東方定助（ジョジョリオン）とは【徹底解説・考察まとめ】

東方定助のプロフィール・人物像

東方定助（ひがしかた じょうすけ）とは、漫画『ジョジョの奇妙な冒険 Part8 ジョジョリオン』の主人公で、しゃぼん玉を飛ばし「何か」を奪うスタンド「ソフト＆ウェット」の使い手。推定19歳。
初登場時の彼は杜王町が震災に見舞われた直後に発生した「壁の目」に全裸で半分埋まっていたが、広瀬康穂（ひろせ やすほ）に救われた。しかし彼は記憶喪失であり、身元も分からない。そこで康穂のとりなしで東方家の居候となり「東方定助」という仮名を与えられる。なおこの名前は康穂の昔飼っていた「ジョースケ」という名の犬にちなんで名づけられた。

水夫のような恰好をしており、すきっ歯。首筋にジョースター家の血統に受け継がれる星型のアザがあり、その周辺にはなぜか人間に噛まれたような歯型が存在する。また眼球には、うっすら瞳を分断するかのような線が見える。なお睾丸を4つ所有している。口癖は「オレェ？」。

物と物の「間隔」を正確に割り出したり、把握する特殊な技能を持つ（身長や距離だけでなく、エレベーターが目的の階に到達する「時間」ですら、正確に言い当てられる）。また就寝するときは何かに挟まれ、圧迫されるのを好む。

勝利宣言する際はドヤ顔で「勝ったのは……オレです！ たっぷり！」などと言い放つ事が多い。また自分を救い出してくれた康穂には、並々ならぬ好意と執着を抱いていると読み取れるシーンが、物語の随所に存在する。

物語前半は自身の記憶と謎を解き明かすべく行動し、やがて定助の正体が判明する。東方定助は、空条仗世文（くうじょう じょせふみ）と吉良吉影（きら よしかげ）の肉体が半分融合してしまった事で誕生した存在であった（ゆえに吉良吉影へ復讐しようとしていた笹目桜二郎（ささめ おうじろう）から「吉良吉影に半分似ている」と評されていた）。
かつて吉良吉影は母親である吉良・ホリー・ジョースターの奇病を治療すべく、病気を治せる（ただし身体の一部が石化する「等価交換」の代償あり）が2億円と高額な「ロカカカの実」を手に入れようと、仗世文と共に画策した。その手段は実を直接奪う事ではなくロカカカの枝を盗み、別の木に接ぎ木してロカカカの実を栽培しようというものだった。しかしロカカカを管理している「岩人間」たちにその計画はバレ、吉良と仗世文は報復を受けてしまう。激しい戦いの末、致命傷を負ってしまった吉良を助けるべく、仗世文は接ぎ木して誕生した新ロカカカを用いた。新ロカカカを食べた吉良は傷が治ったものの、仗世文との「等価交換」が発生。直後に起きた大地震によって二人は「壁の目」に飲み込まれ、肉体が融合する羽目になったというのが、記憶喪失の東方定助が誕生する経緯だったのだ。

その後の定助の行動目的は「ホリーの病気を癒し、幸せになってもらう」になる。それは過去の吉良吉影が願っていた事でもあった。TG大学病院を拠点とする岩人間たちとの攻防の末、ロカカカから樹液を抽出して作る「LOCACACA6251」の研究をしていた院長、明負悟（あけふ さとる）との対決となるが、明負の正体はスタンド「ワンダー・オブ・U」であり、その能力は自身を「追跡しようとする意志」を持つ者すべてに、自動的に死へ誘う「厄災」を振りかからせるという恐るべきものだった。協力者たちが次々と「厄災の流れ」に飲み込まれて重傷を負い、あるいは命を落とす中、ホリーの助言、虹村京（にじむら けい）の命を賭した援護、豆銑礼（まめずく らい）による「ソフト＆ウェット」の能力の正体分析を経て定助は「ゴー・ビヨンド」の能力に目覚める。そして康穂のスタンド「ペイズリー・パーク」の協力で定助は「ワンダー・オブ・U」の無敵の能力を突破し、本体にして真の黒幕であった岩人間、透龍（とおる）を倒す事に成功する。しかしながら戦いの過程において、日本にあったロカカカの実は全て消滅してしまい、結局本編ではホリーの奇病を癒す事は叶わなかった。最終回、定助が東方家の人々とケーキを囲み団らんする場面で、物語は幕を閉じる事となる。

スタンド名「ソフト＆ウェット」の元ネタは、アメリカ合衆国のミュージシャン、プリンスが1978年4月に発表したデビュー・アルバム『フォー・ユー』に収録された曲「ソフト＆ウェット」から。

東方定助の来歴・活躍

「壁の目」にいた記憶喪失の男

2011年9月の杜王町。半年前に大震災があり「壁の目」という奇妙な地形が誕生する。偶然通りがかった広瀬康穂（ひろせ やすほ）は、全裸で「壁の目」に埋まっていた記憶喪失の男を救出した。その男は「吉良吉影（きら よしかげ）」という人物に似ていたため、吉良吉影の自宅を調査した際、吉良に恨みを抱く笹目桜二郎（ささめ おうじろう）のスタンド「ファン・ファン・ファン」の襲撃を受ける。しかし彼は首にある星形のアザからしゃぼん玉を生み出すスタンド「ソフト＆ウェット」の能力を行使。「ソフト＆ウェット」は、生み出したしゃぼん玉が割れる事で「何か」を奪う能力で、桜二郎は視覚と肉体の摩擦を奪われて敗北。結局自分が誰なのかは分からなかった。のちの広瀬康穂の独白では、彼（東方定助）には睾丸が4つあり、もう一人埋まっていた「吉良吉影の遺体」には睾丸が1つも無かったという。

東方家の人々（vs東方大弥）

広瀬康穂のとりなしで男は東方家の養子となり「定助（じょうすけ）」という名前で呼ばれる事になった。家長の四代目憲助（のりすけ）から、定助は弱視である二女の大弥（だいや）の面倒を見る事を頼まれる。定助は大弥に気に入られるが、彼女は相手の記憶をチェスの駒状にして奪い取るスタンド「カリフォルニア・キング・ベッドちゃん」の使い手だった。定助が奪われた記憶を取り戻すには、大弥に自分の影を踏ませるしか方法はない。最終的に定助は冷蔵庫のライトでできた自分の影を大弥に踏ませる事に成功し、記憶を取り戻す事ができた。

広瀬康穂のスタンド（vs虹村京）

「壁の目」にいたとき、広瀬康穂は右足首に歯型のような傷を負った。これがきっかけで彼女もスタンド「ペイズリー・パーク」に目覚める。吉良ホリー・ジョースターに会いに行こうとした定助は遠隔自動操縦スタンド「ボーン・ディス・ウェイ」の執拗な追跡を受ける。「ボーン・ディス・ウェイ」の本体は東方家の家政婦である虹村京（にじむら けい）で、彼女はTG大学病院に入院中のホリーを世話しつつ護衛しており、定助を敵を思い込んで攻撃を仕掛けていたのだ。定助は康穂の「ペイズリー・パーク」の援護もあり「ボーン・ディス・ウェイ」との戦いに勝利。「ホリー・ジョースターに会ったら殺す」という虹村京の言葉に対し、定助はあっさりホリーとの面会をあきらめ、敵であるという誤解も解く。虹村は定助の瞳を見て「2つのものが混じり合っている」事を示唆した。

カツアゲ・ロード

東方常秀（じょうしゅう）は、定助と共に通称「カツアゲ・ロード」と呼ばれる道を通る。以前常秀はこのカツアゲ・ロードの住人たちの罠にはまり、金を巻き上げられた事があるためリベンジを目論んでいたのだ。しかし結果は散々で、子供のコンパクトを破壊した弁償をさせられたり、老人からエクアドル産の高価な亀を殺した代金を支払えと言われたり、しまいには麻薬の運び屋の片棒を担がされ、警官に逮捕される寸前まで追い詰められてしまう。常秀は危機に陥った結果スタンド「ナット・キング・コール」の能力に目覚め、定助が運び屋として受け取った金をゴロツキから奪い返す事に成功。そのまま定助を見捨てて逃走を図るも、「ソフト＆ウェット」のしゃぼん玉によって金を定助に奪われていた。定助の疑いが晴れ、老人に亀の代金を支払うと、この道で死んだジョニィ・ジョースターの最期について教えてもらい、東方家が先祖代々受け継いでいる「呪い」（肌が石のように硬くなって命を落としてしまう奇病）について知るのだった。

vs東方つるぎ

好奇心から東方邸にある謎の地下室に入る広瀬康穂。そこには常敏（じょうびん）と密葉（みつば）の子、東方つるぎがいた。女の子の恰好をしているが、実はつるぎが男の子である事を康穂は見抜く。つるぎは「東方家の長男は10歳になると、奇病にかかる『呪い』があるため、女装して育てられるという風習がある」という。つるぎはスタンド「ペーパー・ムーン・キング」の使い手でもあり、その能力によって康穂は人間の顔の区別がつかなくなる。定助に助けを求めようとしてニアミスしたり、常秀を定助と間違えて愛の告白とも取れるような誤解を招く発言をしたりしてしまう。結局康穂は再びつるぎのいる地下室に囚われ、そこに八木山夜露（やぎやま よつゆ）という男が現れる。彼は東方邸の設計を手掛けた建築士で、つるぎをそそのかして康穂と定助を地下室に誘い込み、始末する事が目的であった。

vs八木山夜露

康穂を救い出そうとする定助は、憲助に対し疑っている事を包み隠さず話した後、彼と共闘する事に。夜露のスタンド「アイ・アム・ア・ロック」は犠牲者に加速した物体を収束して攻撃する能力であり、無数の毬栗が襲ってくるも、定助は「ソフト＆ウェット」の能力で毬栗の水分を奪い無力化。憲助のスタンド「キング・ナッシング」は匂いを見る事で敵を追跡できる能力を持ち、これによって夜露の潜伏場所を割り出し、攻撃する事に成功した。だが八木山夜露の正体は「岩人間」と呼ばれる、全身の皮膚を硬質化できる一族で、攻撃を受けると岩化して防御する。しかしその特性を逆に利用されて海底に沈み、夜露は死亡してしまった。定助はつるぎから、夜露たち岩人間が「病気を癒す果実」を売りさばいて大儲けしているという話を聞き、その密売に関わっているのがつるぎの父にして憲助の息子である常敏（じょうびん）だと知る。

vs東方常敏（クワガタ対決）

憲助は八木山夜露の素性について調べた後、定助に「東方フルーツパーラー」を案内、解説する。憲助の長男、常敏がシンガポールから帰ってきており、皆にお土産を配った。定助はつるぎから、常敏の弱点が「クワガタ」だと聞き出し、常秀と組んで常敏にクワガタ相撲対決を挑む。常敏は指定した一点を加熱するスタンド「スピード・キング」の使い手で、自分のクワガタに流し込んだワックスを溶かし、寿命と引き換えに常軌を逸した動きをさせる。しかし定助も「ソフト＆ウェット」でスズメバチの毒液を常敏のクワガタに流し込んでおり勝利。対決時に賭けていた常敏の愛車ランボルギーニ・ガヤルドを得る。康穂とつるぎがガヤルドを捜索してドライブレコーダーを調べると、常敏が岩人間と思しき男から、謎のフルーツ（ロカカカの実）を受け取っている画像が見つかった。

作並カレラとの邂逅（vsエイ・フェックス兄弟）

康穂とつるぎが岩人間の大年寺山愛唱（だいねんじやま あいしょう）を倒した後、康穂は定助と再会。定助が「ポテトLサイズの歌」を歌った後、謎の女性が現れる。彼女の名は作並（さくなみ）カレラ。定助のことを「セッちゃん」と呼び、ベロチューまでした仲だと言い張る。カレラは触れた箇所から髪の毛を生やすスタンド「ラブラブデラックス」の使い手だが、行動は悪質なクレーマーそのもので、スタンド能力をケチな金品巻き上げに使用していた。定助がカレラに見せてもらった携帯電話の写真には、自分そっくりの吉良吉影とカレラ、そしてリーゼントヘアが特徴的な大学生、空条仗世文（くうじょう じょせふみ）が映っていた。しかしカレラは吉良吉影がすでに死亡している事実を知らず、その事を定助から聞くと動揺しだす。そこに岩人間の二人組、エイ・フェックス兄弟が現れ、定助とカレラを襲撃してきた。定助を置いて逃げたと思われたカレラが戻ってきて、兄弟に逆転勝利する。

vs田最環

東方家の長女、鳩（はと）が家に彼氏を連れて来た。が、現れたのはサングラスをかけた小太りの怪しげな男。名前は田最環（だも たまき）といい、ダモカンクリーニング店の店長で23歳であるという。しかし田最環の正体は岩人間にして、ロカカカの実の密売組織のボス。仲間の岩人間が次々と音信不通になるのを不審に思い、鳩に近づいて東方邸に潜入したのである。田最環のスタンド「ビタミンC」は触れたものをドロドロに柔らかくする能力で、これによって虹村京、常秀、大弥が餌食となる。さらに田最環は憲助を無力化し、吉良吉影が盗んだという「ロカカカの枝」の居所を聞き出そうと拷問する。そこに定助と鳩が駆けつけ、田最環と対決。鳩は踵を硬質化して伸ばせるスタンド「ウォーキング・ハート」の使い手であり、シンプルな能力ながら格闘戦のパワーは折り紙付きで田最環を圧倒。逃亡しようとしたところを定助がとどめを刺した。
一方その頃、ストーンオーシャン刑務所から15年の刑期を終えて出所した女性がいた。彼女の名は東方花都（かあと）。憲助の元妻である。