月曜日の友達(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『月曜日の友達』とは2017年より阿部共実が『ビックコミックスピリッツ』にて連載しているジュブナイル漫画である。中学生1年生になった水谷茜は小学生の時からの友人や新しい環境の変化に戸惑いを受けながら生活を送っていた。そんなある日、クラスの変わり者である月野透を不良から助けたことをきっかけに、月曜日の夜に中学校の校庭で出会う約束をする。美しい叙述的な演出や詩的なセリフが本作の大きな魅力であり、「このマンガはすごい!2018」にてオトコ編第4位を獲得した。

『月曜日の友達』の概要

『月曜日の友達』とは2017年より阿部共実が『ビックコミックスピリッツ』にて連載しているジュブナイル漫画である。
阿部共実は2010年に『週刊少年チャンピオン』にて、読切り『破壊症候群』を掲載し漫画家としてデビュー。その後2010年に『日刊!浦安鉄筋家族THE WEB』に『ドラゴンスワロウ』を連載、2011年には『週刊少年チャンピオン』に『空は灰色のだから手をはなそう』(後に『空は灰色だから』に改題)を短期連載する。また2014年に『ちーちゃんはちょっと足りない』を『もっと!』に掲載し、「このマンガはすごい!2015」のオンナ編第1位、「第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門」新人賞を獲得する。
そして2017年より『月曜日の友達』を連載し、「このマンガはすごい!2018」にてオトコ編第4位を獲得する。単行本は小学館から全2巻発売されている。
入学したての中学1年生・水谷茜(みずたに あかね)は新しい環境や友人の雰囲気の変化など日々の生活が変わり始めており、急に自分の生活が窮屈になり始めたという思いを抱えて生活していた。そんなある日、不良グループに絡まれている同じクラスの変わり者・月野透(つきの とおる)を助ける。その出来事をきっかけに月野から毎週月曜日の夜に中学校の校庭で行っている超能力の練習に付き合ってほしいと頼まれ、水谷はその頼みに応じる。こうして水谷と月野の奇妙な交流関係が始まるのであった。
本作の魅力は叙述的な演出にあり、特に白黒だからこそ映える光と影の演出が素晴らしく、空白を利用した心境演出も読者の印象に深く残るものになっている。また詩的なセリフ回しも特徴の1つであり、活発的な子供の部分が強く残りながらも繊細な感性を持っている茜のキャラクター設定を引き立たせる。さらに詩的な表現はノスタルジックな雰囲気を醸し出す大きなエッセンスとなり、本作品のジュブナイル的な要素をさらに引き立たせる役割も担っている。

『月曜日の友達』のあらすじ・ストーリー

水谷の中学校生活

中学に入学した水谷茜(みずたに あかね)は小学校とは違う新しい環境になって、自分の生活に窮屈さを感じていた。その窮屈さを感じていた大きな要因の1つは人間関係にあり、周りの友人が恋愛やファッションなど興味をもつ対象が変わっていく中、水谷はその変化についていくことができず、1人周りからおいていかれる感覚を味わっているのであった。
そんな違和感を抱きながらも中学生として生活を送っていたある日、同じクラスメイトである月野透(つきの とおる)と校舎内ですれ違う。月野はクラスでは友達がおらず、誰ともコミュニケーションを取ろうとしない様子からクラスでは変わり者扱いを受けているのであった。そんなクラスの変わり者である月野の目をすれ違いざまに見た水谷は、「暗闇でも光ることを忘れない宝石のような瞳」と強く印象に残り、それ以来月野のことが気になってしまうのであった。

月野と月曜日の約束

ある日、中学校で水谷は月野が不良たちに絡まれている場面を目撃する。正義感に駆られた水谷は、絡まれている月野と不良の間に割って入り月野を助ける。その際に水谷が放った後ろ蹴りが不良の持っていたジュースに直撃し、飛んで行ったジュースが一直線にゴミ箱に吸い込まれていく様子を月野は見ていた。その様子を見ていた月野は水谷に「月曜日の夜に学校の校庭で秘密の特訓に付き合ってほしい」と頼むのであった。
月野を助けてから少し経ち、ある日の月曜日の夜に水谷は自宅から外に逃げるように飛び出してしまう。なぜなら水谷には優秀な姉がおり、寮暮らしの姉が実家に帰ってくる月曜日は家族に何かと姉と比較され、家でも自身の居場所がなくなった感覚に襲われてしまうからだ。そして勢いのまま外に出た水谷は月野の頼みを思い出し、中学校の校庭に赴く。校庭では月野がおり、水谷を見つけるや否や明るい表情で話しかけてくる。水谷は普段の様子と違う月野に戸惑いつつも「秘密の特訓とは何か?」を月野に問う。月野は「過去に1度だけ使えた念動力の超能力の練習をしている」と答え、さらに「水谷が蹴ったジュースがゴミ箱に一直線に入った現象は、自分の超能力が水谷に引き出された結果だ」と続けて話す。そう話した月野は16個の机を並べ、バケツ3個分のボールを辺りにぶちまけて、超能力の練習を始めた。そんな月野の様子を見て水谷は楽しくなり、月野の練習を傍らにぶちまけたボールでおもいっきり遊び始める。
超能力の練習を始めてから少し経ち、水谷はふと「未だに体を動かすのが好きだったり、恋愛やファッションにそんなに興味がない自分は変なのか?」と月野に聞く。それに対し月野は「変でもいいじゃないか」と優しい表情で答える。その返答を聞き水谷は初めて誰かに認めてもらった感覚になり、超能力の練習を終えた月野の「しばらく特訓に付き合ってほしい」という頼みを聞き入れるのであった。

月野と水谷の交流

月野との秘密の特訓の約束が始まり仲良くなっていく水谷であったが、月野は月曜日の秘密の特訓がばれないように、普段の学校生活では変わらず水谷ともコミュニケーションを取ろうとしないのであった。そんなある日、水谷は月曜日の午後に友達である土森(つちもり)を始めとしたクラスメイト数人と遊びに行くことになる。土森達とカラオケをしたり、ショッピングモールで買い物をしていた水谷であったが、月野との秘密の特訓に比べて窮屈なものであると感じてしまう。そして将来何をしたいかの話題になり、水谷は「自分で空を飛んでみたい」という願望を口にするが、クラスメイトからは笑われてしまう。その後クラスメイトが具体的な将来の展望について話し始めるが、水谷はまた自身の居場所がなくなってしまったことを感じ、先に土森らのクラスメイトのグループと別れ月野が秘密の特訓を行っている校庭へと向かう。そして水谷は自身の空を飛びたいという夢がクラスメイトに笑われたことを月野に話す。その水谷の夢に対し月野は「超能力が使えるようになったら水谷の夢を叶える」と言い、2人はより仲良くなるのであった。
その出来事からしばらくたち、秘密の特訓で月野は自分が大切なゲーム機を水谷に貸すという約束をする。しかし日中の学校生活で月野をからかってくる不良・火木(ひき)にゲーム機を取られてしまう。水谷はその様子を少し遠くから目撃したが、助けてしまったら2人の関係がばれてしまうため何もすることができなかったのであった。そしてその夜、火木にゲーム機を取られ、それを断ることができなかったことに月野は悔しくなり涙を浮かべる。
その様子を見た水谷は月野のことを何もしらなかったのだと自覚し、月野に「改めて友達になろう」と申し出る。月野はその申し出を受け、2人は学校のプールでたわいのない会話を楽しむ。その会話の中で月野は家族の中で自分が孤独になる瞬間があると気持ちを吐露する。それを聞いた水谷は自身が家族との間で感じていた孤独を同じく感じている存在がいることに安心する。そして2人は改めて秘密の特訓を続けていくことを約束するのであった。

水谷と月野のすれ違い

夏休みが明け2学期に入ってから月野の周りに変化が起き始めていた。1学期の時に月野はクラスの不良グループに絡まれていたのだが、2学期に入り絡んでいるのは火木だけになっていたのだ。火木の取り巻きの不良たちは、地元で有名な不良である火木の兄目当てで集まっていた。しかし、その兄が亡くなったことで不良たちも火木に興味をなくし、火木は月野と同じくひとりぼっちになっていたのである。
また月野は水谷に2学期からは「合唱コンクールや体育祭の練習で遅くまで人がいるから夜に会うのはやめよう」と言われる。そうして合唱コンクールや体育祭の間は月野と話すことができない日々が続く。
そんな日々の中、火木は以前と変わらず月野にまとわり続けていた。そんな火木のことを水谷は許せず、ある日月野のゲーム機を本人に返すように火木に言った。そのことがきっかけで水谷と火木は口論になり、口論の末水谷は月野との関係を火木に話してしまう。こうして火木は水谷から引き下がるのだが、水谷が月野にそのことを話した結果、月野は「水谷にとって2人の約束なんてどうでもよかったんだ、もう月曜日の夜に会う約束はやめよう」と言われてしまう。水谷は月野の誤解を解こうとするが、火木がゲーム機を返し月野に謝ったことで水谷は何も言うことができなくなり、月野とすれ違いを生んだまま帰ってしまうのだった。

仲直りと超能力の正体

月野と水谷のすれ違いから少し経ち、火木はより月野と共に過ごして仲良くなり、月野も不良に絡まれなくなったこともありクラスの輪に打ち明けていくのであった。そんな様子を見ていた水谷は喜ばしいことなのに素直に受け入れられない自分がおり、どうすれば月野と以前の関係に戻れるのか考えてしまう。そのことを親友である土森に相談し、土森の励ましもあって月野に謝る決意を固める。
水谷は謝るために月野に会うが、月野の方から水谷に謝るのであった。月野は「水谷が約束を軽んじる人ではないことはわかっていたが、火木のようにすぐに許すことが何故かできずいた」と打ち明ける。こうして水谷も約束を破ったことを月野に謝ることができ、2人は以前の仲を取り戻すのであった。
また月曜日の夜に秘密の特訓をしようとする月野と水谷であったが、先生の見回りが厳しくなってしまい以前のように校庭が使えなくなってしまう。月野は自身の超能力はゲーム機が静電気を帯びることで浮力が発生するものだと気付く。そして2人はその超能力を校庭で試そうとするが先生に見つかってしまい、危機に見舞われる。そんな中月野はキーアイテムであるゲーム機を忘れてしまい、「やっぱり特別な何かにはなれない」と落ち込んでしまう。しかし水谷が「月野は私の中ではとっくに特別な何かになっている」と励ますと、月野はお礼を述べ差し出した水谷の手を取る。その瞬間、2人の間に静電気が発生し、月野の超能力で2人は宙を舞うのであった。
宙を待っている2人はしばらく会話をし、お互いに月曜日の夜は家族ともう1度向き合うことに決め、超能力の練習はこの日きりで終わりにすることを決める。そして2人は友達として学校生活でも普通に接することを約束するのであった。

『月曜日の友達』の登場人物・キャラクター

主要人物

水谷茜(みずたに あかね)

中学1年生の女子。小柄でセミロングが特徴的である。
性格は活発的かつ子供っぽく、フレンドリーな性格のため交友関係は広い。
また運動神経が良く、体を動かすことが好きである。しかし協調性がないため、団体競技は苦手である。
家族は両親と姉がいるが、姉が優秀なため事あるごとに比較されるためうまくいっていない一面がある。
月野とはただのクラスメイト止まりの関係であったが、超能力の練習を通じて唯一無二の友人関係になる。

月野透(つきの とおる)

中学生1年生の男子。白い髪色をしており水谷いわく「暗闇でも光ることを忘れない宝石のような瞳」を持っている。
性格は内気で思慮深い。ただマイペースがすぎるため周りとうまくコミュニケーションが取れない時がある。
家族は妹と弟がおり慕われている。
弟と買ったゲーム機が宝物であり、そのゲーム機を介して発生する静電気を利用して念動力を発生させる超能力を持つ。
水谷とはただのクラスメイト止まりの関係であった。しかし水谷の存在が自身の超能力を引き出す鍵になると気付き、一緒に超能力の特訓をするように頼む。そして超能力の特訓を通して、水谷が唯一無二の友人になる。

水谷のクラスメイト

土森(つちもり)

水谷(左)に話しかける土森(右)。

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