事情を知らない転校生がグイグイくる。(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『事情を知らない転校生がグイグイくる。』とは、クラスで孤立している小学生の少女と、彼女に興味津々の天真爛漫な転校生の少年の交流と日常を描いた川村拓による漫画作品。もともとはTwitterで公開されていたが、その人気から「ガンガンJOKER」で連載されるようになり、2023年にはアニメ化した。
小学生の西村茜は、クラスメイトたちから「死神」呼ばわりされてからかわれていた。これを知った転校生の高田太陽は「死神なんてカッコいい」と言って彼女に積極的に関わるようになり、茜を大いに戸惑わせていく。

『事情を知らない転校生がグイグイくる。』の概要

『事情を知らない転校生がグイグイくる。』とは、クラスで孤立している小学生の少女と、彼女に興味津々の天真爛漫な転校生の少年の日常を描いた川村拓による漫画作品。
もともとはTwitterで公開されていたが、小学生同士の純粋で初々しい交流が好評を博し、「ガンガンJOKER」で連載開始。この際タイトルの末尾に句点がつくようになった。2023年にはアニメ化を果たしている。

小学生の西村茜(にしむら あかね)は、その目つきの悪さのせいでクラスメイトたちから「死神」呼ばわりされてからかわれ、学校で孤立。これを家族に相談することもできず、「自分の目つきが悪いのがいけないんだ」と自身に言い聞かせながら過ごしていた。
ある時学校にやってきた転校生の高田太陽(たかだ たいよう)は、茜の噂を聞くなり「死神なんてカッコいい」と言い出し、周囲の意見などまったく無視して彼女に積極的に関わるようになる。小学生同士の軋轢など意に介さず、「仲良くなりたい」と言って“グイグイ来る”太陽の存在は、茜を大いに戸惑わせていく。

『事情を知らない転校生がグイグイくる。』のあらすじ・ストーリー

死神と転校生

小学生の西村茜(にしむら あかね)は、その目つきの悪さのせいでクラスメイトたちから「死神」呼ばわりされてからかわれ、学校で孤立。心配させたくない一心でこれを家族に相談することもできず、「自分の目つきが悪いのがいけないんだ」と自身に言い聞かせながら過ごしていた。
ある時学校にやってきた転校生の高田太陽(たかだ たいよう)は、茜の噂を聞くなり「死神なんてカッコいい」と言い出し、周囲の意見などまったく無視して彼女に積極的に関わるようになる。茜は「自分と一緒にいると高田くんも無視される」と彼を案じて距離を置こうとするも、太陽は「なんでそんなことを気にするのか分からない」とまったく意に介さない。

運動神経抜群の太陽はクラスの中でも注目される存在となり、彼が茜と仲良くしていることも次第に受け入れられていく。「一緒に帰ろう」と誘われて、満面の笑顔の太陽と手をつないで通学路を歩きながら、茜は「友達ができた」ことにふと気付いて胸を熱くするのだった。

高田家の人々との交流

その後茜は太陽にたびたび家に招かれるようになり、彼の姉の高田雪子(たかだ ゆきこ)を「弟が女の子を連れてきた」と驚かせる。雪子もまたすぐに茜を気に入り、自分のお古の服を彼女に着せては「かわいい」と大騒ぎするようになった。
そのまま雪子の服をもらうこととなった茜だが、「自分がこんなかわいい服を着ても、クラスのみんなからバカにされるだけなのではないか」と不安を覚える。果たしてその懸念は現実となるも、太陽が「僕は西村さんといると嬉しいから、不幸にするよりたくさんの幸せをもらっているんだ。西村さんはすごい」と前向きにも程がある解釈をしたことで、茜はクラスメイトからの「死神が着飾っても人を不幸にするのは変わらない」との嘲笑に耐えるどころか赤面して恥ずかしがるしかできなくなってしまう。

夏休みが来ても太陽の態度は相変わらずで、茜に対するクラスメイトたちの嘲笑の言葉も眼差しも物ともせずに彼女に接する。「学校が無い間もできるだけ一緒にいたい」という太陽の要望で、茜は彼と一緒に予定表を作ることになり、独りぼっちではない夏休みを送れることに心躍らせる。
次第に茜は異性としても太陽を意識するようになり、夏休み中に開放された学校のプールで一緒に遊ぶ時用に、父親にせがんで愛らしい水着を買ってもらう。一方で「死神がかわいい水着を着ている」なんて冷やかされないかと案じる茜だったが、果たして実際にそんな言葉を投げかけられた際、太陽は「死神は誉め言葉だから、普通に“西村さんはかわいい”と言っているだけだ。自分もそう思う」と笑顔で言い切る。そんな彼を見て、茜は「水着を買ってもらってよかった」と改めて安堵するのだった。

田舎での再会

茜の母は、彼女が生まれてすぐに亡くなっていた。その墓参りのため、毎年盆の季節には母方の祖母の家に行くのが西村家の恒例行事だった。クロを飼い始めた茜は、これを太陽か大地に預けようと考えるも、2人ともそれぞれの事情で無理だという。やむなく彼女は、祖母の家にクロを連れていく。
しかしケージの隙間からクロは逃げ出してしまい、茜は「迷子になったらどうしよう」とパニックに陥る。祖母と一緒にこれを探していると、玄関にクロを連れた太陽がやってくる。驚いたことに、太陽は転校してくるまで茜の祖母の家の近くで暮らしており、たまたまクロを見付けて連れてきてくれたのだった。

同年代の知り合いがいない田舎で暇を持て余していた茜は、それから太陽と毎日一緒に遊ぶようになる。太陽の人柄を知っている茜の祖母は、仲睦まじい2人の様子を微笑ましく見守るが、茜の父は「娘がいつの間にか男の子と仲良くなっている」という事実をどう受け止めるべきか困惑する。
やがて茜は、太陽と2人で祖母の家まで来た目的である母親の墓参りに出掛ける。そこで初めて太陽は茜が母親を失っていることを知り、彼女が死神呼ばわりされている理由もそこにあるのだと察し、「もしかして自分は今まで茜にひどいことをしてきたのでは」と後悔する。気にしていないと言う自分の前で、罪悪感に耐えかねて泣き出してしまった太陽と手をつなぎ、茜は夕闇迫る中を家路につくのだった。

夏休みの思い出

田舎から戻ってしばらく経つも、茜はその後太陽と会わない日々が続いた。太陽は茜が母を失っていることと学校で死神呼ばわりされていることの関連に気付き、「とてもひどいことを言ってしまった」と後悔していたのだった。
太陽と一緒に過ごす約束が果たせていないことに肩を落とした茜は、無意識に彼の家の近くまで足を向ける。そこで太陽と再会した茜は、彼から「2度と死神なんて呼ばない」と言われて、咄嗟に「あなたが悪い意味でその言葉を使っていないのは分かる、これからも呼んでほしい、仲良くしてほしい」と訴える。

こうして仲直りした茜と太陽は、その後も一緒に夏休みを満喫。お祭り、花火、プールと毎日のように遊び、いっそう親しくなっていく。そんな様子を見ていた雪子が、「茜は天使みたいにかわいい」と言っていたのを聞いた太陽は、「死神で天使なんてすごい」と盛り上がる。面と向かってその話を伝えられた茜は、いつも以上に恥ずかしがるはめになるのだった。

新しい友達

2学期になり、茜のクラスでは新たにクラス委員を選ぶこととなる。誰もが「面倒臭い」とやりたがらない中、クラスの一部から「西村さんがいいと思います」との声が上がる。これは体のいい押し付けでしかなかったが、茜がやるなら自分もと太陽が言い出し、彼にほのかに憧れている笠原すみれ(かさはら すみれ)が「これ以上あの2人を仲良くさせたくない」と立候補したことで事態がややこしくなる。クラス委員の定員は2名で、誰か1人は落選する形となる。結局「茜と太陽を一緒にさせたくない」というすみれが意地を貫き、彼女と茜がクラス委員に就任する。
今までほとんど話したことのないすみれと少しずつ交流する一方、「そろそろ大地の誕生日だから、一緒にお祝いしよう」と太陽に誘われていた茜は、クラスメイトの安達海美(あだち うみ)にも話しかけられるようになる。海美は大地の幼馴染で、彼に恋心を抱いており、誕生日をきっかけにして何かアピールする方法はないかと茜に相談に来たのだった。これに乗ったことで茜は海美とも親しくなり、初めて自分の意志で「友達になろう」と誘いをかける。海美がこれに応じたことで、茜は「初めて女の子の友達ができた」と喜んだ。

やがて秋の遠足の時期が近づき、太陽がこれを喜ぶ中、茜はすみれから「太陽と仲良くするな」と露骨に釘を刺される。遠足を太陽と一緒に楽しみたかった茜だったが、これが心に引っかかってギクシャクしてしまい、「ひょっとして茜は自分ではなく海美と一緒に遠足を楽しみたいのでは」と考えた太陽と擦れ違うようになってしまう。
しかしその太陽が移動中のバスの中で酔ってしまい、茜がこれを看病したことで誤解を解消。2人で存分に遠足を満喫する。大地や海美といったそれぞれの友人たちとも一緒に過ごして交友を深め、父にそれを報告する。引っ込み思案で友達らしい友達を作るところを見たことがなかった娘が、同年代の小学生と親しくしている画像を見た茜の父は、「良かった」と言って安堵と歓喜の涙を流すのだった。

運動会

運動会の季節が近づいてくる。クラスで抜群に足の速い太陽は、リレーのアンカーとしての活躍に期待が集まるが、遊具から落ちそうになった茜を庇って腕の骨を折ってしまう。
太陽がどれだけ運動会を楽しみにしていたかを知る茜は、「“順調に治れば出場できるかもしれない”という話だったが、たとえ見ているだけだったとしても太陽に楽しんでほしい」と考え、女子の中で1番足の速いすみれに「リレーに出てほしい」と頼み込む。「運動会に本気を出すなんて子供っぽい」とやる気を出さずにいたすみれだったが、茜が“太陽のために”必死で自分に出場を懇願する様を見て、太陽を想う気持ちで負けたくないと考えるようになる。

そしてやってきた運動会当日。出場していいかどうかの許可をもらうため太陽が病院に向かう中、クラスは意外なほど盛り上がり、最後の種目であるリレーを迎える。すみれが必死に走って遅れを取り戻すと、このタイミングで駆け付けた太陽が飛び入りでアンカーとなり、そのまま1位でゴール。茜たちのクラスの所属する赤組が優勝を飾る。
茜が太陽のことを本気で大切にしていることを知ったすみれは、彼女を“恋敵”として意識するようになり、同時に“死神”と呼んでバカにすることを控えるようになる。太陽との出会いを経て、茜の日常は少しずつ、しかし劇的に変わっていくのだった。

初めてのご招待

ある日、「まだ茜の家に招待されたことがない」という話が出たことで、茜は太陽、大地、海美を自分の家に招待することになる。「初めて友達を家に招く」ことになった茜は大いに張り切り、部屋中を掃除して父に頼んでケーキを買ってもらう。
しかし張り切り過ぎたせいか体調を崩してしまい、「せっかく友達を招待するはずだったのに」と肩を落とす。そこに太陽たちが“お見舞い”という形で来訪し、茜はそれが夢なのか現実なのかも分からず彼らを歓迎。茜が本調子でない以上あまり長居はできないと彼らが帰ろうとすると、太陽の袖をつまんで「寂しいから行かないで」と甘える。意外と“グイグイ来られる”ことに弱い太陽は、普段とは逆の立場で赤面して大いに戸惑う。

翌日、元気になった茜は学校に向かい、そこで太陽に出会う。昨日のことが夢なのか本当にあったことなのか聞いてみる茜だったが、太陽は彼女から甘えられたことを思い出して狼狽。珍しい彼の姿に、茜は不思議そうに首を傾げる。

キスとクリスマス

クリスマスがやってくる。茜たち4人は、太陽の家でクリスマスパーティーを開くこととなり、そのための準備に奔走する。茜と太陽は買い出しを担当するが、そこで雪子の友人の少女が恋人とキスをするところを目撃。その様子と自分たちの関係を比べてしまい、互いを異性として強く意識して戸惑う。
茜に呼ばれて、パーティーにはすみれも参加する。彼女は茜と太陽の様子がおかしいことに目敏く気付き、「何かあったのか」と茜に尋ねる。あまりに恥ずかしくて、茜がなんと答えればいいのか分からない中パーティーは始まり、プレゼントが交換される。

どうしても太陽を意識してしまう茜は、少し落ち着こうとベランダに向かう。それを追いかけた太陽は、彼女に「茜のことが好きだけど、太陽や海美に対する“好き”と同じなのか違うのかよく分からない」との正直な気持ちを打ち明ける。その上で太陽は「茜とキスしてみたい」と伝えるが、茜は「いつか太陽が“この人が本当に好きだ”と思える相手ができてからにするべきだ」といってそれを拒む。内心では茜も太陽の言葉に胸の高鳴りを感じていたが、だからこそ互いの気持ちをもっとしっかり確かめたいというのが彼女の本音だった。
やがて新年が訪れ、家族と一緒に初詣に出掛けた境内で茜と太陽は再会。今年も、その先も、ずっと仲良くしようと笑顔で伝える相変わらずの太陽に、茜は赤面しつつも首肯。雪子に暖かく見守られつつ、2人で初詣を楽しむのだった。

2人の「これから」と10年後の未来

その後も太陽と茜は仲睦まじく過ごし、海美からは「あれはもう恋仲ということでいいのでは。いつ告白するのだろう」とやきもきされる。クラスの一部からは相変わらず死神呼ばわりされていたが、太陽と一緒に過ごす日々はそれを上回る希望と勇気を茜に与えていた。
ある時、授業で「10年後の自分を描いてみよう」という課題が出される。クラスメイトたちがそれぞれに思うまま筆を滑らせていく中、太陽は自分と茜が一緒にいる絵を当たり前のように完成させる。「どうして自分が対応の隣にいるのか」と茜が尋ねると、太陽は「ずっと一緒にいたいから」と照れもせずに言い切り、彼女を赤面させる。

ある時、登校中に茜と彼の父親と出会った太陽は、いつものように“西村さん”と話しかけるも父の方か娘の方か区別がつかずに混乱。ならばと太陽は茜を名前で呼び始め、茜もこれにならう。2人の様子を見た茜の父は、「最近茜が明るくなったのは、やはりこの子のお陰だったのか」と娘と親しくする少年の登場に複雑なものを覚えつつも納得する。
周囲の人々に優しく見守られながら、太陽と茜の楽しくて幸せな日々は続いていく。

『事情を知らない転校生がグイグイくる。』の登場人物・キャラクター

主要人物

西村茜(にしむら あかね)

YAMAKUZIRA
YAMAKUZIRA
@YAMAKUZIRA

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