封神演義の回収済み・未回収の伏線・謎まとめ

『封神演義』(ほうしんえんぎ)とは、日本の漫画家・藤崎竜によるファンタジーバトル漫画。中国の古典怪奇小説『封神演義』をモチーフとなっている。少年漫画の王道であるバトルやギャグ・コメディ要素のほか、超古代先史文明や古代宇宙飛行士説など加えたオリジナル要素満載の作品であり、物語の中には謎や伏線が数多く隠されている。連載終了時点ではほぼその謎や伏線や回収されており、読者からも「キレイに(連載が)終わった」と評価が高い。

『封神演義』の概要

『封神演義』(ほうしんえんぎ)とは、日本の漫画家・藤崎竜によるファンタジーバトル漫画。TVアニメやミュージカルなど、幅広いメディアミックス展開がされた人気作品だ。中国の古典怪奇小説『封神演義』をモチーフにしており、キャラクター名の読み方などについては、安能務訳の講談社文庫版『封神演義』に概ね基づいている。原点である『封神演義』に少年漫画の王道であるバトルやアクション、ギャグ・コメディ要素を加えられており漫画として読みやすい。さらに、超古代先史文明や古代宇宙飛行士説などのオリジナル要素もあって、物語には謎や伏線が散りばめられている。

遥か昔、中国は殷の時代。賢君と謳われた紂王(ちゅうおう)は、悪しき心を持った仙女・妲己(だっき)に拐かされ、悪政を敷くようになってしまい、人の世は乱れに乱れていた。そこで仙人界・崑崙山(こんろんさん)の元首である元始天尊(げんしてんそん)は弟子である太公望(たいこうぼう)に、妲己を討ち人の世に革命による新時代を築くため、「封神計画(ほうしんけいかく)」の遂行を任せる。太公望は仲間を増やし、知恵を用いて妲己に立ち向かっていく。その中で歴史を裏で操る「歴史の道標」と呼ばれる存在を知るのだった。

伏線・謎について

『封神演義』は中国の古典怪奇小説『封神演義』をモチーフにしていながら、超古代先史文明や古代宇宙飛行士説などの要素を加えたオリジナル要素満載の作品となっている。物語の中ではたくさんの謎や伏線が散りばめられており、その中の多くが物語序盤で登場している。そして連載終了に向けて徐々にそれらの謎や伏線が回収され、連載終了後は読者から「キレイに(連載が)終わった」と高評価を得ている。

『封神演義』の回収済みの伏線・謎

四不象の持つ玉

四不象(スープーシャン)は、主人公・太公望に仕える霊獣。物語の第1話で、仙人界崑崙山の元首である元始天尊(げんしてんそん)が「封神計画」に臨む太公望に与えた。それ以来、太公望の無謀で破天荒な行動にもめげず、時に文句を言いながらも一途に付き従っていた。

四不象は初登場時からその手に「玉」を持っていた。片時も手放さず、いつも大事そうに持っていたが、しかしこれを何故持っているかなどは一切明かされず、読者からも「そういうファション」という認識を持たれていた。

この玉の正体が明かされたのは、崑崙山と別に存在する金鰲列島出身の仙人・趙公明(ちょうこうめい)との戦いの時である。金鰲列島三強の1人で、戦闘狂の愉快犯。戦いに本気にならない太公望と戦うために四不象を人質にとり、石化させた。太公望は四不象を取り戻すために戦うが、趙公明に敗れ、おまけに石化した四不象は破壊されてしまった。しかし四不象はこの後、パワーアップして復活を遂げる。それがこの四不象がずっと大事に持っていた「玉」のおかげだった。この「玉」は「復活の玉」という超希少なアイテムであり、使用すると一度復活することができる。第1話からこの展開を構想していたのかと読者の間では大いに話題となった。

歴史の道標の存在

『封神演義』のラスボスは女媧(じょか)という、この世界に降り立った宇宙人の内の1人だった。女媧という名前が明かされたのは物語終盤であり、それまでは「歴史の道標」という呼ばれ方をしていた。ただこの言葉が登場したのは物語序盤、話数にして13話のことである。

『封神演義』は主人公の太公望が妲己を倒すというのが主軸の物語。しかし実は真の敵はこの「歴史の道標」と呼ばれる女媧であり、妲己は女媧に付き従っているだけだった。そして「封神計画」もそもそも女媧を倒すための下準備であったことが明らかになっていく。

バトル漫画では段階を経てボスが入れ代わり立ち代わりすることも多いが、『封神演義』については最初から最後までラスボスが女媧だった。「歴史の道標」の存在やそれが女媧という名前であること、その目的など、クライマックスで明かされた真実は、物語序盤の伏線を見事に回収していると言える。

楊戩の「変化の術」

仙人界・崑崙山の道士である楊戩 (ようぜん)は、「変化の術」を使う。「変化の術」を使うことができる道士は、楊戩だけであり、作中に登場する様々な術の中でも類稀なものだった。楊戩は物語序盤から登場し、この「変化の術」を駆使して太公望を助けるなど、数多くの活躍をする。

後に楊戩の正体が、妖怪仙人であることが判明。妖怪仙人とはヒト以外の生物や無生物が1000年以上の間月日の光を浴びて人の形を取れるほどの魔性の力を得た存在である。これには、妖精(魔性を帯びる) → 妖蘖(ようげつ、人型をとれる) → 妖怪仙人(人型を常に維持できる)という段階がある。楊戩の使う「変化の術」はこの過程で身についたものだった。

また仙人界ではヒトの仙道は崑崙山に、妖怪仙人は金鰲列島に所属するという暗黙のルールがある(例外もある)。楊戩は崑崙山に所属していたため、読者は完全に楊戩がヒトであると思い込まされていた。

封神された王天君が復活した理由

仙人界・金鰲列島に所属する王天君は、金鰲列島を取りまとめる十天君(じゅってんくん)のメンバーの1人でそのリーダー的存在である。

『封神演義』の物語の中では、優れた能力を持つ仙人、道士、人間は死ぬと封神台(ほうしんだい)という場所に魂が飛ばされる(これを封神という)。王天君は崑崙山と金鰲列島との全面戦争の際に死亡して封神された。しかし何故だか王天君はその後復活を遂げ、再び戦いに介入する。そしてまた死亡して封神された。だがその後もう1度復活して登場しており、作中では合計3人の王天君が登場する。

これは王天君の魂を仙女である妲己(だっき)が3つに分けたからであることが後に判明した。

単行本表紙に隠された太公望と王天君の関係

仙人界・崑崙山の道士であり主人公の太公望は、金鰲列島の仙人・王天君と同じ魂を持つ人物だったことが物語の後半で明らかになる。

王天君は元々は崑崙山の元首・元始天尊の直弟子だった王奕(おうえき)という人物だったが、崑崙山と金鰲列島が不可侵条約を結ぶ際に人質として金鰲列島へと引き渡された(金鰲列島からは楊戩が崑崙にやってきた)。しかし元始天尊は類稀な才能を持つ王奕を手放すのが惜しく、王奕を金鰲列島へ引き渡す前に王奕の魂を半分に分けていた。分けた魂の内1つは王奕の体に、そしてもう1つを人間界で死亡した呂望という人間の体に入れた。この呂望が後に太公望という名を与えられる人物、この物語の主人公となる。太公望と敵対していた王天君が元は1人の人物だったという事実は読者に衝撃を与えた。

ところがこれについては、その事実が明らかになる前に単行本の表紙にて既に伏線が張られていた。『封神演義』の単行本は全23巻あり、それぞれの表紙にキャラクターが1人(複数人の場合もある)が描かれている。その中で1巻の太公望と13巻の王天君だけが逆さまに描かれている。この絵が2人が同一人物であることを示唆していたのではないかと読者の間では大いに話題となった。

単行本表紙の紂王と黄天化

殷王朝の第30代王・紂王(ちゅうおう)は、文武共に優れた賢君だった。しかし仙女・妲己に拐かされてから悪政を行うようになり、民を苦しめるようになる。最後はその悪政に終止符を討つために立ち上がった周の王・武王により命を絶たれる。

しかしその前に紂王は、崑崙山の道士・黄天化(こうてんか)と1対1の戦いを行う。天化は自身が目標にしていた亡き父・黄飛虎(こうひこ)を超えるために、飛虎が敵わなかった紂王に戦いを挑んだのだ。この戦いは物語の後半に差し掛かる辺りで描かれている。

単行本の表紙では8巻の黄天化と19巻の紂王を並べると対峙しているようになっている。天化の表紙が描かれたのは8巻と、紂王との戦いのだいぶ前だったため、かなり前の段階から2人の戦いを構想していたのかと話題にもなった。

『封神演義』の未回収の伏線・謎

趙公明が女媧の存在を知っていた理由

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