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kazu_w6のレビュー・評価・感想

NANA / ナナ
10

色褪せない名作

矢沢あい作品はおしゃれな絵柄とファッションやインテリアもさることながら、緻密に張られた伏線や、丁寧な心理描写が見事です。
特にNANAはそれまでの少女漫画テイストとは違い、恋愛、仕事、人間関係などにリアリティがあり味わい深い辛口な大人向けの作品になっています。

ストーリーは二人のNANAを中心に進みます。
まさに少女まんがの主人公!な平々凡々な夢見がちな奈々と、パンクロックバンドのボーカルを勤めるナナ。
見た目も性格も正反対の二人が運命的な出会いをし、周りを巻き込みながら夢に向かって人生を歩む様は熾烈で苦しく息が詰まります。
しかし、そんな二人や周辺人物をコミカルに、軽やかに、でも丁寧に描く描写力は圧巻です。
そしてやはり多様なファッションにも注目です。眺めているだけでもため息がでるほど素敵です。

2000年代初期の作品ということで、あの時代の空気感をそのまま真空パックしたような懐かしさに浸れます。
音楽が時代を動かし、世間を巻き込み、田舎の少女が国民的大スターになる。
そんな夢みたいなストーリーが現実にあり、誰もが熱狂していました。

残念ながら2022年現在は休載中で再開の目処はたっていないようですが、矢沢先生の体調のご回復を祈りながら再開を気長に待ちたいと思います。

町田くんの世界
10

人を愛すれば、世界は美しい。

不器用でアナログ人間。
メガネをかけた真面目男子だが、見た目に反して勉強は苦手。
運動に関しては見た目通りからっきし。
そんな一見地味で冴えない主人公の町田くんですが、実は超天然の人たらしなんです。
彼の優しさや気配り、言葉に町田くんと関わった全ての人が魅了されます。
読者である私も町田くんに魅了されてしまった人間の一人です。
町田くんが何故人を惹きつけるのか。
それは彼が人を愛しているから。
人を愛する町田くんの見ている世界はいつもキラキラと美しい。
美しいからこそ世界が更に愛しくなる。
愛しいからこそ大切に想い、行動し、彼の行動や言葉が人を助け、守り、救っていく。
この漫画はそんな大きな愛に溢れた町田くんの何気ない日常を優しく描いています。
人への愛に溢れた町田くんの周りには自然と人が集まり、彼も仲間や家族など、たくさんの人から愛されている。
そんな彼が“恋”という、自身の知らない愛の形を知っていき、戸惑ったり悩んだりする姿に読んでいてもどかしく、じれったい気持ちにもなりますが、町田くんらしくゆっくり前へ進んでいく姿は本当に愛しいです。
読み進めるうちに自然と心が動き、登場人物と一緒に泣いたり笑ったり出来ること間違いなしの、忘れていた大切なものを思い出させてくれるような何度も読み返したくなる素敵な作品です。

アイ・フランケンシュタイン
5

怪物が怪物じゃない。

ゴシックホラーであるフランケンシュタインの怪物が主人公の話です。
怪物が悪魔に襲われて、悪魔対ガーゴイルの闇と光の戦いに巻き込まれるみたいな話です。
最初は小説の舞台の1700年代なんですが、すぐ200年後になるので、怪物もすっかり現代風です。
なかなかかっこいいです。話もガーゴイルがいいものとか新しいし、ガーゴイル対悪魔の戦いもなかなか面白かったのですが、怪物がそんなに強くないっていうか、普通の人にしか見えないのが残念でした。
やっぱり、フランケンシュタインのいいところはあのひどい見た目で、力がやばくて普通に生きられなくて、なんでこんな怪物を作ったんだあああっていう嘆きの部分だと思います。
ちょっとカッコよくしてもいいと思うけど、隠してるけどボルトむき出しとかさあ、顔半分ないとかさあ、いろいろできるし、身体能力に関してはちょっと人間よりいいぐらいにしか見えなかったです。
もっと、こう人間じゃないよってところを見せてくれたらなと思いました。
アーロン・エッカードは素敵でした。そうはいってもやっぱり筋肉がすごいし、顔もなんか思いつめた表情が似合うというか、ダークナイトの時から思ってましたが、なんかただのいい人には見えない顔をしているんですよね。
だから、闇を抱えた怪物の役はよく似合ってたと思います。面白いけど、なんか残念、そんな映画でした。

tacica
10

ロキノン系バンドで括るには惜しいグループ

tacica(タシカ)は2006年に北海道で結成、2008年にメジャーデビューしたロックバンドです。
猪狩翔一(Vo. Gt.)→嫁はチャットモンチーの橋本さん。
小西悠太(Ba.)→口癖の「確か…」がバンド名の由来
坂井俊彦(Dr.)→2014年脱退。

デビュー当初は「北のバンプ・オブ・チキン」と呼ばれていた。私もこのフレーズきっかけで興味を持った記憶がある。さらにデビュー当時はメディアに顔を露出せず、PVでも顔は出してなかった。ライブに行かないと顔がわからなかったが不思議とVo猪狩の声は気持ちがいい。顔出し等のタイミングは記憶にはないが今ははっきりしっかり出している。ドラムのとし君こと坂井が病気をもとに脱退してしまったのが未だに残念である。二人体制からはサポートメンバーを加えて活動しいる。tacicaの楽曲は素晴らしいという言葉があてはまる。

群青//無我夢中に体温が上がって下がる毎日に
余計なモノなど持たないで走り終える事はないのだろう
だから今日は後悔をしない事に従事するよ
病気とか悲しみとかで呼吸の価値を思い知る日々

自分の日常がなぜか被る歌詞。メロディーもおのずと入ってくる。帰り道にtacicaが流れると不思議と涙が出てしまったり。自分が物語の主人公になった気分になってしまったり。ぜひ、一度は聞いてほしいと思います。

薄桜鬼
8

アニメ 薄桜鬼

幕末の新選組と、あるひとりの少女の物語。乙女ゲームがもとになっているだけあって、登場する男性キャラクターがイケメン揃い。ヒロインの千鶴もとても可愛らしく、優しく芯のある誰からも愛される女の子だ。実際の歴史に起きた出来事や、人物も登場し、そこに作品オリジナルの「鬼」という一族の設定が入り、鬼の一族とその血を受け継ぐ千鶴と、その鬼の血の効力と障害に翻弄される新選組の物語が作中では紡がれている。また、同時進行で千鶴と隊員との恋模様がえがかれていて、歴女や腐女子にはたまらない作品。行方知れずになった父を追ってひとり京都にやってきた千鶴は、羅刹に襲われていたところを新選組に助けられる。そこから新選組の隊員として少しずつ周囲と打ち解け、信頼感が生まれてきたところ、時代による戦争と鬼との闘いや、羅刹化による作用でひとり、またひとりと隊員が死んでゆく。その隊員それぞれの最後の瞬間やそれまでの苦しみひとつひとつが心に刺さり、涙なしでは見られない。羅刹になれば死は免れない事を分かっていながら、隊の為、大切な人を守るために、その選択をし儚く散っていく。残された隊服と刀だけがその証。一瞬の為に全力で生きて、はかなく散ってゆく様が、まるで桜のよう。乙女ゲームを超えた歴史に残る神作。