アオのハコ(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『アオのハコ』とは、『週刊少年ジャンプ』で2021年19号より連載が開始された、三浦糀による日本の少年漫画、スポーツ恋愛漫画である。バトミントン部に所属している猪股大喜と、女子バスケットボール部に所属しているヒロイン、鹿野千夏を中心に繰り広げられる恋愛スポーツ漫画である。年頃の高校生男子が好きな人と一緒に住むというドキドキの展開と、大喜に好意を寄せる蝶野雛との三角関係も見所の一つだ。スポーツ漫画のストーリーが軸にあることから、幅広い読者に共感を得ている作品である。

『アオのハコ』の概要

『アオのハコ』とは、『週刊少年ジャンプ』で2021年19号から連載中の三浦糀による日本の少年漫画である。同誌に2020年35号に読み切り版として掲載され、人気を博し週刊連載となった経歴がある。作者の三浦糀の通算三作目の作品であり、『週刊少年ジャンプ』では初めての連載になる。連載開始からわずか13話で二度目の表紙に選ばれたほか、単行本の累計発行部数が80万部を突破するなど、大注目されている漫画だ。
中学の時からの憧れの千夏先輩と同棲することになった大喜。校内外問わず人気がある千夏と一緒に住んでいることが世間にバレてしまうと、混乱を招きかねないため慎重になる必要があった。唯一親友の笠原にだけは伝えていたものの、ヒョンなことから友達の蝶野雛にもバレてしまう。中学校の時から大喜を想う雛と、一途に千夏を想う大喜の関係、さらに部活ではIH出場に向けて切磋琢磨する様を描いている。スポーツ漫画・恋愛漫画をバランス良く入れ込んだストーリーとなっており、幅広い読者が楽しめる内容となっている。

『アオのハコ』のあらすじ・ストーリー

早朝の体育館での二人

主人公は中学三年生(四話から高校一年生となる)の猪股大喜(いのまたたいき)。スポーツ強豪校の栄明中学校に通学しており、バトミントン部に所属している。同じく、中高一貫校の栄明高校に通学しているヒロイン、鹿野千夏(かのちなつ)は高校一年生(四話から高校二年生)。女子バスケットボール部に所属し、選手としての実力も高い。さらに綺麗な容姿から、校内に限らず世間からもアイドル並の評価をされている人物だ。

大喜が早朝から急いで体育館に行くのは、もちろんバトミントンのためでもあるが千夏を見たいからと言う理由も大きい。毎朝、共同の体育館で自主練習をする千夏と会えることを楽しみにしていたのだった。誰よりも早くに来て練習をし、真面目にバスケットボールに向き合う千夏の姿を見ながら、大喜は憧れと好意を抱いていた。

憧れの千夏先輩と同居

IH(インターハイ)に向けた練習が始まる中、千夏の両親が海外に転勤することなる。そのことから、千夏はバスケットボールを辞めるか日本に残るかの選択で迷っていた。千夏の母親が学生時代にバスケットボールをしており、同じ学校でバスケットボールをしていた大喜の母親と親友であったことから、千夏は大喜の家に住まわせてもらうことになる。

大喜は憧れていた千夏と一緒に住むことになり驚きと動揺を隠せない。だが、千夏は年頃の男子と一つ屋根の下に住むことを何とも思っていないように見えるどころか、どこか決意したような落ち着きをみせていた。日本に一人で残るという決心が、千夏のバスケットボールに対する気持ちをより昂らせていたのだ。

秘密の同居がバレてしまう

大喜の中学生時代からの親友、蝶野雛(ちょうのひな)は新体操部に所属するエース。父親が体操の元日本代表選手であったことから、雛が体操の道に進むことは父に敷かれたレールのようだった。父親の名に恥じない体操の演技を続けることに雛はプレッシャーを抱きながらいつも明るく振る舞っている。

大喜と雛は中学校時代からの親友だ。しかし、千夏と一緒に住んでいることは秘密にしていたことから、雛は「親友だと思ってたのにな」と悲しげに話す。大喜としては、人気者の千夏先輩と一緒に住んでいることが皆に知られると学校が混乱の渦になると思って黙っていた。唯一、中学校からの親友の笠原匡(かさはらきょう)には伝えていたが、それ以外の人には一切秘密にしていたのだった。雛はというと、正座している大喜の足に本を高く積見上げて「これで5時間耐えたら許してやろう!」と言って大喜を困らせたが、サバサバした性格のためか怒ることもなかった。

しかし、その出来事から雛は新体操の練習の際にミスをすることが多くなっていく。心配する周りの声が聞こえる中「大丈夫大丈夫!」と笑顔で答えていた。いつもなら大喜とくだらない話をして緊張を和らげていたが、同居のことがあってから雛は大喜と少し距離をとるようになっていた。「私は一人でなんとかしないと」と、のし掛かる重圧に耐えながら歩いていると、人とぶつかってしまい足を捻ってしまう。大会前の大切な時期に怪我をしてしまったらみんなの期待に応えられなくなる。そう考えると雛はその場から動けなくなってしまった。

その時、大喜が「立てるか?」と声をかける。保健室に連れていこうする大喜に、雛は「こんなとこ千夏先輩に見られたら…」と言うが、「そんなことどうだっていい。今は自分のこと一番に考えていいんだぞ」と大喜は言った。
「気付きたくないんだって…」その頃から雛は、今まで蓋をしていた大喜に対しての気持ちに気づき始めていく。

大喜と千夏の展開

大喜は高校1年になり、所属のバトミントン部でIHを目指し、毎日過酷な練習を頑張っていた。同じく千夏もIHを目指しており、頭の中はバスケットボールのことでいっぱいだ。同じ「IH出場」という夢を持った同士が一緒に住んでいることで、最初は距離のあった二人であったが、次第にその距離は縮まっているかのように見えた。

ある日大喜が風邪をひいてしまったことで、千夏が心配をして大喜の部屋にやってくる。風邪が移ることを気にする大喜に、千夏は「病人は静かにしてなさい」と言って、部屋を出て行ってしまった。しばらくすると、千夏は大喜の体調を気遣って手料理のうどんを持ってきてくれる。心の中では嬉しくてたまらないが、せっかく作って貰ったうどんの味が風邪のせいで分からないことを嘆く大喜であった。

大喜が「もう行って大丈夫です」と言うが、寝るまで待つ、という千夏。IHに向けての話をしていると、バトミントン部の目標が書かれた紙を見て千夏が「どうしてIH出場って書かなかったの?」と質問をした。「試合でスマッシュが決まらなかったし、俺には遠すぎたのかもしれないと思って…」と言うと、千夏はクスッと笑う。「ごめん。大喜くんってそう考えても表には出さないイメージだったから。いいじゃん、NEW大喜くん。遠くの目標持ちつつ、近くの自分も見れば。こうなりたい、こうしたいがあるならそれを大切にしてほしい。そういう人を私は、応援するよ」と続けた。
それを聞いた大喜は「書き足しておきます」と言って、自分の経験を踏まえて相手を思いやることができる千夏のことがやっぱり好きだということを再確認するのであった。

「食器片付けてくるね」と言って立ち上がった千夏。「いえ、自分がやります!」と言って立ち上がった大喜ともつれあって二人でベッドに倒れ込んでしまう。大喜の剥がれかけの冷えピタを直し、千夏は立ち去ったが大喜はドキドキが止まらなかった。

8月26日

千夏の誕生日は、負けたIH後の思いで悔しさが残る時期に訪れた。人に頼ることが苦手な千夏。IHで負けたことを引きずっていてどこか元気がない様子だった。
母親との電話で、IHに負けてしまったことや次期副キャプテンに選ばれたことの不安を話すと「千夏がこれから気をつけることがあるとすれば、そういう辛い時に誰かに頼ることね」とアドバイスを貰う。頭に浮かんだのは大喜のこと。携帯で大喜にスタンプを送信すると、すぐ後ろでピロンッと音がした。「着けてた訳ではないですよ!」と焦る大喜に千夏は「どこかに行きたい。電車乗ってもいいですか?」と尋ねた。

大喜が千夏に見せたかったのは海だった。見た途端、靴を脱ぎ捨てて「海だー!」と走っていく千夏を見て「少しは元気が出たみたいだ」と心の中で思う。千夏の誕生日なので、大喜はサプライズにとケーキを買ってきていた。家で渡すつもりだったが、思いがけず海に行くことになってしまい、二人は河川敷に座りハッピーバースデーを歌い出す。千夏はケーキを食べながら嬉しそうに笑った。

同棲の解消

IHも終わり、新学期が始まると慌ただしい日常が戻ってきた。そんな中、大喜が家に帰ると千夏の母親が座っていた。「祖父が緊急で手術をすることになったので一ヶ月間日本に帰ってくることになった」と言う。そしてマンスリーマンションを借りたので千夏も一緒に住むという話だった。一ヶ月間だが、同棲を解消することに大喜は寂しい気持ちになった。

マンションへ引っ越しの日、大喜は荷物を運びを手伝っていた。実母に「寂しくなるわねー」と茶化されたりもしたが、帰り際の千夏の「また朝練でね!」の言葉で元気になる単純な性格の大喜であった。

『アオのハコ』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

猪股 大喜(いのまた たいき)

猪股大喜

この作品の主人公。三話までは中学三年生だったが、四話から高校に入学。千夏のことが中学の頃から好きで憧れであり、「千夏先輩」と呼んでいる。バトミントン部に所属していて、親友の匡とは部活も同じなので、いつも一緒にいる。負けず嫌いで、自分に厳しい性格。雛からはドMと言われている。千夏と一緒に住むことになってから、千夏の存在が大喜の頑張りの原動力となっており、お互いにIH(インターハイ)を目指す同士として励まし合うこともある。千夏からもらったミサンガを、大切に足につけている。

鹿野 千夏(かの ちなつ)

鹿野千夏

作中四話から高校二年生となる。女子バスケットボール部。作中のヒロイン。華奢な身体と綺麗な容姿で、学校のアイドル的存在。バスケットボールでもエースとして活躍する実力があり、雑誌の取材を受けるほどの人気選手だ。性格は真面目すぎるくらい真面目で落ち着いた印象だが、男女共に分け隔てなく仲良くできる協調性がある。両親の仕事の関係で海外に行くことになり、日本でバスケットボールを辞めなければならなくなったが、大喜の母の見解で千夏だけ日本に残ることになる。大喜の家で居候という形で一緒に住むことになった。中学の時から千夏に好意いていた大喜だが、千夏は一緒に住むようになってから大喜を認識し始める。それからはお互いにIH(インターハイ)を目指す同士として励まし合う存在に思っている。

蝶野 雛(ちょうの ひな)

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