ジンメン(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ジンメン』とは、カトウタカヒロが『サンデーうぇぶり』で2016年~2019年まで連載していたホラー漫画。転校で七年ぶりに故郷へ戻ってきた主人公・神宮マサトは、幼馴染みの女子高生・ヒトミをデートに誘い、訪れた動物園で二人は人間の顔が付いた動物に突如襲われてしまう。動物が人類に反旗を翻す戦慄のアニマル・パニック・ホラー。圧倒的スケールで描かれる作品の世界観にやみつきになること間違いなしの作品である。

『ジンメン』の概要

『ジンメン』とは、小学館より配信開始している『サンデーうぇぶり』にて2016年~2019年までカトウタカヒロによって連載された漫画であり、人気ランキング第一位を獲得した作品でもある。
物語は「不二サファリワールド」という動物園が舞台である。主人公の神宮マサトは動物をこよなく愛する少年。子どもの頃から不二サファリワールドに通い、象のハナヨと心を通わせていた。マサトは一見、どこにでもいる普通の高校生。だが、そんなマサトにもたった一つ秀でた能力があった。それは、どんな動物からも好かれ動物の言葉が理解できること。高校の入学を機に、七年ぶりに故郷へ戻ってきたマサトは、幼馴染みのヒトミと大好きだった不二サファリワールドへデートで訪れたが、そこにいた動物たちは、不気味なヒトの顔を持ちヒトの言葉を話せるようになった「ジンメン」となっており、次々と人間たちに襲い掛かるという恐怖を描いたパニックホラーである。なぜ動物たちが突如「ジンメン」へと豹変してしまったのか。マサトと心を通わせていた象のハナヨも『ジンメン』と化してしまったのか。マサトとヒトミは今後どうなってしまうのか。作品・カトウタカヒロが描く、不気味なジンメンのヴィジュアルや、容赦のないグロ描写、パニックホラーやサバイバルホラーさながらのスピーディな展開が読者をその世界観へ没頭させていく物語である。

『ジンメン』のあらすじ・ストーリー

異変

物語は主人公・神宮マサトが高校入学を機に、七年ぶりに故郷へ戻ってきたところから始まる。マサトは幼いころから動物が大好きであり、不二サファリワールドという動物園へ頻繁に遊びに行っていた。園内にいる動物の顔や名前を全員覚えていたが、特に象のハナヨと心を通わせていました。また、マサトには動物と意思の疎通ができ、会話をすることも出来るという不思議な能力を持っていた。
久しぶりに故郷へ戻ってきたマサトは、帰ってきて早々サファリワールドへ遊びに行ったが、園内の雰囲気が昔と比べて暗くなっていたことに気付く。
何かがおかしいと違和感を思えるマサトの前に、子どもの頃、仲良くしてくれていた飼育員の中田さんさんと出会う。久しぶりに中田さんと再会し、昔話に花を咲かせている最中マサトから明日、幼馴染みのヒトミとサファリワールドでデートするため、ハナヨがいる檻に入れて欲しいと中田さんにお願いをする。しかし、中田さんさんから「明日は来ない方が良い。」と、あまりいい返事を貰えなかった。
中田さんから明日は来ないほうがいいと言われていたマサトであったが、翌日ヒトミと七年ぶりに再会をし、緊張しながらも心を躍らせながら不二サファリワールドに訪れた。サファリワールドの中へ入ると、いつもの賑やかに出迎えてくれる動物たちがいなくなっていた。

静寂が漂い、飼育員も見かけないまま、マサトとヒトミは園内に動物がいないか探索する。すると突然、園内のどこからか大きな叫び声がこだまして聞こえてきた。マサトたちは急いで叫び声が聞こえた方へ駆けつけると、「助けて!」と飼育員らしき人が叫びながら何かから逃げいるのを発見する。しかし、その飼育員は逃げている途中で猛獣たちに襲われてしまい、捕食されてしまった。なんとかして助けようと、ヒトミがその飼育員の方に向かおうとしたが、飼育員を襲っている猛獣に二人だけでは太刀打ちできないとマサトに止められてしまう。猛獣たちに気付かれる前に、今すぐ象のハナヨの檻に行き中田さんを呼んで来ようとヒトミを連れてその場から離れるマサト。

ハナヨの檻まで来たマサトたちだが、そこで見た光景は檻の近くで気を失い倒れている中田さん、そして不二サファリワールドの園長であるゴリ園長が無残に殺されている姿であった。状況が読めず困惑しているマサトたちに対しさらに追い打ちをかけるように、檻の中にいるハナヨの顔が中田さんにそっくりな顔の姿、ジンメンとなり「マサトくぅ~ん」とマサトのことを檻の中から呼んでいた。
恐怖で体がすくみながらも、大急ぎでリヤカーに中田さんを乗せ逃げ出すマサトとヒトミ。ハナヨの檻からサファリワールドの出入り口へ逃げている途中、ハナヨだけではなく、園内にいた動物たちがジンメンとなりマサトたちを襲撃してきた。マサトたちが向かっていた出入り口はシャッターで閉ざされていたため、出入り口付近にある像のモニュメントに目を付けその部分を滑走路として利用し、リヤカーごと外へと飛び移ろうと試みた。脱出を試みているマサトたちのすぐ後ろには、捕まえて捕食をしようとニヤニヤしながら追いかけてくるジンメンたち。
マサトたちは間一髪でサファリワールドから脱出することができたが、安堵しているマサトたちを出入り口の閉じたシャッター越しから眺めているジンメンたちが「ハジマルヨ」と何度も小さく呟いていたのであった。

錯乱

なんとかサファリワールドから脱出することに成功したマサト達だが、外の景観を目にした瞬間、絶望した。なんと、不二サファリワールドから脱走したジンメンたちが町の人々を襲い、辺り一帯が血に染まっていたからだ。まるでパニックホラー映画のような光景に驚きを隠せないマサトとヒトミ。そして、やっと気を失っていた中田さんが目を覚ました。マサトは、中田さんにサファリワールドにいた動物たちにいったい何があったのか、どうしてハナヨは中田さんと似た顔つきになっていたのか困惑を隠せない表情で問い詰めた。すると、中田さんから「ゴリ園長が赴任して間もなく動物、職員一斉に行われる月一回のなかよし健康診断が義務付けられた。」「客足は伸びていったが、サファリワールドの雰囲気が昔とは違う雰囲気に変わっていってしまった。」とマサトたちに告げた。
その後、マサトとヒトミは中田さんに、サファリワールドで起きた状況を説明しながらジンメンたちに遭遇しないよう、とある学校へ逃げ込んだ。そこで目にしたものは、ジンメン達の食用として人間の肉を干している惨状が広がっていた。
恐怖で身がすくみながらも、マサトたちは保健室へ向かったが、そこでは教科書を読んでいるジンメン達の姿を目にする。人間と同じようにジンメンも本から学び、情報を収集しているのを見て驚愕していたマサトたち。
すると突如、亡くなったゴリ園長と顔が似ているブタ園長が電波ジャックをおこし放送を開始した。その内容は、「動物は人間を怖がっていること。そして、この支配から逃れるために不二山一帯を「動物公国」と名付け、正式に国家を樹立すること。」を宣言した。ブタ園長が宣誓したと同時に地震が起こり、不二山を中心に大きな溝ができた。マスコミも不二山がどういった状況になっているのかヘリコプターで動物公国へ向かうが、不二山を中心にできた溝から電磁波が発生し、その影響でヘリコプターが墜落してしまう事態が発生した。

家畜

ヘリコプターが次々と墜落していく中、そういった状況下で唯一生き残ったジャーナリスト・内海チエは真の情報を国民へ伝えるため、ジンメン計画の全貌を暴き報道するためにマサトたちと行動を共にするようになる。溝から出る電磁波の発生により、動物公国は陸の孤島へと変貌していった。一方、マサトたちは陸上自衛隊の駐屯地を目指して進んでいた。
陸上自衛隊の駐屯地へ向かっている道中、ヒトミはマサトに対し、これまでの異常なほどの怪力、嗅覚、回復力を目の当たりにし、人がなせる業なのか怪しく思い始めていた。陸上自衛隊の駐屯地に到着したマサトたちは、そこでジンメンに捕まってしまい地下シェルターに閉じ込められてしまう。マサトは中田さんと同室であったため、中田さんは「いい機会だ。」と言い、マサトに対し、ジンメンについて知ってる情報を話し始めた。中田が話し始めた内容は、ジンメンが作り上げられたきっかけであった。人間は、顔の表情の変化によってコミュニケーションを発達させ、人類の発展に役立っていた。そのため、動物にも同じように顔を持たせ、コミュニケーションを可能にしたら、より良い世界を作れるかもしれない。そこからジンメン計画は始まったが結果、動物が暴走し計画は失敗した。国は失敗したときの対策として予め不二山一帯に溝を作っていた。というのを中田さんはマサトに伝えた。
ジンメンが管理する地下シェルターでは、ジンメンが人間に食料を提供しているという不思議な光景が広がっていた。そして、ジンメンが与えている食料によって徐々に地下シェルターにいる人間たちが洗脳されていくことに気付いたマサトたち。そんな時、吾郷と印藤という人物が地下シェルターへ侵入していた。

覚醒

吾郷たちの正体は、不二サファリワールドの飼育員であり自らの姿を獣に変えて戦力を強化出来る「ジュウメン」であった。吾郷と伊藤がジンメンを倒し、マサトたちは地下シェルターから脱出する。脱出し外に出たまでは良かったが、外にはハナヨも含め数多のジンメンが待ち伏せており、マサトたちに襲い掛かってきた。
そんな戦いの最中、ハナヨを守ろうとマサトはハナヨの所に向かったが、ハナヨは不二サファリワールドの飼育員、三美によって殺されてしまった。
ハナヨを殺された怒りと助けられなかった後悔や悲しみの感情に押しつぶされそうになりながらも、ハナヨが最後にマサトに託したサファリワールドの地図とメッセージを頼りに、マサトは中田たちと合流し不二サファリワールドへ向かった。

悲しき真実

サファリワールドへ向かうマサトたちだが、その道中でサファリ職員の永長たちと出会う。永長たちサファリ職員はマサト達を連れてサファリワールドに向かうが、その途中で衝撃の告白をする。それは、マサトがジンメン計画と共に作られたデザイナーベイビー(人造人間)であるという事であった。混乱するマサトを尻目にサファリワールドに到着した一行。ここで爆弾を持った大勢のジンメンに襲われながらも、地下の研究所へ向かったマサトたち。

覚悟

そこで内海は、研究所でジンメン化を解くことの出来るミズカガミという装置があることを知る。一刻も早くミズカガミへ向かおうとしている一行の前に、「ツチグモ」という実験で誕生した化け物に襲われ殿を務めた飼育員、安堂が犠牲となる。地上に出たマサト達は、キリンのジンメンに襲われながらも、ミズカガミへと向かった。ミズカガミに到着し、鍵を解除すると噴水のように水がバラまかれ、ジンメン達が本来の動物の姿に戻っていった。マサト達はジンメンを元に戻す方法を知るが、サファリのミズカガミだけでは範囲が狭く効果が限定的なため、不二山にあるオオカガミを使い、事態を収集させようと考えた。そして、サファリに監禁されていた人間を解放しオオカガミの元に向かう組と、自衛隊駐屯地を制圧する組に分かれて行動することにした。

強者

途中、一行は四季族の「ヴィンター」というジンメンと出会う。ヴィンターは圧倒的な力でマサト達を蹂躙し、三美と内海は大怪我を負ってしまう。ヒトミと内海たちはマサトとはぐれ、不二山中腹の研究所に逃げ込んだ。内海はヒトミにジンメン計画の全貌を伝え、息絶えた。実はジンメン計画は太古の昔から行われており、人類に代わる生物としてジンメンを研究していた。内海はヒトミに、中田ら飼育員にはそのことを内密にするよう言い含めた。
一方、マサトと中田は山頂に到着するが、そこにはブタ園長が待ち伏せていた。彼はマサトに対し、人間と動物、どちらの味方をするのか問い始めた。マサトは「どちらも助けたい」と答える。ブタ園長はそんなマサトに四季族の一人「ヘルブスト」をけしかけ、戦わせる。マサトがヘルブストと戦いを始めると、ブタ園長はマサトが動物を支配する力を持っている事を伝える。混乱するマサトだったが、中田の助力を得て自らの力をコントロールし、ヘルブストを眠らせることができた。
マサトたちは不二山の研究所に入っていく。ブタ園長はマサトを味方につけようと揺さぶってくるが、マサトが応じなかったため、四季族の最後の一人「フリューリンク」をぶつけてきた。巨大な蛇であるフリューリンクにマサトたちは太刀打ちできず、ブタ園長はマサトに自分の支配下につくよう脅しをかける。

共闘

絶体絶命の状況だったマサトの元に四季族の一人ヴィンターが現れた。ヴィンターはマサトと共同戦線を張り、フリューリンクと戦い始めた。激しい戦いの末、ヴィンターとフリューリンクは相打ちとなり命を落とした。
四季族がいなくなり、いよいよブタ園長と対峙するマサト。ブタ園長とマサトはお互いの思考を支配しようと念で戦うが両者互角。しかし、今までのダメージの影響でマサトが先に倒れてしまう。その隙にブタ園長は中田を洗脳し、吾郷らを駆逐していく。そして、ブタ園長はマサトにとどめをさそうとするが、マサトが中田の洗脳を解き放ち形勢逆転しブタ園長はマサトに敗北を期した。
ブタ園長に勝利したものの、事態は収束しなかった。なぜかというとブタ園長は鳥のジンメンを隠しており、鳥のジンメンを上空に放つことで動物公国と日本本土の間にある溝の電磁波を取り除き日本征服、世界征服を目論んでいたからであった。
マサト達も状況を把握し、鳥のジンメンが放たれ電磁波が無効化されるまで残り時間が僅かの中、対策を考えた結果止める手段はオオカガミを機能させる事しかなかった。

生きる意味

オオカガミの起動方法を探している最中、突如マサトの父親がマサトの前に現れ、残酷な事を息子であるマサトに突き付けた。それは、オオカガミを起動させる条件はマサトの命が引き換えということであった。ショックを受けたマサトだが覚悟を決め、起動する前にヒトミと共にサファリワールドに向かい、ハナヨの亡骸をサファリワールドに納めに行った。供養し終わった後、マサトは父親と協力しオオカガミを解放。
すると不二山一帯からワクチンとなる水が噴火して、その水を浴びたジンメン達は元の動物の姿に戻っていった。ジンメン達が元の動物に戻っていく景色を見ながらマサトは最後の力を振り絞り、ヒトミに思いを告げて消滅していった。
後日、ヒトミは中田、吾郷らの力を借りて、総理官邸に乗り込みジンメン計画の秘密をネタに総理に対して計画の中止と自分たちの安全を約束させるのであった。
半年後、ヒトミはマサトたちが残してくれたこの世界を守るため、政府の機密施設に入れる上級管理権限証を持ち、ジンメンの被害にあった人々を救う仕事を行っていくのであった。

『ジンメン』の登場人物・キャラクター

主人公及び不二サファリワールド飼育員

神宮マサト(じんぐう まさと)

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