勿論、慰謝料請求いたします!(ラノベ・漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『勿論、慰謝料請求いたします!』はsoyによって2017年より「小説家になろう」サイトで執筆された小説、およびそれを原作とする漫画である。婚約破棄を宣言された伯爵令嬢ユリアス。愛情はなかったがタダで婚約破棄されるほどユリアスは優しくなかった。婚約破棄でも何でも、利用しなければ商売で繁栄した伯爵家の名が廃る。慰謝料をたんまりもらうため、商才ある美しい令嬢が奮闘する物語。痛快な慰謝料回収ストーリーとほのかな恋愛要素、賢くもどこか天然な主人公が魅力。

『勿論、慰謝料請求いたします!』の概要

『勿論、慰謝料請求いたします!』はsoyによって2017年より「小説家になろう」サイトで執筆された小説、およびそれを原作とする漫画である。2018年にビーズログ文庫(KADOKAWA)より書籍化されている。書籍化時の挿絵はm/gが担当している。電子版を含めたシリーズ累計部数は100万部を記録。無糖党によるコミカライズは2018年以降『めちゃコミック』『モンスターコミックス』『がうがうモンスター』で連載されている。
突如として婚約破棄を宣言された伯爵令嬢ユリアス。政略婚約ゆえに愛情はなかったがタダで婚約破棄されるほどユリアスは優しくなかった。婚約破棄でも何でも、利用しなければ商売で繁栄した伯爵家の名が廃る。慰謝料をたんまりもらうため、賢くもどこか天然な商才ある美しい令嬢が奮闘する物語。ほのかな恋愛模様と、痛快な逆転慰謝料回収劇が魅力。

『勿論、慰謝料請求いたします!』のあらすじ・ストーリー

断罪編

伯爵令嬢、ユリアス・ノッガーは、婚約者であるラモール・キュリオンから突然婚約破棄することを宣言される。2人の婚約は今から5年前に、財政難に喘ぐキュリオン侯爵家からの申し出があり、「侯爵家のネームバリューがあれば事業が拡大できるから」とユリアスが言ったため了承されたものであった。ゆえにこの婚約に愛情といったものは存在しなかった。しかしラモールは現在ジュリー・バナッシュという庶民出身の伯爵家令嬢と恋仲にあるという。ラモールとジュリーの状況は、ユリアスが出版を手掛ける『ドキドキ☆貴族になっても頑張っちゃうもんね』(通称:『ドキ☆がん』)の物語にとても似通っていた。ジュリーは自分とよく似た境遇の主人公が登場する『ドキ☆がん』の物語通りに行動することにしているようだと気づいたユリアスは、翌日からラモールとジュリーの浮気の証拠を集めるための行動を開始する。2人の相引きを録画するために隠れていた場所で、ユリアスは偶然ルドニーク王子と出会い、友人として付き合うこととなる。最初は『ドキ☆がん』の通りに現実が動いていると信じなかった王子であるが、その作者がバンシーの血を引くマチルダであることを知ると、『ドキ☆がん』が予言の書として作用していると信じるようになる。『ドキ☆がん』の続巻で王子と主人公が結ばれることを知った王子は、結末を変えてもらうためにマチルダの元へ訪れる。ラモールが現実でもユリアスを蔑ろにしていると知ったマチルダは、ストーリーを変更することを了承する。主人公はラモールがモデルとなっている侯爵と、ユリアスがモデルとなった悪役令嬢は、王子と結ばれるよう変更した。『ドキ☆がん』続巻が発売されるまでの間、ジュリーは王子に何度も接近を試み、その度にユリアスは王子を守ることとなる。王子との接触が失敗したジュリーは必ず泣き、それを見たラモールがユリアスに暴言を吐くということを何度も繰り返す。その全てはユリアスが用意した録音・録画機器に収められることとなった。ユリアスと王子が一緒にいることが多くなり、学園ではユリアスと王子が禁断の恋愛関係にあるのではないかという噂が流れる。その噂は慰謝料請求に不利となるため、ユリアスは策を練る。ユリアスが経営しているアパレル店「アリアド」の販売促進ポスターを撮影することになった。王子、ユリアスの兄であるローランド、アリアドの店員のマイガーと写真を撮り、写真を使ってポスターとしたのだ。これで「王子と一緒にいたのは販売促進のポスターを作るため」「王子だけでなく他の男性も一緒に写真を撮っていた」という証拠となり、浮気ではなかったという事実として成立した。
学園でラモールの浮気とユリアスへの名誉毀損の証拠が集められている間、ノッガー家ではより婚約破棄を優位に進めるための準備が進んでいた。キュリオン侯爵は毎月のように結婚支度金をせびりにノッガー家を訪れるほどであり、婚約が解消された時に逼迫するのはキュリオン侯爵家であった。ノッガー伯爵はうまくキュリオン侯爵をそそのかし、「どちらかが浮気をした場合、慰謝料の支払いをし、かつ速やかに婚約は解消とする」という証書にサインをさせる。ラモールが浮気をしていること、ユリアスに対して暴言を吐いていることを知らないキュリオン侯爵は、慰謝料として提示された額にほくそ笑みながらノッガー家を後にするのであった。

国王主催のダンスパーティが開かれる。『ドキ☆がん』ではこのダンスパーティにおいて、悪役令嬢は婚約破棄をされる運命であった。ジュリーが持っていた『ドキ☆がん』を読んだラモールは、その通りに行動するとジュリーが喜ぶと思い、国王の面前でユリアスに婚約破棄の宣言と国王の承認を得ようとする。加えて、ユリアスはジュリーを苛めているだけでなく、王子と浮気をしている悪女だと訴えるのであった。ユリアスより証拠の提出を求められたラモールは、「この僕が証人だ」と胸を張る。一方でユリアスは事前に用意したラモールの浮気の数々を収めた映像と録音を提出。王子と浮気をしている噂というのは、ユリアスの店の販売促進ポスター撮影時のことが一人歩きした結果であることを証拠を見せることで覆す。ジュリーを苛めているというのも、「彼女はよく一人で転び、それが偶々自分のそばだった」「日用品を買えなくしたというが、私(ユリアス)の店でトラブルを起こしたため出禁にしただけで、他の店では何の問題もなく物が買えるはず」とひとつずつ事実を述べて免罪を晴らしていく。全ての弁明が終わり、ユリアスにどちらが浮気をしていたか判断を仰がれた国王は、ラモールだけが浮気をしていたという結論を下す。国王に承認を得たユリアスは、事前にキュリオン侯爵に署名させた「どちらかが浮気をした場合、慰謝料を払い速やかに婚約解消をする」という証書を国王に提出する。この証書と名誉毀損の証拠によってキュリオン侯爵家は莫大な慰謝料を支払う義務が生じたが、その全ての財産を持っても払い切れる額ではなかったため、侯爵家はお取り潰しとなる。没収された領地はノッガー伯爵家のものとなり、侯爵位は返上、キュリオン侯爵は妻の実家へ身を寄せることとなる。婚約破棄が終わった直後、ラモールとは結婚しないとジュリーは叫ぶ。「私とラモールは身分が違いすぎる。それに私には運命の人がいるんです。それは王子殿下です!」と王子を見つめるジュリー。「身分が違うと言っておきながら、ラモールより身分が高い我が息子を好いているとは、舌の根も乾かぬうちに支離滅裂なことを言っている自覚はあるかね?」と国王から一蹴される。王子も「君に対して愛情などというものは持ち合わせていない。金輪際俺に付きまとうのをやめろ。これは命令だ」と宣言する。ショックを受けたジュリーは国王の前から逃げ出すのであった。

ラオファン国編

無事にラモールとの婚約破棄を終え、莫大な慰謝料ももぎ取り満足げなユリアス。より商売に力を入れようと思った矢先、王妃からルドニーク王子との仲を勘違いされた挙句、隣国の使節団招待パーティに王子の恋人として招待される。パーティにはラオファン国ジュファ王子、ランファ姫、ムーラン姫が招待されていた。ランファ姫はルドニーク王子を好いており、ムーラン姫はユリアスの兄、ローランドと婚約し、ラオファン国に連れ帰ろうと考えていた。女性嫌いのジュファ王子、ランファ姫から冷たい対応をされるユリアスであったが、持ち前の商売根性で何とかその場を乗り切る。後日、ルドニーク王子の誘いでラオファン国貿易船を見学することとなったユリアス。貿易船にはユリアスと顔馴染みの船乗りがたくさん乗船していた。船乗りたちの証言から、ユリアスが商売を行う経済的に自立した女性であると知ったジュファ王子。それまでの非礼を詫び、自分もユリアスの友人となりたいと考えるようになる。そして、ジュファ王子、ランファ姫、ムーラン姫の3人はユリアス達が通う高等学園に3ヶ月間の留学をすることになるのだった。

『勿論、慰謝料請求いたします!』の登場人物・キャラクター

主人公

ユリアス・ノッガー

ユリアス

伯爵令嬢であり本作の主人公。商売が大好きであり貴族子女であるが自分の店を持ち、他国とも個人で貿易を行っている。お金のためには犯罪に関わるもの以外全て利用する。シルバーブルーの髪と灰色の目を持ち、本人は自覚していないがとても美しい。貿易・商売に関わる家の息子は貴族も庶民も一度はユリアスに恋をしたことがあるといわれている。自分に関わる者たちは基本的に大切にする優しい性格であるが、本人はそれを「利益になるから」だと考えている。商売に対しては計算高く頭が切れるにもかかわらず、自分や自分の恋愛の事となると無頓着であり、多くの男性を悩ませてきた。兄のローランドのことを大切にしており、王子からは「ブラコン」と言われている。

ノッガー家

ローランド・ノッガー

ローランド

ユリアスの兄でありルドニーク王子と友人関係にある。妹を溺愛しており、王子からは「シスコン」と言われている。美形であり、伯爵家子息であるが侯爵家などの身分の高い家の令嬢からも好意を寄せられている。妹と同じく、利用できるものは基本的に利用する。

ノッガー伯爵

ノッガー伯爵

ユリアスの父親であり娘を溺愛している。商売を手広く行っており、伯爵位ではあるが並の侯爵よりも資産がある。子供達と同じく利用できるものは基本的に利用し、何事に対しても抜かりなく準備を進める。ユリアスが婚約破棄するときにも侯爵を嵌める形でその準備を手伝っている。

キュリオン家

ラモール・キュリオン

ラモール

侯爵家子息であり物語開始時の5年前にユリアスと政略婚約した婚約者。ジュリー・バナッシュと出会い、ユリアスとの婚約を破棄しようと模索する。短絡的な行動が多く、ノッガー家の執事からは「ラモール君はアホ」ユリアスからは「想定以上にポンコツ」と言われている。

Kazu1096s1
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