寄宿学校のジュリエット(アニメ・漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『寄宿学校のジュリエット』とは、金田陽介による漫画作品。2015年8月号~2017年7月号まで『別冊少年マガジン』で連載し、その後『週刊少年マガジン』に移籍。2018年にライデンフィルム製作でアニメ化。本作はウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』を翻案し、対立する東和国の少年「犬塚 露壬雄」とウェスト公国の少女「ジュリエット・ペルシア」の恋模様を描いた作品。ある日、露壬雄がペルシアに告白したことで、二人は敵同士でありながら秘密の恋仲になる。

シャルの犬塚・ペルシアに対する気持ち

シャルの部屋には隠し扉があり、大量のペルシアの写真が保存されている。

ウェスト公国の王女であるシャルは、回りの人間に忖度され生きていた。
しかしそんなシャルに対して初めて本気で叱ってくれたのがペルシアであった。
シャルはペルシアの気持ちを嬉しく思い、ペルシアに恋心を抱くようになる。
1年学校を休学していたシャルは、ペルシアに恋人が出来ていた事に誰よりも先に気づく。
相手は黒犬の寮の露壬雄であることから、シャルはこの関係がバレればペルシアが危ういと悟る。
ペルシアを守る気持ちと露壬雄への嫉妬から、露壬雄を脅して二人をくっつけないようにするが、その作戦も失敗に終わる。
それどころか自分がペルシアを好きである事が露壬雄にバレてしまう。
シャルは二人の関係を認めたわけでは無いが、ペルシアのために秘密を黙っていることを選ぶ。
シャルとペルシアは相部屋であり、ペルシアの露壬雄に対するひたむきな姿を一番近くで目の当たりにしてることもあり、ペルシアの露壬雄への気持ちが本物であることはシャルが一番感じていることであった。
ペルシアの誕生日が迫り、シャルは街で露壬雄と偶然出会う。
露壬雄を護衛にしてペルシアの誕生日プレゼントを探すが、その中でペルシアを好きな者同士として露壬雄と会話が弾む場面もあった。
露壬雄とシャルは仲良くないが、それでも露壬雄はぶっきらぼうながらシャルを気遣うこともあった。
シャルは露壬雄に「ペルシアから手を引いて、自分にしないか」と露壬雄を誘惑するが、それに対して露壬雄は「冗談でもそういうことを気のない相手に言うんじゃねぇよ」とシャルを叱った。
それは小さい頃ペルシアがシャルに叱った時と同じで、露壬雄もまたシャルの身分に関係なく接する人間であった。
また露壬雄は「シャルに何かあったらペルシアが悲しむ」という理由からシャルを追っ手から救った。
シャルはその行動から、露壬雄もペルシアに対して本気であり、自身と同じくらいペルシアが好きなのだと悟る。
さらにシャルはペルシアの誕生日にペルシアが日付変更時間に露壬雄と会う事を知っており、ペルシアがそのためにクッキーを焼く練習をしていたことも知っていた。
しかし露壬雄が監督生の監視下に置かれたことで、ペルシアは露壬雄にクッキーを渡せなかった。
誕生日当日、シャルは露壬雄に渡すはずだったクッキーをペルシアから貰うが、ペルシアの気持ちを汲んでクッキーを露壬雄に届けた。
シャルは二人の関係を認めないと口では言っているが、ペルシアが悲しむことを良しとせず、露壬雄を全く認めてないわけでもなく、二人を見守るポジションになりつつある。

幼い頃、我儘を言うシャルを初めて叱ってくれたのはペルシアだった。

何かと被害に遭うスコット

シャルにダンクシュートされるスコット。

露壬雄の相棒ポジションに蓮季がいるように、ペルシアの傍にはいつも側近のスコットがいる。
スコットはペルシアに憧れ、全力でペルシアに好意をアピールするが、そのせいで露壬雄に目を付けられがちである。
そして何かと色々な被害に遭う不憫キャラでもあり、特にシャルの我儘に振り回されがち。
シャルからはバスケでボールとして扱われてダンクシュートされたり、フリフリのエプロンで料理を強要されたり、脱毛処理されたりしている。
蓮季とよく揉めており、蓮季に対して「派手ガール」と罵ったことで蓮季から名称がダサいと一喝され、仲間達に「ダサくないよね?」と聞くが仲間達からもダサいと評価される。
ギャグ要員である事が多く、オチとして扱われることも多い。

アビとソマリ

幼い頃は太っていていじめられていたアビ。

ウェスト公国は階級社会であり、アビとソマリは学園内で虐めを受けていた。
幼い頃のアビは太っておりそれをからかわれ、ソマリはスカートめくりなどの被害にあっていた。
こういったことから二人は階級社会をのし上がる事を目標にし、アビは痩せて女性票を集め、怪力のソマリがアビをサポートする。
そしてペルシア派と対立するアビ派を作った。
体育祭ではペルシア派を失墜させるために、わざとソマリがペルシアを怪我させ、ペルシアの立場を悪くする。
さらに騎馬戦では黒犬の寮生の飲み物に睡眠薬を混ぜる不正を働く。
主犯はアビであり、全てを知った露壬雄は怒り、騎馬戦でアビ・ソマリと一騎打ちして打ち勝つ。
アビの不正行為は監督生にバレており、アビは失墜していく。
失墜の仕方は顕著であり、それまでチヤホヤされていたアビは白猫の寮から追い出されダンボールで路上生活しており、ヒゲも生えっぱなしの浮浪者のような姿で再登場する。
ペルシアを怪我させるなどやった事は悪どいが、アビの台詞をソマリが悪気なく邪魔したり、怪力を制御できてないソマリがアビに暴行してしまったり、アビがソマリに心ない事を言って暴行されたりなど、二人のやり取りはコントのようであり、どこか憎めない二人である。

ソマリの行動がアビに物理的ダメージを与えている、二人のお決まりパターン。

犬塚兄弟と王姉妹の関係

当たり前の様に露壬雄の部屋に入り浸る王姉妹。

王姉妹は、飛び級をして二年生になり監督生になった。
年齢的には露壬雄の一つ下で、監督生の仕事に責任と誇りを持つ反面、同年代の友達やお祭りなどに憧れてもいる。
監督生の間で話題に上がった露壬雄を問題児と見なし観察するが、露壬雄が二人に対して立場を超えて接した事で二人は露壬雄を気に入る。
引っ込み思案の手李亞は露壬雄に対して好意を抱き始めており、露壬雄絡みの事になると自ら意見を言うようになった。
そのことに気づいた胡蝶は妹の変化を嬉しく感じる。
胡蝶のほうは露壬雄の兄である藍瑠に好意を持ち、「アーちゃん」と呼んで慕っている。
そのため犬塚兄弟は王姉妹からそれぞれ好意を持たれている状態になっている。
露壬雄が藍瑠に監視される事になった際も、手李亞が露壬雄を庇い、胡蝶が藍瑠を説得し、犬塚兄弟の仲を取り持った。

露壬雄の胸倉を掴み上げる藍瑠を止める胡蝶と、露壬雄を庇い露壬雄にぶら下がる手李亞。

愛すべき三バカ

真剣を持って露壬雄を追う蓮季と、すれ違う土佐・古羊。

蓮季の一振りで見事に服だけが破ける。

二人を追って部屋から出てきた丸流は全裸で立ち尽くす二人を見て、無言でドアを閉めて鍵をかけてしまう。

本作の男性キャラクター達はどのキャラも個性豊かであるが、特にギャグキャラとして愛されているのが丸流・古羊・土佐の3バカトリオ。
頭が切れる丸流がリーダー的なポジションにあり、ちょっとおバカな古羊と土佐が良い味を出す三人組である。
一話では丸流の提案で三人でペルシアを襲うが、顔を隠すためにビニール袋で顔を覆い息が吸えなくなってしまう子羊と土佐。
さらに「(ペルシアの)口を塞げ」という丸流に対して、土佐は自分の口を手で塞いでしまう。
他にもダリア街へ出かけた際には「だるい」と言いながら明らかに浮かれている古羊・土佐と、なんだかんだ二人と一緒にいる丸流などのシーンもある。
露壬雄が真剣を持った蓮季に追われるシーンでは、子羊・土佐が蓮季とすれ違い理不尽にも服を切り刻まれ全裸になってしまう。
同室の二人が外に出たのを追ってきた丸流は、全裸の二人を見て無言でドアを閉めて鍵をかけた。
このように、三人の掛け合いはいつもコントじみていて、ペルシアや露壬雄と対立するキャラクターでありながらどこか憎めず人気もある。
しかし、ただ面白いだけの三人ではなく、体育祭ではアビが飲み物に睡眠薬を混ぜた事に味で気づいた丸流は、子羊・土佐に眠る演技をさせてアビたちを騙まし討ちした。
ペルシアの誕生日会では土佐・古羊は露壬雄と一緒にパイ投げに参加するが、丸流は興味が無いのかその場にいなかった。
そこへ白猫の寮監督生たちが現れ、古羊と土佐はジャーニーに「お前らがかわいさで俺を上回ることができたら見逃してやってもいい」と言われ、二人は精一杯の可愛い仕草をするが可愛くないと顔面を殴られてしまう。
しかしそこに「ったく…何やってんだよ。お前らさっさと帰るぞ」と言って丸流が現れ、実は二人の事が心配で裏で見守っていた事が発覚する。
これにはジャーニーも「か…かわいいじゃねぇか。負けたぜ」と膝をついた。

関係性を深めていく犬塚とペルシア

小さい頃のペルシアと露壬雄。

作品の中で関係性が一番変わっていくのが露壬雄とペルシアの二人である。
小さい頃からライバル関係にあった二人であるが、露壬雄はその頃からペルシアに好意を持っていた。
一方のペルシアは露壬雄が女の自分に手を抜いていると思い込み、強くライバル視していた。

好意を伝える前のペルシアと露壬雄。ペルシアの誕生日はパイ投げでお祝いした。

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