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kengo919w9のレビュー・評価・感想

地獄の黙示録
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天才フランシス・フォード・コッポラの陶酔的な美学ー『地獄の黙示録』

『ゴッドファーザー』3部作でイタリアン・マフィアのファミリーの興亡史を描いて名を挙げたフランシス・フォード・コッポラ監督が、米国史の悪夢であるベトナム戦争の題材に切り込んだ問題作が『地獄の黙示録』です。ポーランド出身の作家ジョゼフ・コンラッドの小説『闇の奥』を大胆に翻案して現代のベトナムに置き換えて、軍のウィラード大尉がメコン河を遡行してカンボジア奥深くのカーツ大佐の「王国」に辿り着き、カーツを暗殺するまでを3時間以上の尺で描き切った超大作でもあります。この作品が問題作と言われる所以はさまざまにあるのですが、たとえばキルゴア中佐率いる米軍第一騎兵師団の空挺部隊が海岸線からベトコンの集落を急襲する場面は、ワグナーの『ヴァルキューレの騎行』をモチーフにヘリボーン作戦の模様を余すところなく再現して、戦争による破壊の狂気を見せつけてくれるところなど、コッポラ監督の創作における絶頂感をこちらに伝えてくれるからです。この映画自体が製作費を大幅に超過してしまった作品なのですが、破壊の余燼に監督が陶酔する辺りに戦争という行為同様に「浪費」であることを感じさせてくれます。時間とお金に余裕のある方は是非に是非にディレクターズカットその他のプレミアム作品をご覧頂けると天才コッポラの壮大なナルシシズム/自己陶酔を追体験することができます。