路地裏バンチ(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『路地裏バンチ』とは、かばた松本が『少年ジャンプ+』で2017年から連載していたハートフルアクションストーリーである。路地裏で気ままに暮らすはみ出し者たちと無邪気な女の子が繰り広げる少年漫画。掃きだめのような路地裏に無邪気で怖いもの知らずのお嬢様キティが現れ、路地裏の住人を引っ掻き回していく。最強ジジィとお嬢様の交流が見どころ。コメディ要素とアクション要素を中心にした物語でありながら人情もあり優しい気持ちにもなれる作品である。

『路地裏バンチ』の概要

『路地裏バンチ』とは、かばた松本が2017年から『少年ジャンプ+』で連載していたハートフルアクションコメディである。『集英社』から全三巻のコミックスが出版されている。路地裏で気ままに暮らすはみ出し者たちと無邪気な女の子が繰り広げる少年漫画。
路地裏でマツゲがリンチされているところにお嬢様キティが現れ、怖いもの知らずのキティはチンピラに正論で立ち向かうも暴力を振るわれそうになる。そこへ鳩を連れフードを被った謎の男が現れ圧倒的強さでチンピラをねじ伏せていく。無邪気で怖いもの知らずのお嬢様「キティ」と訳あり最強ジジィ「ハト」の交流が始まる。

『路地裏バンチ』のあらすじ・ストーリー

路地裏のねぐら

とある町の路地裏にホームレスが多く集まって暮らしている”ねぐら”と呼ばれる場所があった。下まつげが特徴の”マツゲ”という愛称で呼ばれる男もそこに住む一人である。ある日マツゲは路地裏を通りかかったガラの悪い男2人に目をつけられてリンチに遭う。そこに現れたのが薄汚い路地裏にふさわしくない元気で小さなお女様だった。マツゲをかばった天然気味なそのお嬢様は、悪気なく男達を挑発してしまう。怒った男達がお嬢様に手をあげようとしたところ、ロングコートとロングマフラーをし、フードを深くかぶって顔を隠す謎の男が現れる。謎の男はあっという間にチンピラをやっつけて去っていった。

謎の男が去った後、お嬢様は追われているから隠れられる場所はないかとマツゲに尋ねる。マツゲは仕方なくお嬢様をねぐらに連れて行った。するとそこには先程助けてくれた謎の男がいた。謎の男もねぐらの住人だったのだ。しかしねぐらの他の住人と交流がないため、誰一人謎の男の素性を知るものはいない。そもそもねぐらにはいろんな事情を持つ人間がいるので、お互い詮索をしないという暗黙のルールがあり、お互いに愛称で呼び合っているような状態だった。

お嬢様は構わず謎の男に話しかける。謎の男はお嬢様を見てしかめっ面をしてお嬢様を元の場所に返してくるようにマツゲに突き返す。謎の男がお嬢様をまるで仔猫のように扱ったことから、お嬢様は以降ねぐらで「キティ」という愛称で呼ばれるようになる。他者との関わりを拒む謎の男は、肩に鳩を乗せていたり、また周囲にいつも鳩が集まってきていることから、「ハトさん」と呼ばれるようになっていく。

その場を去るハトを追いかけたが、キティとマツゲは彼を見失ってしまう。そこにキティを追っていた黒いスーツの男がやってきた。キティが追われていたのは、家が雇っているボディーガード達であり、黙って家を抜け出したキティを探していただけだった。マツゲがキティにまた遊びに来ればいいと説得して家に返そうとしたその時、ハトにやられたチンピラがボスを連れてやってきてマツゲをボコボコにし、キティを連れ去った。ボロボロになったマツゲがハトにキティを助けに行くよう言う。他者との関わりを拒むハトは最初は渋った様子を見せたが、最後にはキティを助けに行った。

キティはハトに会うために頻繁にねぐらを訪れるようになった。ボディーガード達はそれをキティの家の人に秘密にしていたが、ついにそれが執事(バトラー)であるジィにバレてしまう。ねぐらに住むホームレス達のことをよく思っていないジィは、溺愛するキティを家に連れ帰ろうとした。しかしジィはキティからハトのことが好きだと告げられる。ショックを受けたジィは、キティをたぶらかしたとしてハトを潰そうとした。ハトもバトラーも老齢のくせにとてつもなく強く、ねぐらは騒然となる。マツゲはキティに二人を止めるように言い、最終的にキティの説得によりハトとジィの戦いは終わった。

ハトを探る者

謎に包まれたハトの圧倒的な強さを不審に思ったジィは、人を雇ってハトの過去を探らせる。そしてその依頼を受けた情報屋の男が頭を撃ち抜かれて殺される場面にマツゲは遭遇してしまった。殺したのはねぐらの住人の一人・スマイル。彼もまた裏の社会を生きる人間で、凄腕のスナイパーだった。殺された情報屋が持っていたファイルから覗くハトらしき人物の写真をマツゲは拾おうとする。しかしそれはハト自身によって止められた。マツゲがスマイルに殺されるのを止めたのだ。ハトはそこでマツゲに少しだけ過去を語り、ねぐらに戻るように言う。

スマイルはレディと呼ばれる女性に雇われて情報屋を殺した。そしてレディ自身もまたハトを探していた。そしてハトがねぐらにいることを知ったレディがやってくる。レディはハトを前にして泣き崩れた。レディはハトのことを「隊長(ボス)」と呼び、ハトはレディのことを「シャモ」と昔のコードネームで呼んだ。レディ/シャモは、一目会いたくてずっとハトを探していたことを打ち明ける。レディはハトが誰とも関わりたくないことを理解していた。ハトのことを探ろうとするものは全て自分(レディ)が殺すから大丈夫だと言い残して去ろうとする。そこへタイミング悪く、キティとそれを追いかけてジィがねぐらにやってきた。

ハトにまとわりつくキティを良くないと思ったレディはキティを殺そうとする。しかしそれをジィが許すはずもなく、レディとジィは激しい戦闘を繰り広げた。そこにハトが割って入った。レディは自分の部下だから自分が止めるとハトはレディと戦闘を始める。レディの力はハトに及ばず、ハトはレディの指を折り無力化した。そしてねぐらから出ていくように言う。しかしレディは手を止めずナイフをキティに投げつけた。投げたナイフはキティを庇ったハトに刺さる。敬愛するハトを傷つけてしまったレディは自害を試みたが、キティに止められた。そしてキティの説得により、レディはキティをハトのために守ると誓う。以降キティとレディは一緒にショッピングに行くほど仲が良くなる。

ハトを殺す者

キティの父親・パパが一人内緒でねぐらにやってきて、偶然居合わせたジィに怒られていた。そこへカトラリーという殺し屋がある人物の依頼を受けてハトを殺しにやってくる。自身が傷つくのも厭わずただ強者と戦いたいという異常な考えを持つカトラリーは、武器であるナイフとフォークを鳴らしながらハトを探す。ハトに路地裏に来るように言われたカトラリーは喜んでハトの後を着いていこうとしたが、途中スマイルから強者の臭いを嗅ぎつける。ハトを殺さなければならないが、スマイルとも戦いたいカトラリーは、スマイルに戦ってほしいと頼み始めた。面倒に思ったスマイルはハトが入っていった路地裏にカトラリーを誘い込む。そしてハトとスマイルVSカトラリーの戦いが始まった。

ハト達が路地裏に姿を消してすぐ、キティがボディーガードと共にねぐらに現れた。そしていつも仕事で忙しくて家にいないパパを見つけてキティは大はしゃぎをする。と、そこで路地裏から銃声が聞こえた。ハトとスマイルはカトラリーを圧倒し、ねぐらから出ていくように言う。ハト達の忠告を聞かずに戦いを続けようとしたカトラリーは突然何者かに撃たれて倒れた。撃ったのはパパも知っている若手実業家・ジュニアだった。そしてジュニアはハトにも銃を向ける。自分に銃を向けるジュニアにハトは一言、「大きくなったな」とつぶやいた。

ハトの過去とこれから

ハトは昔、凄腕傭兵部隊の隊長をしていた。レディはその時の部下だ。
ある日ハトは戦場で一人の赤ん坊を拾い、育てることにした。その赤ん坊はすくすくと成長していく。人を殺すことしかしてこなかったハトにとって、その子供はいつしかかけがえのない存在になっていた。しかし仕事でジュニアの父親が経営する工場を潰したハト達への報復としてその子供が殺されてしまう。憎悪に焼かれてハトは思うがままにジュニアの父親の家の者を殺した。その時まだ幼かったジュニアの声でハトはふと我に返る。憎しみのこもった視線を向けるジュニアに、ハトは待っているからいつか自分を殺しにくるように言った。以来ハトはジュニアが自分を殺して憎しみの連鎖が終わるのをずっと待っていたのだ。

ジュニアの部下とハトを死なせたくないマツゲやキティ達の間で戦いが起こる。その中でキティを庇ってハトは銃に撃たれて重症を負った。自分の身を犠牲にして人を助けたハトを見て、ジュニアはもうハトを殺せないと泣き崩れる。ぐちゃぐちゃの感情に振り回されてどうしたらいいかわからなくなっているジュニアをキティは涙を流しながら慰めた。

しばらく経ったある日のこと。今日はねぐらでキティの誕生日を祝う。病院で治療を受けて一命を取り留めたハトは、ジュニアに「勝手に死ぬことは許さない」と言われて、生きていくことを決めた。キティが「これからも元気に大きくなるからーーハトさんともいっぱい一緒にいたい!!」と言うと、ハトは「そうか…では長生きしないといけないな」とうっすらと微笑んだ。

『路地裏バンチ』の登場人物・キャラクター

主人公

キティ

お嬢様。ハトのことをヒーローだと思っており、好きだと公言している。
生で見たものに「生」と付けて呼ぶことがあり、クズを生で見た時には「生クズ」と呼んでおり、その他「生捨て台詞」「生アジト」などがある。
ちょっと外で遊びたくて家を抜け出し路地裏の住人達と出会った。
ジイに言われて本を読むが映画の方が好き。ジィと手を繋ぐのはイヤ。ジィがコーラを飲ませてくれないので今まで飲んだことがなかったが、グリンチに飲ませてもらった。

ハト

路地裏の住人。一人で本を読んでいることが多い。少数精鋭の傭兵部隊「渡り鳥」の隊長だった過去を持つ。
路地裏で絡まれていたキティを助けたことから交流が始まった。キティのヒーロー。いつも顔を隠ししゃべらなかったため、路地裏の住人達には人殺しか何かだと思われていた。人を避けている節があり、住人達からも避けられていたがキティによってお互いの距離が近づいた。マツゲには旦那と呼ばれている。キティやマツゲと関わるうちにいつの間にか裏路地の住人の事を大切に思うようになる。

路地裏”ねぐら”の住人

マツゲ

路地裏の住人。泣き虫。ジィにはワシ鼻と呼ばれている。キティはごみを見るような目ではなく自分自身を見てくれるので好き。
路地裏でリンチされているとこをキティに助けられたことでキティには感謝している。卑屈だが優しい性格で黒服たちに追われているキティの事を助けるために行動した。
母子家庭で育ったが、母が亡くなり祖父母の家に引き取られた。泣いてばかりの毎日だったが、ある日いじめられている女の子を助けたことから友達ができ、祖父母との関係もうまくいくようになった。

グリンチ

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