モノクロ少年少女(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『モノクロ少年少女』とは、漫画雑誌『花とゆめ』で連載された福山リョウコによる漫画である。両親を亡くし親戚の家を転々としていた巳待呉羽(みまちくれは)。「学費・寮費・全額免除」という魅力的なチラシに釣られて、一般人は入学不可の私立毛保乃高等学校に入学する。そこは人間との共生を目指し、食欲抑制を学ぶケモノの国の子女たちが通う学校だった。呉羽とクラスメイトたちのドタバタ学園生活が始まる。

『モノクロ少年少女』の概要

『モノクロ少年少女』とは福山リョウコによる漫画である。2008年に漫画雑誌『花とゆめ』で読み切り作品として初掲載され、人気となったため2009年から連載された。ヒロインの巳待呉羽(みまちくれは)は5歳で両親を亡くし、親戚の家を転々としていた。ついに親戚から追い出され施設に入ったが、その施設もすぐにつぶれてしまい途方に暮れていたところ、「学費・寮費・全額免除」という私立毛保乃高等学校のチラシを見かける。私立毛保乃高等学校は常人入学不可のブルジョワ学校と知られるが、実はそこはケモノの国の子女たちが通う学校だった。呉羽とクラスメイトたちのドタバタ学園生活を描くラブコメディー漫画である。

『モノクロ少年少女』のあらすじ・ストーリー

波乱の高校生活

呉羽を出迎える右京(左)、蝶々(真ん中)、茅(右)

15歳の巳待呉羽(みまち くれは)は5歳で両親を亡くし、親戚の家を転々としていた。最終的に引き取られていた施設も閉鎖してしまい、行き先に困ってしまう。そんな中、「学費・寮費全額免除」という魅惑的なチラシを見つけ、常人は入れないブルジョワ学校の私立毛保乃高等学校(通称「ケダ高」)に転校する。やっと普通の生活を送れると思った呉羽を出迎えたのは、ケモノの耳としっぽの生えた右京(うきょう)、茅(ちがや)、蝶々(ちょうちょう)だった。一般的には知られていないが、ケダ高は肉食獣の王国から来た子女たちの学校で、人間と共存するため食欲抑制学を身につける学校。呉羽は3年に1度人間をウサギとして紛れ込ませる「ラビット」プログラムのために連れてこられたのだった。成績トップの右京たちに監視されながら、普通ではない高校生活がスタートする。

生徒会長就任

ケダ高にはポイント制があり、日ごろの行動や成績に基づき各生徒に加算されていく。最多ポイントを獲得した生徒は「キング」と呼ばれる生徒会長に任命される。学力に自信のない呉羽はポイント制など無縁だと思っていたが、文化祭での活躍で大量のポイントを獲得。集団食中毒で苦しむ生徒たちのために、呉羽はこっそり人間界に戻って胃薬を買ってきたのである。キングに就任することになった。副会長には右京、茅、蝶々の3人が就任し、生徒会補佐として黒蘭(こくらん)が加わる。予期せずキングになった呉羽は、成績トップで卒業すると人間になれる「ギフト」という制度について聞かされ、右京たちもギフトを狙っていると聞かされる。特に右京には「守りたい人間の女の子がいる」と聞かされ、呉羽は複雑な気持ちになった。

初のクロヒョウ国

オリエンテーション合宿が開催され、呉羽たちは右京の出身国であるクロヒョウ国に行くことになる。母国に帰るというのに、右京の顔は晴れない。右京には血のつながらない兄が3人おり、特に1番上の兄・黄苑(きおん)には強いコンプレックスを抱いていた。黄苑は幼少期に不治と言われた病にかかり、王位継承は不可能と考えられて養子に迎えられたのが右京だった。その後周囲からの関心も右京に向き、黄苑は「右京にすべてを奪われた」と思うようになる。その後特効薬が見つかり回復した黄苑は、これまでの復讐として右京の大切なものを奪い続けてきた。
右京の懸念通り、黄苑が呉羽を連れ去り監禁してしまう。そこで呉羽は謎の少女・伊織(いおり)と出会う。伊織は呉羽の前にラビットとしてケダ高に入学し、右京と両思いになったため黄苑に連れ去られていた。黄苑は呉羽に自分に忠誠を誓い手の甲に口づけるよう言うが、呉羽はそれを拒んで脱走。右京も過去のトラウマから動けずにいたが、階段から落ちそうになった呉羽を守るため、初めて黄苑の命令に背き踏み出した。この1件以降、右京は呉羽のことを意識し始める。

ペナルティの人間界

文化祭の食中毒騒動の中無断で人間界に行ったペナルティが執行され、呉羽は書類に親戚からハンコをもらうよう言われる。親戚付き合いに良い思い出がない呉羽はまったく気が乗らない。一方、右京たちも同行することになったが、憧れの人間界へ行けることにわくわくしていた。呉羽は耳としっぽをはずし、右京たちは「人間パウダー」で人間の姿になり、九輪高校へ短期留学する。九輪高校はケダ高の卒業生である獅子尾姫菱(ししお ひめびし)が務める高校。呉羽は姫菱から「いずれ俺に相談したくなる時が来る」と連絡先を渡される。
親戚からハンコをもらうため、呉羽はいとこの健(たける)の家を訪ねる。「1人で行ける」と意地を張っていたが、右京たちもお供した。相変わらず呉羽は親戚からうとましく思われ、「さっさと(ハンコを)押して消えて」とハンコを投げつけられてしまう。それを見た右京たちは自らの手に朱肉を塗り付け、「保護者は俺らでいいよね」と書類に3つの手形をつける。自分を守ってくれた右京たちに呉羽は心の中で「すきだ」と叫びながら、親戚の家を後にした。

複雑な四角関係

呉羽がクロヒョウ国で出会った伊織は、呉羽の前に「ラビット」として中等部に転校してきた元人間の少女。複雑なバックグラウンドとは裏腹にいつも笑顔で明るい伊織は、茅だけでなく黄苑も虜にするが、当の伊織は右京のことが好きだった。それを知った右京は、「伊織を好きになれば初めて黄苑を出し抜ける」と考え、伊織と付き合うことになる。右京の気持ちが本心ではないことを知った茅は、「右京から伊織を奪ってくれ」と黄苑に連絡し、黄苑は伊織をクロヒョウ国に連れ去っていったのだった。
一連の話を聞いた呉羽は「伊織を取り戻してくる」と1人でクロヒョウ国に乗り込む。伊織を見つけ出しケダ高に帰ろうと説得するが、伊織に「右京は私のために人間になりたいの」と挑発され、連れ戻すことなく走り去ってしまう。追いかけてきた右京と鉢合わせると、呉羽は「伊織を連れ戻せなかった」と涙を流す。そんな呉羽を抱きかかえ、右京はケダ高に帰っていった。

最後の審判

生徒会として企画した文化祭が無事に終わりひと息ついたところに、担任の上総(かずさ)から「脱走した3年生を探しに人間界へ行ってこい」と指示が来る。脱走したのは3年生の成績トップ・浅葱(あさつき)。同率首位の苦菜(にがな)によると浅葱は脱走常習犯で、行き先の目途もついているという。浅葱は人間の少女に恋をして、定期的に学園を脱走して会いに行っていた。
浅葱はすぐに見つかり、呉羽たちは先輩らとかつて世話になった姫菱の家に泊まることになる。そこで呉羽は姫菱から「最後の審判」について聞かされた。ケダ高では毎年の成績優秀者が人間になれるという「ギフト」が用意されている。成績優秀者が複数いた場合、生徒会長である「キング」がどちらを人間にするか選択する。それが「最後の審判」である。浅葱と苦菜は同点で、同率1位になる可能性が高かった。悩んだ呉羽は2人に「なぜ人間になりたいか」と尋ねる。人間の少女と一緒にいたいという浅葱と、兄のフィアンセを好きになってしまい距離を置くために人間になりたいという苦菜。熟考の末、呉羽は浅葱を選ぶ。

黄苑との決着

黄苑のスパイである黒蘭の暗躍により、クロヒョウ国に連れ去られてしまった呉羽。監禁され、翌日には黄苑と結婚すると聞かされる。抵抗もむなしく準備は着々と進み焦る呉羽のもとに伊織が現れ、「ここから逃がしてあげる」、「私は黄苑くんが好きなの」と告白。伊織が頑なにケダ高へ戻らないのは、黄苑と一緒にいたいからだった。式が始まり伊織の合図で脱走する呉羽。雑踏にもまれて倒れた伊織を見つけ、黄苑は呉羽ではなく伊織のもとへ駆けつける。黄苑もまた伊織を失いたくなくて、でもつなぎとめる方法がわからなくて、右京から奪うことしかできなかったのだった。伊織との気持ちを確認しあい、右京とも和解。長く続いた右京と黄苑の確執がついにとけた。

卒業と再会

黄苑との因縁も一件落着し、右京は本格的に呉羽へのアプローチをしかける。呉羽もまた右京への恋愛感情を自覚していたが、素直に応えられない理由があった。それは「最後の審判」。右京たち3人はこれまでほとんど僅差で首位争いをしてきており、卒業時に同率となれば、浅葱と苦菜のときのように、呉羽が3人の中から1人を選ばなければならない。ところがある日、呉羽は黄苑は黒蘭とやり取りしていたパソコンから「最後の審判」に関するデータを見つける。それは「ラビット」が単独1位になった場合、2位のケモノを全員人間にすることができるというもの。その代わりに2位のケモノは全員、「ラビット」に関する記憶を失ってしまう。それでもこれに賭けるしかないと考えた呉羽。もともと勉強は大の苦手だったが、猛勉強の末ぐんぐんと追い上げる。最後の期末試験ではついに呉羽が1位となり、右京たちが同率2位で卒業することになった。
卒業から5年後、茅と蝶々は姫菱の家で鉢合わせする。2人は人間界で大学を卒業し、蝶々は自分のアパレル店を開き、茅は大学院に進んで臨床心理士を目指していた。「最後の審判」があったのに、呉羽の記憶が消えないことを不思議に思い、姫菱を頼ってきたのである。実は卒業の直前、右京が「蝶々と茅の呉羽に関する記憶を残す代わりに、自分の3人に関する記憶を消してほしい」と交渉していた。
呉羽はトリマーとして働きながら、休みの日にはあちこち右京を探しまわっていた。ある日、呉羽の住むアパートの隣の部屋に「黒平」と名乗る男性が引っ越してくる。それは間違いなく右京だった。あくまで初対面として接する呉羽だが、呉羽の名前を聞いた右京は無意識に呉羽の手を取る。ついに再会を果たす2人だった。

『モノクロ少年少女』の登場人物・キャラクター

ケダ高生

巳待呉羽(みまち くれは)

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