ぼのぼの(アニメ映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ぼのぼの』(映画)とは、いがらしみきおの同名漫画を原作とする1993年公開の映画作品。いがらしみきお自身が監督・脚本・絵コンテ・声優を務めるという非常に珍しい制作手法を取ったことで知られている。キャッチフレーズは「いろいろカワイイ、いろいろヘンだ!」、「楽しいのって、どうして終わってしまうんだろう。」。
ラッコのぼのぼのが暮らす森に、“大きな生き物”がやってくる。子供の動物たちが好奇心からそれを見に行こうとする一方、大人たちは「あれが来ると森の何かが変わる」と警戒し、それぞれに動き出す。

数年に1度森にやってくる巨大なウシ。ほとんどの動物が擬人化して描かれる本作にあって、唯一ほぼ動物としてのそのままの姿で登場し、言葉もまったく話さない。キャラクターというよりは舞台装置に近い存在である。

『ぼのぼの』(アニメ映画)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

スナドリネコさんとヒグマの大将の戦い

擬人化された動物たちのほのぼのとした日常を描いたことで人気作品となった『ぼのぼの』だが、本作では「“命より大切なもの”は存在するのか、それは本当に誰かの命よりも重いものなのか」という非常に重厚なサブテーマが盛り込まれている。主人公であるぼのぼのたちに代わってこのテーマに向き合うのがスナドリネコさんとヒグマの大将で、2人はそれぞれ数年もの時間をかけてこの問いに取り組み、その答えを出すために2度に渡って激突した。
2人の戦いは、どちらも傷だらけの血まみれになるほど激しいもので、『ぼのぼの』のほんわかとした世界観を楽しみにしながら本作を見た者は驚くこと間違いなしの演出となっている。しかし互いが互いに真摯に向き合おうとした結果、憎み合うわけでもなく命懸けの勝負に臨む両者の姿は、『ぼのぼの』の世界に不思議なほど溶け込んでおり、非常に見応えのあるものともなっている。

アライグマくんとショーねえちゃんの対決

物語の終盤、ぼのぼのやアライグマくんと一緒にジャコウウシを探していたシマリスくんは、「迎えに来た」というショーねえちゃんにむりやり連れ戻されそうになる。「一緒に探し物をしているのに勝手に連れていくな」とアライグマくんがこれを止めようとすると、ショーねえちゃんは物を投げるわ、大声で怒鳴るわ、むりやりぼのぼのを味方につけようとするわ、やりたい放題しながら憤然と抵抗。種族の違いによって大人と子供以上に体格差があるというのに結構いい勝負を繰り広げ、見ていた者たちを驚かせる。
原作でもアライグマくんとショーねえちゃんは仲が悪く、しょっちゅうケンカしている。このシーンはその最初の対決を描いたもので、この後の展開を知る者からすれば思わずクスリと笑える場面になっている。

スナドリネコ「苦しいこともいつか終わるからさ」

ぼのぼのがふと胸に抱き、作中を通して考え続けた「どうして楽しいことはいつか終わってしまうのか」という問いに、スナドリネコさんが返した言葉。「幸せはいつまでも続かないが、不幸が永遠に続くこともない」という単純明快な解答を、子供にも分かりやすく説明している。

『ぼのぼの』(アニメ映画)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

「シマリスくんのおとうさん」役の関口和之はサザンオールスターズの関口和之と同一人物

「シマリスくんのおとうさん」役の声優の関口和之は、人気音楽ユニットサザンオールスターズのベースを担当している関口和之と同一人物である。

「フェネックギツネくん」役の田中加奈子は挿入歌も歌ったポップ歌手

フェネックギツネくん役の田中加奈子は、1990年代前半に活躍した音楽ユニットGARLANDのボーカル担当である。本作では挿入歌も歌っているが、声優としてこれが初挑戦となった。
なお、漫画家の田中加奈子とは同姓同名の別人である。

『ぼのぼの』(アニメ映画)の主題歌・挿入歌

主題歌:大沢誉志幸「初恋」

【大沢誉志幸】 初恋 (映画ぼのぼのメインテーマ)

挿入歌:GARLAND「なんかよくわかんないいい気分」

作中でフェネックギツネくんが踊りながら歌っていた歌。この時のフェネックギツネくんはダンスの振り付けを考える方に夢中になっており、途中まで歌っては「ここの振り付けはなんか違う」と言って最初からやり直すことを繰り返していた。

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