ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム

『ゴールデンカムイ』とは、週刊ヤングジャンプにて2014年8月~2022年4月まで連載された野田サトルによる日本の漫画である。
明治末期、北海道のどこかに隠されている大量の金塊をめぐって繰り広げられる命懸けのサバイバルに挑む人々の群像劇である。
日露戦争で鬼神のごとく活躍した「不死身の杉元」とアイヌの少女「アシリパ」を中心に、アクの強い登場人物たちがそれぞれの行動原理に従い、時に戦い、時に手を組み、敵味方が入れ替わりながら物語は進む。作中にはアイヌや北方少数民族の伝統的な食や生活の描写が多く含まれており、その精神性や歴史を分かりやすく伝えている。
本作品は、「マンガ大賞2016」「手塚治虫賞マンガ大賞(2018年)」など数々の受賞歴があり、アニメ化もされた。
連載最終回の公開を3週間後に控えたタイミングで、公式マンガアプリ『ヤンジャン!』にて最終話を含む全話を無料公開するという、斬新なマーケティングも大きな話題となった。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カムのレビュー・評価・感想 (2/2)

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ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
9

巧みなストーリー構成・魅力的なキャラクター

主人公を始めとして各キャラクターの行動原理や動機が明確でわかりやすく物語に入りやすい。
史実やその土地の文化について入念に調べたうえで時折大胆なフィクションを挟んでおり世界観や物語における
説得力と外連味が程よく両立できている。
主人公たちの目的は、かつてアイヌ達が集めた金塊を見つけ出すことで、その在りかを示す手掛りとなる刺青の暗号を集め解読するため
刺青に暗号を彫られた24人の脱獄囚を捕まえるため北海道各地を渡り歩くことになる。
その道中で語られるアイヌの文化や食生活、当時の北海道の自然や暮らしは本当にリアルに描かれており歴史や文化の勉強にもなる。
また、脱獄囚たちのキャラクターも非常に魅力的で、それぞれが独自の美学や人生観などを持っておりそれぞれが凶悪な犯罪者であるにも
かかわらず読み進めているうちにいつの間にか彼らを好きになっていることも多い。
物語の主軸となっている金塊争奪戦も非常に面白い。主人公勢を含め3つの陣営が入り乱れて刺青の暗号を奪い合い、時には協力しある時は裏切る
2点3点する勢力図やその中で明らかになるキャラクターの過去や変化していく人間模様から目が離せない。
最初は敵側として描かれていたキャラクターとも一時的に共闘する場面があったり、争奪戦の中で主人公以外のキャラクターも様々なことを経験し
変わっていく。
要所要所で明かされていく新事実と合わせて各キャラクターの心情や最後がどうなるのかが気になり読んでいる間ページを捲る手が止まらなかった。
多少癖のある作風だが、画力・ストーリー・キャラクターどれも高い水準で描かれており非常に面白い。おすすめの一作。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
8

ゴールデンカムイはなぜ面白いのか。

「ゴールデンカムイ」は、野田サトルが2014年から「週刊ヤングジャンプ」で連載しているマンガです。

今回は「ゴールデンカムイ」の面白さについて、解説します!

まずこのマンガのストーリーを説明します!

このマンガは、
「明治末期の北海道で、北海道のどこかにあるアイヌ民族が残した金塊を奪い合う」
お話です。

主人公の杉本佐一は元恋人の病気を治すために、
陸軍の軍人 鶴見中尉は北海道に軍事政権を樹立するために、
元新選組副長の土方歳三は北海道を独立国家にするために、、、

金塊を狙い、お互いが武力と知恵を持って戦います。

この「ゴールデンカムイ」の魅力は、何といっても
「格闘バトルに加え、頭脳戦の要素も加わっていること」です。

相手陣営を倒すために、銃で撃ち合ったり、素手で応戦したりしますが、
それに加えて、相手をだましあう頭脳戦の要素も含まれています。

各登場人物の「全身全霊をもって戦っている姿」が、
ハラハラドキドキして、非常に面白いです!

また作中で「アイヌ民族の文化」を学べることも魅力的な要素です。

主人公の杉本佐一は、アイヌ民族の女の子と共に行動しますが、
その中でアイヌ民族の猟の方法や宗教観が登場します。

アイヌ民族の暮らしを理解し、知的好奇心がくすぐられるのも
魅力の一つです。

「ゴールデンカムイ」は非常に面白い作品です!

マンガ好きな方はもちろん、歴史好きも楽しめる一冊です!

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
9

話題の金塊争奪サバイバル、波乱の札幌混戦 幕開け!!(コミック25巻)

ヤングジャンプで話題の金塊争奪サバイバル・アドベンチャー、波乱の渦に飲まれていく第25巻です!
残りの刺青暗号を追って札幌に辿り着いた杉本・土方・第七師団。到着早々、杉本らは刺青囚人の一人・上エ地圭二と土方一派の逃走劇に巻き込まれ大乱闘に…!!
先読みできないスピードで展開されるアクションシーンと、殴り合いの合間に前触れもなくぶっ込まれるコメディシーンは、もはやお家芸とも言えるでしょう。
物語が佳境に入るも、アクションとコメディは最初からフルスロットルです!!
かくして、杉本らは道中手にした新たな刺青人皮を差し出し暗号を共有することで、再び土方一派と手を組むことに。
ここでいよいよアシㇼパが取り戻した記憶が暗号を解くカギになるのかが明らかになりますが、全ての刺青が揃っていない現段階では解読は不可能だと分かります。
一行は改めて残りの刺青囚人探しに戻ることに。
残る刺青囚人のうち、手掛かりの期限が差し迫る娼婦殺しの犯人に狙いを定めた土方一派ですが、次の犯行手掛かりを掴んだ石川が宇佐美上等兵に狙われてしまいます!
命からがら戻ってきた石川から次の犯行現場を絞った一行は、師団より先に刺青囚人を抑えるべく札幌ビール工場へ侵入し、四組に分かれて囚人を探します。
土方組の元へ囚人が姿を現した一方、門倉がオトリをしている牛山組が、先回りして現場にやってきた宇佐美上等兵とかち合い大パニックに…!!
互いの刺青暗号、そして暗号解読のカギを握るアシㇼパを巡り、ビール工場で大乱闘の幕開けです!!
また、24巻で房太郎が嗅ぎつけた「アシㇼパの杉本への思い」もさらに深く描かれています。
金塊が見つかった後も、杉本と一緒にいたいと思いは果たして届くのか?!
サバイバル・アクションの中に芽生えた恋の行方も、これから注目していきたいポイントの一つです。
そして三組混戦の中で、忘れてはいけないもう一つの戦いがあることもお忘れなく!
尾形を追って遥々ロシアからやってきたスナイパー・ヴァシリは、今回やっと尾形に追いつきます!
尾形が近くにいると知った時のヴァシリの興奮ぶりたるや…。
これから始まる緊迫した戦闘の中で、箸休めにもなる日・露のスナイパー対決もお見逃しなく!!

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
9

笑いあり涙あり思惑が飛び交うお宝さがし!

「ゴールデンカムイ」はコメディ要素もシリアス要素も含んだ作品です。日露戦争後の北海道を舞台にしており、当時の時代背景やアイヌ文化を積極的にとりいれた骨太なストーリーです。とはいえ、決して堅苦しいマンガではなく、コメディ要素の強い展開が多いです。
少し下品な描写もありますが、ストーリーの中に下品な描写が重要なもの、あるいは笑えるものとしてバランスよく組み込まれています。こちらは男性向けのマンガ雑誌で連載中の作品で、絵柄も男性向けという感じに見えます。しかし、男性だけでなく女性にも十分におすすめしたいマンガです。
主人公の杉元とアイヌの少女アシリパがお互いの目的のために、財宝を探す旅に出発するという場面から物語は動き出します。
全くの他人だった二人が目的のために協力し、絆を深めていく様がこの作品の見所のひとつだと思います。二人とも優れた判断力や行動力のあるキャラクターであるからか、物語のテンポもよく、作品として中弛みがありません。
主人公の杉元という人物は、身の回りの人々や自然に対する優しさを持ち合わせていますが、やむを得ない状況であった場合や敵に対してはあまりにも割り切った対応をします。主人公でありながら、単純に明るく元気なだけのキャラクターではありません。杉元以外にも個性の強いキャラクターが多数登場します。財宝を巡る旅の中での人間関係が複雑で、それぞれの心理描写がこの作品を魅力的にしています。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
9

大人に読んでほしい緻密なストーリーと人物描写が光る作品

徹底的に練りこまれたストーリーと、人間ドラマから目が離せません。
舞台は明治時代の北海道で、アイヌ民族が隠したとされる金塊の山を主人公たちが探し求めるストーリーです。
金塊を探す手掛かりは金塊を隠した本人と噂されるアイヌの男性の娘アシパと、男が網走監獄に収監されていた間に囚人の体に刺青として彫った暗号の地図のみ。しかし囚人はすべて脱獄しているため、ストーリーのほとんどは地図を入手すべく囚人を探すことに重点が置かれています。
金塊は主人公たち以外にも狙っている勢力があり、大きく3つの勢力が金塊争奪戦にエントリーしているのですが、魅力的なのは状況によって勢力同士で結託したり時にはスパイを送るなど、敵味方が明確に分かれていないです。誰が見方で誰が敵なのか、各登場人物の真意は何なのかを想像しながら楽しめますし、伏線も多数張られています。話が進むと「こういうことだったのか」と思わず前の話を読み返したくなることがきっとあるはずです。
また、各登場人物の描写が丁寧に描かれているため、キャラクターの性格や、登場人物間の愛情や対立、信頼などの繊細な人間関係が伺えてストーリーがよりドラマチックに仕上がっています。
文化や歴史的な側面については他の多数の記事で絶賛されているので割愛しましたが、時代考証など学術的な描写を抜きにしても大変面白いので、お勧めです。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
9

隠された金塊を探す、サバイバルドラマ!

「ゴールデンカムイ」は集英社刊行の週刊誌「ヤングジャンプ」にて、原作者で漫画家の野田サトシにより2014年8月21日(38号)から連載中の、隠されたアイヌの金塊を探すサバイバル漫画です。
時代は明治、日露戦争後の北海道が舞台です。
主人公は日露戦争帰りの元軍人で一等卒だった杉元佐一です。杉元はある事情から、大金を目当てに北海道で砂金取りに勤しむなか、酔っ払いの男から偶然にアイヌの隠された金塊の話を聴くことから物語は始まります。
作中では、一癖も二癖もある個性的なキャラクターたちが数多く登場します。日露戦争の最中のキャラクターたちの描写も多く、服装も軍服を着たキャラクターや軍人も登場します。
その他にも、読者から人気のあるキャラクターである尾形百ノ助など、個性的なキャラクターたちがこの漫画の魅力でもあります。
中でも、作者が作中トップレベルの変人であるという宇佐美時重は、自身の口の左右にあるホクロに崇拝する上官、鶴見中尉にされた落書きである走る棒人間をそのまま刺青にするなど、たびたび常軌を逸した内容もあります。
主人公の杉元は、助けられた事から出会う蒼い目をしたアイヌのアシリパという名の少女と、キャッチコピーが愛されて脱獄王の白石由竹らとともに、アイヌの金塊を探すための手がかりである金塊の場所を示した入れ墨を入れた囚人たちを探すため、北海道中を動き回ります。
本作には金塊などにまつわる隠されたエピソードが多くあり、杉元たちが金塊を探す中で金塊の在処を知るアシリパの父親についてなど、物語が進むにつれ謎や憶測が解かれていきます。
作中で、モブキャラクターを含め主要キャラクターが死ぬ場面もあり、注意が必要です。
2021年3月現在の連載中の内容では、入れ墨の暗号を解く鍵を思い出したアシリパが同じく金塊を狙う鶴見中尉に暗号の鍵を溢してしまいます。
物語がどんどん進む中、果たして金塊を手に入れてる事は出来るのか、連載はヒートアップしています。
また、ゴールデンカムイは漫画として様々な賞を受賞しています。第22回手塚治虫文化賞の大賞を受賞、2019年に開催された大英博物館マンガ展の象徴にアシリパさんが選ばれるなど、日本国内ばかりではなく海外の漫画界にも影響を与えています。2021年では、第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門ソーシャル・インパクト賞を受賞するなど、各方面で注目されています。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
10

意外と知られていない日本の姿を知る

日本に古くから少数民族が存在していること自体を知らない人が多いのではないだろうか。
アイヌという言葉を知ってはいてもどんな民族か、生活を送っていたのか。
波乱に富んだストーリーだけでなく、アイヌという民族を深く知ることができ、
また、樺太編において、樺太が日本の領土であったこと、
そこにも樺太アイヌやオロッコといった少数民族が存在したこと。
これも全くと言っていいほど知られていない事実。
これは、マンガを超えて歴史教科書と言っても過言ではない。
実在の人物が多く出ることで物語にリアリティがある。
函館で滅んだはずの新選組。
実際に、永倉新八は月形監獄で剣術師範をし、小樽に居住。
これに、死んだはずの土方歳三が加わる。
土方は遺体の行方が分からないため、もしかしたらと思わせてしまう。
そして、常に虐げられてきたアイヌの人達。
北海道にはアイヌの人達がおり、自然の中で生きてきた。
ヒグマとのかかわり、自然への感謝、
今見直さなければならない生き方が100年前の北海道にはあった。
何と言っても、北海道独立の夢が叶うかどうか。
榎本武揚が成し遂げられなかった蝦夷共和国の夢。
これらを巡って、まさかロシアのアレクサンドル2世の暗殺まで絡めてくるとは思わなかった。
個人的にはロシア革命まで突き進んで欲しいとさえ思っている。
我々が知らなかった北海道、日本、極東、ロシアの歴史とロマンを十分に堪能できる、
何よりも性別、世代を問わない作品、教科書であると思う。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
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アイヌについて勉強にもなるアニメ

2018年4月よりアニメ放送され、2019年7月には第三期のアニメ化も発表されたり、コミックは18巻(2020年1月では20巻まで発売されています)の発売時点で累計発行部数1000万部突破しており大人気作品になります。
また、2015年にコミックナタリー大賞で二位と成績を残し、翌年にはマンガ大賞も受賞したり、その後もいくつものマンガ賞を受賞しています。
作品の内容と見どころとしましては、主人公、杉元佐一がとあることから、アイヌが金塊を隠していることをしり、この金塊をめぐる戦いに巻き込めれていくのですが、その道中に金塊の在処を示した入れ墨のある囚人たちとの戦いや、共闘して共に目的を果たそうとしたり、日本で革命を企てる日本軍とも戦いになったり、かなり濃い内容になっています。
また、出てくる敵もモブキャラですら強かったりと、主人公だから苦労せずに勝てるっと言うこともなく頭脳戦が行われたり、肉弾戦になったりと、バトルシーンは見ていて本当に飽きません。
他にも、シリアスなシーンなのにシュールなボケを入れてきたり、色んなアイヌの伝統や食事(食事に関してはグルメマンガ顔負けレベル)を開設したりとたくさんの見どころある作品です!!

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
10

怒涛の展開に魅力的なストーリー。加えてシリアス&コメディとのバランス感覚の優れた良作

アイヌ文化に明治時代末期、戦争という実際の歴史に金塊争奪サバイバルというオリジナルストーリーをうまく加え、観る人を引き込むとても面白い作品となっている。また設定から重い内容な気がして観るのを躊躇してしまいがちだかそれは勿体無い。張り詰めたシリアスシーンかと思いきやほっとするようなコメディ展開といった具合に重くなり過ぎず展開も良く、観ていて飽きないバランス感覚に優れた作品でもあるのだ。
またアイヌの文化や魂について良く研究した上で魅力的に表現しているので、そういった点でも感心させられるので見所はとても多い。
主題歌にはMAN WITH A MISSIONのWinding Roadという曲が採用されており、疾走感と深みがある曲調で歌詞も良くかっこいいナンバーである。
またストーリーにもとてもマッチしており、一話目で流れた時にはとてもグッときた。
そして一番はどのキャラクターもとても魅力的だというこだ。
主人公の生きる事への執着のようなものをとても美しくクールに表現していたりら、ヒロインの聡明かつ芯の強いキャラクターはこういう人間でありたいと思わされる。
他のキャラクターもそれぞれの信念やプライド、ロマン、哲学を持っておりとてもかっこよい。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
9

ゴールデンカムイ

時代は日露戦争終戦後で、舞台は北海道。アイヌの埋蔵金を狙う主人公達と、埋蔵金の鍵を握る極悪で癖の強い脱獄囚たち、同じく埋蔵金を狙う日本陸軍。登場人物は異常に多いですが、それら三勢力が脱獄囚の身体に刻まれた埋蔵金のあり方に繋がる刺青(刺青人皮、というらしいです)を狙うという分かりやすい構成で、途中から読んでも大体頭に入るストーリーになっています。三つ巴の戦いは、裏切りや仲間の犠牲を経ながらまさに血で血を洗う様相となります。そして物語終盤の主人公とアイヌ娘が埋蔵金を見つけた後どうなるのかは必見です。こんなバトルは見たことないというくらい、何でもありの殺人やり過ぎ演出で、人間ってこんなに躊躇なく人を殺せるんだと驚かされるシーンの連続です。殺人犯が殺される場面では、殺人犯に現在の私たちが共感できるかはさておき、これらの人にも一人一人にストーリーがあり全く飽きることなく独特の世界観に引き込まれます。一方で、アイヌの信仰や文化を知る、和やかな日常に触れ、アイヌ民族のヒロインの美しい心に癒されたり、笑っていいのか分からないシュールなギャグ展開があったり、これまで見たことのないテンポ感の漫画であることは間違いないです。血生臭い展開も多く、ギャグについて行けない場合は、読む人が限られるかも知れませんが、一本の時代小説を読んでいるようで間違いなく名作でお勧めです。

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弱い奴は食われる。北海道を舞台に繰り広げられる金塊争奪サバイバル

作品の舞台は日露戦争終結後、明治時代末期の北海道です。アイヌが残したといわれる金塊の在り処を巡って壮絶なサバイバルが繰り広げられます。サバイバルというと殺伐とした印象がありますが、本作は殺し合いのシーンばかりではなく、仲間との食事シーンや独特なギャグパートなどが組み込まれ、緩急のある作品に仕上がっています。作者の丁寧な取材に基づいて制作されており、アイヌの生活や料理・考え方なども作品を通して学ぶことができます。また、登場キャラクターたちが非常に魅力的です。それぞれの生い立ちや、内に秘めた思いが細かく描かれており、一度読み始めるとどのキャラクターも好きになってしまうこと間違いなしです。「弱い奴は食われる」は作品序盤でのセリフなのですが、本作の根底にはずっとこのセリフがあるような気がします。「弱い奴は食われ、強いものが生き残る」という考え方があるからこそ、殺し合いのシーンも悲壮感なく淡々とした気持ちで見られるのだと思います。自分の目的のために生き、戦う。非常に単純明快で、読むとスッキリした気持ちになれます。歴史・軍隊・アイヌ文化・グルメなどさまざまな要素が詰め込まれているので、読者の層が幅広く、男女関係なく楽しめる作品です。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
10

モブにも犬にもそれぞれの人生がある

大英博物館のマンガ展のポスターになっていたので、ずっと気になっていた作品でした。なぜナルトやワンピースなど、商業的にすでに成功している作品ではなく、ゴールデンカムイなのか、と。
私は漫画よりも先にアニメから入りました。冒頭は、男性主人公である杉元が日露戦争で戦っている場面から始まるので、明治の軍隊もの、バトル系なのかな、そして、アイヌの女の子が出てくるので、ヒーローヒロインものかな、と思いましたが、本作はそんな既存のジャンルには収まりません。
明治の軍隊ものではあるけれど、明治の北海道に駐屯する軍隊がどういう人たちの寄せ集めなのかというドラマが動き、バトルはあるけれども白黒善悪はもっと複雑で、軍人の話、ヒーローの話、というよりも、人間の物語になっています。二話、三話と見て行って、和人の男性である杉元が与えたり助けたりするばかりでなく、アイヌの女性であるアシリパさんに平等に与えられ助けられることによっても、この物語が型にはまらないものであることが分かってきます。
また、アニメ2エピソードくらいで死んでしまう人にも、生い立ちが語られ、その人の死が居合わせた登場人物の心情に爪痕を残していたことが後々になってわかることや、主人を亡くした猟犬にも新しい自己実現の道が後になって見つかるなど、作品の中で生きた時間が流れていることが分かります。

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名場面のオンパレード!これはすごい漫画

とにかく名場面、名台詞が多いです。巻数を重ねると失速する漫画もありますが、これは勢いが衰えません。ギャグとシリアスの二面性が心地よいタイミングで交代し、会話のテンポやストーリー展開の速度は読むのを疲れさせず、とにかく飽きさせません。とくにシリアスシーンの描き方は迫力満点です。
行動やセリフは当然のことながら、絶妙な表情から各キャラの背負う人生が垣間見えます。金塊争奪戦というストーリー上、死人が出ますが、死に様すら今までのキャラクターの生き様をそのまま体現した鮮やかなものです。一見無様に死んだように見えるキャラも、他のキャラの生き方を補正するように描かれているため、モブすら無駄死にしていません。キャラのひとりひとりから、壮絶なエネルギーを感じる作品です。
ギャグシーンでは、コミカルな顔芸が丁寧に緻密に書き込まれており、初見ではあまりの顔面崩壊っぷりに圧倒され、「やべえ」しか感想が出ませんでした。どのギャグシーンもインパクトのあるもので、誰かに見せびらかしたくなります。話が進むにつれ新キャラが続々出てきますが、それぞれのエピソードや人格が強烈なので、皆きちんと個性が出ています。こんなに楽しい人間模様は久しぶりです。非常に興奮しています。わたしは自信をもって、この漫画をおすすめします。

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時代背景とアイヌの歴史が面白いくらい分かる

友人おすすめで無理やり渡されたマンガだったので、はじめは気乗りがせず、絵があんまり好きじゃないかも…日露戦争後の北海道の歴史なんて全然興味がないと思って読んでいたのですが、敵味方問わず出てくる変態とよぶべき愛すべきキャラクター達が全裸で戦ったり変顔をしたり、銃を打ちながら「勃起!!」と叫ぶようなシーンも多く含まれておりプッと吹き出してしまうような事が多々ありました。
戦いのシーンこそ血が出たり、腸が出たり、耳が削がれたりとありますが、キャラクター一人一人の個性が立っていて全くグロテスクに感じることはありませんでした。また、作品の中ではさまざまなアイヌの伝統料理を紹介をしていてこれも興味深く、例えばチボプサヨ(ジャガイモとイクラのお粥)鮭のチタタプ(顎の肉をネギトロにしたようなもの)等、本当に美味しそうな料理が出てきたと思うと、猟の場面では愛らしいリスや、ネズミ、ラッコ等本来愛でるべき動物を捕獲し新鮮な脳みそを生で食べたり、皮を剥ぐなど調理の詳しい工程も丁寧に載っていて勉強になりました。どの食べ物を食べるときも「ヒンナヒンナ」=食事、食べ物、生き物に感謝というアイヌ語が用いられていてアイヌの人たちの自然への感謝の気持ちが要所要所に散りばめられていてスーッと頭に入ってくるようになってます。北海道の主要都市や網走監獄など私たちが耳にしたことのある場所が舞台になっているためその町の歴史なども学べるようになっています。今は北海道を出て樺太を旅しているので今後の展開にも目が話せないです。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
10

シリアス・グルメ・爆笑!多彩な要素に圧倒的な世界観に脱帽!

過去に漫画賞を受賞した作品で、舞台は明治時代の北海道。日露戦争帰りの主人公「杉本佐一」とアイヌ民族の少女「アシリパ」、それを取り巻く強敵たちが金塊を求めて戦うストーリー。
一見シリアスな漫画と思いきや、他の作品ではまず見られないヒロインの堂々とした顔芸、アイヌ文化や、濃厚なホモ展開、グルメ漫画のような思わず食べてみたいと思わせるヒグマやウサギなどの獣料理の数々。”なんでもあり”なゴールデンカムイの世界観にすぐに魅了されてしまいました。
作中に出てくる武器には、実際にこの時代に使用されていた三十八年式歩兵銃や村田銃などが登場。レトロな武器が多数登場し、ガンマニアにもたまらないポイントになっています。この金塊争奪戦を指揮した「土方歳三」や、金塊のヒントを入れ墨にいれた変態囚人たちも数多く登場し、濃すぎるキャラクターたちも人気の秘密だと思います。
今回鍵を握る少女・アシリパのいるアイヌ民族の独特な伝統や考え方は、今の現代では忘れがちな心も教えてくれます。食べ物に感謝する言葉「ヒンナ」などなど。この作品の他の漫画にはない知恵と魅力が満載の作品です。2018年にはアニメ化もされ、第二期の網走監獄編で終了を迎えました。本誌の方では樺太編へ突入し、杉本たちは金塊を手に入れられるのか?今後の展開が見逃せません!

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
10

知ってるはずなのに全く知らない世界観!

日露戦争、新選組、アイヌ、北海道、熊とどれも皆知っているワードであり、実際の日本の歴史をベースにした話なのに、今までされてない所にフォーカスされており、とても新鮮な漫画作品です。
あらすじは、金塊の隠し場所を見つける為に暗号化した刺青を入れた脱獄囚達を探し出す、という明治時代末期が舞台のもの。仲間になる者、裏切る者、邪魔する者と様々な思惑を持ったキャラクターが出て来ます。

この作品で印象的なのは、細かな描写のアイヌの文化です。
ヒロインのアイヌの女の子が語るアイヌ文化は、信仰・食事・生活様式など多岐に渡り、その神秘的で目から鱗の内容に興味がつきません。
この作品を知る前に阿寒湖周辺に旅行をしたのですが、当時はアイヌ文化に興味が無く立ち寄らなかったので、今度改めて阿寒湖のアイヌコタンに行きたくなりました。
単行本の巻末には多くのアイヌに関する参考文献が載っており、作者の勉強っぷりが窺えます。
そして、何よりキャラクターが皆魅力的です。

それぞれ理想を持った芯の強い人物達で、簡単に善悪では分けられない所が物語に深みを与えています。
主人公の杉元は、普段は三枚目キャラですが戦いに強く男気があり優しさも持ち合わせて文句なしにカッコイイ!
そんな主人公は、日露戦争に出征した作者の曽祖父と同じ名前だそうです。
脱獄王や凄腕スナイパー、マタギなどバラエティ豊かなキャラが出て来ます。その上を行く脱獄囚達のキャラも必見です。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
10

明治時代末期の北海道を舞台に繰り広げられる、隠された金塊をめぐるサバイバルバトル

明治時代末期、日露戦争終結直後の北海道が舞台。北海道のどこかに隠された金塊をめぐるサバイバルバトル漫画です。
タイトルの「ゴールデンカムイ」は、英語のGoldenとアイヌ語のKamuyを組み合わせた造語で、作中でも当時のアイヌ文化が豊富かつ丁寧に描写されています。

網走監獄の獄中から仲間に金塊の在処を伝えるため、金塊の隠し場所を示す入れ墨を囚人たちの体に彫り、脱獄させた「のっぺら坊」と呼ばれる男。その「入れ墨人皮」は獣のように皮をはぎ、すべてを組み合わせ暗号を解く必要が。
不死身の男と呼ばれた主人公・杉元佐一と、天真爛漫なアイヌの少女・アシ(リ)パ。杉元は幼馴染であり眼病を患っている梅子の治療費を得るため、アシ(リ)パは殺された父親の仇をとるため、二人は手を組みます。アシ(リ)パの父親を含むアイヌを殺害し金塊を奪った、「のっぺら坊」と呼ばれた男は一体何者なのか。金塊はどこに隠されているのか。
杉元たちと同じように金塊を狙う人間の中には、陸軍第七師団・鶴見中尉、戊辰戦争で死んだはずの新選組鬼の副長・土方歳三など、濃いキャラクターが勢ぞろい。また「ゴールデンカムイ」は、ハラハラするサバイバルバトルだけでなく、戊辰戦争、日露戦争など歴史ロマンの要素も強く、アイヌ伝統の狩猟やグルメも魅力のひとつ。鹿肉、馬肉、ニシンなど、思わず「ヒンナヒンナ」と言ってしまいそうなものばかり。
アニメ化され、2018年秋には第二期の放送も決定した「ゴールデンカムイ」杉元たちは金塊の在処へたどり着けるのか、のっぺら坊ほ正体は一体何なのか、この先の展開に目が離せません。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
8

タイトルなし

ゴールデンカムイは、日露戦争直後の北海道で莫大な金塊を巡って繰り広げられる戦いが描かれます。
ダイナミックな戦闘とギャグ、アイヌの豆知識と北海道グルメ情報が楽しめます。
特に作品に登場する敵も味方も粒ぞろいの個性的なキャラクター達が非常に魅力的です。

そのキャラクターの中でも敵か味方か判断がつかない謎の男、「尾形百之介」が人気を集めています。
第7師団歩兵第27聯隊に所属している上等兵であり、類を見ない狙撃の腕を持つクールな青年だが
主人公グループに属しつつ「裏切者ではないか?」という疑いをかけられながらも共に行動しています。
彼は過去には父の妾であった母親を毒殺し、腹違いの弟を戦争にまぎれて殺し、最終的に愛情と認知を求めたはずの父親すらも殺してしまうという、おそろしいバックボーンを背負っています。しかし、おちゃらけた主人公達と共に行動していくうちに別の面が見えてきて、ギャップが魅力的なキャラクターです。

北海道の厳しい寒さ、狼や熊、鯱などのダイナミックな動き、銃や砲撃、そして主人公杉元や尾形を始めとするキャラクター同士の激しい戦闘など、そのどれもが見どころ満点です。