ハックルベリーにさよならを(舞台・漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ハックルベリーにさよならを』とは、集英社より発売された漫画作品。演劇集団キャラメルボックスが上演した脚本をきらが漫画化したもの。脚本は劇作家の成井豊が担当している。主人公で小学6年生のケンジの側には兄さんがいる。ケンジの両親は離婚しており、面会日に父親からカオルさんという女性を紹介される。ケンジはカオルさんに反発するが、兄さんは好意を持っている。ケンジは父親と喧嘩し、ボートで川を下りながら後悔を取り戻す旅に出る。親子の葛藤や、少年の成長などを描き出すファンタジー作品。

兄さんがカオルさんと10年の時を超えて電話で会話するシーン

左が兄さん。右が10年前のカオルさん。時を超えて電話で話しをしている。

カオルさんと父親の結婚に反対してしまった事を10年間後悔し続けていた兄さんが、10年前のカオルさんと電話で話し、気持ちをぶつける。兄さんは泣きながら「結婚していいんだよ!」と言った。兄さんは「僕の中には いつもあの頃のケンジがいた」「僕に許してもらえずにボートの上で泣いているボク こいつの時計だけは10年前に止まったまま1秒も進んでいないのだ 僕が止めてしまったから」という思いを抱きながら、「…ごめんなさいっ…」とカオルさんに謝った。カオルさんは首を振り、「謝ることない 私はちゃんと幸せになってみせるから 大丈夫よ」「だから 許してあげてね」と言った。兄さんが「……誰を?」と尋ねると、カオルさんは「『あなた自身』を」と答えた。もう1人のケンジであり10年後のケンジでもある兄さんが、10年前のカオルさんに謝る事で、やっと10年前の自分自身を許す事ができたクライマックスシーン。

『ハックルベリーにさよならを』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

原作のヒントになった作品は大島弓子の漫画『夢虫・未草』

演劇作品として書かれた原作は、大島弓子の漫画『夢虫・未草』をヒントにして書いたと、成井豊が語っている。『夢虫・未草』は、主人公の少女が両親の離婚問題に直面し、それを克服していく物語。両親の離婚問題を扱っている点、またその困難な状況を子供自身の力で乗り越えていくという点は、本作品との共通点といえる。

原作『ハックルベリーにさよならを』は『左腕のガリバー』のリメイク版

『ハックルベリーにさよならを』は、演劇集団キャラメルボックスの第2回公演『左腕のガリバー』のリメイク版である。しかし、ラストシーンとテーマ以外は全くの新作である。『左腕のガリバー』は、主人公の少女が、10年前に何も言わずに転校してしまった友達に会うために時を戻したいと奮闘するストーリー。設定は違うが、両作品とも“時”がテーマになっている。

『ハックルベリーにさよならを』は作者きら初めての原作付き作品

『ハックルベリーにさよならを』は、きらにとって初めての原作つき作品。きら自身が「これをまんがにしてみたいなあ」と思い、漫画化となった。また、きらは、舞台というと「おおげさ」か「静か」か「こむずかしい」という偏見を持っていたが、演劇集団キャラメルボックスがきっかけとなり舞台好きになったとも書いている。

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