ユミの細胞たち(漫画・ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ユミの細胞たち』は韓国の漫画家movin' Gun著作のラブコメディ漫画およびそれを原作としたドラマ作品である。日本では漫画配信アプリのLINEマンガにて掲載され全510話で完結している。主人公ユミはごく普通の会社員。密かに想いを寄せる職場の後輩との会話もクールに振る舞っているが、実は頭の中ではポップでキュートに擬人化された「ユミの細胞たち」が大慌て。意中の相手とどうやって会話を長続きさせるか今日も画策中だ。

『ユミの細胞たち』の概要

『ユミの細胞たち』は韓国の漫画家movin' Gun著作の漫画およびそれを原作としたドラマ作品である。日本では漫画配信アプリの『LINEマンガ』にて日本語版が掲載。全510話で完結している。韓国ではキム・ゴウン主演で実写ドラマ化。シーズン1は2021年9月17日から放送。シーズン2は2022年6月22日から放送されていた。本作では韓国初となる実写と3Dアニメーションの融合作品となった。実写による平凡なユミの恋や悩みのリアルさと、アニメーションによるユミの頭の中のキュートな細胞たちという漫画ならではの世界観を見事に再現している。ストリーミングサービス作品を対象とした韓国の作品賞「第1回青龍シリーズアワード」では2022年に最優秀作品賞と主演女優賞を受賞。日本でのドラマの視聴方法はAmazonプライムビデオと楽天Vikiとなっている。
平凡な会社員で32歳のユミは思いを寄せる職場の後輩、勇気となんとかお近づきになれないかと頭の中の細胞たちが日々奮闘している。ある日の残業中に偶然鉢合わせた勇気に「やることたくさん残ってるんですか?」と問われる。「名探偵細胞」が勇気もこれから仕事が長丁場になるに違いないという推理を見せ、他の細胞たちも「名探偵細胞」の名推理に大盛り上がり。ユミはというとポーカーフェイスで「やること?多すぎるよ」と答えた。しかし結果は外れ。勇気はすぐに帰ってしまい、まだ残業しなければならないと答えた手前ユミは自分のデスクに戻るはめに。細胞たちはユミの幸せのために働いているがうまくいかない日々が続いている。
人間には必ず1つは持っている優れた細胞「プライム細胞が」いる。ユミの場合は「愛細胞」がプライム細胞だった。しかし3年前の大失恋からユミのプライム細胞は昏睡状態あり、そのせいで細胞たちの統率が乱れている始末。しかし、細胞たちはユミの幸せのために毎日一生懸命働いていた。これはユミとユミの細胞たちの恋と成長の物語である。

『ユミの細胞たち』のあらすじ・ストーリー

勇気編

ユミは職場の後輩である勇気に片思いをしていた。しかしユミよりも6歳も年下ということや過去の大失恋の傷がいまだ癒えないユミは積極的に勇気にアプローチできずにいる。そんな中、同じチームでユミの後輩のルビーはこれ見よがしに勇気へのアプローチを見せつけてくるためユミの心は沈んでいた。
ある日ルビーが勇気を花祭りに誘っているところ偶然ユミも一緒に行くことになる。しかしルビーがダブルブッキングをしていたため日付の変更を申し出てきた。勇気が「チケット代がもったいない」とこぼし、ユミは勇気と二人で行こうと提案する。そうして二人きりの花祭りが決まり絶好のチャンスにユミの細胞たちは総動員でデートの準備に取り掛かった。
花祭り当日、二人きりの外出にユミは勇気への「ドキドキエネルギー」が満タンとなり、長い間昏睡状態に陥っていた「愛細胞」がついに目を覚ます。愛細胞はユミの中で一番優れた能力を持つ特別な細胞の「プライム細胞」である。しかし二人の仲を危惧したルビーが花祭り会場に駆けつけ結局三人で夕食をとることに。酔っぱらったルビーを介抱するため勇気とは何の進展もないままその日は解散となった。
翌日もルビーはあからさまな勇気へのアプローチを繰り返しユミは嫌気がさしていた。しかし勇気から「あとで話がある」と言われ愛細胞をはじめとした細胞たちは大騒ぎ。絶対に愛の告白だと細胞たちは祝福ムードに包まれるが名探偵細胞と疑心細胞だけはこれまでの勇気の言動に違和感を持っていた。
これまで勇気はユミへ好きな異性のタイプやなぜ彼氏を作らないかなど聞いてきておりユミはすっかり自分に気があるものだと思い込んでいたが名探偵細胞は「紹介したい友人がいるときに使う常套句」と推理し、それが的中してしまう。
思ってもみなかった勇気からの申し出にユミは混乱し、なぜ自分を友人に紹介するのかと尋ねると「ユミは良い人だしかわいいから」だと勇気は答えた。思わずユミはそれならば勇気が自分と付き合えば良いと本心が漏れてしまう。
ユミの本心を悟った勇気は自分には好きな人がいること、それは異性ではなく同性であることをユミへ打ち明けた。ユミの失恋は決定的となり、ユミの細胞たちが暮らす世界である「頭の村」の中は3年前に失恋した時と同様、またも大洪水に見舞われ愛細胞が行方不明となってしまった。

蓮編

勇気への思いを断ち切れていないユミだったが勇気からの紹介ということもありゲーム開発者の工藤蓮と会うことに。
待ち合わせ場所に現れた蓮は無精ひげによれよれのTシャツ、ビーチサンダルという、あまりにもラフな装いにユミと細胞たちの第一印象は最悪なものだった。しかし、勇気からの紹介ということもあり愛想笑いでやり過ごすユミに蓮は好印象を持つ。

互いに正反対の印象を持ったユミと蓮だったが、蓮の紹介で入った定食屋のメニューにユミのはらぺこ細胞が感動したためユミは蓮に心を開きはじめる。庶民的な定食屋に連れてこられたことで蓮への印象は「気さくないい人」になった。
蓮は完全にユミに一目ぼれをしていたが、ユミはというと蓮に対してどんな感情を持っていいのかわからなくなっていた。蓮からは好印象をもたれていることはわかっていたが、ユミは勇気への思いを完全に断ち切れずにいた。
ある日、ユミからのメールの返信が無いことを心配した蓮はユミの会社へと向かう。ユミの顔色で体調が悪いことを察した蓮は急いでユミを病院を連れていった。
数時間の入院で体調が回復したユミは蓮の外見の変化に気づく。無精ひげが無くなり、よれよれのTシャツから清潔感のあるYシャツに蓮の見た目が変わっていたのだ。ユミの中で蓮の印象は好印象へと変わり二人は交際へと発展した。

二人の交際は順調に進んでいたかが、蓮の同僚であり旧知の仲であるしおりの存在がユミを不安にさせていた。蓮との交際が進むにつれて蓮の生活の中でしおりの存在が大きなものであるとユミは感じていた。蓮へのわだかまりを抱えていたある日、しおりの言動についてついに蓮と喧嘩に発展してしまう。内心ではしおり本人へ向けるべき怒りを蓮にぶつけてしまったユミは後悔していた。このまま別れることになるわけにはいかないと感じた愛細胞が長らく眠っていたユミの作家細胞を目覚めさせるとユミの中で自分自身の望みが鮮明になっていった。
作家細胞のおかげで全細胞の団結が高まったユミはしおり本人に蓮への友人としては距離の近すぎる言動を改めるよう意見した。しおりはというと内心では蓮への恋心から自分自身の立場を変えたくないため、ユミと口論になる。
しおりとの口論を制止しようとする蓮にユミは「しおりは蓮にとって良い同僚でも良い友人でもない」「今後蓮のそばに誰が居ても蓮の大切な人との仲を邪魔する存在でしかない」と言い残しその場をあとにする。このまま別れることになるかもしれないと覚悟したユミだが、蓮はユミのあとを追いかけユミを抱きしめた。こうしてユミと蓮、二人の仲が修復されたのだった。

蓮との仲が深まっていたある日、ユミは会社の同僚であるバービーから会社の外で声を掛けられる。ユミはバービーに面識がなく何故自分に声を掛けて来たのかわからなかったが、ユミが失くした大切にしていた傘をバービーが見つけてくれたのである。そのことがきっかけでバービーから話し掛けられる機会が増えたユミは、バービーの香水が元恋人のものと同じであることに気づく。昔の恋人と同じ香水の男性になぜか罪悪感を抱くユミはバービーとは距離を取ろうと考える。
そんな時、ユミは「会社のSNSの投稿担当をしてくれないか」とバービーから話を持ち掛けられる。ユミは快諾し、投稿担当になったところフォロワー数の伸びも順調で会社からの評判も良いものだった。SNSでの功績でユミは正式にマーケティング部に異動をしないかと会社から打診をされる。ユミは内心自分の仕事が認められ嬉しい気持ちであったが、蓮にそのことを話すと「やりたいことだけできるわけではない」と異動に対して否定的であり、ぎくしゃくしてしまう。

そんな中、蓮が自宅を引き払い自分の会社に住み込んでいることが発覚する。
ユミは蓮の事業が傾きかけている非常事態であることを彼女である自分に打ち明けてくれなかったことに激怒するが、職場に住みこむ生活を心配し、自宅に無理やり蓮を連れて帰る。蓮は頑なだったが最終的には折れてしぶしぶユミの自宅で居候することとなった。
突然の同棲生活となったユミと蓮。同棲してみてはじめて見える一面にユミは蓮との生活を楽しみながら結婚を意識するようになる。ユミは直接蓮に結婚する気があるのか聞いてみたが蓮は即答できなかった。ユミは蓮が自分と同じく結婚に前向きだと思っていたためショックを受ける。
数日後、蓮はユミの家を出ていくこととなった。ユミは自分が突然結婚の話をしたことを気にしているのかと蓮に聞いたが蓮ははっきりと答えてはくれなかった。

結婚の話をしたあと、自分の中で蓮に対する不満が積もり積もっていることを自覚したユミは蓮との別れを決意した。ユミは蓮に距離をおこうと提案する。数日後、蓮から正式に「別れよう」と言われたユミたちの関係は終わりを迎えた。

バービー編

いつもはユミが恋人と別れるとユミの村には大嵐がやってきて、全細胞が流されてしまうのだが、蓮と別れたあとのユミは違った。大嵐が村を襲ったことに変わりはなかったが細胞たちは嵐に流されることなく全員でユミを守っていた。恋が終わると何も手につかなくなっていたこれまでのユミとは違い、細胞たちは全力でユミを「恋に翻弄されない」「恋に憶病にならない」ように戦っていた。しかし蓮に対する未練が残るユミは、たびたび蓮をSNSで探してしまう。
そんな中、ユミの長年の同僚で友人の伊奈がバービーに片思いをしていることを知る。伊奈からバービーがどんな人なのか聞かれて観察しているうちに、ユミはバービーが気になり始めていた。バービーの小説や音楽の趣味がユミと同じで、バービーが気になる存在に変わっていっていた。ある日バービーから「音楽フェスに行かないか」と誘いを受け、伊奈に罪悪感を抱きつつ一緒に出掛けることになる。その帰りにバービーから告白を受けるが、伊奈が頭をよぎり、ユミはバービーからの告白を断る。
しかし告白を断ったことを後悔するほどユミの中でバービーの存在は大きくなっており、伊奈に自分もバービーが好きであることを打ち明けたが、伊奈からは距離を取られるようになってしまう。
バービーと音楽フェスに行ったことを職場の同僚が目撃し、たちまち「ユミがバービーと付き合っている」「バービーと付き合うためにユミは彼氏と別れた」という噂が職場に流れた。そのことで疲弊していたユミを察したバービーは、「バービーがユミに告白して振られた」という噂が流れるように仕向けていた。
その噂を耳にした伊奈はユミに対して心を許しはじめていたが、意固地になっていた伊奈は自分からユミに話しかけることができずにいた。そんな時、ユミは伊奈との関係を修復するため伊奈に会いに行く。ユミは自分のバービーへの気持ちを優先して一方的に伊奈に自分の思いを話してしまったことを伊奈に謝罪した。ユミとの関係を修復したいと思っていた伊奈は素直に謝罪するユミを許し、ユミは伊奈との仲を取り戻した。

ある日、勇気から蓮が自身の会社と畳んだことを知らされる。別れる間際、蓮は元気そうに見えていたがそれは蓮がユミに自身の不甲斐ないところを見せたくないがために気丈に振舞っていただけだということに気づく。蓮の上辺だけしか見えていなかったことをユミは自覚し、ユミの愛細胞は「注意深い観察者」というスキルを手に入れる。「注意深い観察者」は恋愛だけではなく対人関係、自分自身にも有効なスキルであり、ユミは自分自身を見つめなおすきっかけを得た。
自分を見つめなおしたユミは改めてバービーに自分から告白をし、バービーとの交際がスタートした。それと同時に自分の人生を見つめなおしたユミは会社を辞め、作家になることを決意する。
バービーは常に優しく完璧な彼氏であり、非常に順調に交際が進んでいた。欲しい時に欲しい言葉や態度をくれるため、ユミは幸せに満ちていたはずだった。
ユミの作家の仕事が軌道に乗り始めたころ、バービーが会社を辞めて実家の稼業であるトッポギ屋を継ぐことになった。バービーの店にやってきたアルバイトのレイは20代の若い女性だった。バービーはレイに好意を持たれ、気持ちが揺れる。ユミへの好意が無くなったわけではないバービーはそのことを隠そうとしたが、バービーの態度が変わったことでユミはバービーがレイへ気持ちが揺れていることを知る。このまま付き合い続けることはできないと悟ったユミは、バービーへ別れを告げる。

プライム細胞の交代

ユミのプライム細胞はこれまで愛細胞だったが、バービーとの別れにより作家細胞がプライム細胞となった。今は恋愛するつもりがないユミはこれまで以上に執筆活動に力を入れる。
そんな中、仕事仲間のイラストレーターであるコントロールZから「知り合いのオフィスを打ち合わせに使わせてもらえることになった」と言われ、訪れたオフィスは蓮が経営するゲーム開発会社だった。
蓮はコントロールZがユミの小説のイラストを担当していることを知り、コントロールZに打ち合わせでオフィスを使うことを提案したのだった。未練が残る蓮はユミにあらゆる手を使ってアプローチをかけるが、ユミにとっては終わった恋として効果は無かった。
バービーと別れて数週間経ったある日、ユミは偶然バービーと再会してしまう。そこで復縁を持ち掛けられたユミは気持ちが揺れ動いた末に復縁を了承したが、以前のようにバービーにときめきを感じていないことを自覚していた。そしてバービーもそれを察し、ユミからの信頼を回復させようと真摯に向き合っていた。
ある日、ユミが以前バービーから贈られた指輪が実はペアリングだったのではないかと尋ねる。バービーはユミの問いを肯定し、後々サプライズでプロポーズするために渡したこと、結婚指輪のため自分もお揃いの指輪を持っていることを告げる。結婚の意思があることをユミに知られたバービーはそのままユミにプロポーズするが、ユミは自分の中でバービーに対する愛情が冷めていることを自覚する。ユミはバービーからのプロポーズを断り、二人の関係は本当の終わりを迎える。

順編

ユミの担当編集である白井順は気難しそうな見た目の青年だった。口数が少なく何を考えているのかわからない男性である。しかしたまたま帰りのバスが一緒になり別れ際に垣間見た順の笑顔にユミは「かわいい」という感情を抱く。また、ユミが書いた小説に対して的確な解釈を見せる順に、仕事仲間としても信頼を厚くしていく。ユミの中で順の好感度が上がっていく中、しばらくユミの村から姿を消していた愛細胞が現れる。今のプライム細胞である作家細胞が、「順の登場により愛細胞が復活した」と責め立てるが、愛細胞はそれを否定。「順に対する恋心はなく、周りの人たちの恋愛模様を見ているうちにまた誰かを愛したいという気持ちが芽生えたのだ」と言う。

ユミのアシスタントとして働くようになったルビーから、「ユミは順に恋をしているのではないか」と問われる。ユミは否定するものの、順について考えれば考えるほど自分が順を好きになっていることを自覚し、ユミの愛細胞がふたたびプライム細胞に復活したのだった。

一方、順は家にいることが好きで、外では極力エネルギーを消耗しないように振舞っているが、ユミと一緒にいるときは外でもエネルギーを消耗しない自分に気づく。何度かユミと仕事の時間以外でも話をする機会が増えていくうちに、順はユミへの恋心を自覚しユミに告白する。ユミは順からの告白を快諾し、二人の交際がはじまった。

公私ともにパートナーとなった二人だが、ユミの作品が盗作被害に遭ってしまう。1年近く執筆に費やしてきた小説は出版間近でお蔵入りとなった。盗作されショックを受ける二人だが、また新たに小説を執筆することをユミは決意し公私ともに切磋琢磨し合う仲となっていく。
ユミの新作が無事出版され売上も好調の滑り出しの中、ふたりは沖縄旅行へ出かけることになった。
旅行先で楽しく幸せな時間を過ごすユミはデジャヴに襲われる。前にもどこかで見た景色やシチュエーションだと感じる出来事が連続でおこっていた。それはテレパシー細胞が未来から送られてきたシグナルを感知していたためである。
近い未来、ユミと順の結婚式での幸福に満ちた時間が、現在のユミに順が運命の相手であると伝えるためにシグナルを送っていたのであった。

『ユミの細胞たち』の登場人物・キャラクター

主人公

石川ユミ(いしかわゆみ)/キム・ユミ(演:キム・ゴウン)

本作の主人公。食べることが大好きな平凡な会社員。
経理部に所属しているが文章力を買われて会社のSNSを担当することに。そのことがきっかけで作家になることを決意。好きな食べ物はトッポギ。
ユミの頭の中では「理性細胞」や「感情細胞」などのユミの細胞たちがユミの幸せのために日々奮闘している。

人間たち

勇気(ゆうき)/チェ・ウギ(演:ミンホ)

ユミの職場の同僚。好青年で営業部一のイケメン。ユミが片思いをしていたが、同性愛者であることをユミに打ち明ける。蓮の友人で、ユミを蓮に紹介する。
蓮やしおりが暴走した際にはブレーキ役に回るなど周りの面倒を見ている。
ユミの結婚式では勇気が思いを寄せている人物をユミに紹介する。

工藤蓮(くどうれん)/ク・ウン(演:アン・ボヒョン)

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