背すじをピン!と~鹿高競技ダンス部へようこそ~(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『背すじをピン!と〜鹿高競技ダンス部へようこそ〜』とは横田卓馬によって『週刊少年ジャンプ』2015年24号から2017年11号まで連載された漫画作品。鹿鳴館(ろくめいかん)高校に入学した主人公の土屋雅春(つちやまさはる)は、見学に訪れた先の競技ダンス部に同学年の亘理英里(わたりえり)とともに入部を決める。ダンス未経験の2人が先輩やライバルたちとの出会いを通して成長していく姿とともに、競技ダンスの魅力がたっぷり描かれた青春部活ストーリーである。

『背すじをピン!と~鹿高競技ダンス部へようこそ~』の概要

『背すじをピン!と〜鹿高競技ダンス部へようこそ〜』とは横田卓馬によって『週刊少年ジャンプ』2015年24号から2017年11号まで連載された漫画作品。
動画サービス「niconico」と「ダ・ヴィンチ」が共催する読者参加型の企画「次にくるマンガ大賞」で2016年にコミックス部門第一位を受賞している。
鹿鳴館(ろくめいかん)高校に入学した土屋雅春(つちや まさはる)。部活動紹介で競技ダンス部に魅了された土屋は友人たちと競技ダンス部の見学へ行く。体験入部を共にした亘理英理(わたり えり)と一緒に競技ダンス部への入部を決める。ダンス未経験同士の土屋と亘理の2人で競技ダンスのペアを組むことになり、先輩たち、ライバルたちに導かれながら競技ダンスの世界へ踏み出していく。

『背すじをピン!と~鹿高競技ダンス部へようこそ~』のあらすじ・ストーリー

入部編

鹿鳴館(ろくめいかん)高校に入学した土屋雅春(つちやま さはる)。土屋には女子に手汗を指摘されたトラウマがあり、高校入学を機に女子と仲良くなろうと意気込んでいた。
新入生歓迎会の部活動紹介では、競技ダンス部が華やかなデモンストレーションを見せる。競技ダンス部員は「女子にボディタッチし放題」というセールスポイントを述べて紹介を終える。その一言があったからか、競技ダンス部の見学初日には多くの男子が来ていた。男子たちの中には土屋の姿もあった。そんな男子たちを迎えたのは競技ダンス部の部長、土井垣真澄(どいがき ますみ)。オネエ口調の土井垣の迫力に、男子のほぼ全員が一目散に逃げ去る。その場には土井垣に抱えられて逃げ遅れた土屋と、もう1人残っていた1年生の女子、亘理英理(わたり えり)の2人だけが残された。そんな残された2人で見学をすることになる。
土屋と亘理は部長の土井垣と副部長の綾辻理央(あやつじ りお)に競技ダンスの基礎を教わる。ダンスは未経験の2人だったが先輩の指導は丁寧で、見学初日をとても楽しく過ごすことができた。学校からの帰り道で2人は、また明日も競技ダンス部の見学に行こうと約束をする。見学2日目の部室の前には多くの女子生徒が集まっていた。土屋も亘理も2人の友人たちと一緒に2日目の見学を楽しく過ごした。明日も自然に競技ダンス部に見学に行こうと思っていた土屋。
しかし翌日、土屋は一緒に競技ダンス部に入るだろうと思っていた亘理が陸上部の見学へ向かう姿を見つける。土屋は亘理を一緒に競技ダンス部に入ろうと引き止めるが、それは杞憂だった。亘理はすでに競技ダンス部に入ることを決めていて、陸上部に向かうのは友人に付き合っての見学で1日だけの予定だった。気持ちが空回りしていた土屋だったが、亘理は土屋が一緒に競技ダンス部に入ると言ってくれたことを喜んでくれたのだった。

初試合編

競技ダンス部に入部した土屋と亘理。部活動紹介のデモンストレーションをしていた先輩部員、八巻章(やまき しょう)と椿秋子(つばき あきこ)も加わり鹿高競技ダンス部の日々がはじまる。
激しい準備運動を終えて、次はペアを組んでの練習。土屋のダンスのペアは見学でも一緒に組んでいた亘理。お互いに手を組んで、まずは初心者ダンスのブルースに挑戦することになった。教わりながら基本の足形を使ってフロアを一周できた2人は確かに踊れたという実感を得ることができた。その1週間後にはブルースも習得。そして次のステップに土井垣は2人に試合に出ることを告げた。
2人は試合用のダンスを今から覚えなくてはならないことに頭を抱えるが、まずは部員全員で試合用衣装を見に行くことになった。2人は先輩たちの助言をもらいながらレンタルする衣装を無事に選び終える。そこで幼いころから競技ダンスをしている同年代、御木清斗(みき きよと)とそのパートナー、タチアナ・クリロワと出会う。競技ダンスのはじめたての話で会話は弾み、2人は御木組と次の試合での再会を約束する。
試合までになんとか試合で踊るワルツを形にできた2人は遂に初試合に挑む。ところが緊張からなのか、試合が始まっても身体が固まって動けない亘理。動けず泣き崩れそうになる亘理に「最初からっ…!最初からやろう…!!」と土屋は声をかける。初めて習ったダンスの立ち方、お互いに背すじを正して、ようやく練習通りに踊りだす。まだ力の戻り切らない亘理を土屋が必死でリードしてターンを決めるも、すぐに試合の曲は終わってしまう。試合の結果は土屋と亘理は1次予選落ち。土井垣と綾辻のペアは御木とタチアナのペアを破ってスタンダード部門を優勝。八巻と椿のペアはラテン部門で優勝を飾った。
打ち上げ後の帰り道、亘理は土屋に「次はもっともっと頑張るから…」と曇りの晴れない表情で次への意気込みを伝える。そんな何かを乗り越えようとしている亘理に「明日からも…一緒に頑張ろう…!」と土屋は伝えたのだった。

文化祭編

鹿鳴高校の文化祭、鹿鳴祭(ろくめいさい)の時期が近づく。クラス単位での出し物、部活動での出し物もあり校内は活気づく。
競技ダンス部が行うのは体育館を借りての社交ダンスパーティー。その余興にペアそれぞれが全校生徒の前でオリジナルダンスを披露する。亘理は試合での失敗を思い返しながらも「見てる人も私たちも…楽しいダンスがやりたいなって思う…!」と提案。土屋と亘理が相談して決めたダンスはスタンダード部門の種目の1つであるクイックステップ。2人はポップで軽快なクイックステップを本番までに披露できるように練習に精を出す。
文化祭前日、2人は準備の間に話す機会ができる。そこで亘理は過去に告白相手から酷い言葉をかけられたトラウマがあること、それから自分に自信が持てなくなってしまったことを土屋に話す。土屋はそれでもいつも前向きにどうにかしようと行動する亘理のことを尊敬していると亘理に伝える。お互いの心の内を話した2人は文化祭当日を楽しもうと約束をした。
文化祭1日目は各々が出し物を楽しんで、文化祭2日目。体育館では競技ダンス部の出し物準備が進んでいた。しかし集合時間になっても亘理は姿を現さない。そこで土屋は「絶対…探し出して連れてきます!!」と亘理を探しに飛び出す。先輩たちが場をつないでいる間に、土屋は辛い表情ながらも必死に体育館へ向かっていた亘理を見つける。そんな頑張っている亘理に土屋は、自分にもトラウマがあったこと、亘理のおかげでそのトラウマがなくなっていたこと、だから次は自分が亘理を支える番であることを告げる。
笑顔を取り戻した亘理は土屋に手を引かれて舞台へ向かった。大勢の観客の前で2人はとびっきりの笑顔でクイックステップを踊り、競技ダンス部の出し物は最高潮に盛り上がった。

市内大会編

文化祭をきっかけに入部した新しい仲間、1年生の藤田(ふじた)ひらりを迎えた競技ダンス部。次の目標は夏の全国大会だと土井垣は告げた。その前哨戦として市内の競技大会へ参加。
大会ではゴールドダンススタジオのメンバーと顔合わせをする。先輩たちが同期と火花を散らす中、土屋と亘理は同じ高校1年生のペア、宮大工勇太(みやだいく ゆうた)と柏小春(かしわ こはる)と話す。土屋に対して「なぜ才能もないのにダンスをやっているんです!?」と疑問をストレートにぶつけてくる宮大工に噛みついたのは、同じく大会に参加するために来ていた御木。「キミの実力見せつけてやろう!」と御木は勢いづき、なぜか土屋対宮大工の構図になってしまう。
先に始まるのはラテン部門の試合。八巻・秋子ペアとゴールドスタジオの畔田満影(くろだ みちかげ)・仙崎奈緒美(せんざき なおみ)ペアが火花を散らす中、圧倒的存在感を見せる土井垣・綾辻ペア。どの組もラテン部門を順当に勝ち上がり舞台は決勝戦。八巻組は温存していた秘密兵器の椿の得意とする空手をモチーフにした大ぶりな振り付けで観客を沸かせる。しかし結果は奮わず、ラテン部門の優勝は土井垣組。八巻は接戦を繰り広げた土井垣と畔田にリベンジを誓うのだった。
昼休憩をはさんでスタンダード部門。高身長を活かした優雅なダンスの宮大工組、小柄な体躯を活かしながら激しい運動量で魅せる御木組の一方で土屋組は地味に、普通に踊っていた。初試合でできなかった、1種目をまずは最初から最後まで踊りきることができたことに2人は笑顔を見せ合う。そしてタンゴ、スローフォックストロットと、試合で初めて踊る種目も拙くも踊り切ることができた。
1次予選が順調に進む中、宮大工は土屋と亘理のダンスをやっている理由が未だに思い浮かべずにいる。そんな宮大工にペアの柏は「楽しいからダンスやってるんじゃないのかな…」という答えを伝える。その答えから宮大工は気持ちの入ったダンスのヒントをみつけ、ダンスの表現の幅をひろげることに成功する。宮大工組は土屋組との出会いでさらに手ごわいライバルとなるのだった。
スタンダード部門の結果は、ラテン部門に続き土井垣組の優勝。2位に宮大工組が続く結果になった。土屋と亘理のペアは2次予選は落ちたものの、前回果たせなかった1次予選突破を果たして大きな前進となる結果を残したのだった。

夏合宿編

夏休み、全国大会へ向けて合宿を行うことになった競技ダンス部。土井垣の姉であり海外でも活躍するダンサーでもある、葉澄(はすみ)・リンデンベルクがコーチとして加わり各々のレベルアップを図る。
土屋と亘理のペアは基礎固めに加えて、得意種目のクイックステップに必殺技となるオリジナル振り付けを作ることになった。2人で過去の試合のビデオを振り返りながらアイデアを出し合い、審査員から注目される方法を考える。踊りはじめに注目を集めるというアイデアからコーチに振り付けを考えてもらい、2人は全国大会に向けて万全の準備を進める。
八巻は秋子とのラテン部門の練習に加えて、藤田と組んでスタンダード部門への出場を決めて練習に励む。椿とはコーチから身体能力とセンスで踊ってしまっているという指摘を受け、互いに気持ちを汲み取る特訓をすることになった。その特訓の一環で2人は合宿中はペアルックで過ごしていた。初心者の藤田との練習は順調に進むが、椿との特訓は成果をみせず、噛み合わない気持ちは2人の溝を生んでいた。
一方で土井垣はパートナーの綾辻にダンスを引退するつもりなのかと尋ねていた。進路指導でその事を知ってしまった土井垣に綾辻は土井垣との力の差を感じていて、今後プロとして共に歩むことはできないという気持ちを伝えた。土井垣は綾辻が最高のパートナーだと思っていることを伝えるも、将来のことを明るく話す綾辻を強く引き留めることはできなかった。
そして夏合宿は競技ダンス部のレベルアップと一部埋めきらない溝を残して終わった。

全国大会編

全国大会はバラエティ番組『金色のツバメたちへ』の企画でアイドルが出場するとのことで盛り上がりを見せていた。高校生王者の咲本譲治(さきもとじょうじ)・永島沙羅(ながしまさら)のペアも参戦して、咲本組・土井垣組・金龍院(きんりゅういん)組の黄金世代と呼ばれるダンス強者も一同に揃う。
一次予選、参加するアイドルペアの花園亮(はなぞの あきら)と御木恵実(みき めぐみ)の影響でカメラが並び、観客席も声援に包まれていた。参加者もここぞとばかりにカメラ前でのアピールに白熱し、王者咲本組がその名に恥じない派手なパフォーマンスでさらに観客を沸かせる。同じ舞台で踊る土井垣組も序盤から激しいダンスを咲本組と競い合う。全国大会が初試合となる藤田は八巻のリードに支えられて、初試合ながらも順調に踊り続けることができていた。土屋組も必殺技は2次予選に取っておく作戦で、まずは1次予選突破に全力を尽くす。競技ダンス部は1次予選を無事に通過し、他のライバルたちも危なげなく突破した。
2次予選で土屋組は黄金の世代と呼ばれる咲本組、土井垣組、金龍院貴正(きんりゅういん たかまさ)と神宮寺美乃梨(じんぐうじ みのり)のペアと同じ舞台で踊ることになった。黄金世代のダンスの勢いに呑まれてはいけないと周囲が警戒する中、土屋組は自分たちの踊りに集中して踊り続けることができていた。そんな土屋組の成長し続ける姿を見て、綾辻は今までの咲本組に続いて2位だといわれてきた土井垣とのダンスを変えて、勝負に挑む決意を固める。体力の限界が近づく花園組もキラキラするところを見せるという、アイドルとしての本懐を果たそうとする。花園組の疲れをみせない思い切りのよいダンスを見せて会場はますます盛り上がりを見せる。初大会の藤田も限界を迎えながらも2次予選の種目を踊りきろうと全力を尽くしていた。
そして2次予選最後の種目、クイックステップ。土屋・亘理ペアの必殺技「つちわたブースト」が決まり、会場の並みいる強豪の間を2人は踊りぬける。会場の注目を一瞬、誰よりも集めた土屋と亘理はその場の主役になったのだった。だが2次予選の結果は残念ながら土屋組、藤田組、花園組の敗退となった。
続く準決勝。勝ち上がった御木組、宮大工組も黄金世代との直接対決に挑む。調子を上げ続ける金龍院組のダンスも華やかに観客を魅了。普段より体力の消耗が激しい綾辻を心配する土井垣だったが、綾辻はこのまま全力で踊り続けることを促す。
そして遂に決勝戦。順当に勝ち上がった黄金世代と食らいつく御木、宮大工ペア。ホールド前に土井垣は突然綾辻に、優勝できたらカップル解消の件を考え直してほしいと提案する。突然の提案に動揺を隠せない綾辻だが、試合を目前にその手を取るしかなく思いをぶつける2人のダンスはさらに過熱。金龍院組が体力の限界で優勝争いから外れる。決勝戦は実質、咲本組と万年2位に甘んじていた土井垣組の一騎打ちになる。最終種目クイックステップで咲本組と土井垣組両者が出だしに選んだのは、2次予選で全員の度肝を抜いた土屋組の必殺技「つちわたブースト」。まったく互角のスタートを切るかと思われたが、土井垣組が見せたのはつちわたブーストに、競技ダンス部での経験を培ったアレンジを加えたパフォーマンスだった。
そしてついにスタンダード部門の幕が下りる。土井垣組が積年の下剋上を果たして全国大会スタンダード部門の優勝を飾るのだった。
続くラテン部門の出場を土井垣組は辞退。綾辻が着るはずだったドレスは椿に託された。ラテン部門にも出場する咲本組は当然のように周りを圧倒する王者のダンス。ゴールドスタジオの畔田組も今回こそはと頂点を目指す勢いで王者に挑む。期待の八巻組だったが1次予選はギリギリの突破と苦しいスタート。ペアとの息をバチバチに火花を散らしながら合わせていく八巻組は、徐々に徐々にと勢いをあげていく。新たに編み出した八巻組の必殺技は種目、ジャイブで炸裂する。どの選手も激しいダンスで、会場はさらなる熱気に包まれる。
ラテン部門の優勝は咲本組に決まり、続く2位に畔田組、3位に八巻組が続いた。
全国大会の打ち上げで各々が先への道を定める中、競技ダンスの新部長に八巻、副部長に椿が指名され、新生競技ダンス部は新しい道を歩んでいく。

エピローグ

鹿鳴館高校の競技ダンス部の部長を務めるのは土屋雅春。副部長は亘理英里。多くの部員に囲まれて指導に励んでいた。土井垣・綾辻組は海外で、八巻・椿組は日本のプロダンサーとして修練を続けている。
そして訪れる全国大会、競技ダンス部はその舞台に立つ。

『背すじをピン!と~鹿高競技ダンス部へようこそ~』の登場人物・キャラクター

鹿高競技ダンス部

土屋雅春(つちや まさはる)

鹿鳴館高校1年生。ダンス未経験ながら競技ダンス部に入部。体験入部で出会った亘理(わたり)と競技ダンスのペアを組む。初試合では踊れなくなった亘理を必死に支えたり、文化祭の舞台に必死に向かう亘理を助けに行く姿は「しっかり男の子してる」と土井垣から言われるほど。それ以降も少し抜けている所を亘理が冷静に受け止めて的確に考えるなど、共に支え合いながら競技ダンスに励んでいる。2年後には鹿高競技ダンス部の部長を務めているが、試合の成績はだいたい予選止まりと控え目。

亘理英理(わたり えり)

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