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MASSANのレビュー・評価・感想

灼熱の魂
9

悲劇と愛情

これは、人と人の争いが招いた悲劇である。負の連鎖は一度始まると簡単に止まらないということと、母親はどんな過酷な状況でも子を思う気持ちが生きる源となり、心を踏みつぶされても這い上がる生命力を持っているんだぞと強いメッセージを感じた。しかし、運命は残酷で、悲惨な現実は子供も同じくらい背負う必要があるのだ。この世で一番の怪物は「人間」。繊細な映像と共に戦争などの恐ろしい悲劇を見せつけられることで感情の置き場に困る。きっと、どんな選択をしても、この母親と子供に待ち構えていたのは「バッドエンド」。容赦ない戦争の恐ろしさから逃げるのか、物語だと境界線を張ってのほほんと安全な日常を送るのか、この映画の本質にあえて目を逸らすのか…あなたはどうする?見る人に解釈は委ねられる。負の連鎖を止めた一つの方法が「死んだ母親からの遺言」というのが残酷だ。母親の愛の力は偉大と言いたいのだろうが、悲惨な人生を美談にされているようで複雑。このような酷いものに愛情を消費されたくない。不幸は閉ざされたものの、傷つけられた心の傷は修正されないまま。そう、よく考えると連鎖は「現在進行中」。母親の痛みを生涯抱えて生きて行けていかなければならないのだ。

小さな恋のメロディ
8

少年と少女の淡い交情を甘美で詩的な抒情で描いた名作『小さな恋のメロディ』

『小さな恋のメロディ』は1971年に公開された小学生たちの初恋を描いた英国映画で、監督はワリス・フセイン。
出演は、ジャック・ワイルド、マーク・レスター、トレイシー・ハイド。
米国と英国では興行的には失敗しましたが、日本、メキシコ、アルゼンチン、チリで大ヒット、南アフリカでもそこそこのヒット作となりました。
英国での原題は『S.W.A.L.K.』とされていました。
これは英国の小学生たちがラブレターを書くときに封筒の上に書き記す略語です。
本義は「standing for sealed with a loving kiss」でした。
ロマンティックな物語が子どもたちの視点から綴られています。大人たちは補助的な役割を演じるだけです。
ダニエル・ラティマーは問題児のトム・オーンショーと友だちになります。
しかし、ダニエルがメロディ・パーキンスと恋仲になると、少年たちの友情が停滞してしまいました。
というのもダニエルはメロディに首ったけになったのでオーンショーはダニエルが自分のことを気にもかけなくかけなくなったことに嫉妬しているからです。
というような子どもたちの綾なす感情を丁寧に拾い上げて詩的な映像に結実させたのはフセイン監督の力量でしょう。
映画音楽はビージーズの曲ですが、映画にふさわしい甘美なメロディを奏でています。

エレメンタル ジェレイド / EREMENTAR GERAD / EG / エレジェ
5

ファンタジーアニメ感想

2005年4月から同年9月にかけて放送された月刊コミックブレイド連載の東まゆみ原作のファンタジーコミックのアニメ化作品で、同一世界で異なる主人公で展開されていた「紅」「蒼」という2つのタイトルの内「紅」編のアニメ化となりました。
中世に似た世界「ガーディア」を舞台に特定の人間と契約する事で武器へと変化する能力を持つ特殊な種族「エディルレイド」をめぐり、主人公の少年クーとエディルレイドの中でも特殊な存在である少女レンの冒険を描く流れとなっています。内容的にはRPG的な冒険ものの要素と、ボーイ・ミーツ・ガール的な王道といった流れになっていて、異種族の人間とエディルレイドを巡る差別や共存といったテーマも掲げられた形で、また、エディルレイド自体女性しかいないという設定なので当時女性キャラの方が圧倒的に多いと称される事にもなりました。
当時は原作自体が未完だった事もあり、アニメ版の方は開始当初の4話くらいまでは原作に沿った流れでしたが、以降はアニメ独自のストーリーが展開されていった流れとなり、敵キャラも含めアニメオリジナルのキャラクターが多数登場したのも印象的でした(反面原作が未完ということもあり、一部のキャラクターの扱いに差が出てしまった印象は否めませんが)。
当然原作とは異なる終わり方になりましたが、個人的にはアニメ版の方が明るい締めくくり方になった印象になりました。

居眠り磐音
10

映画 居眠り磐音

この映画は佐伯泰英・原作の時代劇です。
見どころは殺陣と音楽、そしてドラマ版との相違点です。
まず殺陣についてはかなり重厚感があり、構え、太刀筋に迫力を感じられると思います。そして音楽はこの映画によく合うものだと思います。同じ原作でドラマ「陽炎の辻~居眠り磐音 江戸双紙」というものがあり、こちらの音楽も素敵ですが映画と比べれば音楽のスピードが違います。それは殺陣にも反映され、ドラマはテンポの速い、リズミカルな殺陣、映画はリズミカルではありませんがどっしりとしたリアルな殺陣だと思います。
またドラマと映画での設定の相違点も面白いです。少し内容を紹介させていただくと磐音の出奔の経緯は同じですが時代背景が少し異なります。田沼意次を例にするとドラマでは権勢を掌握し、磐音たちと間接的に敵対しております。松平定信の登場から見て田沼政治の終盤と思われます。映画では本軸のストーリーが意次の進める貨幣改革。その賛成派と反対派のにらみ合いを中心に話が進みます。磐音を支援している今津屋がこの改革に賛成していることから両作品での相関関係に少し違いがあります。このようにドラマと映画で同じ原作なのにまったく同じになることなく、一つを見ればもう一つもと興味を惹かれると思います。

あいみょん / AIMYON
10

あいみょんラバー

知ったのはYouTubeの邦楽ランキングを流していた時のこと。「君はロックを聴かない」が私のあいみょんとの出会いの曲。最初に耳に残った曲だった。知ってる人にしてみれば遅すぎる方だろう。
その時はまだ、歌詞に自分の中で慣れない部分があり、今時のおもしろい女性シンガーが出てきたなと思ったのである。
聞いているとあいみょんの曲はメロディも独特で、声も心地が良い。そして歌詞はかなり詩的な印象が強く、とても心に響くのだ。
それから、マリーゴールド他、出てくる全てが自分にヒットしまくっている。
まさにヘビロテであいみょんを聞きまくっているので、ここで自分の好きな曲を披露させてほしい。
あいみょんの曲は、自分と別の誰かを重ねるのだ。この曲はあの人と、この曲はこの人と、といった感じである。
まずは「ハルノヒ」、クレヨンしんちゃんで使われていた曲らしい。春日部、、確かに。後から知った。車の中で聞いていて、メロディから好きになった。なんて、暖かい曲だろう。この歌に寄り添って、この歌に重なって見えるあの人と寄り添っていきたいと恥ずかしながら想うのだ。
そして、「恋をしたから」。これにも気持ちを重ねる人は多いだろう。生きてきた中で、必ず1度はみな経験していると思う。どうにも転んでしまったろうが、その気持ちが今、人を思う強さになっている。
勇気をくれる曲ばかりだ。
ありがとう、あいみょん。