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toystory0928のレビュー・評価・感想 (2/2)

大家さんと僕
10

忘れかけた人への思いやりと、適度な距離感が生み出す素敵な関係

芸人カラテカの矢部太郎さんが住んでいる、一階が大家さんのお住まいになっている下宿での大家さんとの触れ合いが描かれています。
大家さんが2018年の時点で90歳におなりになっているはずのご高齢なのですが、大家さんの半分しか生きていない矢部さんと妙に意気投合し、最初は過干渉に感じていた触れ合いが大事な時間になり、徐々に家族のようになっていく過程が素晴らしいです。
絵もほのぼのとしており、大家さんと矢部さんの温かな人柄にマッチした絵柄で読みやすいです。

大家さんの家に住む前の物件で無茶苦茶な撮影をさせられたため退去を命じられた矢部さんですが、結果的に人生を変える出会いと、このような素晴らしい作品を生み出すきっかけになったとしたら、追い出されたことも一概に悪い事だと言えず、人間どこで災いが転じて福となすかわからないと思いました。
また、今、若い世代でも高齢者でも、「おひとり様」と呼ばれる独居世帯が多くなっています。矢部さんと大家さんのような暮らし方は、独居世帯同士が協力して生きていく、一つの社会問題の解決方法としても、非常に注目すべきだと思います。

大家さんの昔の話を聞いている際の、独特の絵の表現(衣装が変わったり、タクシーが浮かぶなど)も、矢部さんのクリエイターとしてのセンスを感じ、一見単純な絵柄のようですが今後も楽しみな才能の片鱗を感じます。

ONE PIECE / ワンピース
8

大人になってもおもしろいワンピース

自分がワンピースを初めて見たのは少年ジャンプでした。
ルフィの真っ直ぐで仲間を大事に思う姿に惹かれ、社会人になってもジャンプを毎週楽しみに買い続けていましたが、結婚を機にジャンプを買うのを辞め、それ以来ワンピースを見ることもなくなってしまいました。
そのうち子供たちが成長していき、今まで見ていた戦隊ものや、仮面ライダーから、段々と妖怪ウォッチなどのアニメに興味をもつようになり、いつの間にかワンピースを見るようになりました。一緒に見ているうちに自分もまたはまってしまい、自分が知らない仲間が増えていたり、キャラクターの雰囲気が変わっているのがどうしても気になってしまい、今まで見ていなかった期間のアニメをレンタルDVDで全て見ました。
特にインペルダウン編はもすごく印象に残っています。二転三転の展開にドキドキが止まりませんでした。そして最後にはまさかの結末が待っていて涙が止まりませんでした。
それからはテレビアニメで毎週見るようになり、今では子供たちよりも自分の方が夢中になってしまっています。これから先、また新しい敵との対戦や、新しい仲間との出会いがあると思うと、楽しみで仕方ありません、いつか終わりがくるのでしょうけど、最後まで楽しませてくれると思います。

火の鳥 / Phoenix
10

命とは

次々と新しい漫画が生み出されているが、新しい漫画だけでなく、漫画の古典というべきものに触れるのも悪くないだろう。
『火の鳥』は漫画の神様と称される手塚治虫の代表作の一つである。古代から未来まで、火の鳥を通して人間模様を描いている。人の持つ醜悪な心から最上の愛まで、その醜さと美しさを余すところなく描き出す。手塚治虫は各話を通してひとつの疑問を投げかけてくる。
人々の寿命が延び、永遠の命というものも絵空事ではなくなってきている。しかし、それは本当に喜ばしいことなのだろうか。長年寝たきりで延命装置なしでは生きられない人は、果たして生きていると言っていいのだろうか?生きることに疲れてしまっている人を無理矢理生かすことには、果たしてどのような価値があるのか?長く生きることが幸せだということに疑問を抱く人は、現代社会において少なくないだろう。手塚治虫は現代の人々の命題に半世紀以上も前から焦点を当て、警鐘を鳴らし続けている。
現代の問題を紐解くのに、現代の漫画を読むことは時代に合っていると思う。しかし、古典と言われるような漫画にも、現代人の心をつかむような英知が眠っているはずである。『火の鳥』はそのような古典漫画の代表作と言えるのではないだろうか。