映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ

映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ

児童書や絵本、アニメなど子供に絶大な人気を誇る『おしりたんてい』の劇場版長編シリーズ第2弾。2024年3月20日に公開された。同時上映は短編作品『映画おしりたんてい なんでもかいけつ倶楽部 対 かいとうU』。おしりたんていに、かつての相棒から手紙が届く。それは世界を揺るがす大事件のはじまりだった。

映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よのレビュー・評価・感想

New Review
映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ
8

強烈さが過去イチでした

おしりたんていの元相棒のスイセンの家族だった画家のキンモク先生が、自分の絵が売れないから仕方なく有名な画家の絵画のレプリカを描いたところ、誰も疑わずにレプリカを絶賛していたことに何かが切れてしまいました。区別がつかない人々の目に触れる絵画なんて全部偽物でいいだろうという考え1つで巨大な財団を作り、その頂点に君臨して多くの賛同者を従えて周辺の美術館の絵画をすべて自分が描いたレプリカに入れ替えていました。その姿は、承認欲求が満たされずに負のエネルギーで暴走する令和時代の人間の究極体といえるでしょう。このキンモク先生の怒りと嘆きの暴走ぶりから、芸術作品の価値は何で決まるのかと、制作陣はこのテーマを見た人たちに考えてほしかったのかもしれません。しかし、作中のおしりたんていの行動の方が脳裏に焼き付いて、テーマが薄く思えてしまいました。

終盤で超強力な水鉄砲で撃たれて死にかけているスイセンを助けようと、おしりたんていは人工呼吸ではなく、いつも犯人逮捕の為に盛大にこいているガスをスイセンの口から進入させ、スイセンの心臓を蘇生させました。人命救助のためとはいえ、臭いガスで助けられるのは複雑な気分になることでしょう。しかし、スイセンは直接伝えはしなかったけれど、同じ大学で推理系のサークル仲間であり、探偵の活動の相棒だったころからおしりたんていの事が好きだったと匂わせる(ガスを出すおしりたんていなだけに)言動があったので、スイセン個人からしたらいい思い出なのでしょう。