トリニティ・ブラッド(トリブラ)のネタバレ解説・考察まとめ

『トリニティ・ブラッド』とは、著者・吉田直/キャラクター原案・THORES柴本による長編ダークファンタジー小説、及びそれを原作としたドラマCD、コミックス、アニメ作品である。
舞台は、中世のヨーロッパの啓蒙時代を彷彿とさせる世界観の遠未来。突如現れたヴァンパイアと人間は、互いの生存権をかけて戦いを続けていた。そんな中、ある神父がイシュトバーンと呼ばれる地に訪れ、レジスタンスとして活動するシスター見習いに出会う事から物語は大きく動き始める。

原作小説・コミック版・アニメ版で主人公が違う

原作小説は短編集『R.A.M』と長編の『R.O.M』ではそれぞれ主人公が異なる。
『R.A.M』では各執行官にスポットが当たり、『R.O.M』ではアベルが主人公として描かれている。
その為、アベルの過去が物語を読み解く鍵になってくる。
しかし、コミック版では、最終巻の作画担当 九条キヨが書いていたように、主人公をエステルに置き換えて描かれている。
そのため、彼女の視点から様々な展開が描かれている。
また、コミックス版での彼女の立ち位置がツッコミ役も兼ねてるようで、切れキャラとして扱われる面もある。
その為、原作のような強かさを感じるセリフ回しでは無くなってしまっている。

アニメ版では、ナイトロード3兄妹が主人公に見える面も多々見られる。
色々と掻い摘むような形で、上記の二つとは違ったもう一つの『トリニティ・ブラッド』として描かれているのが特徴的である。
キャラクター一人ひとり見ても、原作と所属は同様だが、性格や考え方に多少の差異が見られる。
その為、原作小説を基準とした並行世界の『トリニティ・ブラッド』と言えるだろう。

打ち切りを乗り越えて連載

関連雑誌の記事によると、連載当初は少しでも人気が落ちれば即打ち切りという条件だったとのこと。
なかなか厳しい編集部との条件を、持ち前の才能で跳ね除け続けていたのがうかがえる。
そんな彼の才能に引かれるように、たくさんの読者がついてきたのだ。
小説雑誌『ザ・スニーカー』の単発読切から始まった小説は、構想を少し変えて長期の連載を視野に入れた形で執筆されることとなった。
そして連載中人気に火が付き、コミック、アニメとメディアミックスされた。
連載開始から20年以上たった今もなお、名作ダークファンタジーという評価が定着した。

作者の死因は、遺伝性の血液の病によるものだった

作者急逝のため未完のままのせいか、作者の死因について色々な説が囁かれている。
実際は、肺塞栓症による急逝である。
しかし、キャラクター原案THORES柴本の2019年7月15日のツイートでこう書かれている。
直接亡くなった原因は肺梗塞なのだが、元々遺伝的な血液の持病を持っているとのことだった。幼い頃に、弟をその血液の病気で亡くし、父親も同じ病気を持っているということだった。また、作家になる前の会社員時代に一度大きな手術を受けた際、父親、弟と同じ血液の病気を持つことを知ったとのことだ。
そのことがキッカケで作家を目指したそうだ。
その後、『第2回スニーカー大賞』にて大賞を受賞し、作品を産み続けたが、2004年に血液の病気が再発。
2004年7月15日木曜日午後1時50分逝去。34歳という若さだった。
彼の人柄を、コミックス作画担当の九条キヨは、コミックス3巻の巻末での追悼記事でこう語っている。
中身が『トリニティ・ブラッド』のアベル・ナイトロードのような方で、とにかく優しく一本気で真面目なかわいらしい人だったと描かれている。
作者の穏和な人柄がうかがえる。
そして、キャラクター原案THORES柴本のツイッターでは、吉田直の命日に『トリニティ・ブラッド』のイラストが上がり、早すぎる死を悼んでいる。

『トリニティ・ブラッド』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):BUCU-TICK『ドレス』

(第1話ー第24話)

ED(エンディング):種ともこ『Broken Wings』

【高音質版】種ともこ - Broken Wings

(第1話ー第24話)

挿入歌:コミネリサ『Requiem〜祈り〜』

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