火の鳥 / Phoenix

『火の鳥』とは、手塚治の代表作でライフワークとしていた作品。漫画家となった初期から晩年に至るまで描きつづけた長編大作。いくつものストーリーに別れているがテーマは一貫して「生と死」。また、他にも「輪廻転生」「愛」「人間の業」といった哲学的なテーマを投げかけている。
ストーリーは邪馬台国の時代の「黎明編」から西暦3404年といった「未来編」までを時系列順ではなく過去・未来・過去・未来と交互に描かれ現代に近づいていく形で発表された。しかし作者が亡くなり現代編が描かれることはなかった。その羽で撫でればどんな病や怪我も治しその血を飲めば不老不死になれるとゆう火の鳥をめぐって人々の権力争いや宗教戦争、宇宙がテーマのSF、時代劇、その世界観の中での友情や愛憎劇が描かれている。
また輪廻転生もテーマとして取り扱っていることからほとんどの作品で鼻の大きな「猿田」と名のつく人物が登場して物語に深く関わっている。時系列順に読む必要はなく気になったストーリーから読んでも問題なく楽しめる。子供向けに歴史や外国の勉強のためにもなるし、大人向けには生きることを考える指標ともなる。
たくさんの漫画家に影響を与え数多くのアニメ化やラジオドラマ化が行われた。

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『三つ目がとおる』とは、手塚治虫による漫画及び、それを原作とするアニメ作品である。無邪気な性格の中学生、写楽保介は古代種族三つ目族最後の生き残り。額の絆創膏を剥がすと第三の目と共に超知能、超能力を操る冷酷な人格が現れ悪魔のプリンスと化す。写楽は世界征服を目論む一方で、時にクラスメイトの和登さんらと共に古代遺跡絡みの陰謀に巻き込まれる。オカルトブームの中、人気を博し第1回講談社漫画賞を受賞。漫画の神と呼ばれた作者の没後初のアニメ化作品でもある。

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『奇子』とは手塚治虫が小学館『ビッグコミック』に1972年1月25日号から1973年6月25日に連載していた漫画作品。戦後史最大の闇とされた下川事件をモデルにした事件を核に、旧家一族の愛憎劇を絡めた物語となっている。第二次世界大戦直後、天外仁朗(じろう)が外地から復員すると、実家には末の妹・奇子(あやこ)が増えていた。実は奇子は仁朗の義姉と彼の父親の不義の子であり、彼女の存在が家族間に緊張を生む。一方仁朗はGHQのスパイに成り下がり、司令部からの命令で様々な汚れ仕事や諜報活動に手を染めていく。

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『アドルフに告ぐ』とは、漫画家・手塚治虫が手がけた第二次世界大戦中のドイツと日本、そして3人のアドルフについての漫画作品である。『週刊文春』にて1983年1月6日〜1985年5月30日まで連載された。ヒットラー、カウフマン、カミル、3人のアドルフの人生が入り混じり、狂言回しの峠草平を中心に物語が進んでいく。1986年度の第10回講談社漫画賞一般部門を受賞し、手塚治虫の作品の中でもトップクラスの名作である。

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ジャングル大帝(手塚治虫)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

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『ジャングル大帝』とは、手塚治虫による日本の漫画、及びそれを原作とするアニメ作品である。 壮大な自然を舞台に、主人公のレオを中心とした物語で、その中で動物たちの弱肉強食や人間の欲望、自然の脅威や素晴らしさを知ることができる。学童社の月刊漫画誌「漫画少年」に1950年(昭和25年)11月号から1954年(昭和29年)4月号にかけて連載された。アニメ作品も制作されており、手塚治虫初期の代表作であると共に、現代アニメの基礎となった作品である。

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どろろ(手塚治虫)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

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『どろろ』とは手塚治虫によって描かれた、戦国時代を舞台に奪われた自身の身体を取り戻すべく48の魔物を追う百鬼丸と、泥棒の少年どろろの旅を描く時代劇漫画である。1967年から1968年までは『週刊少年サンデー』に、1969年には『冒険王』で連載された。父親の野望によって、48の妖怪に身体を奪われた姿で誕生した百鬼丸。医者・寿海に助けられた彼は身体を取り戻すため妖怪退治の旅を続けていたある時、泥棒少年どろろと出会う。手塚オリジナルの妖怪が多数描かれており、カルト的なファンも多い。

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七色いんこ(手塚治虫)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

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『七色いんこ』とは1981年より手塚治虫が『週刊少年チャンピオン』で連載していた漫画、およびそれを原作とした舞台作品。シェイクスピアなどの海外古典から近代演劇まで、実在の演劇をベースにした1話完結の犯罪活劇。 七色いんこは、代役専門の天才役者。本人そっくりのメーキャップに、時には本人以上の演技力で観客を魅了する一方、劇場内の金持ちから金品を巧みに奪う泥棒でもある。警察から送り込まれた射撃・格闘に秀でた刑事、千里万里子(せんり まりこ)は七色いんこを追ううちに次第に彼に好意を抱くようになる。

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ばるぼら(手塚治虫)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

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『ばるぼら』とは、手塚治虫によって『ビッグコミック』で連載された、芸術を題材とした大人向けの漫画。「耽美派の天才」と呼ばれる主人公の小説家が、アルコール依存症のフーテン娘バルボラと出会ったことで芸術家としての絶頂を味わい、そして転落するまでを描いている。男女の性愛だけでなく、異常性欲、黒魔術、薬物といったアングラ要素が満載の、いわゆる「黒手塚」と呼ばれる作品のひとつだ。 2020年、稲垣吾郎と二階堂ふみの主演で映画化されたことで話題になった。

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ユニコ(手塚治虫)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

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『ユニコ』とは手塚治虫がサンリオより出版の『リリカ』で1976年11月から1979年3月まで、小学館より出版の『小学一年生』で1980年5月号から1983年7月号まで連載した児童向けファンタジー漫画である。1981年には『ユニコ』、1983年には『ユニコ 魔法の島へ』のタイトルで映画化した。 一角獣の子どもユニコは、いじわるなビーナスに神の国を追い出され、西風の精に運ばれ様々な時空を旅することとなる。不思議な魔法を使えるユニコは、訪れる先で様々な人々と交流し、彼らに愛と友情を届けていく。

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上を下へのジレッタ(手塚治虫)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

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『上を下へのジレッタ』とは、手塚治虫がバーチャルリアリティーのような妄想世界「ジレッタ」を巡る騒動を描いたブラックユーモア漫画。才能と野心あふれるプロデューサー門前市郎(もんぜん いちろう)が「空腹の間だけ絶世の美女になる」という特異体質を持つ越後君子(えちご きみこ)と、その恋人の山辺音彦(やまべ おとひこ)を利用して名誉欲を満たそうと七転八倒する物語。 手塚作品の中では知名度は高くないが、2017年には妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』のタイトルで舞台化され、横山裕が主演を務めた。

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「火の鳥」ビギナーは何編から読むのが正しい?漫画マニアたちの大激論を紹介!【手塚治虫】

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漫画の神様とされる手塚治虫が、ライフワークとして描き続けた『火の鳥』。人間の愚かさと命の儚さを容赦なく描いた傑作で、いくつかのほぼまったく関連性のない長編エピソードによって構成されている。どのエピソードを読んでもおもしろいが、「では初めて読む人はどのエピソードを読むべきか」でたびたび激論が繰り広げられる。ここでは、漫画マニアたちの白熱の議論を紹介する。

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ぐるなびにて連載のエッセイ漫画【田中圭一のペンと箸-漫画家の好物-】をご存知ですか?

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田中圭一先生と言えば、漫画界の巨匠・手塚治虫先生の絵柄で下ネタギャグな作風を確立したパイオニア。その田中先生が現在webサイト「ぐるなび」にて、漫画家ご本人とそのご家族にまつわる“食”にスポットを当てたエッセイ漫画を連載しており、これが大変おもしろい!ですのでこちらでは、田中先生の作品を通して、ご自身も漫画家や他分野で活躍されているご家族も紹介させて頂きます。

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火の鳥 / Phoenixのレビュー・評価・感想

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火の鳥 / Phoenix
8

火の鳥ってどんな漫画?

火の鳥は手塚治虫が描いた漫画で、未来編や太陽編といった具合に何編かに分かれ話が進んでいきます。
各編は主に時代で分かれており、卑弥呼が登場する話もあれば人工知能が人類を導く様を描いた話もあります。
これらの編は全て繋がっており(一部例外あり)、過去の時代で登場した人物の子孫、はたまた同一人物が登場する場面もあります。
実際の史実をベースに脚色された過去の話と、これから起こりうる未来の出来事の話の2つに分かれており、歴史のはじまりから遠い未来までを描いている作品になっています。

全編の共通点としては、登場人物に何かしらの影響を与える火の鳥が登場(一部例外あり)する程度であり、例えば1編のみを読んだとしても十分楽しめると思います。
火の鳥自体の姿や性格や扱われ方も編によって違い、そこも楽しめる一因になっているかと思います。

各編の長さや規模も様々で、地球の運命に左右する出来事が起こる話もあれば1宇宙船での事件を描いた話もあります。
各時代の人間の暮らしや考え方もしっかり描かれており、何回も読み返すうちに出来事や台詞の捉え方が変わったり、新しい発見があったりします。

全編を読むことで、人間のリアルな部分や自然の凄さ、宇宙の壮大さを実感することができる漫画になっています。

火の鳥 / Phoenix
8

漫画『火の鳥』

『火の鳥』は今は亡き、手塚治虫先生が描いた代表的な漫画でいくつかの話に分かれている。
未来編や鳳凰編や生命編などがある。それらの話では火の鳥の血を飲めば不老不死を得られるということで、たくさんの人間が火の鳥の捕獲を試みるが、どうしても捕まえられない。
人間模様や、過去、現在、未来が描かれて2020現代を予想した手塚治虫先生のメッセージは、現実となっている。テロや戦争、人間愛、病気、社会問題、テクノロジーの発達をテーマにした哲学といえるストーリーで、オススメできる漫画である。
アニメ化もされたが、原作の漫画のほうが面白かった。
手塚治虫先生は火の鳥を通じて現代の人々に向けたメッセージを投げかけている。皮肉といえるメッセージに思える。コロナウイルス問題も東日本大震災による原発問題も火の鳥で似たようなシチュエーションで既に描かれているから驚きだ。普遍的なテーマの漫画である。
未来人は老いを恐れて死を恐れて、火の鳥の血を求めて争っている。
まだ知らない人はぜひお読みになることをオススメしたい。漫画の神様の作品を読む必要がある。良い勉強にもなるし、壮大な物語に感動するに違いない。
自分のとても好きな話は、人間の祖先がロボットだったという話だ。復活編である。

火の鳥 / Phoenix
10

命とは

次々と新しい漫画が生み出されているが、新しい漫画だけでなく、漫画の古典というべきものに触れるのも悪くないだろう。
『火の鳥』は漫画の神様と称される手塚治虫の代表作の一つである。古代から未来まで、火の鳥を通して人間模様を描いている。人の持つ醜悪な心から最上の愛まで、その醜さと美しさを余すところなく描き出す。手塚治虫は各話を通してひとつの疑問を投げかけてくる。
人々の寿命が延び、永遠の命というものも絵空事ではなくなってきている。しかし、それは本当に喜ばしいことなのだろうか。長年寝たきりで延命装置なしでは生きられない人は、果たして生きていると言っていいのだろうか?生きることに疲れてしまっている人を無理矢理生かすことには、果たしてどのような価値があるのか?長く生きることが幸せだということに疑問を抱く人は、現代社会において少なくないだろう。手塚治虫は現代の人々の命題に半世紀以上も前から焦点を当て、警鐘を鳴らし続けている。
現代の問題を紐解くのに、現代の漫画を読むことは時代に合っていると思う。しかし、古典と言われるような漫画にも、現代人の心をつかむような英知が眠っているはずである。『火の鳥』はそのような古典漫画の代表作と言えるのではないだろうか。

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