うそカノ(Uso Kano)のネタバレ解説まとめ

『うそカノ』とは、林みかせによる少女漫画作品。2013年2月号より白泉社「LaLa」に連載中。
片想い中の入谷くんが「彼女のふりをしてくれる人=うそカノ」を探していると知り、すばるが思わず立候補する。いつかはホントの彼女になりたいと願うすばるの恋の行方を描く。

『うそカノ』の概要

『うそカノ』とは林みかせによる日本の少女漫画作品。
2013年2月号より白泉社発行の月刊「LaLa」に連載中。単行本は9巻まで刊行中。当初は3話で終わる予定だったが、好評だったため連載になった。
片思いの入谷くんが「彼女のふりをしてくれる人=うそカノ」を探していると知り、すばるは思わず立候補する。うそカノでもいいから入谷に自分を見てもらいたかったすばると、誰でもいいからうそカノを探していた入谷。2人の温度差はあったけれど、付き合っていくうちに入谷にも心境の変化が訪れる。
高校生の嘘から始まる恋愛と成長物語。
クールで無愛想な入谷がすばるにだけ見せる表情や天然な言動、すばるの入谷への純粋で真っ直ぐな気持ちにキュンキュンしすぎると大ブレイクした。

『うそカノ』のあらすじ・ストーリー

高校1年冬 うそカノの始まり

以前からずっと好きだった入谷匡史が、「彼女のフリをしてくれる人を探さなきゃ」とつぶやいているのを偶然聞いてしまった神宮寺すばる。思わずその場で立候補し、入谷のうそカノとなった。入谷はクラスメイトから「人を好きになれない欠陥人間」のように言われるのが嫌でうそカノを欲していたという。2人は付き合っているように見せかけるためにお互いのシャーペンを交換した。
嘘でも憧れの入谷の側に居られるすばるは、一緒に過ごすことでさらに入谷への気持ちを強くしていく。そんな姉の様子を心配する妹・トモは「そんな関係不毛だよ」と反対するが、少しでも入谷の視界に入り、自分を認識してもらい、本当の彼女になれる可能性があるならば、絶対に諦めない、とすばるは妹の言葉に耳を貸さない。
入谷も一生懸命なすばるに少しずつ好意を持ち始めてきた。

ある日、すばるが幼馴染の和久井朔哉の怪我のため、保健室に付き添っていた時、偶然に養護教諭の槇村里香と入谷の会話を聞いてしまう。槇村はかつて自分に告白した入谷がまだ自分を好きなのではないかと心配していたが、すばると仲良さげに下校している姿を見て安心した、と話していた。入谷がうそカノを必要とした本当の理由は、結婚する槇村にもう自分は槇村の事をなんとも思っていない、と安心してもらうためだったのだ。その時の入谷の表情を見て、入谷が本当に槇村のことが好きだったのだとすばるはショックを受けた。

すばるが所属する写真部で毎月行われる展示会に発表する写真を撮るために、入谷の家の近くでデートがてら写真を撮っていた2人は、偶然槇村に会った。2人の自然な会話に入り込めないすばるは胸が苦しくなった。夕日を見るため山に登る途中、すばるは足に怪我をしてしまい、デートは中途半端に終わってしまった。
入谷は、すばるのためにいろいろ計画したにも関わらず、怪我をしたすばるを偶然通りがかった和久井が送るという形でデートが終わったことを悔しく感じていた。

入谷と槇村は幼馴染で、入谷は槇村が好きだった、その事実を知ってしまったら、すばるは平気な顔をして入谷のうそカノを続けることが苦しくなってしまった。入谷に、槇村を安心させるという目的も達成できたし、自分も好きな人ができたと嘘をつき、うそカノを解消したいと申し出た。入谷は口を開きかけるがその言葉を飲み込み、すばるの申し出を了承した。

これ以上報われない思いを抱き続け傷つきたくないと入谷に別れを告げたすばるだったが、入谷への想いはどんどん強くなる。入谷は一方的に別れを告げられ理不尽さを感じ苛立っていた。別れても使い続けていたすばるのシャーペンを苛立たしげにカチカチと弄っていたら芯を全て出し切ってしまい、中に戻そうとすると、そこから「入谷くんと恋がしたい」と書かれた紙が出てきた。
その紙をすばるにつきつけ、どこからどこまでが嘘なのか、「俺のことはいつから好きだったの?」と聞く入谷にすばるは自分の以前からの想いを告げた。
うっかり忘れて和久井から借りた制服のネクタイを締めていたすばるから和久井のネクタイを外し、入谷は自分のネクタイと交換させた。以前、校則違反だからネクタイの交換は嫌だと言っていた入谷だったので何でと聞くと「だってもううそカノはお終いでしょ」と入谷は答えた。

高校2年春・入谷の独占欲

うそカノから本当の彼女になれたすばるは嬉しくてたまらない。クラスメイトにも彼氏ができたと報告した。クラスメイトから頼まれ、皆の前で入谷を呼びかけたら注目の的になってしまい、入谷から「迷惑だからやめて」と言われてしまった。
その冷たい言葉に妹のトモは憤慨する。元々姉にうそカノを頼むような入谷のことを嫌っており、姉の相手には幼馴染でいつもすばるの側にいた和久井が相応しいと思っていたのだ。ずっとすばるの側にいたということは和久井だって姉のことが好きなはずと和久井をけしかけるが、和久井ははぐらかしてしまう。

体育祭のコスプレですばるが和久井のジャージを着ていることを気にした入谷は自分のジャージと交換させたり、すばるに対して独占欲を見せるようになる。トモの言葉をはぐらかした和久井だが、100m走で一緒になった入谷にすばるを賭けて勝負を挑むなど入谷を挑発する。
すばるが借り物競争で「彼氏・彼女 または好きな人(同性不可)」を引き当てた時、騒がれることが嫌いな入谷を巻き込めないとすばるは立ち尽くしてしまう。和久井が立ち上がり助けに行こうとするとそれより早く入谷がすばるの腕を掴み、「神宮寺さんの彼氏は俺なんだから」とゴールした。

トモはどうしても2人を引き離したくて、和久井を巻き込んでデートについていくなど邪魔をする。和久井は冗談めかしてすばるに告白するが本気にとってもらえない。入谷は和久井の冗談めかした告白や、すばるを知り尽くした言動に焦りを覚え、トモにも早く姉と別れろと言われ、ムッとしてしまう。しかし、姉の彼氏なら誰でもつっかかるのかと言い返した時、姉をうそカノにするようなろくでなしだから、と言われ、すばるをうそカノにしてしまったことを反省した。

和久井のうそカノ

すばるが和久井からうそカノを頼まれた。和久井の話では、最近、栗山楓という1つ下で同じ中学出身の子から告白を受けたらしい。しかし、和久井が断っても彼女はめげずにアタックしてくるという。そんな時、トモと和久井が一緒に神宮寺家に入るのを見て、トモと和久井が付き合っていると勘違いしたらしい。トモと楓は中学からの知り合いで、乙女ゲームが大好きな楓がゲームのキャラクターによく似ている和久井を紹介して、とトモに話しかけ、トモが「そんな気持ち悪い理由で先輩に近づくな」と吐き捨ててからトモと楓は犬猿の仲だという。トモが相手と勘違いした楓は、トモにも和久井にもトモを中傷するようなメールを送りつけてくるのだ。困った和久井は、付き合っているのはトモではなく、姉のすばるだと嘘をつき、証拠を見たいという楓にすばると一緒に会う約束をしたらしい。
トモもすばるも無関係だと一度は和久井のうそカノを断ったが、トモに迷惑メールが来たり、誰かから背中を押されたり、いきなり水が降ってきたりと危害を加えられていると知り、和久井のうそカノを引き受けることにした。
入谷の了承も取り、うそカノとして楓に会うが、すばるの演技がぎこちなく楓は信用しない。目の前でキスしてくれたら信じると言われ、和久井がすばるの頭を引き寄せた瞬間、入谷が現れ2人の間に割って入った。同性愛者を装って「和久井の彼氏は自分」と入谷渾身の演技で楓を納得させようとするが、和久井に入谷を取られてしまうと勘違いしたすばるが和久井に抱きつくなど場が混乱してしまう。それを見ていた楓が「誰でもいいなら自分と付き合って」と和久井に言うが、和久井は今はそういうのいい、と断った。

文化祭を翌日に控え、学校内は慌ただしい。すばるは入谷と文化祭を楽しもうとワクワクしていた。
以前、入谷にキスをされそうになったが邪魔が入り未遂に終わったことで、「今度会ったらするから」と宣言されていたすばるは意識してしまい、いつそのチャンスが来てもいいようにツヤツヤリップを塗って準備万端にしていた。しかしその思いは入谷に届かず、口にホコリが付いてる、口がベタベタいていると言われすばるはショックを受けてしまう。すばるは急にそっけない態度で「帰ります」と教室を出ていってしまった。追いかけてきた入谷に「言いたいことがあれば言えば」と言われるが、まさか、ツヤツヤリップを付けて、入谷のキスを待っていたなどと恥ずかしくて打ち明けることもできない。そのまま何も言えず、すばるは逃げ出してしまった。
前日の一件で気まずくなってしまったが、自分ばかりが入谷のことを考えて、空回りしてしまったことを反省したすばるは、入谷に自分の正直な思いを伝えた。「わたし初めての恋なんです。なので、何をどうしたらいいのか全然わからなくて…。入谷くんに次会った時本番するからって言われてからそればっかり考えちゃって、リップいいの使ったり、一人で空回って」すばるの正直な気持ちを聞き、2人は和解することができ、文化祭でも一緒に楽しく過ごすことができた。
文化祭のミス・ミスタコンで入谷がクラスメイトの策略で1位を取り、すばるは身内や友達の冗談で入れたたった5票で3位になった。同じ壇上に上がると、2位の男子生徒からイカサマだとクレームが入った。すばるはマイクを取り「入谷くんはそんなことしませんよ」と入谷の良いところを演説し、入谷は「1位の女子より神宮寺さんの方が可愛い」と発言し、会場をどよめかせた。2人の距離は確実に近づいていった。

文化祭も終わり、試験勉強も2人一緒で楽しく過ごす。放課後、委員会の用事で保健室に立ち寄るとすばるは、入谷を好きになったきっかけを思い出してしまい、赤面してしまった。その様子を見ていた入谷がすばるにキスをしようとすると、すばるが転んで入谷の口に当たり、切ってしまうというアクシデントが起こった。

先生の結婚

ファーストキスの失敗で入谷とすばるはギクシャクしていた。入谷はしばらくすばると距離を置こうとし、すばるは入谷と向き合おうとなぜかバスケのシュート練習を始める。おまじないが大好きなすばるは、横断歩道の白線だけを踏めたら入谷に会える、とか、このシュートが入ったら入谷に会いにいく、などの願掛けを良くしているのだ。この行動に何の意味があるという言う入谷にすばるはただの勇気のスイッチだと答え入谷を驚かせた。すばるの健気な行動に入谷もすばると向き合うことに決めた。

2人の距離はどんどん近づいていくのだが、妹のトモはまだ納得が行かず、和久井とすばるをくっつけようと画策する。入谷がすばるの家に来た時、入谷が潔癖で他人が作った料理は苦手という弱点を突き、無理に夕食に誘い困らせたり、両親にすばるは入谷のうそカノだとバラしてしまった。トモに呼ばれ一緒にいた和久井の機転でなんとか場は収まったが、すばるの悲しそうな顔を見てしまい、トモは罪悪感を持ってしまった。しかし、彼氏ヅラして家にまでくる入谷がどうしても気に入らず、和久井にすばるに告白してとすがる。しかし、「俺には無理」と和久井に断られてしまった。入谷は、すばるの父の趣味である将棋が指せることや、誠実な態度から父に認められることができた。
一方、和久井は、すばるのことを想っているにも関わらず、一歩を踏み出せないでいた。

入谷かかつて好きだった槇村先生の結婚式が近づいてきた。入谷はそれには参加しないと公言していた。幼馴染である入谷に式に参加して欲しい槇村は、すばるに入谷と一緒に式に出て欲しいと頼んだ。
入谷はすばるに親戚でも友達でもないのだから結婚式に参列する気はない、先生の言ったことは気にするなと言う。しかしすばるは、小さい頃からずっと一緒に兄弟同然に過ごしてきた幼馴染である先生の結婚式にも関わらず、出席しないという入谷の頑なな態度が心に引っかかり、入谷の顔をまともに見れなくなってしまった。入谷はすばるの元気のない様子を気に病み、写真部の合宿中のすばるに会いに行った。自分のことで元気がないのなら、見ないふりして曖昧にするより、その日のうちに解決したいと、ここ数日元気がない理由を聞かせて欲しいと入谷は言った。すばるは、自分は1人でぐるぐる考えていただけだったのに、入谷が自分のことを考え、向かい合おうとしてくれていることに感激した。
入谷が槇村先生を好きだったことも、すばるを大切に思ってくれていることも判っている。だから槇村先生の結婚式に一緒に参列し、入谷が笑顔で槇村先生を祝福している姿を見たいとすばるは言った。
2人は槇村先生の結婚式に参列した。すばるは心からお祝いができるか不安だったが、素晴らしい結婚式に感動し、心から祝福することができた。2人で式に参列することで2人の仲は深まった。

和久井の気持ち

すばるや和久井、トモが所属する写真部に時田律という新入部員が入った。時田はトモと同じ特進科クラスの男子生徒でトモに想いを寄せていた。合宿の時、トモにキスをし想いを伝えた。和久井は時田のその行動を見ていて、自分も変わらなければと思い始めていた。

その日、入谷やトモ、時田の特進科は模試、すばるや和久井が所属する普通科はスポーツ対抗のクラスマッチが行われていた。すばるはバトミントンに出場し、和久井はバスケットに出場していた。すばるは初戦敗退。和久井は決勝まで進んでいた。しかし和久井は昼休みに階段から落ちかけた男子生徒とぶつかりそうになったすばるを庇い、手首を負傷していたのだ。皆の期待に答えようと無理をする和久井の怪我に気づいたすばるは、自分も大切にしろと忠告し、保健室で手当てをする。誰にも知られないようにしていた自分の怪我に気づいて治療したすばるに和久井は、もう自分の気持ちをごまかすのはやめたと、本気で好きだと告白した。入谷が好きだからと即刻断るすばるだがもう少し考えてくれと和久井に言われてしまった。
和久井の告白を隠れて聞いていた入谷は、和久井にすばるは渡さないと言うが、和久井は諦めず入谷を挑発する。槇村先生に入谷兄弟と神宮寺姉妹が誘われた旅行に和久井も付いていくと宣言した。
トモにキスをし、それから散々拒絶されている時田だったが、トモを諦めてはおらず、写真部の活動として学校に申請したからと時田も旅行に参加することになった。

トモの気持ち

旅行ですばると和久井の距離を縮めようとトモは画策し、トモの役に立とうと、時田はトモに内緒ですばると和久井の2人を小屋に閉じ込めた。そんな時田に「お前の作戦は下品だ」とトモは怒った。私がちゃんとうまくいく方法を考えている、と言ったトモに時田は和久井は既にすばるに告白していると話した。それを聞いたトモの顔色が変わるのを見た時田は、トモの好きな人は和久井なのではないかと考えるようになった。

時田はトモに和久井が好きなのではと問い詰めるが、トモは大切なふたりだからくっついてもらいたい、と答えた。それは和久井が好きだと言っているのと同じ事だという時田にもうこの話はするなと言い渡し、トモは時田の話を打ち切った。入谷と和久井は偶然その話を聞いていた。

旅行2日目、アスレチックに出かけるすばるたち。すばると時田は公園まで一直線に行けるターザンロープで山を下り、入谷と和久井とトモはアスレチックをしながら公園まで行くことになった。そこで和久井は入谷に勝負を申し出て、「勝ったらすばるはオレに返して」と入谷を挑発する。トモは和久井の言葉にショックを受け、すばるの顔をまともに見れなくなってしまった。2人を応援する気持ちがあるのに、自分の中の気持ちにも気付いてしまったトモ。体調が悪いと嘘をつき、先に別荘へ帰ると皆から離れた。
しかしすばる達が帰ってみるとそこにトモの姿はなく、心配したすばると時田は入谷の言葉も聞かず、トモを探しに飛び出してしまった。
雨の中、傘もささず、ずぶ濡れになって探すすばると時田の前に、雨宿りしていたトモが現れ、心配していたと抱きついてきたすばるの優しさに、勝手に気まずい思いを抱いて避けていたことをトモは反省した。

別荘ですばると和久井の会話を隠れて聞いていたトモは、和久井にすばると上手くいくように協力すると言うが、和久井から「オレはオレでがんばる」と線を引かれてしまった。誰に嫌われても誰を傷つけても2人をくっつけたいと泣きながら話すトモの話をずっと聴き続け、「僕は嫌いにならない」と時田はトモを励ました。

ある日熱が出てしまったすばるを心配した入谷は家を訪ね、すばるの看病をする。すばるのために慣れない手つきで調べながらお粥を作る入谷にすばるは感激した。

風邪も治り、部活で遅くなったある日、すばるとトモの前に痴漢が現れた。和久井が助けに入るが逃げられてしまう。
安全のため、これからトモを送ると言いかける時田に、トモは冷たく「時田が犯人か?」と言い放つ。冤罪を晴らすために時田は飛び出し、和久井は自分が女装して犯人をおびき出そうと作戦を立てた。和久井は入谷の分としてセーラー服を用意し、入谷にも作戦に参加するように言った。それを断った入谷に和久井は、無理してこんな馬鹿げたことに付き合わなくてもいい、すばるはこれから自分が守ると入谷を挑発する。すばるは自分と一緒にいた方がすばるらしいと和久井は言う。入谷は和久井に対抗し、自分のキャラではないが、女装して犯人を捕まえることを承諾した。しかし事件は、時田が女装して犯人を誘い出し、無事に捕まえることができた。

時田の気持ち

時田はトモへの気持ちが大きくなってきていた。何気なく言われた「ありがとう」の一言や、少しむくれた顔などを可愛すぎると思ってしまう。トモが遠くから和久井を眺めている姿もいじらしさを感じてしまう。トモのために和久井と話をしようと時田は和久井を呼び出した。
時田は、和久井がすばるに告白後、進展があったのか聞くと、すばるが和久井を意識して、普段通りにしてくれといった和久井の言うとおりにできない自分を責めて、最近和久井と一緒にいる時、すばるの笑顔が減ってしまったと和久井は言った。入谷に劣っているところなど何一つ無いと自負している和久井だが、すばるにとっては違う、と和久井は落ち込んだ。そんな和久井に時田は、和久井のことを見ていて、和久井の良い所をたくさん知っている子がいると告げた。和久井は時田の言葉に、でもその子を見ている奴もいるし、そんな奴を見ている子もいる、報われない一方通行の思いはいっぱいある、と言った。「全員の思いが報われることはない、必ずどっかで誰かに歪みがくる、多分オレ今その歪にいるわ」と和久井は語り、時田の諦めるのかという問いに、「こういうのの正解って何だろーな」と言った。
和久井の、相手を思って身を引く、という態度が正しいのかと思った時もあったが、やはり好きな子は自分で幸せにしたいと、時田はトモに告白した。しかしトモの返事は「あっそ」というそっけないものだった。

すばるの誕生日

11月24日、すばるの誕生日の前日、写真部ですばるの誕生会をした。数日前、すばるは25日土曜は空いているかと入谷に尋ねるとその日は模試と言われた。25日がすばるの誕生日であることをその後知った入谷は、25日の模試を休むというが、すばるに頑なに断られ、結局、写真部で行われるすばるの誕生会に参加することになった。和久井はまだすばるを諦めておらず、入谷の前で挑発するようにすばるにプラネタリウムのチケットを渡し、誕生日当日に一緒に行こうと誘う。
当日すばるは和久井からの誘いを断り、1人でランチをしたり公園に行ったりして過ごす。入谷との事ばかり思い出して寂しくなっていると、入谷から電話が来た。模試が終わり、すばるの誕生日を祝うため、駆けつけてきたのだ。家族とのパーティーがあるためゆっくりする時間はないが、入谷が用意したケーキを食べて、幸せな誕生日になった。

クリスマス

冬休みが近づき、すばるが入谷に冬休みの予定を聞いてみると、入谷は25日の終業式が終わってから6日まで父のいるパリに行くという。すばるはせめてクリスマスに入谷に何かプレゼントをしようと着ぐるみを着てケーキを売るバイトを始めた。
偶然お店の前を通りがかった入谷は、着ぐるみからすばるの声がした気がして、着ぐるみの中を確認しようとするが、店員に邪魔され確認できなかった。すばるは子供たちに大人気になり抱きつかれたり腕を取られたり絡まれながら頑張っていた。25日出発の入谷の準備の邪魔にならないように24日夜、5分だけ会えるかと聞くが、入谷の「5分」というつぶやきを聞き、それすらも邪魔になっていると思い、やっぱりいいですと言い、約束できなかった。

特進科の男子に25日に「入谷の壮行会」に来て、と誘われ、これで確実にプレゼントが渡せるとすばるは喜んだ。24日、一段と寒い日、すばるは着ぐるみを着て生足を晒して寒さに震えながら頑張っていた。すると酔っぱらいが現れ、すばるの足に抱きついた。そこに入谷が現れ、酔っぱらいを撃退した。実は、着ぐるみの中身はすばるだと気づいていた入谷は、すばるがバイトしている間中、陰からずっと見守っていたのだ。
すばるのバイト後、喫茶店で待ち合わせた2人。入谷はすばるに「今日も一日空けてたのに、夜5分だけとかしまいには会わないとか言うし、だったら何の為にバイトしてんの?一体何がしたいの?本末転倒すぎない?そんな事ならプレゼントなんて要らないって何度も言おうとしたけど、頑張ってるの見てたら何かいつも言えなくて…」と溜まっていた愚痴を吐きだした。これからプレゼント買いに行くから明日会おうというすばるに、「高いの要らない」と入谷は釘を刺す。しかしすばるは「入谷くんが今一番欲しいものだと思います」と自信満々。入谷はすばるのその自信に「絶対分かってないと思うけど」と漏らし「じゃあ明日、俺ん家来る?一番欲しいもの頂戴よ、家 誰もいないけど」とすばるにねだった。

25日、「入谷の壮行会」と言われた会はただのクリスマスパーティー。早く2人で過ごしたい入谷はパーティーを抜けようとするが、クラスメイトに邪魔されなかなか帰れない。パリに出発するまであと2時間。やっと入谷の家で2人きりになれた。
すばるは入谷にクリスマスプレゼントとして電子辞書を渡し、嬉しげに「これで安心していっぱいたのしめるといいなぁって」と言った。本当は既に電子辞書は持っていたし、留学でもないのだから本格的な電子辞書など要らないと考えていた入谷だったが、初めての土地でも安心して楽しめるように、とすばるが入谷のことを考えてくれた事が嬉しく、「ありがと、持ってく」と受け取った。入谷はすばるにひよこのカメラケースを贈った。入谷はすばるが買った電子辞書の10分の1の値段だから、今後地道に返すので、公平を期すためにこれから10年、プレゼントは要らないと言った。入谷には単純に計算上の10年かもしれないが、これからもずっと一緒と言われたようで、すばるは嬉しくなった。
しばらく会えない分すばるに触りたいという入谷の申し出をすばるは「どうぞ」と言い、いい雰囲気になると、その瞬間、兄からの宅急便ラッシュで結局触ることはできず、時間切れになってしまった。
入谷の見送りで電車を待っていた2人。電車に乗り込む間際入谷はすばるにキスをし「帰ってきたらちゃんとしたのするから」と言い、行ってしまった。

それからしばらく経っても入谷から連絡がないことをすばるは心配していた。実は入谷は携帯の入ったスーツケースごとロストバゲージしてしまっていたのだ。
すばるがクリスマスプレゼントにくれた電子辞書を操作していると、すばるが入谷を思って色々と検索していたことがわかった。するとどうしてもすばるの声が聞きたくなり、父に携帯を借りたり、友人に連絡を取ったりとすばるに繋がる方法を駆使して、声を聞くことができた。離れている時間に、お互いへの思いがより一層強くなった。

交換留学生

帰国した入谷と一緒に登校したすばる。学校へ行ってみるとそこには女王様のような金髪の美女・ジェシカと長い前髪にフードをかぶったマイケルがいた。2人は入谷の家にホームステイし、同じ学校に通うことになって留学生だった。
マイケルは、すばるが大好きな漫画のキャラに似ているとすばるを「チカタ」と呼び、気に入った様子を見せる。
すばるが入谷の家に遊びに行き、マイケルと3人でカレーを作っていると、ジェシカが買い物から帰ってきた。入谷は片付けの最中にマイケルに水をかけられ服を着替えようとすると、そこにはシャワーを浴び髪を乾かすジェシカがいた。うっかり転んでジェシカに覆い被さったところをすばるに見られた入谷は大慌てするが、すばるはジェシカに「好きな人の前で誤解されるようなことをしたらダメ」と諭す。短い時間の会話だったが、ジェシカがマイケルを思っていることにすばるは気づいたのだ。

入谷からの言葉

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