループから外してしまう。
江崎はなんとか己斐をもう一度おしゃれグループに戻し、みんなで仲良くなれないかと伊東に相談する。しかし、心理学を用いても関係は修復不可能だと伊東は答えた。そして伊東は「これは江崎の問題だ。己斐を取るのか、おしゃれグループを取るのかどっちだ」と迫られる。
江崎は悩んだ末に、己斐との友情をとった。おしゃれグループに自分もオタクであることを明かし、自らおしゃれグループを去った。
理想としたおしゃれグループでの日々は終わってしまったが、その後は己斐と三島とオタクな高校生活を楽しんでいる。

5人目の部員である千条の登場

生徒たちの相談を心理学で解決している中、文化祭に向けて心理学研究部が部として成立した時用にと部員全員で催し物を用意していた。そこに教師の曽我(そが)がやってくる。
曽我は「部員も集まっていないし、部活としての信用度はない。部活として文化祭に出られることはない」と言ってくる。文化祭で阿部と青春したい伊東は、5人目の部員として千条を入れようと画策する。
千条はミス・パーフェクトと呼ばれ、才色兼備の女子生徒だ。運動も成績も良く教師からの信頼も厚い人気者を入れれば、心理学研究部も一目置かれるだろうと考えた伊東は「体育の時間のバスケの試合で勝てたら心理学研究部に入ってもらう」と千条と約束を取り付ける。千条は負けるわけがないと思っているため、二つ返事で了承し約束のバスケ勝負する日を迎えた。
伊東と阿部が同じチームで、千条と宇堂が同じチームとなった。伊東は宇堂に「適当に千条の足を引っ掛けろ」と八百長を指示するが、宇堂は真剣に受け止めていなかった。
というのも、宇堂は千条と幼馴染であるが「天才肌でなんでも出来てしまう千条」に嫉妬して、宇堂は次第に千条を避けるようになっていた。そんな自分のちっぽけなプライドや、千条に嫉妬している自分の感情と向き合っていたからである。ここでまた千条を避けるなんて情けないと感じた宇堂は、千条を陥れて勝つのではなく純粋に協力しようと決める。その結果、抜群のチームプレーを見せて、千条と宇堂のチームが勝利を収めた。
「負けたら千条が心理学研究部に入部する」という約束は、千条が勝ったために果たされなかった。しかし試合後、宇堂が千条に嫉妬から避けていたことや、憧れていたことを告白する。千条は宇堂に対して好意を持っていたため、宇堂から意識されていたことに喜ぶ。そして宇堂がいるならと千条自ら心理学研究部に入部。これで心理学研究部は正式な部となった。

正式な部として認められたものの、曽我は「どうせ5人集まるわけない」と思っていたために、文化祭での心理学研究部のスペースを確保していなかった。最後まで残っていたスペースも演劇部に譲ってしまったと言われ、伊東たちは演劇部へスペースを譲るよう直談判しにいく。
演劇部は当初「誰も心理学なんて興味ない。演劇の方がよっぽど需要がある」とスペースを譲らなかったが、千条が「来年演劇部に協力しますよ」と約束を取り付けたことで譲ってもらう。

正式な部になったのなら顧問も必要だと、教師の世良 桜子(せら さくらこ)を捕まえて、心拍数が上がると電流が流れるビリビリハンドをつけた。そして電流に耐えられなくなったら部活の顧問になる約束を取り付け、心拍数を上げようと質問を世良にし続ける。
伊東は「男子高校生と禁断の恋を考えたことがある」や「曽我先生の裸を今から10秒間考えないでください」などと言って、世良の心拍数を上げる。これは「人は禁止されると、逆に禁止されたことをしたくなる」という心理的リアクタンスという心理学を使った手法だ。まんまと心拍数が上がった世良は負けを認め、心理学研究部の顧問となった。

心理学研究部は文化祭で、購買部のおっさんと食事処の出店をすることになった。おっさんは阿部に「心理学で売り上げを伸ばす方法はないか」と尋ねる。
その理由は、おっさんは商社にスカウトされたものの良いスーツや高級な時計を持っておらず、売上金で買いたいということから。おっさんと日頃から交流があった阿部はなんとかしたいと、伊東にこのことを相談する。
伊東はバンドワゴン効果、スノッブ効果などの心理学を用いて出店の売上を順調に伸ばしていく。多胡も大量に購入してくれたため、おっさんが目標とする20万円に届き、阿部はそれをおっさんに渡す。阿部は「商社でも頑張ってくれよ」と背中を押すと、それに感動したおっさんは「俺には安物のスーツで十分だ」と20万を受け取らずに転職していった。

伊東と阿部の恋の行方

心理学研究部として活動していく中で、変わらず伊東は阿部に好意を伝えていた。
そもそも伊東は阿部と小さい頃からの幼馴染であり、虫の話ばかりする伊東に付き合ってくれるのは阿部だけだった。
そんな阿部も高校生になれば男子グループとつるむようになり、伊東も高校デビューを図るも失敗に終わり一人ぼっちで過ごしていた。
ある時、バス遠足に行くことになり2人組を作らなければいけない状況になる。伊東は勇気を出して阿部に「一緒に座ってほしい」とお願いする。阿部は茶化すことなく、「いいぜ」と言って伊東のお願いを受け入れた。このことから更に伊東は阿部のことが好きになり、今現在もアタックしているのである。

そんな大好きな阿部が、千条と付き合っているという噂を耳にする伊東。しかし、阿部本人には千条と付き合っているつもりは全くなかった。阿部は伊東からもらった消しゴムを大事にするうちに「もしかして俺は伊東のことが好きになり始めているのか?」と気になりだし、自分の気持ちに戸惑いを感じるようになる。このことを阿部は千条に相談していたのだった。
その様子を恋人同士のようだと勘違いしたクラスメイトが「千条と阿部が付き合っている」と噂を流したのである。真実を知らないままショックを受けた伊東は「阿部と千条が付き合っている状態で部活は続けられない」と心理学研究部を廃部にしようとする。しかし、阿部が「説明されて意味が分からなかった心理学は一つもなかったし、みんなと話しているだけで楽しかった。そんな心理学研究部がなくなるのは寂しい」と心の内を告白する。その言葉に心打たれた伊東は廃部を撤回。これからも心理学研究部は続けていくと宣言した。
しかし、部員は変わらず5人だけである。部活を存続するためにも、新入部員の勧誘に明け暮れる騒がしい毎日が続いていた。

『サイコろまんちか』の登場人物・キャラクター

心理学研究部

伊東(いとう)

目尻だけに濃いアイシャドウが特徴的な伊東

本作の主人公。派手なアイシャドウに、ボサボサの髪が特徴的な女子高校生。幼馴染の阿部のことが大好き。
心理学に傾倒し、それを広める部活「心理学研究部」を作る。心理学があればモテるという言葉をダシに、幼馴染で片想い相手の阿部を部員の1人目に引き込む。
その後、心理学で成績を上げられないかと江崎が相談に来る。マジカルナンバー7などの心理学を用いてアドバイスしたところ、補習をクリア出来た江崎は心理学研究部に入部する。

ある時、校長から「不良学生を更生させて欲しい」と相談される。校長からの相談を断れば廃部だと感じた伊東は、素直にその相談に乗る。そして出会ったのが宇堂だ。
サイコドラマという心理療法を使い、宇堂の悩みを探ることに成功する。宇堂は優秀な家庭で生まれ育った凡人だったため、そのことにコンプレックスを抱えていた。伊東は「馬鹿の中に入ればお前は優秀だ」と言って心理学研究部に勧誘。宇堂は「頭数が揃うまで」と心理学研究部に入部した。

そんな中、文化祭で阿部と一線超えられるかもしれないと妄想した伊東は「なんとしてでも文化祭に心理学研究部で参加する」と思っていたが、教師の曽我から「部員があと一人揃って、まともな部活なら正式な部活動とみなし文化祭の催し物のスペースを確保してやる」と言われる。そこで才色兼備な千条を入れようと画策する。千条は美人で成績も優秀でスポーツも万能。教師からも一目置かれているため、そんな千条が入部すれば文化祭への参加は確実だ。
千条にも「負けたら心理学研究部に入ること」を約束させ、体育の時間にバスケの試合で勝負をすることになった。宇堂と千条が同じチームで、伊東と阿部が同じチームになった。伊東は宇堂へ八百長するよう持ちかけるが、宇堂には千条と向き合いたい過去があり、八百長には手を貸さなかった。その結果、伊東たちのチームが負け、千条は心理学研究部に入らないことになる。
だが、試合後に千条と宇堂が腹を割って話したことや、千条が宇堂のことを気になっていることから千条が自ら入部。晴れて心理学研究部は正式な部活となった。

一方で阿部との恋も実らせようと奮闘している。
常日頃から伊東は阿部に好意を伝え、時には迫っているが阿部は「伊東のことは幼馴染としか見られない」とかわされている。それでもめげずに「阿部のことが好きだ」と伝えている。
元々阿部とは小さい頃からの幼馴染であり、虫に夢中だった伊東は女子の友達がいなかった。阿部は虫の話でも付き合ってくれたため、伊東も寂しい思いをせずに過ごしていた。
しかし、成長するにつれて阿部はイケメンへと変貌。また伊東も高校デビューしようとしたが、初日からカマキリについて熱く語ってしまい友人は出来なかった。阿部も男子グループに属してしまったために、伊東は完全に孤独となった。
そんな中、遠足で2人組を作ってバスに乗ることとなった。伊東は阿部と一緒に乗りたかったが、勇気が出ない。そんな時心理学の「傍観者効果(ぼうかんしゃこうか)」について知る。傍観者効果とは、人は群衆に紛れると社会的責任の意識が薄まること。例えば電車や街中で酔っ払いに絡まれて「誰か助けてください」と言っても誰も助けてくれない。それは周囲の人々が「自分が助けなくても誰かが助けるだろう」と思ってしまうからである。
誰かに助けてもらいたいなら、特定の人を指差して「あなた!助けてください!」と名指しすることだ。指名された人は傍観者から当事者になるため、社会的責任の意識が高まって助けてくれるのだという。
それを知った伊東は、翌日学校へ行き勇気を出して阿部に「バスで一緒に座って欲しい」とお願いする。周囲のクラスメイトは「愛の告白か?」と茶化すが、阿部は「一緒に座ろうぜ」と答えてくれた。このことにより、阿部への想いと、阿部の心を知りたい気持ちから心理学への興味が加速した。
その後も、心理学を駆使して阿部の心を掴もうとするも、毎回阿部のかっこよさに耐えられなくなった伊東が鼻血を噴き出して終わるという流れになっている。

最終話、阿部と千条が付き合っているという噂を聞いた伊東は心理学研究部を廃部にしようとする。しかし、阿部が「心理学研究部がなくなるのは寂しい。心理学って学んでみて楽しいって知れたし、もう少しみんなと話したいな」と言ったことから廃部は取りやめている。最後は噂はただの噂だったことも分かり、再び伊東は阿部にアタックを始めている。

阿部(あべ)

当初は心理学に興味がなかった阿部

心理学研究部の1人目の部員。伊東の幼馴染でイケメン。誰に対しても優しく、分け隔てなく接する心優しい男子高校生。巨乳好き。
女子にモテるからと伊東に誘われたことで心理学研究部に入部。また母親が愛人を連れ込んでいて、家に帰りにくいからという理由から入部したというエピソードもある。

伊東から熱烈な好意を毎日ぶつけられるも、幼馴染としての期間が長いため伊東のことは異性として見ていない。いくら伊東から迫られようと、伊東の胸元を見ても一切ときめかない。
恋愛に全く興味がないというわけではなく、心理学を駆使して女子のハンカチを手に入れられた時には「ここからあの女子と接点が作れる」と悪い顔もしていた。

伊東からの好意は全く気に留めていなかったが、物語終盤、伊東からもらった消しゴムを大切にしている自分に気づく。そして「もしかして俺は伊東のことが好きなのか?」と思い始めるが、「人は一度貰ったものに愛着を感じる」という保有効果(ほゆうこうか)という心理学の1つであることを知る。阿部は「なんだ、貰った物に愛着が湧いてるだけで伊東のことが好きじゃないんだ」と安堵している。
伊東のことは幼馴染として大切に思っており、また心理学も知るうちに好きになっていった。そのため、伊東が心理学研究部を廃部にすると言ったときは素直に寂しい思いを伝え、部活を存続するよう伊東を説得した。

江崎(えざき)

オタクで腐女子の江崎

心理学研究部の2人目の部員。メガネをかけている。オタクで腐女子。巨乳。

ゴールデンバインドというバンドが好きで、それに夢中になるあまり成績が低下。補習になったことと、母親から「これ以上成績を落としたらゴールデンバインドを取り上げる」と言われたことから、なんとか成績を上げる術はないかと心理学研究部を訪れる。
伊東から教えてもらった心理学のお陰で補習も通過。そのお礼として心理学研究部に入部する。

高校に入ってからはおしゃれ女子として青春を過ごそうと、オタクで腐女子なことも隠していた。その努力も実り、クラスのおしゃれ女子グループに友人の己斐(こい)と属していた。
しかし、クラスメイトで腐女子の三島が己斐もBL本を描いていることを全員の前でバラしてしまい、己斐はおしゃれグループを追われることとなる。
江崎は「己斐をおしゃれグループに戻す方法はないか」と伊東に相談する。しかし、伊東は「これは江崎の問題だ」と言った。オタクや腐女子がダメな子がリーダーとしているおしゃれグループは己斐と仲が良い江崎にも気を遣うし、己斐もまた「江崎はおしゃれグループの人たちと仲が良いから…」と遠慮してしまう。そんな関係性は遅かれ早かれ崩壊してしまうため、両方を取り持つことは出来ないと江崎にアドバイスした。
江崎は迷った末に、己斐との思い出を振り返る。共に同人誌を出したこと、ゴールデンバインドについて熱く語ったこと。どれもが江崎にとってかけがえのない時間だった。

その結果、おしゃれグループから江崎は「お昼行こうよ」と誘われるも、「ごめんね、己斐ちゃんと漫画の打ち合わせがあるから」と断った。
おしゃれグループで青春するよりも友情をとった江崎。みんなの前でオタクであることをバラしてしまった三島も反省し、3人でよくつるむようになる。

宇堂 恭一(うどう きょういち)

挨拶をする宇堂

心理学研究部3人目の部員。不良でツンツン頭が特徴。不良だが硬派というわけでもなく、普通の男子高校生らしい一面も持っている。中学生の時は「ブラッケスト」というV系バンドを結成しており、黒歴史だと伊東にいじられている。
両親に弟と妹が1人ずついる。家族全員が優秀で、両親も人格者で裕福という恵まれた家庭。そんな中で、宇堂も当初は成績優秀な優等生だったが思うように成績が伸びなくなる。それは宇堂の努力不足かも知れないが、「自分の実力はこの程度なんだ」と天才的に頭がいい家族に囲まれている宇堂はどんどん家庭内で窮屈さを感じるようになった。その結果、不良となる。

学校でも問題行動を起こし、「いつ退学になってもいい」という生き方をしていた。そんな時、校長が心理学研究部に宇堂の更生を相談したことから伊東が宇堂の元へやってくる。
伊東はサイコドラマという心理療法を使い、宇堂の心を暴こうとした。サイコドラマとは、即興でその役になって演じることで相手の本心が見えてくるというものである。
伊東は「宇堂家の1日を演じろ」と言って、阿部が宇堂の弟、伊東が宇堂の妹を演じることになった。そこで妹になりきった伊東が「お兄ちゃんどうしちゃったの?優秀なお兄ちゃんが不良になるなんて何か理由があるはずだよ!」と熱演したところ、宇堂は「うるせぇな!俺は優秀なんかじゃねぇ!俺の成績はあれが限界だったんだよ!」と心の内を吐露する。
声に出したことで宇堂自身も本音と向き合うきっかけになり、心理学に救われたと感じたことから「頭数が揃うまで入部してやってもいいぜ」と心理学研究部に入部した。

部活として成り立たせるために、そしてきちんとした部活だと認められるために最後の部員として、才色兼備でミス・パーフェクトの異名を持つ千条を引き入れようと伊東は計画。
この千条と宇堂は幼馴染だったが、成長するにつれて宇堂は千条を避けるようになっていた。その理由は、なんでもできる千条に嫉妬していたからである。
小学生の頃、いつもバスケをしている公園が中学生たちに取られてしまった。千条とチームを組み、中学生と勝負するも惨敗。それは「千条にパスを回したら全てゴールを決められ、賞賛を千条に奪われる」と、千条にパスを出さなかった宇堂の小さなプライドからだった。そのせいでチームワークが取れず、普段なら勝てるような勝負にも負けてしまった。そんな過去から「千条といると何も出来ない自分が惨めになるから」と思った宇堂は、徐々に千条から離れていく。バスケもしなくなり、千条とは違うグループに属するようになった。
高校生になってからも千条を意識しており、避けてばかりだった。そんな中、伊東は「体育のバスケの試合で千条に勝ったら心理学研究部に入ってもらう」と千条に約束を取り付ける。

迎えたバスケの試合、千条と宇堂が同じチーム、そして伊東と阿部が同じチームで対決することになった。伊東は宇堂に「程よく千条の足を引っ掛けろ」などと八百長するよう話すが、宇堂は己の気持ちと向き合っていた。
心理学を学び、人から信用されるにはまず自分の気持ちと向き合い、相手に伝えることだと感じた宇堂。千条に嫉妬している自分を認めて、卑怯な真似をせずにチームとして勝利を収めようと考える。宇堂は意地を張らず、千条にパスを回す。千条は驚きながらもシュートを決めると、周りからは千条を褒め称える声が聞こえてくる。宇堂はそれに「悔しい」と思いながらも、自分の気持ちに向き合えたことにスッキリしていた。
試合後、宇堂は千条に「小さい頃、パス回さなくてごめんな」と中学生との試合に負けた過去を謝った。千条は「そんな昔のこと…」と宇堂を許す。それから宇堂は「今も千条を意識してるからこそ、わざと避けてしまっていた」と自分の情けない気持ちを告白。千条と打ち解けた。
千条に対してはほんのり好意を抱いている描写が見られるが、付き合うまでには至っていない。

千条 ナルコ(せんじょう ナルコ)

5lhiro
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