ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム

『ゴールデンカムイ』とは、週刊ヤングジャンプにて2014年8月~2022年4月まで連載された野田サトルによる日本の漫画である。
明治末期、北海道のどこかに隠されている大量の金塊をめぐって繰り広げられる命懸けのサバイバルに挑む人々の群像劇である。
日露戦争で鬼神のごとく活躍した「不死身の杉元」とアイヌの少女「アシリパ」を中心に、アクの強い登場人物たちがそれぞれの行動原理に従い、時に戦い、時に手を組み、敵味方が入れ替わりながら物語は進む。作中にはアイヌや北方少数民族の伝統的な食や生活の描写が多く含まれており、その精神性や歴史を分かりやすく伝えている。
本作品は、「マンガ大賞2016」「手塚治虫賞マンガ大賞(2018年)」など数々の受賞歴があり、アニメ化もされた。
連載最終回の公開を3週間後に控えたタイミングで、公式マンガアプリ『ヤンジャン!』にて最終話を含む全話を無料公開するという、斬新なマーケティングも大きな話題となった。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カムのレビュー・評価・感想

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ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
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サバイバル×ジビエ×アイヌ×バトロワ!?『ゴールデンカムイ』の魅力とは

舞台は、日露戦争後の北海道。主人公の元軍人・杉本佐一は戦争で亡くなってしまった幼馴染の奥さんの治療費を稼ぐため、北海道で砂金をとっていた。
そんな中、ある男からアイヌが隠した金塊の話を聞くが、冬眠から目覚めたヒグマに襲われてしまう。
そこをアイヌの少女アシリパに助けられ、アシリパの父が金塊に深く関わり殺されていたことを耳にする。
杉本は金塊を、アシリパは父を殺した犯人を探すという利害が一致し、2人は旅に出る。

『ゴールデンカムイ』を“和風闇鍋ウエスタン”と言う方々が多くいますが、この表現には深く同意します。1巻だけ読むと結構硬派な作品となっています。
ですが、読み進めていくとギャグとシリアスが絶妙に組み合わさった作品であり、退屈しません。
物語の性質上、囚人たちの体に財宝の在りかが描かれているため、主人公や、狙う派閥は人の皮を集める為に囚人を探します。
そんな目的、アイヌの生活、サバイバルなどの殺伐とした中に圧倒的存在感のシュールなギャグが織り交ぜられている。それがこの作品の魅力だと思うのです。

キャラクターも魅力的で、ものすごい変態の囚人がポコポコ出てきます。この作品、登場人物はほとんど見事に「変人」なわけです。
主人公の杉本も見え方によっては、殺されそうになると躊躇なく相手を殺したりと、ネジが外れてたりします。
むさくるしい男たちの入浴シーンが丁寧に書かれすぎていたり、日常シーンも全く飽きが来なく予想外のギャグシーンが入ります。
そして作者のアイヌ文化への調査が徹底されており、勉強になるところもポイント。
このように要素が多すぎて、“和風闇鍋ウエスタン”という言葉がしっくりくる作品です。

私もこの闇鍋に魅了され、北海道に行きたくなってしまいました。皆さんもぜひ読んで闇鍋を味わってみてください。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
9

『銀魂』を彷彿とさせる独特なユーモアのあるアニメ

サブスクリプションのランキング上位で評価が高く、気になって見始めたが、ギャグ漫画のような面白さがありハマってしまった。
例えるなら、アニメ『銀魂』のようなボケや下ネタが多い。暴力的ではあるが、どこか優しいツッコミが描かれており、著者独自のユーモアが溢れている。声優さんも豪華で、テンポのいい掛け合いや間がまた面白さを引き立てている。

お笑い的な面白さだけでなく、北海道の歴史からアイヌの歴史や文化、アイデンティティがリアルに描かれていて、戦争や民族の歴史も学べて考えさせられる、レベルの高い作品である。著者が北海道出身のようで、恐らく自身が見聞きしたことも反映されているのではないかと考えられる。

また、作中に出てくる料理も美味しそうに表現されていて、食料調達の技術や、調理法もだんだんと興味が湧いてくる。

戦争の情景や暴力的な場面が多く出てくるが、キャラクターの一人ひとりの人生が垣間見える描写があり、毎話見ていて次が気になり楽しみだ。実際の歴史に忠実な部分もあり、学生時代に勉強したことのある歴史的人物が多数登場する。もちろん、オリジナルのストーリーであるため、事実と異なる設定もあるが、知っている知識と合わせても楽しむことができる。

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連載終了後も注目を集め続けている『ゴールデンカムイ』

2022年4月28日に連載が終了した、大人気漫画『ゴールデンカムイ』。
明治末期に主人公の杉元佐一をはじめ、陸軍第7師団や土方歳三などが、金塊を巡って争奪戦を繰り広げるバトル漫画だ。マンガ大賞や手塚治虫文化賞など数々の賞を受賞している。連載終了前後の全話無料公開を機に一気読みをして、ハマった人も多いのではないだろうか。私もその1人で、全話無料で読み終えた後すぐに単行本を買ってしまった。

最後まで金塊争奪戦という軸がぶれずに展開するストーリーは、飽きることなくどんどん読み進めていける。作者の徹底的な取材をもとにしたアイヌ文化の紹介は、自分の知らなかった文化や歴史を学ぶことができるだろう。随所に散りばめられたギャグも思わず笑ってしまうものばかりだ。

個性的なキャラクターたちも魅力の1つである。主人公一味はもちろんのこと、敵対勢力のボスで怪しげなカリスマ性がある鶴見中尉。その鶴見中尉の部下で、常識人だが心に闇を抱えた月島軍曹や、興奮すると早口の薩摩弁になってしまう鯉登少尉など癖の強い登場人物たちが大暴れする。さまざまな勢力を行ったり来たりする尾形百之助も、そのミステリアスさが女性に人気だ。

このような個性豊かな登場人物たちの活躍をぜひ読んで確かめてみて欲しい。面白いだけでなく、歴史や民俗文化も学べるこの作品は、この先も多くの人に愛されるだろう。

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9

チタタプしようぜ!

明治時代後期、北海道にて日露戦争に従軍していた「不死身の杉本」と異名を持つ兵士がいました。
名前は「杉本佐一」。杉本の親友は戦死。親友の妻、梅子は目の病気を患っていました。杉本は梅子の手術費用を賄うため、大金を欲していました。

戦争から帰ってきた杉本は、とある人物から脱獄囚の身体に入れ墨として暗号化された、アイヌの埋蔵金のことを知ります。
「杉本佐一」とアイヌ民族の少女「アシリパ」とともに、埋蔵金を探すサバイバル漫画です。

ヒロインである「アシリパ」は魅力的で、私たちの知らないアイヌの独特な文化や料理なども多く紹介されております。
脱獄囚は全部で24人。
脱獄王「白石由竹」、新選組鬼の副長「土方歳三」、おでこが四角「牛山辰馬」、外科医「家永カノ」などなど。個性あふれる脱獄囚がたくさん登場します。

アイヌの財宝を狙う大日本帝国第七師団。こちらも変態が多いので見ていて飽きないです。なかでも「鶴見中尉」!鶴見中尉の人を引き付けるカリスマ性には、読者である自分も引きつけられます。『ゴールデンカムイ』には、「鶴見中尉」は絶対にいなくてはいけない存在です。ラスボスのような存在です。

女っ気がない漫画であるからこそ、ヒロインの「アシリパ」がかわいらしく見えます。物語に関係してくる囚人たちは、個性的なメンバーがたくさんいます。

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漫画を通して学べるアイヌ文化と明治の魅力

ゴールデンカムイは、「週刊ヤングジャンプ」にて連載された、野田サトルによる漫画作品です。
明治時代、日露戦争後の北海道を舞台に、主人公の杉元佐一がアイヌの少女アシリパと出会い、様々な仲間と交流を深め、時には戦いながら冒険をするという内容です。
主人公である杉元佐一は、不死身の杉元と呼ばれ、日露戦争を戦い抜いた屈強な元兵士です。
そんな杉元は、ある噂を耳にします。
「網走監獄から脱獄した囚人は、身体中に妙な刺青が入れられていて、その刺青には埋蔵金である金塊のありかを示す暗号が隠されている」という内容でした。
それを聴いた杉元は、半信半疑に思いながらも、金塊を探すために行動を開始します。
その最中、佐一は、北海道固有の生物であるヒグマに襲われ窮地に陥ります。
そこへ突然現れたアイヌの少女アシリパが、ヒグマを退治し杉元の命を救いました。
命を助けられた佐一は、アシリパへ金塊の話をし、一緒に金塊を探すことを提案します。
アシリパは、金塊が元々はアイヌのものであることと、北海道の土地に不慣れな佐一の手助けを行うため、協力することにしました。
ここからゴールデンカムイの物語は始まります。

ゴールデンカムイの魅力として挙げられるのは、多彩で魅力的なアイヌ文化を学ぶことができる点にあります。
北海道の地で暮らすアシリパは、アイヌの血を引いています。
彼女が語るアイヌの暮らしや文化は、私たちの知らないものばかりです。
このアイヌの人々の食文化や登場する食べ物が、この作品の最大の魅力と言っても過言ではないでしょう!
アイヌの人々は命を頂くという行為を尊んでいるということが、食事をするあらゆる場面で見受けることができるのです。
季節の食材を利用したアイヌ独自の料理や、北海道の土地に生きる生き物を余すところなく食べ尽くす様子を見ていると、現代の私たちがいかに恵まれていて、食に対する関心が薄まっているのかということを痛感します。
また、アイヌの教えを守るアシリパは厳しい北海道の土地で、生き抜くための多くの知恵を持っています。
そのおかげで、杉元は多くの場面でアシリパに命を助けられるのです。
このことからキャラクターの強さは、決して腕力や戦闘力だけではなく、賢さや知見が必要であることを学ぶことができます。

ゴールデンカムイの魅力のもう一つには、登場する多彩なキャラクターたちにあります!
主人公の杉元以外にも、金塊の噂を聞きつけた猛者たちが出会い、そして様々な戦いを繰り広げていきます。
やがて、日本陸軍も金塊の争奪戦に介入することによって、物語はさらに壮大により複雑になっていくのです。
中でも、日本軍第七師団に所属する鶴見中尉は、この物語において大きな鍵を握る重要な存在です。
読者は、鶴見中尉の圧倒的な存在感と、底の見えない不気味さに強く惹きつけられしまうでしょう。
そして、その鶴見中尉を取り巻く第七師団のメンバーも、皆それぞれに物語が存在します。
どうして鶴見中尉に忠誠を誓うのか、過去のエピソードを交えてより深く語られていきます。
その過去のエピソードが、いずれは金塊争奪戦に関わる重要な要素として絡んでくるのです!

このようにゴールデンカムイのキャラクターたちには、それぞれにバックボーンが存在するため、感情移入がしやすく、物語をさらに深く理解しやすくなっていると言えるでしょう。
北海道を舞台にした壮大な物語が、多くのキャラクターたちの人生を狂わせ、そして、読者である私たちをも熱狂させるのです。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
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キッカケは食事シーン

アニメ飯が好きな人間にとっては最高な作品!!

はじめに、私がゴールデンカムイに興味を持ったのは、アニメの食事シーンだけを集めた動画で主人公と少女の2人が美味しそうに鍋を食べているシーンを見たからです。
何処かの民族衣装を着た女の子が、見たことの無い方法で獲った肉を調理し、雪深い北海道の山中で暖かそうな鍋を食している姿がなんとも美味しそうで、それをキッカケに見始めたアニメでした。
鍋以外にも熊やウサギ、鮭やアザラシ等の生肉を包丁でタタキにする“チタタプ”や、様々なアイヌ料理、ロシア料理が登場し、食を通じて登場人物達の絆が深まったり、心境の変化が垣間見えたりします。とにかく食事シーンが多々登場するアニメなのです!

食事シーンが気になり見始めたアニメでしたが、日本の歴史や民族文化、驚くほどの下ネタや金塊争奪戦の様々なギミック、愛すべきキャラクター達など、ハマる要素が沢山あり、まんまと沼ってしまいました。

驚くべきは作者の取材力でしょう。実在する建造物が細部まで忠実に描かれており、作中にいくつも登場します。アイヌ文化へのリスペクトを感じさせる生活風景の描写は、本編とは別にもっとアイヌ文化の事が知りたいと思わせてくれる程魅力的に取り上げられています。

本筋の金塊争奪戦はもちろんの事、サブストーリーや敵キャラのバックグラウンド等全てが面白い作品です!是非アニメも漫画もみて欲しいです!

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
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すっごくオススメだけどオススメしづらい(分かる人には分かる)w

日露戦争の生き残りの元日本兵が主人公の漫画作品です。
時は明治時代で、北海道が舞台となっています。
アイヌの女の子もヒロインとして登場します。
網走監獄脱獄囚の刺青人皮をかけた金塊争奪戦や、アイヌの歴史文化・グルメ、新選組、ヒグマ、マタギなどたくさんの要素を詰め込んでいるものの、それがごちゃごちゃにならずに良い感じに混ざり合っていて非常に読み応えがあります。

キャラクターもたくさん出てきますが、どのキャラクターも個性的できちんと書き分けができており、それぞれの過去や生き様がしっかり描写されているので、読んでいるうちにどんどんそのキャラクターに愛着が湧いてきます。
物語も中だるみがなく、展開が早いので疾走感がありました。

アクション描写もとても素晴らしいです。
登場人物たちの未来の目標に向かって争いを繰り広げていくので、基本シリアスではあると思うのですが、ギャグ要素もしっかり挟まれており、シリアスが苦手な方でも読み進められると思います。

本当にとても面白いのですが、いわゆる「変態」キャラもたくさん出てくるので、オススメしたいけれど自分が変態と思われそうでオススメできない自分がいます。
最初は変態要素は少ないです。自分も読んでいるうちにだんだん「アレ…?」となりました。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
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タイトルの回収まで天才的な、笑いあり涙ありパロディありの名作!

元軍人の杉元佐一、アイヌの少女アシリパを中心としたアイヌの金塊をめぐるお話です。「カムイ」は北海道でもメジャーな「神様」などを指すアイヌ語なのですが、金塊にまつわるアイヌの物語、というイメージがタイトルだけでぱっと浮かぶわかりやすさがあります。作品の中ではアイヌの生活様式など丁寧に描かれており、その中には「カムイ」がアイヌにとってどういうものかも語られています。作中で「ゴールデンカムイ」という言葉を使用することはほとんどなく、物語の終盤で初めて表現されます。そのとき、「進撃の巨人」や「遊戯王」のように、読者はここで作品のタイトルに与えられた意味を深く知ることができる、というわけですので、ぜひ最後までじっくりアイヌの文化を学びながら読んで欲しい作品でもあります。作品には主人公杉元・アシリパ達以外に、ふたつの大きな勢力が登場します。一方は日本帝国陸軍、もう一方は土方歳三を含む網走監獄を脱獄した囚人の一部、となっており、金塊のヒントを集めながらも、この二大勢力を相手にバトルを繰り広げ、時に知略をめぐらし戦っていきます。敵味方関係なく殺し合い、負傷していくので、ある程度の暴力表現は覚悟した上で読んで欲しいです。作中では笑いも多く、変人も多数登場し、「ジョジョの奇妙な冒険」等往年の名作のオマージュもふんだんに盛り込まれているので、ジャンプ等の少年漫画作品が好きな方は読んで損はないと思います。

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北海道を舞台に、色んな要素を詰めに詰め込んだコメディ・ハートフル・バトル冒険譚です

端的に言うと、アイヌの金塊をテーマにした北海道が舞台の冒険譚作品です。巻末の出典を見ただけでも非常によくアイヌや当時の日本とロシアの関係について調べられており、北海道の民族風俗を知るきっかけにもなると思います。また作者の野田サトル先生は北海道出身ということもあってか、アイヌについてだけでなく、北海道の土地や自然などもしっかり描かれているのが特徴です。作品のキャラクターの背景心情、そして個性も豊かに描かれており、30を超えるキャラクター全てが面白く、いろんな意味で愛着をもてるようになっています。似たような衣装であっても丁寧に描き分けられているので、たくさん登場してきても、だんだん区別がつくようになっていきます。また作中ではアイヌ以外に軍人・囚人が数多く登場するため、男性キャラクターがかなり多く、それに比例して戦闘率も筋肉露出率も高いです。脱ぎ率も高いので、(エロではなく)変態の巣窟、という意見もあります。一方、アイヌの狩猟方法から食事などの文化も丁寧に描かれているため、食欲をそそるグルメ漫画という側面も持ち合わせています。作中で時間・季節が進んでいくため、四季折々の北海道グルメを漫画で堪能できるのが特徴です。北海道の自然や歴史に興味のある方や、日本帝国陸軍、新選組、囚人と監獄、筋肉・戦闘モノ、そしてグルメなどに興味のある方にご覧いただきたい作品です。

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ストーリーも面白いが、アイヌ文化の描写が秀逸

時は明治、日露戦争当時「不死身の杉本」と呼ばれた杉本佐一は戦争後、大金を得るため北海道で砂金を探していた。
戦争で死んだ幼馴染の奥さんの目の治療費を得るためだ。
その時に知り合った酔っぱらいの老人にある話を聞かされる。
「アイヌの隠し軍資金」、現在網走刑務所に収監中の囚人「のっぺらぼう」が囚人たちに施した入れ墨を合わせるとそのありかが分かるらしい。
酔っぱらいの与太話と思っていた杉本だが、その後ヒグマに襲われた際に助けられたアイヌの少女アシリパから聞いた話により信ぴょう性が増す。
二人は脱走した囚人たちを探しながら入れ墨を集めていくことにした。
そこに彼らを狙う狙撃兵が。彼は旭川に拠点を置く第七師団の兵士だった。隠し軍資金を第七師団も狙っていたのだ。
指揮をするのは情報将校の鶴見中尉。辛くも杉本たちは鶴見中尉達の追っ手を振り切るが、その隠し財産を狙っている勢力は他にもいた。
網走監獄から脱獄した男、土方歳三とその一味だ。一癖も二癖もある猛者たちが交錯し物語は進んでいく。
果たして隠し財産を探し当てるのは誰か?登場人物の過去を細かく描写しながら物語はめまぐるしく展開する。アイヌの参考文献を参考にしてアイヌ文化も細かく描写しているほか、わかる人にはわかる小ネタも満載している。

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北の寒さを吹き飛ばす男たちの熱い戦い

北海道のどこかに隠されたアイヌの金塊をめぐる冒険譚。
様々な角度から趣向を凝らしており、多層的な魅力で読者を飽きさせない。
何度でも読みたくなる本作の魅力の一端をご紹介したい。

1.キャラクター
不死身の二つ名を持つ主人公・杉元、アイヌの少女・アシリパ、人たらし・鶴見中尉率いる第七師団の面々、
金塊のありかを示す刺青を体に掘られた囚人たち…。
多数のキャラクターが登場するが、それぞれの思惑や金塊を求める動機が深く描かれている。
敵味方が入り乱れる描写の中で、それぞれの関係性が変化していく様子も細やかに描かれている。

2.歴史ロマン
舞台は日露戦争後の明治時代。戦争により心や体に傷を負った登場人物も少なくない。
また、鬼の副長と呼ばれた新選組の土方歳三も主役級の重要な役どころで登場しており、好きな人にはたまらない。

3.アイヌ文化
現代の日本人には決して身近とは言えないアイヌ文化を魅力的に紹介しており、異文化理解に一役買っている。

4.狩猟とグルメ
北国の山や海で獲れる動植物を料理しておいしくいただくシーンが豊富にある。読めば思わず「ヒンナヒンナ」と言いたくなるだろう。

5.ギャグとシリアスのバランス
キャラクターの関係性や個性を生かしたギャグシーンも楽しい。
シリアスな本編の合間に挟まれるギャグでクスリと笑い、肩の力が抜ける、そのバランスが絶妙である。

6.美術や映画への多数のオマージュ
ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を模したシーンではで各キャラクターが座る位置に趣向が凝らされていたり、
鶴見中尉の演説シーンはヒトラーのそれと同じポーズになっていたり。
作中に散りばめられた絵画や映画へのオマージュを探すのもまた一興。

本作にはアニメ版もあるが、漫画を先に読んでいると2倍3倍に楽しみが膨らむだろう。ぜひ、手に取っていただきたい。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
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北の大地で一攫千金!!戦いあり、涙あり、飯テロあり!

北海道を舞台に、アイヌの少女アシリパと、日露戦争帰りで「不死身」の異名を持つ杉元のふたりが莫大な埋蔵金を探す旅。この埋蔵金というのは、かつてはアイヌの物だった砂金だ。
砂金を目当てに故郷を離れ、北海道にやってきた杉元は、ヒグマに襲われた所をアシリパに助けられる。
そこで、アシリパの父が過去に砂金がアイヌから奪われた時に殺害された事を知る。
隠された砂金を探すためには、網走刑務所に収監されている「のっぺらぼう」と言う囚人により、
隠し場所の暗号の入れ墨を肌に施され、脱獄した囚人達を探す事から始まった。
この幾人かの入れ墨を合わせることで、砂金の在り処がわかるというのだ。
砂金探しの道中では、同じく砂金を狙う陸軍やヒグマとの闘いは手に汗握るもの。
アシリパによるアイヌ仕込みの様々なジビエ料理は、まるで漫画の紙面から湯気が出てくるようで食欲を誘う。
この世を去ったはずのかつての新選組の土方歳三が登場したり、幕末期の日本史が好きな方も楽しめる作品ではないだろうか。
とにかく、様々な書物に基づかれたアイヌの文化やアイヌの言語などは新鮮で飽きない。
純粋で大きな瞳のアシリパの、ころころ変わる表情も魅力だ。
砂金を探す旅の途中で、アシリパと杉元が出会う個性溢れたキャラクターも物語の面白さの一因だ。

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歴史や文化に触れられる

『ゴールデンカムイ』は、そもそも人気のある作品です。何度か無料お試し読みを1巻程読んだことがあり、気になっていた作品でもありました。ただ歴史、特に日本史にめっぽう弱く、この作品も近代日本史が舞台のため少し抵抗があり読み進むまでいきませんでした。しかし、作品完結に向けて全巻無料で公開された事で作品の印象が一変しました。
元々読んだことのある数話では、話の奥行きや広さがあまり分かりませんでしたが、読み進めることでキャラクターの設定や歴史の背景、その当時の考え方や、時代に争いながら生きてきた登場人物などの描写がとても細かく描かれている事に感動しました。
主人公やヒロインの関係性や絆に、読み進めるごとに気持ちが入り込み自然と笑ったり、涙したり、共感する場面も少なくありません。また、思わぬ展開や裏切り、敵対同士の協力など、一筋縄では解決しない問題を上手に表現している印象です。
日本の歴史や北海道、アイヌの歴史も細かく描写されており、歴史が苦手だったはずが自然と引き込まれて興味を抱くきっかけになりました。命の大切さや自然との共存、当時と現在の比較など、漫画でありながら色々と考えさせられる作品となっております。

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新感覚バディ冒険譚

この漫画の舞台は明治20年代。日露戦争の帰還兵・杉元佐一とアイヌ民族の少女・アシリパがひょんなことから出会い、アイヌの男たちがどこかに隠したと言われる金塊をめぐる事件に関わっていく、北海道冒険譚です。
この作品の見どころは「隅々まで濃いキャラで満たされた世界で起こる、ギャグとシリアスのジェットコースター」にあります。
主人公の杉元は「不死身の杉元」の異名を持つほど戦闘能力に優れ、相手を敵と認めれば容赦なく殺しにかかるような人間でありながら、虫が苦手で少女雑誌を愛読している。その相方のアイヌの少女アシリパは凛とした顔立ちでさまざまな変顔をこなし、杉元が携帯している味噌を「オソマ(うんこ)」と言って譲らない。
彼らの敵対勢力として描かれる陸軍第七師団の構成員は「戦争で前頭葉の一部が吹っ飛んでいて興奮すると変な汁が出る中尉」を筆頭に、「サーカスの少女団に少女の衣装を着て真顔で混ざる屈強な軍曹」「興奮すると早口の薩摩弁になってしまって何を言っているのかわからない少尉」「精子をものすごく飛ばせる上等兵」と濃いキャラが乱立。
一見するとぶつかり合って調和しないような濃いキャラたちが、しかしきちんと関係を成立させている。そこを上手く調和させているのが、激しい緩急で巻き起こるギャグとシリアスの相転移です。
味噌をうんこだと思っていたヒロイン・アシリパは勇気を出して口にしてから味噌を好むようになったものの、呼び方は「オソマ(うんこ)」のまま。どう見てもギャグのための設定かと思いきや、ある事件をきっかけに相棒の杉元と別れて行動する中で、「杉元のオソマがなくなってしまった」と呟く彼女のセリフには寂しさが滲み出る。
登場人物一人一人が持つ濃いキャラクター性がギャグにもシリアスにも転ぶことで、うまく調和を保っている。その転換のスピードに読む人は巻き込まれ、逃れることはできないでしょう。

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金塊争奪戦は最終局面へ…

私がおすすめする漫画は、週間ヤングジャンプで連載されていたゴールデンカムイです。
その理由は、作者がきちんと調べた情報を読者に解説してくれる興味深さや実際に北海道にある物事を扱いながら漫画を書いていること。
伏線の回収の仕方がうますぎて、読み進むにつれゴールデンカムイの世界にのめり込んでいってしまう魅力があります。
何個か例を挙げると食・北海道の魅力・アイヌという民族について・キャラクターが個性的などなどが挙げられます。
そんなゴールデンカムイの金塊争奪戦の最終局面は、金塊の分け前をもらうために戦っていたキャラクターたちが主人公アシリパさんのために体を張って敵(第七7団)に立ち向かっていく姿が涙なしに見れません。
過酷であり、敵・味方がばたばたと亡くなってく中でみせるアシリパさんの悲痛な表情がなんとも痛々しいですが、周囲の大人のやさしさをとても感じられる作品です。
また、主人公軍勢に話の焦点を当てすぎ漫画もあるなか、ゴールデンカムイは敵軍勢も魅力的です。
どのキャラクターも死んでほしくないという思いで読んでいます。
変わったジャンルの漫画を読みたいという方はぜひ読んでみてください。

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和風闇鍋ウエスタン

「和風闇鍋ウエスタン」というのは公式の宣伝文句です。この時点で訳が分かりません。

もはやまともなキャラがいません。字面だけなら一番まともそうな陸軍が一番やばいです。逆に一番やばそうに見える土方側についた囚人たちが一番まともです。とりあえず、登場人物はみんな変態かサイコパスか狂人だと思って読んだほうがいいです。大抵みんなそんなもんです。
下ネタには気を付けましょう。二瓶鉄造はまともです。もう一度言いましょう。二瓶鉄造はまともです。お忘れなきよう。彼はその言葉を使っているだけなので。実践していないので!!
あとこの世界で一番恐ろしいのはクマです。敵でも味方でもありません。まあ誰が敵か味方かなんてもはや分かりませんが。
ヒロインは谷垣ニシパです。異論は認めません。作者からあれだけ愛されているキャラもなかなかいないでしょう。

ここまでギャグマンガみたいに話しましたが(実際間違ってないと思います)、物語自体はとても深いアドベンチャーであり、バトルマンガです。登場人物一人一人が抱える過去の闇やトラウマが、結果的にそのキャラの行動原理になり、物語のさらに深層を形成しています。

下ネタは多いですが、謎の魅力があります。男女関係なく楽しめる作品だと思います。

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変態×北海道アイヌ史×グルメのインパクト!!

ゴールデンカムイは、日露戦争帰りの兵士・杉本と、アイヌの少女・アシリィパが、アイヌの金塊の謎を印した入れ墨人皮をめぐって、北海道全土から樺太を旅していく物語です。

が、それだけでは、この漫画の魅力と濃ゆさは、語りつくせません。

まずは、この作品に登場する、数々の変態。

現在の貨幣価値に換算すると、3千億円にものぼるといわれるアイヌの金塊の在りかを、囚人たちに入れ墨として彫った…というだけでも、戦前の乱歩などの推理小説を彷彿とさせます。

ですが、入れ墨を彫られている囚人たちが、濃くて、魅力的な変態!!ばっかり!!なんです。

女好きでちゃらんぽらんな脱獄王の白石。
不敗の柔道王、なぜか額にはんぺんをつけてる牛山。
女装の食人老人医師・家永。
「勃起!」と連呼する200頭以上の熊を撃ち殺してきた猟師・二瓶。

ほかにも、ヤングジャンプで連載していいのか…!?と心配になるくらい、際どい変態ぞろい。

もちろん(?)変態は囚人だけではありません。
杉元・アシリィパたちと入れ墨人皮を奪い合うのは、新選組の生き残り・土方歳三一派と、第七師団の鶴見中尉とその配下たち。

息もつかせずストーリーがどんどん進んでいきますが、きっちりしっかりアイヌと北海道史を押さえてあって、そのあたりも読みごたえがあります。

また、アイヌ文化、とりわけ食べ物についての描写が多く、この作品を読んで、「アイヌ料理食べたい〜〜!」と思った方は少なくないはず(笑)。

昔の小説とかマンガってこれくらいぶっ飛んでましたよね。
いつからこんなにお上品になっちゃったんでしょうね?

ちなみに、史実のキャラクターがモデルになっていることが多いので、探してみると、さらに作品を楽しめるかもしれません。

おススメです!

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
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ゴールデンカムイについて

アイヌが北海道のどこかに隠した金塊を巡って、たくさんのキャラクターが奔走する漫画です。
金塊のありかは暗号化されて、囚人達の背中に刺青として彫られており、その刺青の写しを全員分手に入れることが金塊への道標となっています。
アイヌのために金塊を手に入れたい主人公たち、野望のために金塊を手に入れたい軍人たち、そのほか様々なキャラクターが時に協力し合ったり裏切ったり…。その時々の状況によって敵味方が変わっていくのが面白いです。
なかでも主人公杉元とヒロイン・アシリパの絆は強く、強い信頼関係で結ばれていて、ただの恋愛関係ではないところが良いと思います。
明治時代末期の北海道が舞台ですが、時代考証がかなりしっかりされていて、建築物から細かい小物に至るまでこだわりを持って描かれています。読み終わった後に北海道へ聖地巡礼をすると、よりいっそう物語を楽しめると思います。
また、アイヌの文化や考え方についても作者が付け焼き刃ではなく相当勉強しており、物語の中心に組み込まれています。漫画を通してアイヌの文化に触れられるので、そういう点でもたくさんの人に読んでほしい漫画です。
男性にまつわる下ネタが多めなので、それが平気な人、もしくは好きな人にはとてもおすすめの漫画です。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
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無料だったので、第69話の途中まで読んでみた。

「ゴールデンカムイ」の第69話まで読んでみた。休職中だったし、良い暇つぶしにはなったかな。舞台は、北海道でアイヌの女の子と元軍人さんのお話。日本史のことは多少は知識があったほうが読みやすいかな。北海道やアイヌの料理や衣装の話も出てくるが、解説があるので、わかりやすい。アザラシって食べられるんだと思った。最初の方は話が読みやすい。途中で、中だるみするのと、戦闘シーンが続くと正直読んでいてきつい。主人公の元軍人の男性の過去については現時点ではあまり触れられていない。しかし、なんとなく主人公はアイヌの女の子の方を選びそうな気がする。体に刺青のある囚人太刀のキャラクターが変わっていて結構面白い。北海道の歴史についての漫画って意外とありそうでないので、今までのジャンルに飽きてしまったという方や、恋愛ものやスポーツや囲碁将棋やロボットやSFはあんまりなあ…って人にはおすすめできる作品である。もう片方の主人公でヒロインでもあるアイヌの女の子は、最初よりもだいぶ美人になった。どうやら彼女の父親は実は生きているようだが、そこについても未だに明かされていない。どういった最終回を迎えるのだろうか。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
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謎解きアリ、ギャグあり、飯テロあり!北の大地で繰り広げられる金塊争奪戦!

日露戦争後の北海道で繰り広げられる金塊争奪戦を描いたマンガ、『ゴールデンカムイ』。謎解きあり、サバイバルあり、ギャグあり、飯テロありと、様々な魅力がぎゅっと詰まった作品です。
物語のあらすじは、戦地で”不死身の杉元”と呼ばれた主人公・杉元佐一が、莫大なアイヌの埋蔵金を手にする為、アイヌの少女アシリパと共に金塊探しに乗り出すというもの。埋蔵金の在りかを知る為には、暗号が彫られた囚人たち全員の皮を剥ぎ、その謎を解かなければならない。
ゾッとする怖さや痛い描写も多いですが、敵対する第七師団率いる鶴見中尉の仕掛ける頭脳戦や人心掌握術、クセの強すぎる囚人たちとの戦い、ストーリー展開の上手さ、そしてギャグの破壊力に心掴まれ、物語にぐいぐいとのめり込んでしまいます。伏線もあちこちに仕掛けられているので、ちょっとしたセリフや描写にも注意しながら読んだり、何度も読み返して伏線回収をする楽しみ方もできます。
また北海道の自然の美しさや、自然と共存するアイヌの生き方が描かれているのも、『ゴールデンカムイ』をお薦めしたい理由の一つ。特にアイヌの知恵で捕らえた獲物が、美味しそうな料理となって登場する飯テロシーンでは、アシリパの食へのこだわりや、杉元の反応にも注目して読んで欲しいです。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
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ゴールデンカムイ~文化に留まらない魅力~

日本は、単一民族が多数派であり、興味を持たない限りは他文化に触れにくい国である。そんな他文化に触れる、ひとつのきっかけとなる漫画作品が『ゴールデンカムイ』だ。
作中でヒロイン・アシリパは、アイヌ人として暮らし、成長してきた。主人公・杉元佐一や他の登場人物へ、多くのアイヌ文化を語り、アイヌ料理を作って食べさせる。その姿は、自然と読者にまでアイヌ文化への親しみを持たせている。
アイヌ文化が発展していた頃、たとえ北海道であれ、その文化は本州と大きく異なり、実質、本州の文化とはかけ離れたものだった。
そして、この作品の素晴らしいところは、文化の紹介に留まらず、エンターテイメントとしての魅力に溢れているところだ。
登場人物たちは、家庭環境に問題を抱えて育ってきた者が多く、そうでない者も、何らかの悲哀を感じざるを得なかった人生経験がある。
『ゴールデンカムイ』の舞台は明治時代であり、令和を生きる私たちには大昔のことにも思えるが、読み進めていくと、どこか登場人物たちの人生経験が、他人事とは思えなくなってくる。
親子関係の歪み、行き違いによる人間関係のもつれ。登場人物たちの苦悩は、いつしか読者の悩みとリンクし、感情移入してしまう。
大人の登場人物たちが、複雑な事情に揉まれる中、ヒロイン・アシリパもまた、悲しみを抱えることとなる。だが、常に真っ直ぐ前を見据えて歩む。その姿には大いに勇気づけられる。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
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ストーリーとキャラクターが最高です

明治期の北海道が舞台です。日露戦争から帰還した青年とアイヌの少女の出会いからスタートします。
決して難しい歴史の話ではなく、むしろかなり新しさを感じる内容です。
日本史や北海道の知識は必要ありません。
一方で歴史に興味のある方や北海道の土地勘がある方は、それはそれで楽しく読めると思います。
ミステリー要素がありますが、展開が早いためずっと面白いです。
戦闘シーンは特殊な能力などが使われる訳ではないので、普段バトル漫画を読まない方にも分かりやすいと思います。
キャラクターに強烈な個性があり、悪役でも嫌いになれません。
それぞれ実在したモデルがいるともいわれていて、その人物を調べながら読むのも面白いです。
話の展開によって敵・味方が入れ替わるのもこの漫画の魅力です。
敵も応援してしまいます。
また、シリアスな場面とギャグ的な場面が混在しているので、気分が暗くなりすぎずに読み続けられるのも特徴だと思います。
アイヌの文化が紹介されている部分も非常に面白いです。取材や資料の多さに驚きます。
この漫画が多くの人に親しまれ、日本国内だけでなく海外でもアイヌ文化への関心が高まったと感じている人は多いと思います。
他方で、それよりも歴史に興味が湧いたという読者や、北海道に行ってみたくなったという読者もいると思います。
色々な方面に関心の湧く漫画です。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
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舞台は明治時代の北海道。金塊を巡ってそれぞれの思惑が交錯する。

時代は明治、日露戦争終結後、主人公「杉本佐一」は故郷にいる幼馴染み「梅ちゃん」の目の病の治療費を稼ぐため北海道で砂金を採っていた。そんな中、北海道アイヌが何処かに隠した大量の金塊の情報を得る。隠した金塊の鍵を握るアイヌの少女アシリパと協力して金塊を探す物語。
アイヌ民族についてやその当時実際にあった歴史的な出来事など時代考察がしっかりされていて、普通に勉強になる。狩猟の得意なアシリパが動物を狩ったり、捌いたりするシーンがありそのような表現が苦手な人は注意。ジビエ料理についても細かく描かれていて本当に美味しそう。
金塊探しについては網走監獄の囚人や帝国陸軍として実在した第七師団など非常に多くの人間が絡んでおり、一度味方になったかと思えば裏切ったり、また仲間になったりと関係性が目まぐるしい。アシリパについては最初は金塊を探すパートナーだった杉本に対しだんだんと仲間以上の感情を持つようになり、それと同時に時代とともに淘汰されつつあるアイヌ民族の行く末を背負う立場にもなっていく。ただの少女からどんどんと成長していく過程が見える。
作中に登場する監獄の囚人や第七師団メンバーの中にはある意味変態的、偏愛的な尖ったキャラクターが多い。物語じたいも謎が謎を呼び、続きが気になってしまう。

ゴールデンカムイ / Golden Kamuy / 金カム
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シリアスの中にも笑いあり

ゴールデンカムイは明治末期の北海道・樺太を舞台に、主人公の杉元佐一がアイヌの少女アシリパとともに隠された金塊を巡るお話です。金塊を見つけ出すには暗号が必要で、その暗号は網走監獄の脱獄囚の体に刻まれた地図を集め暗号を解かなくてはなりません。
勿論大量の金塊が欲しいものは二人だけでは無いので主人公を邪魔する刺客や暗号を回収されるのを阻止する脱獄囚とのバトルシーンが見どころです!主に近接戦で迫力と臨場感がありバトルシーンがかっこいいです。惚れます。
目的を達成するために数秒前までは敵だった人と手を組むのもアツいシーンです!裏切りや仲間の死など苦しいシーンもありますが、そんなシリアスな場面でも笑わせにくるのがこの作品の良いところです。おふざけ回もあり登場人物がすっぽんぽんになりがちです(笑)。さっきまで人が死んでたとは思わせないくらい突然おふざけが始まるのでバランスが取れて精神が安定します。
そんな変態でサイコパスで個性豊かな登場人物だからこそバトルシーンがカッコいいんです。所謂ギャップですね。主人公は「不死身の杉元」という異名持っており、その名の通り全然死にません。本当に不死身というわけではありませんよ!どんな敵にも勇敢に立ち向かって行く姿は男女問わず惚れると思います。バトル漫画には欠かせないヒーラー的人物があまりいないので、バトルシーンはドキドキです。
漫画、アニメともに作画が素晴らしいです。ですからどちらもオススメです。アイヌの文化や暮らし、食事についても勉強になる作品です。話数も多過ぎず少な過ぎないのでとっかかりやすいと思います!まさに笑いあり涙ありで男達のアツい物語です。是非ご覧下さい!