金田一少年の事件簿（漫画・アニメ・ドラマ）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

コミックス12～14巻に収録、全14話。

金田一は知り合いのフリーライターいつきの頼みで人気作家・橘五柳の誕生日パーティーに出席する。
橘は次回作の出版権をかけて暗号ゲームを企画しており、その原稿を回収するために金田一を連れてきたのであった。
橘はノンフィクション作家であり、次回作はある犯罪とそれに関わった人物が実名で登場すると言うショッキングな内容だと言う。
金田一は橘の出した暗号をいともたやすく解決するが、一緒に来た美雪にちょっかいを出す橘が気に入らずパーティの席でズラであることを露見させ怒らせてしまった。
橘は腹を立て、暗号を解いてもいつきには原稿を渡さないと言い放つ。
ライターでありなんとしても次回作の原稿が欲しいいつきは、パーティ後金田一に橘へ謝る様うながし、部屋に行かせた。
帰りの遅い金田一を心配し、みんなが橘の部屋へ様子を見に行くと、そこには後頭部を殴られ死亡している橘と凶器を手にした金田一が立っていた。

金田一は警察に連行されるが、このままでは犯人の思うツボだと悟り脱走し、真犯人を自分で捕まえる決意をする。
警察に追われながらもいつき、美雪、佐木兄弟の力を借り橘の残した暗号を頼りに関係者に話を聞きに行っていた。
しかし金田一が話を聞いた関係者は次々と殺害され、金田一への疑いはますます強まっていく。

何とかトリック、真犯人、次回作の場所まで突き止めた金田一だったが明智警視の登場によりピンチに立たされてしまう。
そして明智警視に左胸を拳銃で撃たれた金田一は救急車で運ばれてしまう。

誰もが容疑者死亡で終わったと思った事件だったが、金田一は直前に明智へ「空砲で撃て」と暗号を残しており真犯人をおびき寄せるための演技を行った。
そして真犯人は次回作が隠してある「大時計」に手をかけたところ、既に来ていた金田一に正体を暴かれる。

真犯人はテレビディレクターの都築哲雄。
犯行の動機は重度の腎障害を患った幼い娘、瑞穂のためだった。
都築は娘の為にドナーとして肝臓を提供したが病院側のミスで手術は失敗してしまい、1万人に1人といわれる肝臓のドナーを待つこととなってしまう。
その間も瑞穂は幼いながら苦しい治療を重ねており、妻もなくした都築は仕方なく臓器密輸に手を出してしまった、それを橘が次回作のネタにしてしまう。
都築は娘の為に仕方なく、と橘を説得しに言ったが事情も知らず自分を社会悪と決め付ける橘を衝動的に殺してしまう、そこに金田一が現れ罪をきせたのだった。
トリックも見破られた都築は残った肝臓を娘に移植して欲しいと自らをナイフで刺し自害してしまった。
その後、娘・瑞穂は肝臓移植が成功し、いつきにひきとられ幸せに暮らしている。

普段、探偵役である主人公が犯人にされるというショッキングな内容と、今まで味方だった警察にも追われるという逃走劇な展開が読者に衝撃を与えた。

魔犬の森の殺人

金田一少年の事件簿 CASE1 魔犬の森の殺人に収録、全10話。

金田一と友達は山でキノコ狩りをしていたが、アクシデントにより泊まる場所がなくなってしまい彷徨い歩いていたが偶然にも廃墟を見つける。
そこは廃棄された研究所であり、大学生サークルが合宿を行っていた。
事情を話し、金田一たちもその研究所に泊まることになったが、翌朝大学生のひとりが喉を食い破られた姿で発見され、研究所も狂犬病と思われる野犬たちに囲まれてしまっていた。
その研究所に大きな爪あとと「ケルベロス」と書かれたプレートがひしゃげた檻にぶら下がっている場所を見つけたが、金田一はこれが殺人事件だと見抜き捜査を始める。

その後も大学生サークルの面々が「ケルベロス」らしき人物に殺害されていく。金田一の友達も狂犬病と思われる野犬に噛まれたりと徐々にパニック状態に陥ってしまう。
しかし3人目が死体で見つかったとき、果物を使ったダイイングメッセージにより金田一は犯人を導き出した。

真犯人は金田一の友達で、キノコ狩りにも一緒に来ていた千家貴司。
千家は犬笛でたくみに犬達を操り、狂犬病に見せかける演技（狂犬病の犬は水を怖がる、など）をさせ犯行を重ねていた。
動機は被害者となった大学生達に恋人を殺されたため。
千家はある日、傷付いた犬を助けたドックトレーナー水沢利緒に出会い心優しい彼女に一目惚れをする。
そして2人は仲良くなり千家は水沢に告白をしたが、利緒はあと半年しか生きられない病にかかっており悲しみながら千家を拒絶する。
しかし、その半年でも彼女を愛するという千家の熱意に押され、利緒は前向きに告白を受け取った。
だが、半年を待たず利緒は突然死んでしまう。
彼女の死に納得がいかなかった千家は病院を調べ、四人の大学生が関わっていることを知った。
なんと当時医師免許を持っていなかった大学生の医療行為で利緒は様態が急変し、亡くなってしまったのだ。そしてその大学生の一人が病院の院長であり彼女の死は病死になっていた。
最後は金田一の説得と犬達の気持ちに動かされ敗北を認めた。

金田一の友達が被害者になる物語はいくらでもあったが、初期から登場していたキャラクターが犯人だったという衝撃的な話。
さすがの金田一も事件後のエピローグではやりきれない表情になっていた。

薔薇十字館殺人事件

20周年記念シリーズ第4～5巻に収録、全14話。

金田一の永遠のライバルである地獄の傀儡師・高遠遙一に「薔薇十字」を意味する謎の人物・ローゼンクロイツから脅迫状ともいえる挑戦状が届く。
「地獄の傀儡子様 薔薇十字館にて、青薔薇の完成披露会を執り行いますのでぜひご参加ください。ささやかながら食事会と柔らかいベットを用意してお待ちしております。なお、高遠様がおいでになられない場合、同日この場に招待されている高遠様の異母妹のお命を頂戴いたします。」

高遠は異母妹を人質にとられたこともあり、ローゼンクロイツの指示通りに行動するが、人質を守る為に金田一にも協力を依頼する。
金田一と美雪、そして高遠が訪れた薔薇十字館には既に8名の人間が集められていた。
そしてディナーとして運ばれてきたはずの料理の皿から、人間のバラバラ死体が出現する。

高遠は「遠山遙治」と偽名を名乗り、金田一の捜査に協力する。
薔薇の花言葉に見立てて次々と館に招かれた人間が殺されていく中、高遠も真犯人に捕まり命の危機にさらされる。
また、高遠が居なくなったことで一気に彼が犯人ではないかと憶測が飛ぶが、高遠は犯人から逃げ延び金田一が真犯人を見破った。

真犯人は高遠遙一の異母妹である美咲ジゼル。
挑戦状は犯人の自作自演であり、なぜ高遠に挑戦状を突きつけたかと言われると「自分の兄が殺人鬼と知り、何かが目覚めた」と語っていたが、高遠に一緒にするな、と一刀両断される。
犯行の動機はそれだけではなく、館に招待した人間は2年前、ジゼルの母親が亡くなったローズグランドホテルの大火災を起こした首謀者達であり、復習するためであった。
しかし、高遠は「自分の母親が殺されたため、犯人達に復習を決意した自分」と「兄が殺人鬼だと知って、犯人達を殺そうと決意したジゼル」では根本が違うと指摘している。
その後、ジゼルは逮捕され、高遠も金田一の協力を得る為にした約束で自首したがすぐに脱獄する。

金田一シリーズの中でも捕まらず逃亡しその後ライバル役として登場する高遠と力を合わせるという、めずらしい作品。
また、犯人こそショッキングな事件だが高遠とジゼルの実父は謎のままであったり、犯行自体が女性ひとりでは難しい点もあるなど作品としても謎が多い話である。

テレビアニメ

1996年（平成8年）に第一作目となる劇場版アニメが製作され、翌年にはテレビアニメシリーズとして、アニメスペシャルを含め1999年（平成11年）までアニメ化している。

その後、2007年（平成19年）にスペシャルアニメとして「オペラ座館・最後の殺人」と「吸血鬼伝説殺人事件」がそれぞれ放送された。

2012年（平成24年）と翌年に20周年記念シリーズのコミックが発売され、特装版に「黒魔術殺人事件」がOVAとして同梱された。

2014年（平成26年）の1月から3月までFLASHアニメが製作された。
放送は「チャンネル5.5」であり、いわゆる原作を元にギャグアニメとして放送されていた。
同年4月から9月までは「金田一少年の事件簿R（リターンズ）」として本格アニメ化をする。
一部スタッフとキャストは以前と同じメンバーが再集結した。

2015年（平成27年）
10月から翌年3月まで「金田一少年の事件簿R（リターンズ）」の第2期が放送されていた。

テレビドラマ

日本テレビ系でこれまでに連続ドラマ4本、単発ドラマ6本が放送された。
第1シリーズ、第2シリーズ、は初代金田一と呼ばれ、設定や内容も原作に近しいものになっている。
その後、メインキャストが変わるたびキャスト、スタッフも異なり設定もかなり変更されている。
そのため、初代金田一から二代目、三代目、四代目まである。

初代金田一

「初代金田一」と呼ばれるシリーズ、設定やキャラクターを原作に寄せている。
連続テレビドラマからドラマスペシャル、劇場版と一番長く続き一番人気のあるシリーズである。

金田一 一 演・堂本剛（KinKi Kids）
七瀬 美雪 演・ともさかりえ
剣持 勇 演・古尾谷雅人
明智 健悟 演・中山エミリ
佐木 竜太 演・原知宏
速水 玲香 演・中山エミリ

二代目金田一