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8vcrimsonfoxのレビュー・評価・感想

聖女の魔力は万能です
8

どんどん読み進めてしまう(漫画版レビュー)

異世界ファンタジー作品。働き過ぎの女性が異世界に召喚されたのに、王子に無視されてしまうまさかの出だしである。
異世界に召喚されたら丁寧にもてなされるイメージがあったので、これにはビックリした。
王子に無視されてもめげることなく、自分のやりたいことを見つけて仕事をする主人公・セイ。
自ら仕事を見つけては、意図せずして次々と問題を起こしてしまうが、周りの協力を得ながらどんどん解決していく。
小さな話がどんどん大きな話へつながっていくことにとてもワクワクしながら読み進められる作品である。
また、セイが行動する姿はかっこよくもあり頼もしくもある。時々やりすぎてしまうのは彼女の性格だろうか。
そんなところがさらに物語をおもしろくしてくれている。
セイのその行動力のかいもあってか、金髪碧眼イケメンとお近づきになりるにも関わらず、
セイが男性慣れしていないせいもあって、距離が縮まりそうでなかなか縮まらない2人。
じれったいようなもどかしいような気持ちになるが、今後2人の関係がどのように発展していくのか、本筋と合わせてとても楽しめる。
この作品は剣と魔法の世界で現代人の知識が役に立つ場面も、魔法に驚かされる場面も実際に自分がセイと一緒に体験しているように感じられるほど丁寧に描かれている。
原作は小説だそうだがそうとは思えないくらい、絵柄もきれいで細部まで書き込まれているので、読んでいて違和感を覚えることは全くない。
何度読み返しても楽しめる作品である。

たたえられよ、サラエヴォ
7

サラエヴォ戦争の不毛と不条理を短編ビデオに集約したゴダールの珠玉の名品『たたえられよ、サラエヴォ』

映画『たたえられよ、サラエヴォ』(別なタイトルでは『こんにちはサラエヴォ』とも)は、ジャン-リュック・ゴダール監督が1993年に製作した短編ビデオ作品です。
この作品はわずか2分の映像によるエッセイで、元になったのは1枚の戦争写真。写真家ロン・ハヴィヴ(後にラジャンス・セヴン(フランス語でL'Agence VII)に属することになります)と同じく写真家のルック・ドラエ(マグナムフォトに所属しています)が撮影したのですが、ゴダールは空想を膨らませて、ヨーロッパとボスニアの間の戦争の本質を喚起するビデオを創作したのです。
1枚の写真に写し出されているのは、女性を含む3人の市民(サラエヴォの歩道に蹲っています)と3人の兵士(銃を持っています)。兵士のうちの1人は火の点いた紙巻きタバコを左手の指にはさんでいます。右手には銃を持っていて、その銃口で市民をつついて右足ではその人間をまさに蹴ろうとしています。
ゴダールは自分の声でナレーションを被せながら、この写真の細部をカメラのフレームで切り刻んでいきます。芸術である例外がある、それはフローベールとドストエフスキー、ガーシュウィンとモーツァルト、セザンヌとフェルメール、アントニオーニとヴィゴ…これは、ジガヴェルトフ集団の最後の作品である『ジェーンへの手紙』(1972年)に貫かれている手法であることに注意してください。つまり、ジェーン・フォンダの1枚の写真に記号論的な分析を行った、あのスタイルです。