気になってる人が男じゃなかった(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『気になってる人が男じゃなかった』とは、2023年にKADOKAWAから出版された新井すみこの漫画である。高校2年生の大沢綾はスクールカースト上位のキラキラ女子高生。男女ともに人気の彼女はマイナーな洋楽が好きだったが、友人とは趣味が合わず孤独感を抱いていた。そんな中、町のCDショップを訪れた綾は店員の「おにーさん」に一目惚れする。しかし「おにーさん」の正体は、同じクラスで隣の席に座る古賀美月だった。

『気になってる人が男じゃなかった』の概要

『気になってる人が男じゃなかった』とは、新井すみこによる漫画である。作者がSNSに投稿した漫画が話題となり、2023年にKADOKAWAから単行本が出版された。単行本第1巻は「次にくるマンガ大賞2023 Webマンガ部門」で1位を受賞。
高校ではキラキラ女子として人気者の大沢綾だが、実はマイナーな洋楽バンドの音楽が大好きだった。しかし周囲とは話が合わず、いつもひっそりと音楽を楽しむ。そんな中ふらりと訪れたCDショップの店員「おにーさん」に一目惚れし、足しげく通うようになる。しかしミステリアスな「おにーさん」の正体は、同じクラスで隣の席の目立たない同級生・古賀美月だった。それぞれの好きな気持ちを押し殺してきた彼女たちの「愛情」をめぐる物語を描く。

『気になってる人が男じゃなかった』のあらすじ・ストーリー

「おにーさん」との出会い

共通の趣味を介して急接近する大沢綾(左)と「おにーさん」こと古賀美月(右)

ピンク色の巻き髪にピアス、派手な見た目の大沢綾の周りには常に人が絶えない。しかし音楽を聴いている間は自分だけの領域だと思っていた。なぜなら同級生と聴く音楽のジャンルが全く違うからだ。下校途中に見かけたCDショップから好きなバンドのリズムが聞こえ店に入ると、つまらなさそうな顔をしてカウンター立っている「おにーさん」がいた。黒いフードに黒いマスクを身につけミステリアスな雰囲気を漂わせる「おにーさん」に、綾はすぐに心を奪われる。CDショップに足しげく通うようになり、学校でも「おにーさん」の話を友達に話していた。その話を聞いて、隣の席に座る古賀美月は冷や汗を垂らす。綾が思いを寄せる「おにーさん」の正体は美月だったのだ。美月は綾だとわかっていつつ、正体を明かして気まずくなることを恐れ、自身が「おにーさん」であることを隠して綾と親交を深めていく。その中で美月は綾が好きな音楽のことを隠して友人たちとつるんでいることを知り、ただのギャルだと思っていた綾の新たな一面に惹かれていった。

波乱の文化祭と発覚

ハンサムで人当たりのいい成田は、女子に助けてもらうことなどたやすいことだと思っていた。ある日成田は美月に「選択科目の課題を見せてくれ」と頼む。「やっていない」と断る美月をからかっていると、隣の席の綾が「ださっ」と一蹴。1日中落ち込んでいたが、帰り道に綾がCDショップの「おにーさん」と親し気に話す姿を見つける。「あんなのに勝てるわけない」と自信喪失しかけるが、すぐにその「おにーさん」が美月だと気づく。後日美月にきつく口止めされたが、成田自身は綾と美月が学校でも仲よくすればいいのにと思っていた。
季節は夏に向かい、文化祭実行委員決めが行われた。成田は「早く帰りたいから」と立候補し、音楽に詳しい人として綾を指名。焦った綾は強引に美月を誘い、3人で文化祭実行委員を務めることになった。学校でも交流が増えるにつれ、綾の中で「おにーさん」と美月の所作や言動が徐々に一致していく。美月が教室に忘れたイヤホンから「おにーさん」と同じプレイリストの曲が流れていることに気づき、綾は美月と「おにーさん」が同一人物であることを確信した。

仲直りとわだかまり

美月が「おにーさん」であると気づいた綾は、露骨に美月と距離を置くようになる。美月もまた気まずさを感じ、四六時中聴いていた音楽を全く聴かなくなってしまった。姪の異変に気づいた叔父は、姪を気分転換に連れ出す。ギターを買ってあげ、「これまで通りができなくなったらやり方を変えればいい」と助言した。学校では成田が2人の距離感に気がつき、美月に事情を尋ねる。成田は「2人して文化祭実行委員を辞められたら困る」と、2人が仲直りするために動き出した。後夜祭前日、綾は成田から当番を代わるよう頼まれる。綾が照明係としてステージ上に待機していると、飛び入り参加の黒ずくめミュージシャンが舞台に上がった。その正体は美月。綾にしかわからない曲を披露し終えると綾のもとへ駆けつけ、改めて「友達になってくれませんか」と伝えるのだった。
無事に仲直りした綾と美月は、学校でもCDショップでも堂々と音楽の話で盛り上がるようになる。綾は共通の趣味を持つ友人がいないためフェスにいったことがなかったが、美月と一緒にライブに行く約束を楽しみにしていた。2人の仲が修復した一方、綾は以前からつるんでいた友人たちに避けられるようになってしまう。違和感に気づいた美月は綾の友人であるちづるに接触し、綾と行こうとしていたライブのチケットを譲る。ライブをきっかけに、綾がちづるたちと仲直りしてほしいと考えたのだ。「1人で音楽を聴いている方がいい」と諦観する美月だったが、そこへライブ終わりの綾が怒鳴り込んできた。

『気になってる人が男じゃなかった』の登場人物・キャラクター

大沢綾(おおさわ あや)

2005年4月16日生まれ。クラスで目立つグループに所属し男女問わず人気があるが、同級生の男子には興味がない。海外のマイナーバンドが好きだが、友人とは話が合わないため好きなものを押し殺して学校生活を送っている。近所のCDショップで働く「おにーさん」に好意を寄せていたが、その正体がクラスで隣の席に座る古賀美月だと知る。しばらくぎこちなくなっていたが、成田のアシストで仲直りした。遊び盛りの双子の弟がおり、よく面倒を見ている。

古賀美月(こが みつき)

2006年3月9日生まれ。幼いころから洋楽が好きで、いつもイヤホンで音楽を聴いている。内気ではないが穏やかな性格で目立つことが苦手。周囲と違う自分を自覚しており、学校ではモブキャラに徹している。叔父の経営するCDショップでバイト中は眼鏡をはずし黒いマスクをつけて髪を結んでいるため、かなり中性的な見た目になる。無自覚にイケメン所作や言動をするため、大沢綾に「おにーさん」と呼ばれて恋心を寄せられていた。スカートが苦手でいつもパンツスタイル。左手首にタトゥーがあり、学校にいる間はリストバンドで隠している。

叔父さん(おじさん)

美月の叔父で、小さなCDショップを経営している。姪を溺愛しており、美月と綾が急接近した際は「美月がすぐ結婚してしまいそうだ」と飲み屋で友人にぼやいていた。しかし美月の友人関係をアシストするためにライブのチケットを融通したり、落ち込む姪のためにギターを買ってあげたりする。

成田(なりた)

綾と美月のクラスメイトの男子。顔が良く自信家で、すべての女子に人気があると自負していたが、まったくなびかない美月に興味を示す。綾が気になっている「おにーさん」が美月であることにいち早く気づき、美月と綾が学校でも仲良くなればいいと考える。半ば強引に美月と綾を文化祭実行委員に誘い、2人の仲を取り持った。以降は綾と美月のことを「推しカップル」として陰ながら応援している。

まお

綾の友人で黒髪でいつも髪をアップにしている。洋楽のことはよくわからないが、美月と綾が熱弁するので少し気になっている。美月に対して好意的。

ちづる

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