こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

『こんな夜更けにバナナかよ(筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち/愛しき実話)』は渡辺一史のノンフィクション小説。第35回大宅壮一ノンフィクション賞、第25回講談社ノンフィクション賞を受賞している。2018年に大泉洋の主演で映画化された。進行性筋ジストロフィーという難病を抱えた鹿野靖明がおくる、ボランティアたちとの交流が物語を進める。不自由な体だがとことん自由奔放な鹿野の言動がユーモアたっぷりに描かれ、障害と介助の枠を越えた自立生活が垣間見える。

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こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話
8

ボランティアされる方が学ばせてやってる?

大泉洋主演の邦画。
幼い頃から難病の筋ジストロフィーを患い、体で動かせるのは首と手だけ。よって、人の助けがないと生きていけないのに病院を出てボランティアの力を借りて生活している。

ボランティアされる側・障がい者って控えめな性格をしているイメージありませんか?
しかし主人公・鹿野靖明は非常にワガママ。あれやって、これは嫌だ、深夜に「バナナが食べたい」とせがんだりする。でもワガママなだけでなく、夢も雄大。いつかアメリカで暮らしたいと夢見て英語の勉強を欠かさない。
BBQに遊びにも行く。体で踊れなくても指先でリズムを取り電動車いすでクルクル回る。そして恋もする。障害ということで自分に引け目を感じることなく、グイグイアプローチして、ついにはプロポーズまでする。
結果上手くはいかなかったんだけれども、夢を追う姿に勇気づけられるのは障害のあるなし問わずだろう。

鹿野が言うセリフで印象的なものがある。「ボランティアは俺から学んでるんだから」だ。ボランティアに自分の生活を支えてもらっているのではなく、ボランティアに経験を積ませてあげているということだ。ボランティアとは何か、支え合いが大切な現代社会、深く考えさせられる人も多いのではないでしょうか。